評価 63点 全13話
あらすじ できたばかりの小さな芸能事務所「315プロダクション」。そこにスカウトされて集まってきた男性アイドルたち。引用- Wikipedia
アラサーだってアイドルです!?
原作はモバゲーで配信中のソーシャルゲーム。
監督は原田孝宏、黒木美幸、制作はA-1 Pictures
アラサー
画像引用元:アイドルマスター SideM 1話より
© BNEI/PROJECT SideM
この作品は基本的にメインでは女性アイドルを扱ってきた
アイドルマスターというコンテンツの男性アイドルバージョンだ。
アイドルマスターとしては特殊な要素がもう1つある。
彼らの多くは決して最初から「アイドル」を目指していたわけではない。
「職」があった(笑)
1話で描かれる「天道 輝」は弁護士だ。
酒を飲んで目を覚ますと目の前には「アイドルになる」契約書があり、
それにサインをしてしまっている。ある意味で強制的かつ詐欺とも言える手法だ。
しかし酔っているとは言え自らの意思で彼は契約書を作り、
契約書にサインをしてしまっている。
「28歳」の元弁護士が誰かを笑顔にするためにアイドルをやる。彼だけではない。
「26歳」の元外科医、「24歳」の元パイロット候補生。
彼らが反発し合いながらも1つのユニットとしてまとまっていくさまは微笑ましく、
序盤の主軸となる「DRAMATIC STARS」ができるまでの物語を
1話できちんと描いている。
理由あって
画像引用元:アイドルマスター SideM 2話より
© BNEI/PROJECT SideM
事務所に所属する彼らは「理由があって」アイドルになっている。
同じ高校に通うユニットなどもいるものの
元教師、元バイト仲間と前職のあるキャラクターが多く、王子もいる(笑)
前職があり、大人だからこそ彼らはある程度、精神的に成長している。
だからこそシリアスも重くなりきらない。
大人だからこそ相手に敬意を払い、大人として接している。
ぶつかりあうことはあるが、それが喧嘩になったりシリアスになったりはしない。
どこかまだ青臭さの残るキャラクターはいるものの、
そんな青臭いキャラクターが居るおかげでどこかスポ根アニメのような
さわやかさがある。
話の中で前職の経験が活かされることもあり、
そんな前職の経験が描かれることがキャラクターの掘り下げにもつながっている。
そして「理由」という名の過去がある。
トラウマ
画像引用元:アイドルマスター SideM 3話より
© BNEI/PROJECT SideM
20代後半、なかには30代のキャラクターも居る。
彼らにはそれぞれ職業があり「理由があって」アイドルになっている。
あるキャラは「失敗」したことがトラウマになり、
パイロットで居られなくなった。
そんな失敗があり理由があり違う道という名のアイドルになっている。
そんな失敗やトラウマがアイドルになった瞬間になかったことになるわけじゃない。
本番の直前に、ふとした瞬間にそんなトラウマや失敗が蘇る。
それがキャラクターごとの「ドラマ」を生み出しており、
そんな失敗やトラウマを支えるのは同じユニットの仲間だ。
時には熱く、時には厳しい言葉だって投げかける。
そんな言葉がストレートに彼に突き刺さる。それが彼を奮い立たさせる。
熱いストーリー展開だ。青春とは少し違う、
大人の男同士の友情と絆を感じさせるストーリーがじんわりと染み渡る。
そんなストーリーから綺麗にLIVEシーンに繋がるからこそ
「アイドル」アニメとしての面白さをしっかりと感じさせてくれる。
深くは語らない
画像引用元:アイドルマスター SideM 5話より
© BNEI/PROJECT SideM
ただ1クールと言う尺がゆえに理由の部分があっさりしているキャラも居る。
シンプルにお金のためだったり、楽しそうという軽い理由だったり。
何やら深い理由を匂わせているキャラクターが居たりするものの、
尺の都合でがっつりと掘り下げきれていないキャラクターが居るのは残念だ。
しかし、その反面でがっつりと掘り下げないからこそ重くなりすぎず
1話1話しっかりとドラマはありつつもシリアスにはなりすぎず、
大人だからこそ変にこじらせたり悩みすぎたりすることもなく、
仲間に敬意を払い、それぞれが前向きにアイドルになっていくさまは
スッキリとした面白さがありる。
本来は2クールくらいかけてしっかりと
描いてほしいというもどかしさはあるものの、
1クール尺だからこその見やすさと、1クール尺の中でも
1つ1つのユニットをきちんと見せようとしていることは伝わる。
ただ、もう一歩深く掘り下げてほしい所まで掘り下げてくれない感じはあり、
このあたりはもっと詳しくしたければ原作で!というような作りになっており、
1クールという尺の中である程度、割り切った作りになっている
High×Joker
画像引用元:アイドルマスター SideM 7話より
© BNEI/PROJECT SideM
