スポーツ

「WAVE!!〜サーフィンやっぺ!!〜」レビュー

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スポーツ

評価 ☆☆☆☆☆(7点) 全12話

あらすじ 海の上では自由になることができるといった、1年間に海岸を洗い続ける大きな波のある、茨城県大洗町育ちの主人公・陽岡マサキ引用- Wikipedia

作品が溺れてる

本作品はMAGES.によるメディアミックス作品。
TVアニメは去年劇場三部作として公開されたものを1クール構成にして
放送された作品となっている。
監督は尾崎隆晴、制作は旭プロダクション

波乗り


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 1話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

1話冒頭、タイトルからも分かる通りサーフィンのシーンから始まる。
いかにも「CG」です!感バリバリな海とキャラの作画ではあるものの、
ぬるぬると波乗りするサーフィンのシーンは悪くなく、
それぞれのキャラの波乗りをえがくことで
メインキャラを一気に見せている。

だが、特にそれが面白くない。
波からジャンプするシーンでキャラをアップにするという
ワンパターンな見せ方しかしておらず、キャラごとの差が
ボードのデザインくらいしかない。
似たようなシーンを似たような構図で似たように見せている。

コロナウィルスがなければ2020年は東京オリンピックが開催され、
「サーフィン」も新競技として注目されるであろうことを
見越した作品なのは分かるものの、
いまいち冒頭からサーフィンの魅力が伝わってこない。

台詞回し


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 1話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

1話から脚本の台詞に違和感を感じる。
朝目覚めた主人公が犬の散歩をしている途中で
サーフィンをしている男に出会い、
それがサーフィンを始めるきっかけになるというベタな始まり。
そんなベタな始まりに対し、主人公の台詞はこうだ。

「アイツが波に乗る姿はいつまでもオレの心から消えなかった。
 まるで寄せては返す波のように」

「寄せては返す波」という表現のベタさに思わず笑ってしまう。
うまいこと言おうとして逆に言えて言えない感じが凄く、
それがギャグのように聞こえてしまう。

主人公が朝出会ったサーファーは実は転校生であり、
衝撃的な再会を果たす(笑)

アニメやラノベ、漫画でこれほどこすり倒された展開はない。
むしろ「ギャグ」として使われることのほうが最近は多いほどの
ベタすぎる始まり方は脚本の教科書でも見ているかのような
ベタっぷりだ。

常に何故かウクレレを弾いてるクラスメイトが居たり、
クラスメイトの女子は全員発情していたり、
真面目にストーリーを描いているはずなのに
ギャグにしか見えない。

歯の浮くような主人公のポエミーな台詞がよけいに
見ている側の脇腹をくすぐってくる。
そんな主人公は転校生のサーフィンを見てサーフィンに興味を持ち、
サーフィンを始める。

今までサーフィンをやったこともなく、そもそも泳げないはずの主人公。
本来は初心者ならボードの上に立つのに何日もかかるはずなのに、
彼はあっさりと1度目のトライで成功させてしまう。

日常


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 3話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

サーフィンの練習をしながら、特に大会に出るというわけでもない。
3人のメインキャラの日常が描かれつつ、
3人の関係性を深める序盤だ。
BLではないものの、そう感じさせるような素振りやシーンも有り、
毎話のようにお風呂シーンも有る。

彼らは別にサーフィン部というわけでもない。
14歳の中学生であり(その割には見た目が大人っぽいが)、
それぞれの進路もある。

あくまでも「日常の中のサーフィン」であり、
見ている顧問も居ないような趣味だからこそ、
そんな日常だからこそ事故も起きる。
初心者な主人公だからこそ危険を顧みず
嵐の海に飛び込んでしまう事もある。

サーファーの事故は現実でもよく起きることだ。
サーフィンの楽しさも描く一方で、きちんと危険性もえがいている。
サーフィンは天国に1番近いスポーツらしく、
時に天使の手招きに導かれてしまうものも居る。

そんな危険なスポーツ、やらないほうがいいのでは?と
一瞬思ってしまうものの、そこを突っ込んではいけない。
あっという間に1年という時間も経過しており、
なんか知らない間に主人公も上達しているが、突っ込んではいけない。

大会


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 3話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

3話になると大会に参加する。
ただ1話冒頭で描かれたシーンと同じように
キャラクターが変わってもやってることが変わらず、
採点方法もろくに説明されないためよくわからない。

サーフィンというアニメーション映えしそうなスポーツなのに、
アニメーションとしての面白さを感じられないシーンが多く、
波を待ち、波に乗るというサーフィンの時間も短い。
そのせいでいまいち「サーフィン」というスポーツの
スポーツ性や各キャラの凄さが全く見えてこない。

