評価 ☆☆☆☆☆(3点) 全12話
あらすじ 体格に恵まれずラグビーを諦めた過去のある遥馬理久は、進学先の蒼嵐高校で理想的なプレーをする狩矢光を目撃し、思わず的確なアドバイスを出す引用- Wikipedia
ラグビーワールドカップの真っ只中で描かれた大惨事
本作品はTVアニメオリジナル作品。
高校ラグビーを題材にしており、
製作には公益財団法人 日本ラグビーフットボール協会や
元ラグビー日本代表の大畑大介が携わっている。
監督は佐々木勅嘉、制作はGONZO
躍動感0
引用元:©蒼嵐高校ラグビー部
見出して感じるのは躍動感0のラグビー模様だ。
子供時代の主人公が兄とともにラグビーをするさまが描かれるところから始まるが、
何の迫力もなく淡々とした動きでモブ相手に動き回るさまは
まったくもって面白さを感じない。
1話冒頭から作画に不安を感じ、キャラクターデザインにもやる気を感じない。
1話冒頭から「このアニメは大丈夫なのだろうか?」という不安に襲われる。
直後に流れるOP中の作画も違和感のある構図が非情に多く、
似たような動きではし回るキャラクターたちは
首から下だけコピペしたような作画だ。おそらくコピペである。
そもそもラグビーをやるにしては体格が細すぎる。
ほとんどのキャラクターが細マッチョであり、サッカー選手のような体型だ。
日本ラグビーフットボール協会が関わってるのにこんな線の細いキャラデザで
いいのだろうか?
せめてもう少し暗い肩幅を広くすればいいのにとすら感じてしまうほどガリガリだ。
がたがたな作画
引用元:©蒼嵐高校ラグビー部
1話から目も当てられないほど作画の質が低い。
「止め絵」の多様、意味不明なエフェクトの多様、ガクガクのカメラワーク、
彼らが動けば動くほどに作画が崩れていき、
制作側がなるべく動かさずにアニメを作っているのが手にとるようにわかる。
なるべく作画枚数を少なく、なるべくそれをごまかす演出をしている。
この作品は紛れもなくスポーツアニメだ。
「動き」こそ重要なジャンルのアニメなのにその動きがまるで動かない。
動いてるふうに見せかけるためのカメラワークは「酔う」ほどにガックガクで、
古いパソコンで最新のゲームをしているかのようなFPSの低さだ。
やる気がないなら作るのを辞めてしまえと苛立ってしまうほど、
見てる最中の作画の悪さがひどい。
ずっと同じような背景でずっと同じようなシーンが続くことも珍しくない。
1話でモブキャラのチームメイトが主人公に向かい
「ラグビーは俺たちガタイのいいやつがやるもんだ」と煽ってくるのだが、
彼のガタイも主人公と殆ど変わらないレベルだ。
何を持ってガタイがいいとしてるのか作画ではまるで判断できないほど
作画が悪い。
カメラをアップにすることでごまかしてるシーンも多く、
カメラが引いた瞬間にキャラの顔すら描かれていないこともある。
こんな作画レベルで試合なんて描けるわけがない。
典型的な主人公
引用元:©蒼嵐高校ラグビー部
この作品はスポーツアニメでありがちな
「過去にやっていたが今はやめた」タイプの主人公だ。
王道といえば聞こえは良いが、手垢まみれの設定でしか無く、
この作品だからこその特徴はまるでない。
彼いわくラグビーは「タクティクスを活かした」スポーツであるらしく、
2VS7でもタクティクス次第では勝てるらしい。
1話では主人公の実力を見せるためにもモブキャラ7人相手に
主人公ともうひとりだけで点を取り、主人公の実力を見せつける。
しかし、主人公がやったことは仲間のもとにボールを蹴ったことくらいだ。
あとは仲間の身体能力がすごかったからこそ2vS7でも勝てただけのことであり、
タクティクスもくそもない。
7人のモブたちも仲間の身体能力の凄さが分かっているはずなのだが、
あっさりと点を許してしまう。バカしか居ない。
主人公を天才に魅せるために周囲のキャラをバカにする。
ありがちな天才キャラの描写の手法は安易かつ何の面白みもない。
主人公も二言目には「タクティクス」を連呼するタクティクス厨であり、
驚くほどのウザサだ。
最終話までに主人公が何回、タクティクスと言ったかカウントしたくなるレベルだ。
これでタクティクスとやらが通じるなら良いが、通じなことのほうが多い。
通じないのにタクティクスを連呼する主人公は無様でしかない。
