評価 ★★★☆☆(58点) 全6話
あらすじ ある時は探偵、ある時は公安所属の警察官、またある時は黒ずくめの組織の一員。3つの顔を使い分ける男引用- Wikipedia
おもしれー男
原作は名探偵コナンのスピンオフマンガ作品。
タイトルからも分かる通り「安室 透」を主人公とした作品だ。
監督は小坂知、制作はTMS/第1スタジオ
露骨
1話早々やたらに露骨なシーンから始まる。
安室透のいつもの朝、そんな日常を見せるのがこの作品の目的だ。
推しの日常をこっそり覗き込む、ファンならばたまらない作品と言える。
そんなファン向けの作品だからこその狙ったシーンとも言える。
なにせ半裸である(笑)
シャワーを浴び、下着1枚で歯磨きをし、着替える。
男性向けアニメならば「サービスシーン」ともいえる
安室さんのセクシーなシーンからこの作品は始まる。
彼は公安の人間だ。
しかし、同時に黒の組織の「バーボン」であり、
毛利探偵事務所の毛利小五郎に弟子入りした探偵でもある。
そんなトリプルフェイスな彼の日常は日常でありながら非日常だ。
そんな彼のスピンオフを見たいと思う人は彼のファンだけではないはずだ。
サブキャラクター
この作品は安室さんのスピンオフ作品だ。
そんなスピンオフ作品だからこそ、普段、名探偵コナンという
作品でややスポットの当たりにくいキャラや出番の少ないキャラが
さり気なく出てくる。
例えばポアロの女性店員である榎本梓、
本編では彼女をきっかけに事件が始まることも多いが、
最近では安室さんが登場したこともあって出番が少ない。
そんな安室さんの登場で1番あおりを食らっているキャラが
スピンオフではサブキャラ的ポジションに落ち着いている。
更に毛利小五郎の妻であり、毛利蘭の母である「妃英理」、
そんな妃英理の弁護士事務所で働く「栗山 緑」や、
某アイドルなんかもさり気なく出てくる。
名探偵コナンでのメインキャラであるコナンや蘭、
毛利小五郎は当然出てこない。
だが、出て来ないものの彼が働く喫茶店の上には彼らが住んでおり、
時折、物音や影で彼らの存在を感じさせてくれる。
そんなサブキャラたちの何気ない日常が本作の肝だ。
ストーリー
「日常」と銘打たれているだけあって
序盤は特になにかが起こることはない。
喫茶店で働いていても事件が起こるわけでもなく、
毎分のように事件の起こる本編と違って
この作品で起こる事件はあくまでもおまけ程度で謎解きの要素はない。
しかし、本格的な事件が起きないからこその緊張感がある。
1話で見せた私立探偵としての安室から、
2話では一変「バーボン」としての日常を見せてくれる。
彼は潜入捜査をしている。いわゆる「スパイ」だ。
正体がバレればいつ殺されるかわからない。
彼の友人も黒の組織の犠牲になっている。
そんな彼だからこそ、もう後戻りはできず、行くところに行くだけだ。
黒の組織の「バーボン」としての日常は日常でありながら緊張感抜群だ。
そんな中で公安の仕事もしている。あまりにも忙しい。
1話15分しかないのにバーボンとして活動していたかと思えば、
喫茶店でのバイトをし、そこから公安の仕事をし、夜には部下の相談に乗る。
さすがは労働基準法の対象外である公務員である。
たった1日なのに朝から晩まで目まぐるしく彼は働いており、
90分しか寝ていない日もある(笑)
そんな目まぐるしさが物語の中での起伏を生んでいる。
毎話のように終盤では「赤井」への恨みつらみを吐露シーンが挟まれており、
それがどこかお約束のようになっており、
本人は真剣なのは分かるが、見ている側としてはお約束のシーンに
なってしまっているせいか少し笑ってしまう(笑)
シュール
1話のサービスシーンもそうだが、毎話のように
安室さんを魅せるためのサービスシーンがある。
2話では料理をしていたり、3話ではバイクによるカーチェイスなど、
安室さんファンならば黄色い声を上げるようなシーンばかりだ。
あくまでファン向けだ。
そんな「ファン向け」と割り切った作り方をしており、
そんな割り切った作り方をしながら、
安室透の日常を1話1話しっかりと描いている。
安室透らしい「うんちく」だらけの台詞回しは
どこからまどろっこしさはありながらも、安室透らしい台詞になっており、
何かを食べたり、作ったりするシーンも多いせいか、
どこか「グルメマンガ」的な要素もある。
安室透自ら料理をし、自身の手料理を食べたかと思えば、
カレー屋では部下とともにカレーを食べる。
ファン以外が見れば何だこのシーンはと思うような謎演出も
含みながら描かれる食事シーンはなぞの面白さがあり、
どこか作品全体として「シュール」な空気感を漂わせている。
なにせ犯人を追いかける過程で安室さんが
「SASUKE」的なものに挑戦するようなアニメだ。
見ていない人にとっては意味不明だろうが、
そういうシーンが有るのだから仕方ない(笑)
ファンにとってはサービスシーンではあるものの、
特に安室さんのファンでない人にとってはそんな
サービスシーンがどこかシュールなシーンとして
見られる部分があり、謎の面白さを秘めている。
謎のトレーニングをしたり、りんごを素手で半分に割ったり、
本人も恐らくはファンにとっても真面目なシーンが
ファン以外の人にとってはとんでもなくシュールなシーンに仕上がっている。
総評:謎解きはティータイムのあとで
全体的にみてスピンオフ作品としてはよく出来ている作品だ。
「安室透」というキャラクターだからこその、
トリプルフェイスな日常が物語に起伏を生んでおり、
その中で安室透というキャラの魅力を見せサービスシーンを
てんこもりにし、ファンならば楽しめる作品になっている。
その一方でそんなサービスシーンがどこかシュールになっており、
唐突にふるさとを歌い出す安室透や、SASUKEに挑戦する安室透という
絵面がなんともシュールで笑いを生んでおり、
ファンでない人でもこのシュールな日常をツッコミながら
笑って楽しめることができる作品に仕上がっている。
あくまでスピンオフであり、本編を見ている&読んでいる人前提であり、
高い評価はし辛い作品ではあるものの、
1話15分、全6話という短さもあり、サクッと楽しめる作品だ。
個人的な感想:ここまでシュールとは…
1話の段階ではファン向けのスピンオフアニメかな~と
思っていたのだが、話しが進めば進むほど色々な意味で
様子がおかしくなり、制作側も明らかに狙って
シュールさを後押ししている演出まみれだ。
特にカレーを食べるシーンのアレはなんなんだろうか(笑)
安室さんのファンな人も、そうでない方も、
ぜひ、あのシュールさを味わっていただきたい。
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