評価 ★★☆☆☆(22点) 全1話
あらすじ バズることを夢見る双子の女子高生ひまりとひなな。ダンスを手始めに、伸びそうなネタをかたっぱしから撮影していく中で、妙な“異変”に気づいた時から、おかしな世界へ足を踏み入れていくーー。引用- Wikipedia
AIはアニメ業界を救うのか
本作品はAIを活用したオリジナルTVアニメ作品。
監督は中野紅、制作はKaKa Technology Studio
AIイラスト
AIイラストに関しては様々な討論が現在、行われており、
著作権の問題などAIがイラストを生成するうえでの
学習したデータの問題や、生成したイラストが
既存のアニメやイラストレーターが描いたものと
告示したものができあがったりと様々な問題を抱えている。
一部の企業などもAIによるイラストをポスターなどに使い、
それに対してかなり批判が集まることもあった。
そういったピーキーな状況の中でこの作品は
「アニメ」の制作過程でAIを使用することを公言している。
わずか1話完結のアニメではあるものの、
約25分ほどのアニメーションをAIの補助を持って
完成されているという点において先駆者ではあり、
その挑戦心は評価したいところだが、
個人的にはAIイラストに関してはまだ使うのは早いと思っている。
これが10年や20年経てばまた状況が変わってくるかもしれないが、
今は討論の真っ只中であり、ピーキーな問題だ。
それをわかったうえであえてAIを使ったことを公言した
アニメを作るというのは面白い試みではあるものの、
受け入れられるかどうかは別だ
tiktok
ひなひまはいわゆるTiktokerとして活動しているJKという設定だ。
彼女たちが動画を撮影するシーンから物語が始まるのだが、
異様なほどにぬるぬるなアニメーションだ。
これはそもそもが人間の動きだからだろう、
いわゆるモーションキャプチャーで取り込み、
それをAIによってアニメーションに変換しており、
Twitter上でもよくでてくる映像だ。
たしかにヌルヌルと動いて入るもののロトスコープなどを使った
アニメ等と同じく独特の違和感があり、
ヌルヌルではあるものの普通のアニメとはなにか違う、
その違和感を強烈に感じてしまう。
喋っている最中の口の動きなども、
かなり大きく開いていたりと違和感があったり、
妙にバックショットや引きの画が多いのも気になるところだ。
ちょっとした動きでさえ「カク!カク!」っと
フレームレートが落ちるような感じになる。
引きの画やバックショットだとそれをごまかせるのだが、
バストアップなどになると、その違和感とカクツキがかなり目立つ。
激しく動くとその違和感は余計に強まり、
中盤くらいで走るシーンが有るのだが、そのあたりの
違和感は大爆発している。
違和感
そんな彼女たちの世界はどこかおかしい。
ねじれ曲がった時計や背景でその異様さが際立つ。
街を出たことがない双子、双子居ないhほぼ誰も居ない町並み、
ノイズが走る野良猫。
そして双子の姉がなぜか二人存在する。
世界は徐々におかしくなっていく。
止まったままの飛行機、巨大な犬神家のようなオブジェ、
大量の信号、棒人間のような町の人々。空の浮かぶ家。
謎の街に迷い込んだ双子は世界の謎、真相をつきとめる。
この世界は偽物の世界だ、仮想現実で過去の世界を再現された世界であり、
双子はいわゆるAIだ、AIを活用したアニメでAIや仮想現実を
描くというのはある種の皮肉だ。
二人目の姉は現実世界の姉であり、
現実世界に「妹」はおそらく死んでしまっているかなにかなのだろう。
アニメーションのカクツキや違和感なども
仮想現実の世界だと思えば飲み込める部分もあり、
AIを使ったことを逆手に取ったうまい世界観ではある。
面白いかどうかは別だが
総評:世にも奇妙なAI物語
全体的に見て思ったよりは違和感は少ない。
あくまでも補助的にAIを使用しているからこそではあるものの、
補助的ではあるものカクカクとした感じや
ロトスコープ的な動きの違和感は凄まじいものの、
技術の進歩は感じるところだ。
ただ、それがアニメーションとして面白いかは別だ。
AIだからこその表現や面白さがあるわけでもなく、
AIを使うことによりアニメ制作の負担が軽くなるのかもしれないが、
その結果、アニメーションとしての面白みは失われるかもしれない。
あくまで部分的に補助的に使うならありなのかもしれない。
作画崩壊してとんでもない絵になるのがいいのか、
それともAIを使って多少の違和感のある絵がいいのか。
究極の選択を迫られるアニメ制作会社は今後現れることだろう。
そういった意味でのお試し、試金石的な意味合いとして
この作品の挑戦心は評価したいところだが、
ストーリー的にはそこまで面白みはなく、
世にも奇妙なAI物語という感じでシンプルだ。
AIを使ったアニメである種のAIアニメを描く。
そんな皮肉が効いており、AIの違和感を
仮想現実だからと言い訳することで説得力を持たせているが、
それで多くの人がこの作品をみたくなる魅力があるかどうかは別だ。
今後もこういったAIを使用したアニメは生まれると思うが、
いつかシンギュラリティがおこるのかどうか…
見守りたいところだ。
個人的な感想:AIの是非
AIイラストを企業が使うとほぼ燃える現状の中で
よく放送したなーという感覚だが、
夜中にこっそり放送したためか、Twitterでも
まったくもって話題になっていなかった(苦笑)
配信が始まればもう少し議論がおこるかもしれないが、
その議論のほうが、アニメ自体よりも面白いかもしれない(笑)
思ったよりつまらないとかひどいという感じではなく、
なんというか無だ。なんの感情もわきあらがないのは果たして
脚本のせいなのかAIを使っているからなのか…
今後、AI使用アニメが生まれればその判断もできるかもしれない。