評価 ★★★★☆(75点) 全13話
あらすじ 引用- Wikipedia
国民的アニメ化現象
本作品はSPYFAMILYの2クール目。
1クール目から約三ヶ月の期間が空いて2クール目になった。
監督は古橋一浩、制作はWIT STUDIO、CloverWorks
偽りの家族
1クール目は丁寧にキャラクターを見せつつ、
嘘と偽りだらけの3人の「家族関係」を丁寧に描いていた。
スパイ、暗殺者、超能力者。
3人は3人共秘密があり、そんな秘密が互いにバレてしまえば
この関係性は一気に瓦解してしまう。
そんな綱渡りの状況の中で互いの利益のための家族関係から、
徐々に本当の家族関係を築いていく過程が微笑ましく、
特に「アーニャ」の子供らしい可愛らしさが、
1クール目の人気を爆発的なものにしたことを感じさせるものだった。
2クール目でもその関係性は変わらない。
スパイであることを隠しつつ、任務をこなそうとする「ロイド」、
暗殺者であることを隠しつつ徐々にロイドへの想いを見せる「ヨル」、
心が読めるがゆえに二人の正体には気づきつつも、
この「家族関係」を楽しんでいる「アーニャ」。
この3人の偽りで綱渡りの関係性の中にある微笑ましさがたまらず、
シーズン2の序盤でもそんな微笑ましさをしっかりと感じさせてくれる。
とくにコミカルな「表情」の描写は2期ではより感じる部分があり、
顔芸に近いメインキャラ達の感情を極端に表す表情の数々が、
より笑いに、よりキャラクターへの愛着を湧かせてくれる。
未来大変父死んで平和が終了
そんな偽りの家族にシーズン2で「犬」が加わる。
この犬はアーニャと同じように「超能力」をもち「未来」が見える。
しかし、犬であるがゆえにそれを誰かに伝えることはできない。
犬であるがゆえにうまくコミュニケーションも取れない。
だが、そんな能力を持つ犬とアーニャが手を組めば最強だ。
誰にも自らが見た未来を伝えることができなかった犬の心を、
「アーニャ」が見れば未来が見えて心が読める超能力者の爆誕だ(笑)
言葉が喋れない未来が見える犬と、心の読める子供。
この完全ではないコンビが微笑ましく、
微笑ましいながらも見える未来は「残酷」だ。
仮初の平和で成り立っている国が舞台だからこそ、
いつテロが起きて、いつ誰が犠牲になるかわからない。
偽りの家族関係を3人が築いているように、
この国自体も「偽り」という嘘の上で成り立っている。
そんな現状だからこそ「父が死ぬ未来」が見えてしまう。
最悪の未来を回避するために、子供のアーニャと犬が奮闘する。
ものすごいシリアスな状況にもかかわらず、
そのシリアスさを感じさせつつも「アーニャ」の
子供らしい可愛らしさが加わることでシリアスが重くなりすぎずに、
コメディタッチのシリアスなストーリーがたまらない。
シリアスな中にもギャグを忘れず、
キャラクターの魅力を感じさせるストーリー構成が素晴らしく、
これこそが「スパイファミリー」の魅力なのだと感じさせてくれる。
特に序盤の3話は連続したストーリーになっており、
それぞれのキャラの活躍を見せつつ、新キャラである犬を見せつつ、
まるで1本の映画を見たような起承転結のしっかりした
満足感を感じさせる序盤の3話だ。
日常コメディ
そんな序盤の3話を過ぎると「日常コメディ」要素がかなり強まる。
それぞれのキャラクターの日常、ときおりサブキャラをメインに据えながら
1話あたり2エピソード構成にすることで
テンポが生まれ、サクサクと1エピソード1エピソードが描かれていく。
ただ、その一方で「メイン」となるストーリーはほぼ進まない。
アーニャは父である「ロイド」のために学校で星を集めないといけない。
シーズン1の時点で星は1つゲットしたものの、
シーズン2の最終話の時点で星の数はそれ以来変わっていない。
シーズン1とシーズン2の序盤はメインキャラの掘り下げと
登場を描くため、このメインストーリーが進まないことは気にならないが、
シーズン2の中盤、そして終盤になっても星の数が変わらないというのは
かなり気になるところだ。星は全部で8つ集めないといけない。
8つ集めて特待生になるのがメインストーリーなのだが、
2クールもかけて星1つしかあつまっていないのが現状だ。
そういった部分はかなり気になるものの、おそらくこの作品は
「サザエさん化」しかけている。
メインストーリーが進むか進まないかはどうでもいい、
魅力的なキャラクターの日常生活がいつまでも見れればいい。
「国民的アニメ」にありがちな終わりのない日常コメディを
描こうとしているのだろう。
調べたところ、原作最新話でも星の数は変わっていない(苦笑)
星を集めずとも、アーニャの同級生である「ダミアン」と仲良くなれば、
ロイドの目的は達成させることができる。
つまりは「いつでも」メインストーリーを一気に進めて
話を終わりに進めることができるような状況だ。
いつでもできるからこそ、その前にメインキャラたちの
日常コメディをたっぷりと描いている。
メインキャラやサブキャラクター、
ときに新キャラを出しつつ日常を描き、
それぞれのキャラの魅力を感じることのできるストーリーは、
