評価 ★★☆☆☆(29点) 全6話
あらすじ 地球人類が国籍の区別なく全員、商連と呼ばれる異星の民の隷属階級に落とされた未来世界。引用- Wikipedia
センス0のストーリー構成
原作は幼女戦記などでおなじみのカルロ・ゼンによる小説作品。
NetflixオリジナルアニメとしてNetflixで独占配信されている。
監督は安保英樹、制作はアレクト
セルルック
この作品はいわゆるセルルックCGで描かれている。
ぬるーっとしたフルCGアニメだからこそカメラワークは独特であり、
やや画面酔いしそうなほどのなんとも言えない「浮遊感」を感じさせる
カメラワークは人によっては見づらいと感じるかもしれない。
しかも冒頭はネズミしか出ない(笑)
擬人化されたネズミたちは機械の兵器を用いてカエルと戦争をしている。
フルCGによって描かれた戦闘シーンはフルCGだからこその密度を感じる
キャラクター数の多さがあり、同時に動いているキャラも非常に多い。
ただ、その情報量の凄さはあるのだが、いまいちキャッチーさはなく、
Netflix独占配信のWebアニメだからこその大胆な血液表現はあるが、
「面白そう」という期待感は感じにくい。
歩兵
そんな中でようやく主人公が出る。
「ヤキトリ」と自称する歩兵な彼らはネズミと戦っている。
淡々とした重火器による戦闘シーンはアクションのこだわりもあまり感じず、
どこか淡々と描かれている印象だ。
意味がわからないのはAIの存在だ。
歩兵「ヤキトリ」である彼らがAIに頼るのだが、
これが初音ミクの偽物のような姿をしている。
パロディなのかオマージュなのかわからないが、
それにしてもギリギリアウトなキャラデザをしてしまっており、色々と気になってしまう。
メインキャラのキャラクターデザインも同様にバタ臭い。
Netflixオリジナルアニメにありがちな海外受けを意識したデザインなのは分かるが、
あまり特徴的とは言えず没個性なキャラデザインになってしまっている。
戦闘シーンも銃をばかすこ撃って、撃ってる顔をアップにするというパターン化が
1話の序盤から起きてしまっており、内容はともかく、
アニメーションとしてつまらない感じだ。
CGのクォリティはそれなりに高くよく動くがそれだけで
「魅力的」なシーンづくりができていない。特にカメラワークは
無駄にゆらゆら動かすのは悪手でしかない。
フルCGアニメの場合はカメラを自由自在360度動かせるのは利点ではあるが、
その利点を利点にしきれておらず、無駄に動かしてしまっている。
地球侵略
この作品は「商連」という異種星人で構成された組織に地球侵略された未来を描いている。
人類社会と呼ばれるものは崩壊し、地球人そのものが劣化した種族扱いされ、
資本も知識も技術も違う宇宙人に地球人は支配されていると言ってもいい。
そのせいで地球人は「兵力」か「食料を輸出」するくらいしかできないような状況だ。
進路も限られ、地球人の未来はない。
主人公は大学を受験するはずだったのだが、限られた枠のせいで受験できず、
底辺の労働者になることしかできず、持ち前の正義感と真面目さ故にトラブルをおこす。
そういった過去が断片的に描かれるのがこの作品に欠点だ。
1話の時点で時系列が行ったり来たりしてしまっている。
冒頭ではすでに戦争状態でネズミとヤキトリなメインキャラが戦ってるシーンを描いたかと思えば、
OPのあとには任務に出発する前のブリーフィングが描かれ、
その間に主人公の過去が断片的に描かれる。
物語の時系列が1話の時点で現在、過去、未来という感じでバラバラだ。
そのせいで見ている側としては現状を把握しづらくなってしまっており、
時系列が本当に行ったり来たりするため混乱しやすい。
これが1話だけならともかく、2話以降もちょくちょく過去回想が挟まれるため
物語のテンポも落ちてしまっている。
焼かれるか、食われるか
ストーリー的には宇宙人の地球侵略により立場の弱くなった地球人、
そんな地球人である少年が自身の真面目さや正義感故にトラブルを起こし、
彼は「商連」の歩兵として雇われることになり..という感じだ。
いつ死ぬかわからない歩兵、実践に参加した歩兵は7割が死ぬ。
それゆえに高給だ。
焼かれて食われるだけにすぎない焼き鳥になるか、
それとも生き残って高給を手にするのか。
ストーリー的には面白そうな感じが漂っており、
設定や世界観もSF的に興味深いものもある。
ただストーリー構成が最悪だ。
1話もそうだが、2話以降も現在のヤキトリとしての戦闘が描かれつつ、
主人公の過去がどんなものだったのか、ヤキトリの仲間とはどう出会い、
どう訓練してきたのかという過去回想が挟まりまくる。
ヤキトリとしての現在の戦闘シーンはそれなりに面白く、
特に序盤の山場である「多脚戦車」との戦闘シーンは
フルCGアニメだからこその自由な動きとカメラワークが
画面に迫力を生んでいる。
だが、そんな盛り上がってる間にも過去回想が挟まれる。
物語の腰を折りまくるストーリー構成が
作品の面白さをいちいち殺してしまっている。
例えばその過去回想が戦闘シーンの間に挟まれる意味があればいい、
過去の彼らとの会話ややり取りが多脚戦車を倒すヒントになる!
