評価 ★★☆☆☆(27点) 全12話
あらすじ 時は2242 年―「新月の涙」と呼ばれる未曾有の大災禍により地下深くへと逃れた人類は 地下都市国家「アメイジア」の崩壊という事件を経て、再び地上で生きる希望を持ち歩みはじめていた。引用- Wikipedia
棚からぼた餅な主人公
本作品はSYNDUALITY Noirの第二クールとして放送された。
監督、制作ともに第1クールから変更はない。
ミステル
第1クールの最終話でヒロインであるノワールが、
なぜか肌が真っ黒に染まり、ミステルという人格に切り替わったところで
第1クールは終わっている。
ノワールは記憶を失ったメイガスであり、色々と謎が多いものの、
ボーイ・ミーツ・ガールな状況で主人公と出会い、
彼のメイガスとしてともに成長してきたのが第一クールだ。
第一クール目はキャラクターの紹介と基本的な設定の解説に
追われている感じが強く、メインとなるストーリーは
余り進んでいない感じがあった。
この第二クールでどんなストーリーが展開していくのか。
「ノワール」はミステルの「セーフモード」とミステルは言う。
ミステルにはかつて「パスカル」というマスターが居たものの、
セーフモードとなって記憶を失ったノワールという状態で
主人公に発見されている。
ミステルはマスターともう1度出会うために、
主人公はノワールと取り戻すために、
二人はこれまでの旅路を振り返っていく。
だが、ミステルのマスターはもう死亡していることが1話の段階で
明らかになり、あっさりとノワールの姿に戻る。
謎が謎を呼ぶ状態で、2クール目の1話は始まる。
イストワール
1クール目から主人公が探し求めていたのがイストワールだ。
主人公は本当の母を知らず、父と、そのメイガスを母とよんでいたものの、
イストワールの謎を追い求めた両親は子供の頃に亡くなり、
主人公はそんな夢をつぎ、どこにあるのかもわからない
イストワールを追い求めている。
そんな伝説の都、イストワールの場所を
ミステルが知っているところから物語が動き出す。
かなり急展開で唐突な感じも強いものの、
ようやくイストワールが「高度1万キロ」を超えた
空の彼方にあることが明らかになる。
だが、作中の人類の技術力では高度1万キロの壁を超えることはできない。
その壁を超えるために1クール目にも出てきた
「マリア」がロケットを開発するために動き出すが、
主人公はロケットに乗るためにも体を鍛える。
1クール目もそうだったが、主人公は基本的に受動的だ。
彼がロケットを作ったり、彼がイストワールの情報を見つけるわけでもない。
ヒロインたちが情報を持ってきて、ヒロインたちがロケットを作ってくれる。
1クール目からの欠点である主人公の魅力の無さは
2クール目でも余り変わっていない。主体性のない主人公だ。
そんな呑気な序盤、イストワールの情報を捜査する中で
「風俗待機仮面」と再開する(笑)
風俗待機仮面
彼の名前もようやく主人公に明かされる。
彼は「楽園の守護者」であるイデアールであり、
鍵であるノワール及びミステルを狙っている。
互いの道が交わるとき、互いの道の壁となり二人は決闘するしかない。
2クール目の序盤はロボットアニメなのにロボットが
全然出てこないうえに戦闘も殆どなかったが、
ようやく3話目にして戦闘シーンが描かれる。
無骨なデザインのコフィン同士の戦いは
それなりに盛り上がる部分はあるものの、そこに邪魔も入ってしまう。
どうやら風俗待機仮面は主人公の兄貴分であるトキオと
昔なにやらあったらしく顔見知りのようだが、
主人公は常に蚊帳の外だ。見ている側もだが。
消失
「ノワール」はもともとメイガスのバグのようなものだ。
本体はミステルであり、彼女のセーフモードとして彼女は存在する。
ミステルのデータの修復が終われば彼女は必要がなくなってしまう。
やりたいことはわかるがベタ中のベタだ。
AIの自我の目覚め、AIの消失や死など、
古今東西、様々な作品でこすり尽くされた要素でしかない。
そんな自我の目覚めやキャラの掘り下げと印象付けのために
1クール目から日常回が多かったものの、
それがメインとなるストーリーの進行を遅くしており、
それは2クール目でも変わらない。
キャラクター数も非常に多く、1クール目と同様に
別にいらないのでは?と感じるキャラも多く、
ロボット、AIの自我の目覚めと消失、イストワールやSF設定の数々と
要素も盛りだくさんすぎてゴチャゴチャしてしまっている。
1クール目はちょこちょこと戦闘シーンもあったが、
2クール目に入ると戦闘シーンが明らかに減り、
序盤だけで13話から16話までで1回しかない。
主人公自身も筋トレと風俗待機仮面と戦闘くらいしかしておらず、
あとは全て周囲のキャラがイストワールにいくための
お膳立てをしてくれている状況だ。
裏切り
ノワールの消失問題も、1つの体に2つの魂が入っていることが
問題らしく別の体に移せば問題ないという結論を
ゲーム版主人公から聞いた主人公は別の体を探しに行く。
イストワールに行く云々を放置して別のストーリーが展開してしまう。
主人公の兄貴分であるトキオも実は風俗待機仮面の元仲間であり、
楽園を守るイデアールだったことも明らかになり、
彼は「白仮面」として再登場する、色々とごちゃごちゃだ。
主人公のそばにいる歌姫もまたイデアールのものだ。
主人公の周りにはイデアールばかりだ(苦笑)