主人公が勝ちましたと言われても、
対戦相手と主人公の実力の差がわからず、結果だけしか伝わらない。
大会の途中で主人公は負けるのだが、
ボードから落ちたから負けたというだけだ。

「なんてテクニックだ!」

とライバルキャラが褒めるものの、そのテクニックの凄さが
見ていてまるで伝わってこない。
アニメーションとして見せて試合を伝えるということが出来ていない。
キャラの台詞で勝った負けたと言わせてしまっている。

作画の悪さも顕著であり、
サーフィンのシーンはCGを使ってなんとか保っているものの、
「使いまわしなのでは?」と感じるようなシーンも多い。
大体が波に乗って一回転して着水するパターンだ。
「高さ」と「何回乗れたか」が採点基準の1つなのは分かるものの、
その高さの違いもよくわからない。

日常シーンのキャラの顔は割とギリギリだ。
そもそも中学生という設定なのに大人にしかみえない彼らの
キャラクターデザインの違和感も凄まじく、
ある程度、体格がないとサーフィンというスポーツを
描く上で難しいのは分かるが、それならば最初から「高校生」くらいの
設定のほうが良かったのでは?と感じてしまう。

ただストーリー的には序盤の大会に出た後に
「世界大会に出たい」という目標が出来ており、
この作品の方向性がようやく見えてくる。

事故


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 2話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

そんな方向性が見えたと思いきや、
3人のメインキャラのうちの一人が悪天候で
高波という危険な状況でサーフィンをし行方不明になってしまう。
投げ出されたボードだけが見つかり、当の本人はいない。

捜索したのか、行方不明なのか、はたまた死亡あつかいなのか。
そういう詳細がまったくもって描かれず、
落ち込み、サーフィンをしない主人公が描かれるものの、
「行方不明になった彼はどうなった?」という事ばかりが
気になってしまう。

周囲のキャラは明らかに行方不明の彼、「ショウ」が
「死んだ」ようなムードを出している。
海を見つめ、サーフィンをやらない主人公のグダグダな落ち込みシーンを
見せられるものの、決定的な描写や台詞が出てこないことに
モヤモヤしてしまう。

「サーフィンなんてやらなきゃよかった..そしたらこんな思いなんて..」

主人公のこの言葉はあからさまにショウが死んだように聞こえる。
海に沈む主人公に聞こえてくる「ショウ」の声と姿、
友人の死を乗り越えて、再び波に乗る主人公。
挫折と立ち直り、サーフィンに改めて挑むという展開は
ショウが死んだからこそのものだろう。

だが、なぜか決定的な台詞は出てこない。

高校生


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 8話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

中盤になると主人公は高校へと進学する。
中学校の頃とは友達付き合いも変わり、湘南へと場所を移し、
彼はより「サーフィン」へと打ち込む。

序盤で大会で戦ったライバルが中盤では友になる。
きちんとキャラクターを掘り下げ、キャラ同士の関係性もえがいており、
サーフィンの要素は面白くないものの、
青春ものとしては王道の描き方としており、
その部分だけを見れば悪くない。

中盤は主人公のライバルたちのキャラの掘り下げや
日常が描かれつつ、大会に向けてストーリーが進んでいくものの、
強い盛り上がりがあるわけでもなく、淡々としている。
序盤から1話1話の内容がひたすらに薄い。

例えば8話などオタクなサーファーが
好きなアニメシリーズが今年で終わるかもしれないと落ち込み、
そんな彼を心配していたが、なんやかんやあって立ち直る話だ。
どうでもいいと感じる話が多く、中盤の話は
「見なくても問題ない」話も多く、印象にも残りづらい

大会


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 9話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

9話で2回目の大会が始まるものの、主人公はあっさりと敗退してしまう。
1回目の大会で敗退して決勝に進めなかったのに、2回目でもまた敗退だ。
1回1回のサーフィンのシーンも短く、相変わらずワンパターンなシーンは
何の面白みもなく、大会が始まっても盛り上がらない。

ダイジェストで結果だけが描かれる大会など盛り上がるわけもない。
負けた主人公が特訓するための展開を生み出したいのは分かるが、
もう少し話の盛り上がりを作れないのか?と思うほど盛り上がらない。
「サーフィン」という今作の主軸を、この作品は面白く描けていない。

終盤、サーフィンの聖地であるハワイに行って特訓したり、
死んだショウの兄と出会ったりしながら、
精神的にも技術的にも成長する。

そして最終話。

え?


