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「うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。」レビュー

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評価 ★★★☆☆(55点) 全12話

あらすじ 魔人族の少女・ラティナは、予言によって祖国を追放され、自身が暮らしていける土地を求めて父親と隣国を目指していたが、その途中、父親は森の中で行き倒れてしまう。引用- Wikipedia

ずっと愛でていたいヒロイン

原作は小説家になろうで連載されているライトノベル。
監督は柳瀬雄之、制作はMAHO FILM。

なろうらしからぬ。


引用元:©CHIROLU・ホビージャパン/白金の妖精姫を見守る会

小説家になろうといえば昨今、アニメ業界を良い意味でも悪い意味でも賑わしており
「異世界転生or転移」「チートな主人公」「ハーレム」と
ある程度テンプレート化した要素があり、それが良くも悪くも人気の要素だ。

しかし、この作品はそのどれでもない。
主人公は魔法や魔族の存在するファンタジーな世界の住人であり、
決して「日本で交通事故」にあって異世界転生したわけではない。
この時点で「なろう」なアニメの中では相当に異質だ。

更に別にチートでもない。
冒険者として有能ではあるようだが、他のなろう作品のような
とんでもないチートな能力を行使するわけでもなく、
あくまで世界観の範囲内の中で常識的な強さを持っている。

しかもハーレムですら無い(笑)
この作品はタイトル通り「娘」が主体のアニメであり、
主人公は冒険中に出会った身寄りのない魔人族の少女を広い、
亡くなった彼女の父の代わりとして自らが彼女を育てる話だ。

作品を構成する要素が、いわゆる「なろう」な作品とは違う。
タイトルからはそんな感じがビンビンに漂って入るものの、
見出してしまえばタイトルからウケる印象とまるで違う感覚だ。
タイトルでやや損をしていると言えるかもしれない。

言葉


引用元:©CHIROLU・ホビージャパン/白金の妖精姫を見守る会

主人公と魔人族の少女「ラティナ」は最初、言葉すら通じない。
種族が違えば言語体系が違う、なろう系では転移者すら
当たり前に言葉が通じるため忘れてしまっている要素だったが、
「言葉が通じない」というだけで新鮮だ。

人間族の言葉と魔人族の言葉、片言でしか通じないような関係性から
徐々に親しくなっていく。きちんとした「過程」を描いており、
そこに違和感やご都合主義がない。

片言ながらに徐々に人間の言葉を覚えていく「ラティナ」も可愛らしく、
彼女が愛らしいからこそ主人公や周りの人間が彼女を保護し、
大切にしようという気持ちにしっかりと見ている側も感情移入できる。
一言で言えばこの作品は幼女を愛でるアニメだ(笑)

2話の段階ですでに主人公は「親バカ」になっており、
ラティナを溺愛しすぎているくらいだ。
主人公以外のキャラクターたちも彼女の可愛さに魅了されていくが、
そんな彼らの気持ちが痛いほど分かってしまうがゆえに、微笑ましく、
彼らの溺愛具合がギャグにもなっている

徐々に彼女も言葉を覚え、流暢にしゃべるようになっていく。
それは主人公や他の人間たちとの関係性の深まりでもある。

溺愛する者たち


引用元:©CHIROLU・ホビージャパン/白金の妖精姫を見守る会

サブキャラでさえ彼女を見守り可愛く思えてしまう。それは視聴者も同じだ。
彼女の周りのキャラクターもいい人が多く、
一見強面なおじさんでさえ彼女に対して優しい。
彼女が下宿先のお店で働くさまや学校に通うさまが本当に微笑ましい。

溺愛してるがゆえに主人公の様子もだんだんおかしくなってくる。
冒険者なのに彼女を溺愛しすぎてるがゆえに冒険に行きたくないとダダをこね、
どんどんとそれが悪化していくさまは面白い。
彼女の可愛さ故に主人公が其の可愛さに狂っていく。
それに共感できてしまう可愛さが「ラティナ」というヒロインにはある。

本来ならそんなに活躍しなさそうなおじさんまで、
この作品では「ラティナ」というヒロインを守るために戦ってくれる。
他のなろうなら名前すら無いモブキャラのようなおじさんが、
本気で彼女を守ってくれる、優しさが溢れてるような世界観だ。

シリアス


引用元:©CHIROLU・ホビージャパン/白金の妖精姫を見守る会

だが、そんな優しさが溢れてるような世界ではあるものの悪意のあるものは居る。
彼女が魔神族であるがゆえに差別するもの、彼女が魔神族であるがゆえに狙うもの、
そういった「悪意」もきちんとある。
ただ優しいだけ、ただ幼女を愛でるだけの作品ではない。

きちんとした「悪意」も描くことで、ラティナがそれに立ち向かう。
ときには自分が魔人族であることを嫌悪し自らの角を折ろうとしたり、
魔人族であるがゆえに人間である主人公との寿命の差を知り苦しんだり、
彼女がきちんと「悪意」に触れ、嫌な事も知り、悩む。

そんな彼女の姿を見るのは心苦しい部分はあるものの、
きちんと彼女自身が考え、主人公や彼女の周りのキャラクターが助言し、
支えることで「ラティナ」という少女が自分の答えを見つけ成長していく。
1話前には自分の寿命の長さに悩んでいた少女が、その次の話では
自分の寿命の長さをきちんと受け入れ、今やりたいことをやろうとする。

優しいだけでなく、きちんと逃げずに悪意を描くからこそ
彼女の成長や変化に納得ができる。
そんな彼女の成長と変化に周囲のキャラも影響され微笑前敷く彼女を見守る。
それは視聴者も同じだ。