しかも主人公がラグビーを辞めた理由は「体格」らしい。
先程も書いたが主人公の体格とほかのキャラとの体格差が
作画ではまるで描写できてないのに、
「体格」が原因でラグビーを辞めました!と言われても違和感しかない。
せめて主人公の身長をもう少し小さく描くか、
他のキャラよりもガタイを小さく描くべきだろう。この作品はそれすらできてない。
これで20を過ぎた大学生くらいならまだわかるが、彼は高校1年生だ。
作画では一切、その体格はわからないものの、まだ背が伸びる可能性もあり
鍛えれば体格だって大きくなるだろう。
まだ成長期段階で諦めてしまってる彼が意味不明でしかない。
試合
引用元:©蒼嵐高校ラグビー部
4話になるとようやく他校との試合が描かれる。だが、これがひどい。
作画のレベルがあまりにも低く、作画の枚数が低すぎるがゆえに
選手は一切動かないのにボールだけが動いてるようなシーンが多すぎる。
止め絵とカメラワーク、エフェクトだけで「動いてる」風に見せかけてるだけで
まるで動いてない、ちょっと豪華な紙芝居レベルだ。
主人公の「タクティクス(笑)」もただの奇襲だったり、
虚を突いたものが多く、そんなタクティクスを利用して勝っても
試合がまるで盛り上がらない。
キャラクターは殆ど動かず、ボールだけがよく動く、そんな試合模様だ。
キャラクターが動いても立ち向かう相手が棒立ちしてたり、
タックルやトライのシーンばかりをダイジェストチックに移したりと、
ワンパターンな試合描写ばかりで面白みがまるで無い。
せっかく強敵と呼べるキャラが出てきても止め絵の連続で
「どうすごいのか」がまるでわからない。
試合模様の全体が映されることもなく、今何対何すら出ないことも多いせいで
「今はどういう状況なのか」すら把握しきれない。
そもそも名前もオボていないような敵キャラが多くメインキャラ以外はモブ選手だ。
しかも正式な試合でも彼らは「背番号」すらつけていない。
番号でキャラを把握することもできず、キャラの顔も似てるため判別しにくい。
「試合を魅せる」のではなく「試合をしている」シーンを見せることに必死だ。
そもそも制作陣はラグビーの知識やルールが分かってるのだろうか?
何度もタックルやトライのシーンばかりで、
たった一人に8人位でタックルする姿や敵がまるで「ゴールキーパー」のように
立ちふさがってる姿は意味がわからない。
本当に日本ラグビーフットボール協会が関わっているのだろうか?
疑問しかない。ちなみに高校ラグビーは「ヘッドギア」と「マウスピース」の
着用が義務付けられてるようだがヘッドギアはもちろん、
マウスピースをつけてるようにも見えない。
ストーリー
引用元:©蒼嵐高校ラグビー部
ストーリー自体は王道だ、1度は辞めたラグビーを再びやりだし、
因縁のある兄に勝つために、チームを強くするために主人公は
タクティクスを使いチームの司令塔としてをチームを指導していく。
ちなみに監督の存在は一切触れられない、居ないのだろうか(苦笑)
他校と戦ったり、合宿したり、やってることは普通の青春スポーツアニメだ。
しかし合宿という普通のスポーツアニメなら1話以上使う話で
なぜかAパートしか使わずに驚くほどあっさり終わったり、
何の脈絡も宅大会が始まってレギュラーメンバーがあっさり決まったりと
展開が早い。
しかしレギュラーメンバー15名のうち7名は知らない人だ。
つまりモブである(苦笑)
たしかにこの人数のチームメンバーを1クールで掘り下げるのは無理がある、
しかしながらレギュラーメンバーのうち半分がモブというのは大問題だ。
ただ調べた所、ラグビーは通常は15人で1チームだが
「セブンズ」というルールもあり7人で1チームで行う場合もあるようだ。
アニメではこの「セブンズ」を採用すべきだっただろう、
レギュラーメンバーのうち半分が知らない人のスポーツアニメなど前代未聞だ。
試合中にはメインキャラ以外は殆ど映らず、
モブキャラたちはどこで何してるのかすらわからない。
存在感が薄いがゆえにモブだが、もう少しラグビーらしい揉みくちゃ感が
みたいのにそれをまるで見せてくれない。
終盤
引用元:©蒼嵐高校ラグビー部
終盤の作画はよりひどくなる、アップはよりアップに止め絵はより止め絵に、