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 12話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

最終話のAパートでもまだ特訓してる。
本当に最終話なのか?と思うほどまったりとしたテンポで
日常が描かれ、主人公が地元に戻り「思い出」に浸り、
亡くなったショウへの思いを思い出の地でようやく
主人公なりに消化できたことが描かれている。

そして最終話の残り時間10分でようやく大会が始まる。
結局、この作品は「サーフィン」というものをしっかり描けない。
尺をかけて大会を描けないからこそのストーリー構成であり、
最終話も今までの大会と同じようにまるでダイジェストのごとく
サクサクと描いて終わりだ。

それはそれでこの作品らしい終わり方とも言え、
ここで終わればそれなりに話もまとまってるるのだが、
この作品は意味のわからないことをする。

なにせ死んだはずのショウが出てくる。
何を言っているかわからないと思うが、私も意味がわからない。

ショウと似ている彼の兄が主人公たちのサーフィンを眺めており、
眺めてる最中になにかを視界の端でとらえ振り返り追いかけるが見失う。
ちなみにショウト顔は似ていいるものの
ショウの兄は黒いシャツを着ており、髪の分け目も違う。

場面が変わると白いシャツを着たショウが現れ、
彼らの試合を眺めており、一人会場を後にする。
意味がまるでわからない(笑)

あれだけ死んだムードを出しておいて実は生きてて
失踪してたみたいな感じになっており、
それならそれで主人公たちに何も言わないのは意味がわからない。

そもそも、あれだけ「死んだ」ことにして物語が進んでいたのに
最終話で実は生きてましたとなる展開も意味がわからず、
彼がなぜ主人公たちに何も言わないかなど一切説明説に
終わってしまい、本当に訳がわからないまま終わってしまう。

総評:なんだこれ


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 12話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

全体的に見て意味不明な作品だ。
サーフィンを題材にした青春アニメというベタな要素の作品ではあり、
そんなベタな中でメインキャラの死と、そこからの立ち直りと成長と
友情の物語が描かれているはずだった。

淡々と描かれて盛り上がり所が薄いという問題点はあるものの、
それでも無難に楽しめる日常パートがあり、
サーフィンの大会シーンは盛り上がりにかけるものの、
それなりにスポーツ青春アニメとして形になっていた。

しかし、最終話でちゃぶ台をひっくり返されてしまう。
ショウと出会い、ショウと友だちになり、サーフィンの楽しさを知り、
同時にサーフィンの怖さも知った主人公が、
ショウの思いを自分の中で整理し成長し、友やライバルとの戦いの中で
サーフィンの楽しさをもう1度噛みしめるというストーリーだったはずだ。

ショウの「死」はこの物語で必要なものだった。
しかし、最終話で生きてることが発覚してしまうことで、
この作品のストーリーは何だったんだ?と思ってしまう。
そもそも、どうして生きてたのに会いに来なかったのか、
彼に一体何があったのかなどは謎のままだ。

生霊の類の可能性もあるが、それにしてはそういうふうに描かれていない。
流石に生霊が生前はかけていなかったサングラス姿で
現れることはないだろう(笑)

サーフィン部分に関してはアニメーションという媒体での
表現が甘く、ワンパターンな見せ方や短すぎる試合のシーンなど
アニメーションとしての面白さにかけてしまっており、
サーフィンの面白さや凄さはまるで感じない作品になっている。

細かい問題点は色々とあったものの、
その細かい問題点をすべてどうでもよくさせるほどの問題が
最終話で出てきてしまい、この作品はなんだったんだという
疑問に包まれてしまう作品だった。

個人的な感想:企画倒れ


画像引用元:WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~ 5話より
©MAGES./アニメWAVE!!製作委員会

そもそも劇場三部作という時点で滑ってる感じが凄く、
同じ内容をアニメで1クール構成にしてやっても、
見に行った人にとっては同じ内容を見せられてるだけであり、
何のためにお金を払ったんだ感がすごそうだ。

とてもじゃないがこの作品を劇場で見たいとは思えない。
作画のクォリティはTVアニメとしてみても低い方であり、
CG感ばりばりなサーフィンシーンや不安定な伽羅の顔の作画など、
スクリーンで見ればよけいにあらが目立ちそうだ。

3月からやっていたソシャゲは稼働が3日しかない状態で、
サービス終了が決まったようだ(苦笑)
メディアミックス企画の作品だったが、企画倒れ感がすごい作品だ。

メディアミックスなのに漫画などの連載はないのも不思議であり、
せめて漫画版が出てショウの謎がそこで明かされればと思ったのだが、
それすらもない。

企画自体の迷走感がストーリーの迷走にもつながったのかもしれない…

「」は面白い?つまらない?

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  1. ジョーンズ卿 より:

    大洗の観光案内所では随分前からポスター貼られてましたが、やっと実現してもこれでしたか。ガルパンに次いで聖地になるかと期待されたようですが・・・。

  2. より:

    やっぱりこの監督才能無いよね
    ゴブリンスレイヤーも担当回の演出やコンテのセンス無さが酷かった

    まともなのはコミカライズ部分をトレースできた辺りだけ