「メインストーリー」が進まないという部分は気になってしまうものの、
クスクスと笑いつつほっこりとできるストーリーになっている。
アクション
キャラクターの魅力があり、1話1話のストーリーが
しっかりしているからこそ、日常コメディが際立つ。
そんな日常コメディをWIT STUDIOとCloverWorksによる作画が後押しする。
日常コメディの中でのキャラクターの可愛らしさやコミカルな表情は
CloverWorksらしく、それぞれのキャラの魅力や
可愛らしさを最大限に後押ししつつ、
スパイや暗殺者としての日常の中でのアクションは
WITSTUDIOらしく、進撃の巨人のごとく盛り上げる(笑)
ただ「アーニャの忘れ物」を届けに行く。
それだけで面白くなるのがこの作品だ。
ヨルという母でありながら暗殺者な彼女が暗殺者だからこその
身体能力全開で、アーニャの学校へと届けに行く。
そんな日常のシーンを全開の作画で盛り上げてくれる。
非日常のシーンのアニメーションのクォリティも素晴らしい。
特に終盤の「テニス回」はテニスの王子様もびっくりな
異次元テニスを見せつけてくれる(笑)
サザエさんやちびまる子ちゃんのような
偉大なる惰性のある国民的アニメへと作品は変貌しているものの、
作画のクォリティだけは名作アニメだ。
このギャップがSPY×FAMILYという作品らしさにつながっている。
サブキャラクター
2クール目からは一気にキャラクターが増えるものの、
そのサブキャラクターたちの存在感がきちんとある。
特にロイドの同僚である「フィオナ・フロスト」のキャラクターの
インパクトは凄まじい。
彼女は「ロイド」のことが好きであり、
どうにかして「ヨル」の立場である妻の座を狙っている。
そんな思いをスパイだからこそのポーカーフェイスで隠しつつ、
モノローグでは「ロイドLOVE」全開の気持ちを爆発させており、
彼女の存在が「ヨル」にも妻としての焦りを産ませるものなっている。
1度だけしか登場しないようなサブキャラもいるものの、
多くのサブキャラがいろいろな立ち位置に存在し、
彼らを掘り下げることでこの作品の世界観にも深みが生まれている。
そんなサブキャラやメインキャラ同士の日常を積み重ねる。
積み重ねたからこそ、この日常を「失いたくない」と感じる。
偽りの家族にはいつか終わりが来るかもしれない。
それをわかっているからこそ彼らは今を噛みしめる。
本筋
最終話、少しだけ話が進む。
ロイドのターゲットである「デズモンド」、そんな彼とのファーストコンタクト。
緊張感のある状況ではあるのだが、同時に描かれているのは、
デズモンドの息子である「ダミアン」の物語でもある。
デズモンドという政治家を親に持つ彼は子供であり、
父親への複雑な思いがある。
大人同士の腹のさぐりあい、国と国の存亡を巡る争いが起こりかねない状況の中で、
その間には「子供」がいる。
そんな彼の物語も描きつつ、
メインストーリーが少しだけ進んだところで2クール目は終わってしまう。
総評:偉大なる惰性への始まり
全体的にみて、1クール目に比べると物語のインパクトや
期待感はやや薄まった印象があるものの、
2クール目から日常コメディ要素を強め、
1話2エピソード構成にしたことでテンポ感も上がっている。
サブキャラクターも多く登場し彼らの日常に絡んでくるが、
サブキャラクターがしっかりとキャラ立ちしているおかげで、
1エピソードごとの盛り上がりや面白さも生まれており、
そんなサブキャラとの絡みがあるからこそメインキャラ同士の
関係性も深まっているような2クール目だ。
気になるところといえば本筋の部分がほとんど進んでいない点だ。
いつでも話を進められる部分があるがゆえに、
この作品は日常を積み重ねられるだけ積み重ねようとしているのだろう。
そういった意味では「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」的な
国民的日常アニメのテイストも盛り込んでおり、偉大なる惰性を感じさせてくれる。
作画のクォリティも一切おちずに、
時にシリアスに、時にコメディに、時に日常を。
場面によって作画の雰囲気もぐっと変わるのは
WITSTUDIOとCloverWorksの共同制作によるたまものだ。
2期もすでに決定されており、映画化も決定している。
このクォリティでサザエさんやちびまる子ちゃんのように
長年続くアニメになることを期待したい。
もっとも本筋が一切進まないこともそれはそれで問題だが(苦笑)
個人的な感想:アーニャかわいい
2クール目も安定した面白さのある作品だった。
安定したクォリティと面白さを保ちながら、
サブキャラをうまく出しつつ飽きさせずに、
この作品だからこその緊張感とコメディのバランスが
本筋を進めずともダレず、飽きさせない面白さになっている。
2期、そして映画はどうなるのだろうか?
映画は特に問題がなさそうだが、2期もこのまま2クール目と
同じような感じでほぼ本筋が進まない感じだと、
「ダレ」や「飽き」が流石に生まれてきそうだが果たして…
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