試合展開もダイジェストで一気に進み、1試合描写しただけで準決勝だ(苦笑)
とんでもないスピードで話が進んでいる。
それならばまだいいが、8話などラグビーの描写よりも
チェスのコマが出てるシーンのほうが長い。もはや意味がわからない。
ぽっと出の敵キャラを掘り下げるのに必死で肝心のラグビーを忘れており、
掘り下げたところでどうでもいい感じが強い。
肝心の試合模様も「タクティクス」とやらはどこいった?と思うほどに
戦略性のかけらもなく、何がどうなってるかわからない試合をひたすら見せられる
結局最後は一気に時系列が進んで世界大会に進出してる。
あまりにもぶっ飛んだストーリー展開に苦虫を噛み潰したような顔で
この作品を見終わってしまった
総評:きちんとラグビーを描いてください
引用元:©蒼嵐高校ラグビー部
全体的に見て震えるほどの駄作だ。
ラグビーアニメでありながら作画の枚数が少なく、
その作画枚数の少なさと予算の少なさをごまかすための演出はあまりにもひどい。
止め絵の連続、アップばかり多用するカメラワーク、棒立ち、カット、
ありとあらゆる手法で作画の枚数を削る試合シーンはまるで面白みがない。
そのせいで肝心の試合が「なにがどうなってるのかわからない」という
致命的な描写になってしまっている、
ラグビーのアニメだ、ラグビーをしっかり描かないでどうするんだろうか。
そんなことよりイケメンなキャラたちの顔のクォリティを保つのに必死だ。
ストーリー自体はスポーツ者の王道だ、言い換えればよくある話でしかない。
キャラクターも「どこかで見たことのある」キャラ設定のキャラでしか無く、
この作品だからこその魅力あふれるキャラクターは皆無だ。
メインキャラクターすらろくに掘り下げられず、敵チームのキャラも掘り下げられず
味方のチームの半分は名前も知らないモブキャラと作品としてガタガタだ。
ツッコミ所も多い。
特に高校ラグビーのはずなのにマウスピースやヘッドギアをつけていないのは
日本ラグビーフットボール協会や元ラグビー選手が関わってるのに
これでいいと思ったのだろうか?
同じラグビーアニメである「ALL OUT!!」はきちんとヘッドギアをつけてるだけに
余計にこの作品のガバガバ感が際立ってしまっている。
主人公も主人公で「ガタイ」のせいでラグビーを辞めたはずなのに、
その「ガタイ」がキャラデザと作画のせいで他のキャラと対して変わらず、
タクティクスを連呼する割には頭脳戦らしい頭脳戦は見せてくれない。
精神面の問題や、不意をついたりと、どこがタクティスなんだろうか。
ぶっちゃけていってしまえば、これがラグビーではなくサッカーでも
同じようなストーリー展開ができてしまう。
あえて「ラグビー」という題材をしたからには、
ラグビーだからこそのストーリー展開や面白さに期待したいが、
そういうものがない。
肝心のラグビーの面白さや魅力が一切伝わらないラグビーアニメ、
もはや本末転倒な作品だった。
個人的な感想:タクティィィス
引用元:©蒼嵐高校ラグビー部
本当にタクティクスタクティクスうるさい作品だった。
おそらく来週ぐらいにはキャラの名前はすっかり忘れ、
タクティクスと作画の酷さ以外覚えていない作品だろう。
それほどまでにひどかった。
メイン部分のストーリーはそこまで悪くないだけに、
きちんとした尺と予算をかけて描けば面白い作品になった可能性はあったが、
1話から作画も崩れまくりだったため、最初からやる気がなかったのだろう。
おそらくはラグビーワールドカップに合わせたアニメ作品だったのわかるが、
ラグビーワールドカップがあれだけ盛り上がってる中で
水を差すような作品に仕上げてはいけない。
日本ラグビーフットボール協会や元ラグビー選手の方は
本当にこの出来栄えで良かったのだろうか?
作画の悪さはともかく、せめて「ヘッドギア」くらいつけさせるべきだろう。
制作のGONZOも1度は潰れかけたアニメ制作会社なのに
こんな会社の名前を汚すような作品を作って恥ずかしくないのだろうか?
去年は相当、制作元請けが増えていたが、スケジュール的に限界だったのだろうか?
2000年から続くアニメ制作会社として恥じない作品作りをしていただきたい所だ。
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