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異世界で織田信長みつけました「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる シーズン1」レビュー

転生貴族、鑑定スキルで成り上がる ファンタジー
©未来人A・講談社/鑑定スキルで成り上がる製作委員会
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評価 ★★★☆☆(52点) 全12話

『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』PV第1弾

あらすじ 転生して異世界の弱小貴族に生まれたアルス・ローベントは、特別な武力や知力はないが、他人の才能を見抜く”鑑定スキル”を所持していた。引用- Wikipedia

異世界で織田信長みつけました

原作は小説家になろうで連載されている小説作品。
監督は加戸誉夫、制作はstudio MOTHER。
分割2クールで制作されており、本レビューは1クール目のレビューとなる。

転生

1話からありがちな転生が描かれる。
主人公は社畜なサラリーマンである日、突然死したかとおもえば
異世界の貴族に転生している。
なろう系作品にはありがちな導入であり、特に新鮮味はない。

前世の記憶をもちつつ、ゲームの世界で小さな土地の貴族の息子として
生まれた主人公によるモノローグな説明は淡々としている。
多くのなろう作品と違うのは主人公にチートな能力といえるものがない。
魔法などは存在しているものの、レベルやステータスがマックスで
どんな魔法でも使えるというわけでもない。

彼にあるのは「鑑定スキル」のみだ。
この世界では知られていないスキルらしく、
人を見て鑑定スキルを使えば、その人すら気づいていない才能を
見出すことができる。

その才能は「貴族」という人の上に立ち、
人を使う立場にあるからこそ、そのスキルは有用だ。
領主として人を見抜く力を求められる。
いつかは領地を次ぐ主人公の成り上がりが描かれていく。

彼の領地は決して豊かな土地でもなく、戦争の可能性もある。
未来は明るくない、だからこそ、彼は優秀な人材を探している。
そんな中で出会うのが迫害されている少年だ。

信長だぁあああ!

迫害されている人種の少年をスキルで見て主人公はいう

「信長だぁあああ!織田信長に匹敵する能力値だ!」

あまりのバカっぽいセリフにややドン引きしてしまうが、
ある種、このセリフにこの作品でやりたいことが
詰まっていると言ってもいい。
信長の野望だ、いわゆるSLGといわれるジャンルのゲームだが、

プレイヤーはゲームの中の武将の能力値がみえて、
仲間にしたい武将の友好度をあげて、仲間にすることができる。
そして自らの勢力を伸ばし、天下統一を目指すゲームだ。

この作品もまさにそれだ。
本来なら信長の野望やSLGをプレイする
プレイヤーに見える各キャラのステータスを鑑定スキルというものにおきかえ、
貴族として勢力を伸ばし世界統一を目指す。

メタネタかつ、ややバカっぽいセリフではあるものの、
そんな台詞があるからこそ、この作品の方向性が見えてくる。
戦争が起きるかもしれない状況で主人公は
幼いながらに人材を集めていく。

人材集め

序盤はやや似たようなパターンが目立つ。
主人公が最初に出会うのは人種的に迫害されている少年で、
次に出会うのは奴隷の少女、その次には猟師の息子だ。
そんな少年や少女と出会い、彼らの事情を聞き、
好感度をあげて仲間にする。

一人ひとりのキャラクターを
丁寧に描き掘り下げている感じはあるものの、
淡々とした人材集めが描かれている印象だ。

主人公の成長もきちんと描かれる。
彼に特別な才能と呼べるものは転生スキルくらいしかない。
もともとはアラサーな社畜だったもののこの世界は元いた世界とはまるで違う。
奴隷や貴族や貧富の差、そういったものの知識はあっても、
彼は貴族の子供という恵まれた立場だ。
人材集めるなかで彼は世界を、社会を学んでいく。

なろう系な作品ではあるものの主人公がチートなスキルを持っていないため
イキりのようなものもなく、丁寧なストーリー展開は
シンプルに見やすい。

この世界で生まれ、貴族の息子として生まれたからには
領民には希望と幸せを持って暮らしてもらいたい。
だからこそ、彼は人材を求める。
序盤できちんと方向性、やりたいことが見える作品だ。

彼が見つけた人材のお陰で領地は少しだけ安定し、
彼の家族も増えていき、彼も成長していき、許婚なども現れる。
ただ分割2クールというストーリー構成の都合もあってか、
かなりストーリーの展開は遅い。

前世での記憶もあり、特別なスキルもある。
そのおかげで主人公は彼を慕う多くの人に囲まれている。
だが、それでも彼は未熟だ。

前世は平和な日本で暮らしていた、だからこそ、
彼はこの異世界の厳しい乱世の世を身にしみて実感していない。
父が病に伏せて戦場にいけなくなり、自らが戦場に赴こうとしても、
彼は誰かの命を奪うということを1度もしていない。