ある意味でこの作品において異色とも言えるのがHigh×Jokerだ。
彼らは高校生だ。中退しているわけでもなく、
他のキャラのように前職があるわけじゃない。
まだ高校生な彼らのエピソードはまっすぐな青春模様だ。
夢と希望と若々しさに満ち溢れる彼らは輝いている。
他のユニットのキャラクターと違い過去やトラウマが描かれるわけではない、
しかし、そんな彼らの若い「今」が描かれるからこそ、
彼らが若者として存在することがいい対比になっている。
他のユニットが下手したら哀愁さえ漂わせてるのに対し、
眩しいまでの青春模様を見せてくれる。
Jupiter
画像引用元:アイドルマスター SideM 8話より
© BNEI/PROJECT SideM
彼らは紆余曲折あったユニットだ。
そんな彼らが315プロに所属し、多くの新人アイドルたちの
憧れの「先輩」という立場で今作では描かれている。
しかし、彼らにとってはある意味で始めてできた仲間だ。
彼らが大人で男性アイドルだからこそ「飲み会」の描写も多く、
男同士の飲み会、腹を割った話、酒が入ってるからこその熱い話が
より関係性とキャラ描写を深めてくれる。
8話ではアイドルマスター伝統の合宿が描かれるが、
そんな合宿で楽しそうにしているJupiterのメンバーと彼らの日常の描写、
そして仲間たちと「全体曲」を練習する姿は本当に楽しそうだ。
彼らだけでなく「みんな」でやれることの喜び、
彼らのこれまでを見てきたために、そんな彼らの喜びにうるっとしてしまう。
先輩ではあるものの、後輩が歳上なことも多い。
そんな関係性だからこそ「仲間」として仲良くしてるシーンが微笑ましい。
そして9話での彼らの物語。互いのことを語り、これまでの自分たちを振り返る。
アイドルマスターで765プロのライバルポジションだった彼らが、
自分たちがもっと輝くために、自分たちが315プロで輝けると信じで、
プロデューサーを信頼したからこそ彼らは315プロに入った。
「輝きの向こう側へ」
彼らの目指す先に涙を流さない人は居ないだろう。
トップアイドルになるために、もっと輝くために。
仲間とのライブ
画像引用元:アイドルマスター SideM 13話より
© BNEI/PROJECT SideM
1クールできちんとユニットと掘り下げ関係性を掘り下げ、
315プロという事務所全体での仲間としての描写を終盤で描いている。
自身の目標のために無理をし、あせり、我を通してしまうものも居る。
だが、そこを支えるのも仲間だ。
終盤には少しシリアスな展開になるものの、
そんな展開があったからこそより仲間に信頼を寄せることができる。
そして最終話、ライブだ。
プロデューサーがひとりひとりの名前を呼び、
それぞれのユニットで披露される曲、
それまでライブシーンがなかったユニットのライブシーンをきちんと描き、
全体曲につなげる。
彼らが円陣を組み「315」と叫ぶ姿、プロデューサーへの信頼を感じる描写、
そこからの全体曲への流れは王道のアイドルアニメのすばらしさを感じさせる。
最終話に一人一人に台詞があり、一人一人の輝きをきちんと描き、
1つ1つのユニットの輝きが、315プロの大きな輝きへと繋がる。
まちがいなく彼らはアイドルだ。そんな物語が1クールで描かれている。
総評:最高にでっかい1番星
画像引用元:アイドルマスター SideM 13話より
© BNEI/PROJECT SideM
全体的に見て非常に丁寧かつキャラ愛にあふれている作品だ。
1クールという尺の都合上、ややバックボーンが掘り下げ不足のキャラはいるものの
深く掘り下げきらないからこそシリアスとして重くなりすぎず、
1クール全体として熱く爽やかさなすっきりと一本筋の通ったストーリーが
描かれている。
理由があって大人な彼らがアイドルに転身し、アイドルとして努力し、
1つ1つのユニットとしてまとまり、アイドルになっていく。
前職の特徴を盛り込んだキャラクターとユニットの特徴がしっかりと分かれており
20名近いメインキャラクターの印象が見てる側にきちんと付く。
物語として綺麗すぎるくらいに綺麗に描かれており、
もう一歩掘り下げてほしいというもどかしさは感じるものの、
深く知りたければ原作を。という割り切った作りになっており、
やや物足りなさを感じる部分はあるものの
全体的に綺麗にまとまっている作品だった。
個人的な感想:パッション
画像引用元:アイドルマスター SideM 9話より
© BNEI/PROJECT SideM
個人的にはやはりジュピターの物語がさりまくってしまった。
彼らの笑顔や彼らが互いを語るシーン、仲間とともに輝きの向こう側を
目指すに至るストーリーはアイドルマスターを見てきたからこそのものだ。
2クールでガッツリ見たい部分もあるが、
1クールだからこそのスッキリ感はある作品だ。
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