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全員無能「ターミネーター0」レビュー

1.0
SF
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評価 ★☆☆☆☆(14点) 全8話

『ターミネーター 0』冒頭6分間を先行公開 – Netflix

あらすじ 文明が崩壊した未来の世界から、時空を超えて1997年に送り込まれたひとりの戦士。引用- Wikipedia

全員無能

本作品はNetflixオリジナル作品。
制作はProduction I.G。

渋い

1話冒頭からかなり渋さを感じさせる。
実写映画ではおなじみのターミネーターが
女性を闇夜の中で襲っている。
いくら中で撃とうが鋼の肉体には意味をなさず、
ショットガンでも貫くことはできない。

私達が初めて見た「ターミネーター」というロボットに対する
無機質な恐怖心のようなものを呼び覚ましてくれるような感覚だ。
Production I.Gらしい乾いた作画はこの渋い雰囲気にあっており、
激しいアクションをサラっと描きつつも、スローを入れつつ、
メリハリのあるシーンに仕上げている。

ターミネーターからの追撃をなんとかさけ、
エイコは「スカイネット」から情報を奪取するというところから
物語が始まる。

日本

今作の舞台は日本の東京だ。
審判の日が起こる前の1997年を舞台にしたターミネーターときくと
ワクワクする人も多いはずなのだが、
メインキャラクターは「黒人」だ(苦笑)

エイコ、エイタ、ヒロやミサキなど日本人の名前なのに
見た目が一切日本人には見えないというのはかなり違和感がある。
ターミネーターが狙っているのはエイタの父である
「マルコム・リー」という科学者だ。
エイタはハーフなことはわかるものの、かなりポリコレ臭を感じる

1997年という舞台なのにすでにロボットはかなり
一般的に普及しているようで、
ただのおもちゃ屋の店員もロボットだったりする。
1997年という舞台なのにここまでロボットが普及している世界観は
かなり違和感が強い。

「マルコム・リー」は科学者であり、
自らが作り上げたAIと対話をしており、
なかなか話が進まない。

「審判の日」を知っているマルコムリー、
彼はそんな審判の日をさけるために「ココロ」という
AIと対話をし続ける。地味だ(苦笑)

そんな地味なシーンからようやくターミネーターが
未来からやってくる。この導入だけに1話30分もかけており、
かなり冗長なテンポだ。
2話の冒頭ではスカイネットの企みを止めるためにエイコも
未来からやってくる。

人類とAI

一方で科学者のおじさんはずっとAIと対話をしている。
彼が作り上げたココロはスカイネットに対抗しうるものだ、
しかし、もしかしたらココロもまたスカイネットと同じように
人類の敵になるかもしれないという懸念がある。
だからこそ、ココロという名のAIと対話をしている。

この地球にとってみれば人類は有害な存在だ。
戦争をし、人類同士で争いあう。
それならば人類は必要ないのではないか。
本当に人類を救う勝ちがあるのかココロは答えを求めている。

そういうストーリーを描きたいのは分かるものの、
だらだとした会話劇を描いたかと思えば、
科学者のおじさんの子どもたちが勝手に家から抜け出して、
キャットタウンという場所に向かってしまい、
その道中でターミネーターに狙われる

淡々とした会話劇はひどくつまらなく、
いざターミネーターが現れても警察官や一般人は
一瞬で容赦なく殺すのに、科学者のおじさんはなかなか殺されない(苦笑)
Netflix作品らしい容赦ないゴア表現も魅力ではあるものの、
どうにもだらーっとしたテンポの悪さと展開の歯がゆさが凄まじい。

キャラクターも微妙だ。
全員イライラしているか、うじうじしている。
科学者のおじさんは時間がない中で子どもたちがいなくなり、
AIと会話しないといけないのにターミネーターに襲われイライラ、
子どもたちも自分のしたいことができずイライラ。
未来からきた女戦士も日本に銃がなくてイライラだ。