というような展開ならまだ分かる。
だが、全然関係ない喧嘩や会話のシーンでしか無い。
本来は面白そうなのに、素直に楽しめそうなのに、
雑なストーリー構成のせいでストレートに作品を見せてくれない。
多脚戦車との戦い、少ない兵器と物資と限られた人員での作戦、
「現在」のヤキトリのストーリー自体は面白いのに、
彼らのキャラクターを掘り下げるための過去回想が
いちいち話の腰を折る。
ある程度まとめて、1話ごとに交互に描くことなどできなかったのだろうか。
毎話アクションシーンを入れるためのストーリー構成なのは分かるものの、
このストーリー構成は悪手でしかない。
終盤は過去回想が現状を打開するヒントにもなっていたりするが、
序盤の過去回想はストーリーをごちゃごちゃにしている感が否めず、
本来は大ピンチなはずの状況なのに緊張感も生まれない
浅い
物語としてはシンプルというよりも浅い。
ラストはヤキトリと言われている歩兵隊である主人公たちが
限られた兵器で苦戦しながらも作戦をこなしたものの、
彼らが提言した大量殺戮兵器の使用のせいで裁判にかけられるものの、
彼らはあくまで「銃火器と同じ消耗品」という扱いになり無罪になる。
これだけだ。
全6話だから仕方ない部分はあるもののキャラクターのストーリーと
呼べるものは限りなく薄く、あくまでこの作品の世界観の中での
短編ストーリーがさくっと描かれただけだ。
主人公自身は熱血タイプの主人公であり、
正義感はあるものの自分たちが生き残るために「敵」を
殺すことに何ら躊躇はない。
だからこそ、裁判になっても主人公は悩んだりもせず
なんでこんな目に合うのかわからないという感じだ。
裁判も主人公の言動や行動で左右されるのではなく、
彼は裁判を眺めているだけで終わってしまう。
全6話という短い尺でしかなく、
原作も完結されている作品ではないため、
あくまで序章の部分をアニメ化しただけという感じで終わってしまっており、
もう少し物語が進めば深みが生まれてくるかもしれないが、
ヤキトリだけに一杯引っ掛けただけのような軽い内容になってしまっていた。
総評:脚本が串に刺さってない
全体的に見てストーリー構成がかなり足を引っ張ってしまっている作品だ。
宇宙人の侵略により虐げられる存在になった地球人、
彼らは食料品を生産するか、兵士となって消耗品になるくらいしか生きるすべがなく、
そんな中で主人公は兵士である「ヤキトリ」となり戦う。
この基本的な設定自体は面白く、
彼らがヤキトリと虐げられても戦う姿は面白い。
最終話の裁判の結果も彼らがヤキトリだからこそのものになっており悪くない。
しかし、そんなこの作品の面白さを引っ張ってしまっているのが
ストーリー構成だ。
1話から未来、現在、過去をツギハギにしてあっちこっちに時系列が移動する。
2話以降も本来なら緊張感のある戦闘シーンなのに、
戦闘シーンの最中に過去回想がちょくちょくツギハギにして入るため
物語のテンポ感と空気感が崩れてしまっている。
ストーリー的にも世界観をもとにした内容であり、
キャラクターの掘り下げ要素やストーリーは薄く、
あくまでも序章という感じだ。
原作の続編がデレば、アニメも続編が制作されるかもしれないが、
色々とパットしない印象を受けてしまう作品だった。
個人的な感想:小規模な…
ざっくりといってしまえばものすごく小規模なスターウォーズのような感じであり、
スターウォーズのスピンオフ作品と言われてもおかしくないような世界観だ。
スターシップ・トゥルーパーズやスターウォーズ的なSF作品が
好きな方は楽しめる部分もあり、
今どき珍しくなった硬派なSF作品として今後の展開を期待したいところだが、
原作は3巻以降は5年以上も出ていないため望み薄かもしれない。
世界観自体は悪くなかったため、この世界観で続きが出るなら
ぜひ見てみたいところだが、果たして…
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アニメ未視聴原作既読です
あらすじなどからすると原作1巻部分のアニメ化だと思うのですが、地球が科学力に勝る宇宙人によって植民地化された未来で、消耗品の物資(人材も含む)を安く輸出するだけになってしまっている地球社会だけど、実は地球人は他の宇宙人と比較して(主に戦術的な資質で)兵士に向いた種族なのでは無いか?みたいな、戦争の歴史を積み上げてきた地球人の業の深さが描かれる原作内容だったと記憶していますが、そういうニュアンスは消えてしまっているという感じでしょうか?
原作者のファンなので、それなりにでも原作の意図が伝わる内容なら見てみたいとは思うですが、別物になってしまっているようならネトフリに加入してまで・・・となってしまいます。
「実は地球人は他の宇宙人と比較して(主に戦術的な資質で)兵士に向いた種族なのでは無いか?」
少なくとも私はそういう感じのメッセージ性というかニュアンスは感じませんでしたね…
冷静に他人のレビューを見る・怒りを冷静に処理するために一年ほど置きました。
原作通読済みリピーター、アニメ視聴勢です。
とにかく酷い出来でした。おおよそ語って下さっている通り、1巻での訓練生からの正規戦闘員採用までの流れ、2巻の初戦闘を反復横跳びするというのは、非常に流れがよろしくなかった。あのブツ切りを原作の流れ通りに繋げた所で、アニメ制作サイドの物語の理解が浅すぎる所為なのか、全くの駄作にしか見えなくなっていました。
そして何より、各パートにある「飯」への執着とこだわりが完全に無くなってしまったことで、アニメ初見勢にはタイトルとしての「ヤキトリ」が全くの意味不明になってしまっていたのは残念です。各巻での最後の困難を解決した「聖餐」としてのヤキトリであったはずが、単なる居酒屋で話しているだけの構図・設定にしたのは、原作者がちゃんと関わったのか訝しむレベルの暴挙でした(いわゆる高級士官しか知らないカウンター形式の飲食場に、アキラがタイマンで招待されるというのが正しい描写です)。
知らずして視聴しても、同様に感じるのだなと確認出来た次第です。
乱文失礼しました。