前世で平和な日本で暮らしていたからこその覚悟の甘さだ。
1度も戦場に出ていない彼は覚悟が足りない。
そんな覚悟を父に見透かされてしまう。

病に伏せる父は最後の命の灯火を彼に魅せてくれる。
領主として、貴族として、なによりも父として。
命を持って彼は息子に説いてくれる。

父ほど強くはない、だが、もう父はいない。
中盤で改めて彼は貴族として、異世界の民として、
領主としての覚悟を決める。

彼だけではなく、迫害され奴隷の立場になっていた
主人公に救われた者たちも同じだ。
領主である父は主人公が連れてきたものたちを
自分の子のようにいたわったくれた。

父のような存在の死を主人公も仲間も受け止め、前に進む。
丁寧かつ積み重ねるようなストーリー構成が
中盤で効果的に作用している。

領主

終盤になると父から領主の座をついだ主人公が
領主として活躍していく。
ただ領主としては新人だ、別の領主との関係性や、
領主になり事情や戦況もも変わったからこそ人材も足りない。

そんな中で新たな歴戦の人材を見つけ出し、
彼女に教えを請い、模擬戦をしたりして1クールが終わる。
最終話らしくない最終話であり、
このあたりは分割2クールという都合上仕方ない部分があるものの、
もう少し盛り上がりどころが欲しかったところだ。

それでもいい意味でなろう系らしくない作品の作り方は
印象の残る作品だった。
2クール目も楽しみにしたいところだ。

総評:なろう版 信長の野望

全体的に見てやりたいことと描こうとしてることは分かりやすい作品だ。
いわゆるなろう系な異世界転生らしい導入はベタではあるものの、
主人公のチートな能力といえるのは、まるで信長の野望の
プレイヤーのごとく人材の才能を数値で見れることのみだ。

戦闘能力が高いわけでも知力が高いわけでもない。
あくまで特別なのは鑑定スキルのみで、
その鑑定スキルでやりたい放題チートの限りを尽くすわけではなく、
やれることは「人材の発掘」のみだ。

発掘した人材は確かにチートな能力を持っており、
一騎当千な戦士や魔法使い、軍師などがでてくるものの、
主人公がチートではないからこそ、
そんな彼らとの好感度を上げるイベントを丁寧に描きつつ、
ストーリーを描いている。

特に中盤の「父の死」は1クール目の最大の盛り上がりどころだ。
平和な前世から乱世の異世界にきた主人公には
覚悟が足りない、人の命を奪うのが当たり前の世界で、
彼や仲間が父の死から多くのことを学ぶ、
意味のある死の描き方は素晴らしいものがある。

ただ分割2クールというストーリー構成上、
1クール目はあくまで序章であり、
2クール目から戦争などが本格的に盛り上がる
ストーリーになっていく構成にしているのだろう。
だからこそ、ややテンポは悪い。

そのせいもあってか、90年代くらいのラノベアニメくらいの
テンポ感があり、逆に2クール目をみれば
1クール目で不満に感じていた部分も
スッキリする部分もあるかもしれない。

キャラクターも一人ひとり丁寧に描いて掘り下げており、
主人公に絶対服従かつ主人公に仇なす者は排除しようとする従者や、
ツンデレな魔法使い、ショタな軍師、ムチムチお姉さんな参謀と
いろいろな属性を持つキャラクターがバランスよく配置されている。

作画に関しては目を見張るすごい!と絶賛するほどではないが、
かといって作画崩壊していたりと悪いわけでもない、
安定したクォリティで1クール描いている。
2クール目からは戦闘シーンも多くなりそうなので
そのあたりのアニメーションの魅力も出てくることを期待したい

個人的な感想:なろうらしくない

こういう「小説家になろう」原作の作品で、
いかにもななろう要素を抜いた作品はたまにアニメ化されるものの、
やはり地味な部分はある。
チートなスキルで俺つえー!は賛否両論あるものの、
絵的な派手さやストーリーの起伏の激しさは生まれやすい。

この作品はかなり地味だ。
戦闘シーンと呼べるものもちらほらとあるものの、
基本的には会話劇であり、仲間を丁寧に増やしている。

信長の野望をベースにしつつ異世界転生しつつ、
チートなスキルもちょこっと足してというような作品であり、
好みが分かれる部分はあるかもしれないが、
「なろう系」っぽいタイトルから想像できるような内容とは
少し違う印象だ。

2クール目でどういうストーリーやアニメーションを見せてくれるのか、
気になるところだ

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