お手伝いのお姉さんもずっとうじうじしている。テンポの悪さとキャラのイライラとウジウジ、
どうでもいいAIとの会話劇がひたすら繰り返され、
アクションシーンが申し訳程度にあるにすぎない。

武器

日本を舞台にしたのは失敗だったのでは?と
感じるのがアクションシーンだ。
ターミネーターではシュワちゃんがショットガンを
ぶっぱなしていたりしたが、日本ではショットガンなど手に入らない。

未来からきた女戦士は現地調達で色々と武器を作ったり、
小さな銃をもっていたりするものの、
ターミネーターに対しては火力不足だ。
だからこそアクションシーンで見応えが生まれない。

ターミネーターもターミネーターで警察の武器を奪ったりするものの、
損傷した片腕にはなぜか「ボウガン」を埋め込んでいる(笑)
パスパスとした気の抜けた銃撃音による銃撃戦を繰り広げながら、
ときおりボウガンをうち、徒手格闘を繰り広げる。
戦闘シーンがあまりに盛り上がらない。

ターミネーターは科学者の子どもたちを狙ってくるのだが、
この追いかけっ子が長い上にグダグダだ。
未来からきた戦士は別にターミネーターというわけでもない、
ろくな武器ももってない女戦士と子供相手に
今作のターミネーターは子供の一人も捕まえられない。

序盤であっさりと人間を握り潰していたりしたのに、
メインキャラを目の前にするとターミネーターの
攻撃力が一気に落ちるのも違和感しか無い。

途中でターミネーターが白バイ隊員に化けたりと
過去作のオマージュのようなものもあるものの、
ずーっとダラダラとした逃走劇が続いてしまう。
しまいにはターミネーターだけでなく警察にまで追われる。

一方で科学者のおじさんはAIとの会話を続けている。
話が進んでいるようで進んでいない。
そんな中で中盤で家政婦の「ミサキ」が
公的な記録が残ってないことが明らかになる。
彼女は実は「アンドロイド」だ。

衝撃的な展開!といいたいところだが、心底どうでもいい事実だ。
科学者のおじさんはおじさんで
「時間が必要だ!対話が必要だ!
人類が害悪かどうかは今は見せられない!」とAIと
どうでもいい押し問答を繰り広げている。

そんなグダグダな展開をしている間にスカイネットが起動し、
核ミサイルを撃ってしまう。
グダグダと押し問答を繰り広げていたのに科学者のおじさんは
あっさりとココロをネットにつなげてしまう。

1話から4話までのグダグダ会話は何だったのかと言いたくなる。

審判の日

スカイネットによる審判の日は起きてしまうものの、
ココロはスカイネットとの対話により「時間」を手に入れる。
人類は果たして害悪な存在なのか。
審判の日を迎えてココロがAIを支配し、ロボットたちが人類に牙を剥く。
だが、「ココロ」もまた人類を救うべきか悩んでいる。

終盤になってもずっと押し問答を繰り返し、
追いかけっ子を繰り返している。
もういい加減にしろと思うほどぐるぐるぐると、
回し車のごとく同じようなことをしている。

この作品における時間軸、タイムパラドックスの概念は面白い。
スカイネットが過去にターミネーターを送っても、
それは今まで存在しなかった世界、並行世界が新たに生まれるだけだ。
決して今が変わるわけではない。

過去を変えたところで今が変わるわけではない。
それをスカイネットもわかっていなかった。
スカイネットもまた無能だ(苦笑)

この作品には無能しか居ない、
ターゲットも殺せず、3人いる子供もなかなか
捕まえられないターミネーター、
AIとずっと似たような会話を繰り広げている科学者のおじさん、
特に役に立たない未来からきた女戦士、
自分勝手に行動し続ける子どもたち。

もう全員が間違い続けてイライラウジウジしている。
好感の持てるキャラクターというのがいない。
魅力のあるキャラクターが居ないからこそ、
物語が余計に空虚に感じる。