1クール目からシエルの裏切りは視聴者に示唆されているせいで、
彼女が2クール目の中盤で主人公を裏切っても
何の衝撃もない。見せ方がシンプルにヘタだ。
視聴者が知っている情報ですら主人公は知らない。
本当に何も知らない。なぜトキオがイデアールにいるのか、
シエルがどうして裏切るのか、
水曜どうでしょうの大泉洋ばりに主人公は何も知らない。
中盤でようやくいろいろな事実が主人公がいないのところで明らかになる。
イデアールはつくられた人間とメイガスで構成されている組織だ、
シエルのマスターはイデアールのボスであり命令に従っているだけだ。
イデアールのボスの目的はイストワールにたどり着き、
人類が支配する世界を取り戻すことだ。
そのために「メイガス」無き世界を作り出そうとしている。
この作品の世界が新月の涙という災害を引き起こした原因は
「気象衛星」の暴走であり、AIやコンピューターの暴走を
イデアールのボスは恐れているからこそ、メイガス無き世界を
作り出そうとしている。
本来、メイガスはメイガス三原則に従い、人類の良き隣人になり、
契約者と自らを成長させることがルールなはずなのだが、
裏切り者であるはずのシエル自身がマスターであるボスを
裏切ってしまいカナタを守ってしまう。
イデアールのボスの考えも間違ってはいないのかもしれないと
思わず感じてしまう。
そんな彼女はマスターの命令に背き、自らを犠牲にする。
すると同時に都合よくノワールのための体も手に入ってしまう(苦笑)
データ転送
シエルの体は空っぽだ。魂が存在しない。
だからこそそこに「ノワール」の魂をいれるかどうかの展開になる。
主人公がノワールのために新しい体を手に入れるのではなく、
別のヒロインが自己犠牲をすることでノワールの体が手に入る。
もしシエルが自己犠牲をしていなければノワールは助からない。
自己犠牲をし、シエルのボディが手に入ったからこそ
ノワールの新たなボディが手に入り、しかも、シエルのボディは
都合よくノワールの姿に変換される。
シエルの姿のまま魂だけはノワールならこの展開もまだ納得できたが、
いまいち飲み込みにくい展開だ。
結局、終盤になっても与えられるだけの主人公だ。
一応1クール目からのラブコメ要素として
主人公の幼馴染も居るのだが完全に空気だ。
その他にも金持ちキャラだったり、
クラウディアという1クール目では主人公のことを騙した
女性キャラも居るのだが空気だ。
このあたりは発売される予定のゲームとの兼ね合いもあるのかもしれないが、
いらないキャラがあまりに多い。
宇宙へ
終盤になるとロケットはおろか、ロケットを発射するための施設も
いつのまにかあっという間に完成している。
ちなみに主人公は何もしていない。流石である。
だが、そんなロケットがイデアールに狙われてしまう。
終盤でようやく盛り上がる戦闘シーンになる、
この作品の戦闘シーンのクォリティは作品全体で悪くないのだが、
その戦闘シーンに至るまでのストーリーが色々と突っ込みどころも多く、
そんなロボットを操縦するキャラの魅力も味方側より、
敵であるイデアールのほうがキャラ立ちしているため
盛り上がるようで盛り上がらない
そんな総決戦のさなかでラスボスも現れ、
あっさりとロケットを奪われてしまう、せっかく主人公以外が
一生懸命作ったのに(苦笑)
主人公がイストワールさえ目指さなければ、
イデアールも宇宙へ行く手段を持ち得なかったかもしれないだけに、
主人公のとにかくイストワールに行きたい!という気持ちが
状況をややこしくしている。
そもそも両親が行きたがってたから行きたいだけだ。
ヒロインを助けるためでもなければ、
イストワールにいかないと
地球がやばくなるわけでもない。
強いて言えばイストワールから来たノワールの秘密や
イストワールとはなにかというのが明らかになるくらいだが、
ノワール自身がそれを望んでいるわけでもない。
これでイデアールがすべてのメイガスの機能を停止するために
イストワールに行きたがってるのを主人公が止めるために
敵が作ったロケットを壊す!とかならわかるのだが、
行きたいのは主人公も同じであり、ロケットも主人公が
作ってるからこそ厄介だ。
イデアールもわざわざ奪うということは、
彼らにロケットを開発するための技術などがないことになる。色々と意味不明だ。
主人公がたまたまイストワールにいきたがってて、
いろいろな人が主人公に協力したからこそロケットが完成したのだが、
もし、主人公達がロケットを開発していなかったらどうしたのだろうか。
2機目
主人公たちはラスボスにロケットを奪われてしまったものの、
実はもう1機ロケットがある、驚きである。
イデアールが何年も活動していながら1機も開発できなかったものを
主人公の仲間たちは2機も作り上げてしまっている。
「我らイデアールの技術を持ってしても
常に移動するイストワールの位置は捉えられなかった」と
風俗待機仮面は言うのだが、イデアールの技術の凄さを
作中で全く感じない。
ちなみに幼馴染は地球においてきている。最後まで蚊帳の外だ。
カナタが求めたイストワールも地球の巨大なデータベースを搭載した
凄いAI付きの衛星というのが正体だ。
そんなイストワールをラスボスが利用したことで、
メイガス達が機能を停止してしまう。
メイガスというものに依存している地上の人類、
メイガスがなければロボット、ろくにコフィンすらも動かせない。
だが、ノワールだけは別だ。
AI嫌い!