作画


引用元:©CHIROLU・ホビージャパン/白金の妖精姫を見守る会

ただ、作画に関しては怪しいシーンが多い。
キャラクターデザインの段階からいわゆる「溶けやすい」タイプのデザインであり、
ヒロインの「目の大きさ」はやや好みが分かれる部分だろう。
彼女の作画のクォリティはあまり落ちないものの、
その他のキャラとの作画は露骨に差がある。

ただ、この作品はヒロインである「ラティナ」の可愛さが重要だ。
それだけに他のキャラの作画をある程度犠牲にして最低限のクォリティを
保とうとしているのは見ていて感じ取れる。
毎話毎話のアイキャッチではラティナが毎回違うコスプレをしており、
こういった部分からも彼女の可愛さだけは維持したいという制作の気持ちは伝わる

戦闘シーンなどもあるものの、あまり動かない。
もっとも、この作品の戦闘シーンはそこまで重要でないからこそ気にならず、
重要なところはきちんと力を入れて重要でない部分は力を抜くということが
きちんとできている。本来はもっとクォリティの高い作画を望みたいところだが、
限られた予算やスケージュールの中で頑張っているのは伝わる作画だ。

露骨にヒロインとモブキャラの作画に差が出る作品は
見ていて逆に清々しさすら感じる。

中盤以降


引用元:©CHIROLU・ホビージャパン/白金の妖精姫を見守る会

本当はタイトルにもあるように「魔王を倒す」という流れになるのかもしれないが、
1クールではそこまで行かない。
日常と主人公の故郷への旅だったりと淡々としているストーリーが多く、
序盤の4話や5話までは見ごたえのあるストーリーが合ったが、
中盤以降はやや物足りないものがある。

世界観的にも魔王は何人も居るらしく、
ラティナ自身も何か隠された設定がありそうだが1クールでは
「匂わせる」くらいしかストーリーが進んでいない。

あくまでも1クール、1期ではラティナの成長と主人公との関係性を深める
ストーリーを描き、その他の部分は匂わせるくらいに留める
ストーリー構成になっており、2期がアレば魔王関連やラティナの
秘密に迫る話になっていくんだろうなと感じる部分はある。

1クールでストーリーもある程度まとまっており、
主人公とヒロインの出会いと変化、ヒロインであるラティナの可愛さを楽しむ日常と
割り切ったストーリー構成になっている。

成長したことでヒロインが主人公を恋の相手と意識しだすのも悪くなく
変に2期を期待させるストーリーではなく、もし2期がなくてもいいような
ある程度の余韻を残す最終話になっているのも悪くないストーリーだ。

総評:おじさんは幼女を愛でたい生き物


引用元:©CHIROLU・ホビージャパン/白金の妖精姫を見守る会

全体的に見て「なろう」という偏見で見ると見事に裏切られる作品だ。
異世界転生でも転移でもなく、俺つえーでもハーレムでもない。
ファンタジーの世界で人間族の主人公が幼い魔人族の少女をひろい、
「ラティナ」という少女が成長していくさまを主人公や他のキャラとともに
暖かく見守る、そんな作品だ。

「ラティナ」の可愛さは本当に素晴らしく、いわゆる萌えとは違う。
父性や母性を刺激されるような「子供」本来の可愛さと愛くるしさがあり、
そんな子供本来の可愛さにキャラクターたちも魅了される。
ときに魔人族への偏見や人間族との寿命の違いに悩んだり、
悪意に晒されることもあるものの、それがあるからこそよりヒロインに愛着が湧く。

ただ中盤以降のストーリーははっきりいって1話1話が「薄い」と感じてしまう。
序盤から中盤までしっかりとラティナの成長ストーリーがあったからこそ、
中盤以降も成長して入るもののどこか淡々として、
盛り上がりに欠けてしまう話が多いのはやや残念だ。

ある程度、作品の根幹に関わる魔王やラティナの秘密を匂わせるくらいに
収めるためにストーリー自体もこじんまりとしてしまった感じは否めない。
それでも最終話は、もし2期がなくても主人公と彼女の今後を
感じさせてくれるような余韻の残るものになっており、
1クール、ほっこりと癒やされて楽しめるアニメになっている。

主人公のラティナに対する溺愛ぶりはやや過剰であり、
そこの部分はやや好みが分かれる部分でもある。
露骨なヒロインとその他のキャラの作画の差など欠点もあり、
中盤以降の淡々としたストーリーは退屈に感じる部分もある。

露骨に2期を匂わせるようなストーリー構成にするのではなく、
1つの作品として1期だけでもある程度、
区切りをつけてまとめている部分は評価したい作品だった。

個人的な感想:難しい


引用元:©CHIROLU・ホビージャパン/白金の妖精姫を見守る会

非常に難しいストーリー校正だったのではないだろうか。
おそらく制作前の話し合いで「原作のどこまでやるのか」という話し合いが
合ったと思うが、多くの作品はもう少し盛り上がりを求めて
ストーリーを先に進めて2期に続くような1期にすることが多い。

しかし、この作品はあえて魔王やラティナの秘密を匂わせる程度に抑えることで
「1期だけ」で1つの作品としてのある程度のまとまりを作っている。
中途半端に進めて魔王を出したり、ラティナの秘密を中途半端に明かすのではなく、
匂わせる程度に収める判断はなかなか難しいところだろう。

あくまで1期のストーリーは「ラティナ」の可愛さを楽しむためのものであり、
魔王やラティナの秘密は邪魔でしか無い。だからこそ匂わせる程度に収めている。
最終話に最終シーンに新キャラを出すような「なろう」原作アニメがある中で、
この作品は非常に割り切った作りになっていた。

この「割り切った作り」に不満を感じる方も居るだろう。
割り切った作りにしたがゆえに中盤以降やや薄味になってしまってる欠点もある。
ただ、この割り切った作りに制作側の努力を感じてしまう、そんな作品だった。

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