未来人だらけ

ターミネーターも当然、未来からやってきている。
女戦士もそうだ。更に科学者のおじさんも
未来からやってきていることが終盤判明する(苦笑)
もう未来人だらけだ。

遠い未来、スカイネットに支配される世界からやってきたおじさんは
「ミサキ」を作り上げ、ココロを作り上げた。
スカイネットがいくら過去にターミネーターをおくり、
救世主を殺しても救世主は何人も現れ、結局未来は変わらない。

最終話はかなり複雑なエピソードになっており、
遠い未来で子供の一人が過去にターミネーターをおくっていたり、
未来からきた科学者のおじさんのお母さんが発覚したり、
敵だったターミネーターが仲間になったりともうぐちゃぐちゃだ。

ラストはここまでグダグダと描いておいて
消化不良な展開で「続編」を匂わせて終わっている(苦笑)

総評:出来損ないの攻殻機動隊

全体的に見て色々とひどい作品だ。
とくに物語のテンポに関してはかなりひどいもので、
グダグダグダグダと会話劇と同じような逃走劇を繰り返しまくり、
話が序盤から中盤まで一切動かない。

そうかとおもえば終盤で「実はこうでした!」と
色々と種明かししてくれるものの、種明かしたところで
それが面白さにはならず「ふぅーん」くらいの感想で終わってしまう。

ターミネーターという作品が抱えているタイムパラドックスなどを
この作品なりに解釈している部分は面白いのだが、
その結果、スカイネットがあまりにも無能だ。
作中でも行っていたが過去をかえるために
ターミネーターを1体送っても滝の流れに1滴の水をたらす意味しかない。

スカイネットだけでなく、この作品のキャラクターたちは無能だ。
ターミネーターもろくにミッションをこなせず、
女戦士もろくに戦えず、科学者のおじさんも未来からやってきたのに
恋してしまったせいでミッションに失敗、
子どもたちは好き勝手にやっている。

あまりにキャラクターたちが無能すぎてイライラしてしまう。
戦闘シーンも地味なシーンが多く、印象に残るシーンはない。
日本を舞台にしたことで武器が手に入らず、
終盤で色々と武器を手に入れているものの、序盤から中盤までは
地味すぎる戦闘シーンが続いてしまう。

特にひどいのは科学者のおじさんとAIの押し問答だ。
人類は害悪なのか、救うべき価値があるのか。
この答えがない押し問答を永遠と繰り返している。
それが長い上につまらない。

攻殻機動隊的な哲学的な会話を描きたかったのかもしれないが、
そこにセンスを感じず、グダグダとした会話劇と
グダグダとした逃走劇を繰り広げてしまっている。

全8話ではなく全4話くらいにして
余計なシーンを排除すれば違ったかもしれない。
子供も3人もいらなかっただろう。
日本を舞台にした意味もあまり感じず、
日本なのにハーフや黒人ばかりなのも疑問に残るところだ。

終盤の消化不良も凄まじく、続編を匂わせているが果たして…

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  1. SF3D より:

    ネトフリで一気観してそのもやもやを解消したくてこのレビューを読みました。
    適格なレビューでみんな同じことを感じているのを知ってすこしスッキリしました。
    ありがとう。最近のビッグタイトル焼き直しの連続大爆死のひどさに、もはやあきらめを超えて恐怖を感じています、なぜこんなことが起こってしまうのか?なぜだれも止めないのか?謎だらけです。業界で何十年も働いてきた、アニメもsfも好きで、原作を愛してもいるであろうプロが何百人も集まって、なんでこういうものが出来てしまうのでしょうね?この物語素人が読んでも、おもしろくなってないどころか、物語にすらなっていない、AIでももうすこし面白いのだしてきそうだよね…IGも神山さんもどうしちゃったんだ?もはや残り少ない日本を代表する制作会社なんだから、日本のアニメ文化継承のためにもがんばってほしいなー