ラスボスの目的はメイガスに頼らずに人類が人類の力だけで
生きることだ。どうしてそうなったのかが最終話で語られるのだが、
「メイガスが人の皮被ってるの気持ち悪い」という
ものすごいふわっとした考えのもとに動いていることが明らかになる。
そんな彼はイストワールに問いかける。
人類のみで地球を復興し、生きていくことが可能なのかと。
イストワールの答えはYESであるものの、同時に
メイガスが居ることで効率的に文明は復興していくと解答する。
どこか今SNS上で話題の「AI」の是非を問うような流れだ。
ちなみに最終局面で主人公がやることは「時間稼ぎ」だ(笑)
ノワールやミステルがいなければ彼には何もできない。
最終話には別れも在り、それなりに話もまとまっているように見えるが、
色々とゴチャゴチャしすぎている作品だった。
総評:2クール必要だったのか?
全体的に見て2クールで物語自体は完結しているものの、
ゴチャゴチャしまくりで、必要のない展開や
必要のないキャラクターがあまりにも多い。
1クール目の時点で空気だったキャラも多かったが、
2クール目になると更に空気になるキャラも多く、
特に1クール目ではヒロインの一人だった幼馴染は
2クール目では別に居なくてもいいキャラに成り下がっている。
肝心の主人公が蚊帳の外なことも多く、
イデアールという敵の組織のいざこざも、主人公が知らぬところで解決し、
彼がロケットに乗って宇宙にあるイストワールに行きたい!といえば、
色々なキャラが彼のためにロケットを必死で作ってくれる。
主人公が特に何もしていないというシーンがあまりにも多い。
主人公が知らぬ間に色々な出来事が起こり、
色々と勝手に解決してることも多く、それにラスボスも乗っかってくる。
そもそも主人公がイストワールに行きたいのは
両親が行こうとしていたからでそれ以上でもそれ以下でもない。
そもそも地球上にはエンダーズという存在も居て、
1クール目ではエンダーズとの戦闘シーンもあったのだが、
2クール目はエンダーズは完全に放置だ(苦笑)
エンダーズとはなんだったのだろうか…
どうでもいい日常シーンや不要なキャラや要素があまりにも多く、
いろいろな要素を削れば1クールで完結できたのでは?と思うほど
2クールという尺に物語を無理やり引き伸ばしてる感じが強い。
1クール目やキャラ紹介と世界観の掘り下げで終わっており、
2クール目でどうなるか期待していたが、
1クール目で出てきたキャラの半分くらいは不要なキャラになり、
世界観もエンダーズは完全放置であり、
新月の涙、青い雨の問題なども未解決だ。
よく思い返すと1クール目の1話と2クール目の最終話で
世界の状況はほぼ変わっていない。
メイガスを機能停止させようとしていた悪い奴らがいなくなりました
というくらいだ。
世界の問題自体は何も解決していない。
イストワールに行くことで
エンダーズの問題や雨の問題が解決する流れになるならわかるのだが、
そうはならないのがこの作品だ。
このあたりはゲームとの兼ね合いもあるのかもしれないが、
その縛りのせいで色々とゴチャゴチャしてる状態で
なんとなくハッピーエンドにしました感に強引にまとめ上げている、
そんな印象の残る作品だった。
個人的な感想:ゴリ押し
終盤は歌の要素もゴリ推している感じが強く、
個人的にライブシーンも長いと感じてしまった。
シエル関連の描写も色々と納得いかない部分もあり、
もう少し彼女についてもなんとかならなかったのだろうか。
一応この作品はメディアミックス、ゲームの販促として
作られているのはわかるが、未だにゲームは発売されない。
そもそも配信はディズニープラス限定で販促としての効果は
あったのだろうか?
1クール目の段階では話題にしている人も
私のXのタイムライン上では少しは見かけたが、
2クール目ではほぼ見かけず、私もすっかり見るのを忘れていたくらいだ。
ゲーム自体はCBTなどが行われたようだが、一体いつ発売になるのか…
DLCなどでアニメのキャラが出てくる!などの
コラボも行われるのかもしれないが、
ゲームのほうでエンダーズ問題などが解決することを期待したい。
と一瞬は思ったが、少し調べるとゲームは
アニメの時系列から20年前が舞台らしい。
エンダーズの問題が解決するところは見られなさそうだ(苦笑)
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