コメディ

荒唐無稽でシュールな鹿アニメ「しかのこのこのここしたんたん」レビュー

3.0
しかのこのこのここしたんたん コメディ
©おしおしお・講談社/日野南高校シカ部
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評価 ★★★☆☆(57点) 全12話

TVアニメ「しかのこのこのここしたんたん」ノンクレジットオープニング映像『シカ色デイズ』

あらすじ 都立日野南高校に通う女子高生、虎視虎子。ある日の登校中、彼女は顔に冷たいものが当たるのを感じた。ふと上を見ると、そこには鼻水をたらし、ツノが電線に引っかかって身動きが取れなくなっている女の子が――!?引用- Wikipedia

荒唐無稽でシュールな鹿アニメ

原作はマガジンポケットで連載中の漫画作品。
監督は太田雅彦、制作はWIT STUDIO

メタ

1話冒頭から様子がおかしい。
メインキャラの一人がおしとやかに歩きながら登校する、
そんな登校風景ではあるものの、
急に「おはようございます、視聴者の皆さん」と
第四の壁をあっさり越えてくる。

この作品はなにかがおかしい、そんな予兆を感じていると
大量の実写の鹿が街にあふれかえっている。
異様な光景だ、アニメ絵のキャラクターと
実写の鹿が同じカメラの中に収まってるのが異質さを強調している。

「虎視 虎子」というメインキャラは
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花といいたくなるような
お嬢様だが、実は元ヤンキーだ。
そんな過去と本来の自分を隠し高校デビューしている。

だが、そんな彼女の前に電柱にぶら下がっている
少女が現れるところから物語が始まる。

鹿

鹿の子である「鹿乃子 のこ」にあっさりと、
その生まれ持っての野生の本能か、
「虎視 虎子」はヤンキーであることが
バレてしまうえにクラスメイトとして転校してくる。

登校中に出会った少女が転校してくるという
ベタな展開ではあるものの、自身が鹿であることを隠さず
堂々と角を見せつけながら、なおかつ教室を破壊しながら
現れるもののクラスメイトは平然とそれを受け入れている。

この作品はいわゆるギャグアニメだ、
だからこそではないが異様にパロネタも多い。
1話の時点でコナン君やはじめちゃんなどの名前も出しまくる上に、
「深夜アニメでよかった」などのメタネタも飛び出す。

下ネタも当然のようにあり、
「虎視 虎子」が処女かどうかなどの
やや生々しい下ネタも飛び出していくる。
1話からかなりクセがあり、どぎつい作品だ。

パロネタの数々、シュールなネタの数々、
メタネタや下ネタの数々を怒涛の勢いで叩き込んでくる。
ギャグに関しては人によって好みが大きく分かれるものの、
この作品はそんな好み以前にクセが強すぎる。

唐突に現れる鹿の子だったり、実写の鹿だったり、
どう反応して良いやら悩むようなシーンやネタも多い。
「虎視 虎子」のヤンキーツッコミが冴え渡っているからこそ、
ギャグとして成立している部分もあるが、
彼女ですらツッコミを忘れるほどのシュールなボケが多い。

取り外し可能な角や、笑えない量の血を吹き出すシーンも多く、
そんなツッコミ役が戸惑うレベルのボケが飛び出す中で、
「シカ部」が設立される。
もはや1話からついていけない(笑)

シカ部

シカ部自体の存在もかなり謎なのだが、
そもそも「鹿乃子 のこ」の存在もかなり謎だ。
鹿せんべいが大好きで、角が生えているが角は取り外せる。
そんな彼女の生態に迫りたいところだが、
それ以上にクセの強いキャラが出てくる。

「虎視 虎子」のことが大好きなシスコンな妹は
ヤンデレサイコパスじみており、そんな彼女が現れると
「虎視 虎子」をめぐってのバトルが開かれる。

毎話毎話、シュールかつ唐突な展開が繰り広げられており、
方向性もわからなければ掴みどころもない。
「ポプテピピック」と「キルミーベイベー」を
あわせて2で割ったようなシュールさとやりたい放題な
ストーリーは強烈に好みが分かれる内容だ。

しかも3話になると、あっさりと進級して3年制となる(笑)
元ヤンキーの少女が鹿の子と出会ってシカ部を設立しただけで、
特に何もストーリーが進んでいるわけでもないのに進級だ。
サザエさん時空ではないことに驚きつつ、
この内容で卒業まで描くのかと驚愕してしまう。

ただ、終盤ではサザエさん時空になる
あまりにも自由だ。

わちゃわちゃ

序盤からキャラクターの追加が多い。
2話以降、ほぼ毎話のように新キャラが出てきて、
そんな新キャラと「虎視 虎子」と「鹿乃子 のこ」の
二人の主人公が絡むことで話が生まれている。

裏を返せば早い段階でネタ切れしている。
ギャグアニメの場合は新キャラを増やすことで
話を作る作品も少なくないのだが、
この作品はそれが起こるのが早い。

くせが強すぎる新キャラがでることで、
くせの強いストーリーが展開していくものの、
くせの強すぎる新キャラのせいで
「鹿乃子 のこ」という本作品の主軸となるキャラの影すら
薄くなってる印象だ。

「虎視 虎子」という元ヤンキーではあるものの生徒会長を
務める彼女が「元ヤンキー」とばれないように、
新キャラが出てきても悪戦苦闘、四苦八苦しつつ、
「鹿乃子 のこ」などにも振り回されつつ物語が展開していく

WITSTUDIOの作画能力を遺憾なくはっきした
ギャグシーンの数々、鹿をあえて実写にしつつ、
ときに劇画調に、ときにコミカルに、ときに限界作画になりと、
目まぐるしくタッチを変えカットを挟みながら
勢いよく展開している。

終盤

この作品は勢いが全てだ。勢いがなければつまらない。
その勢いを絶やさないように、無理矢理背中を押されながら
車で引きずり回されるようなアニメだ。

ストーリー構成も狂気じみている、
短いエピソードを1話の中に詰め込んでいるが、
6話に限っていえば「18エピソード」もつめこんでいる。
これを狂気と言わずシてなんと言えばいいのか(苦笑)

中盤になると新キャラの投入は落ち着き、内容で責めてくる。
パリコレならぬシカコレに出ようとしたり、
YouTubeで生配信をしたり、喫茶店に訪れたり、
人生ゲームならぬシカ生ゲームをしたり。
毎話、手を変え品を変え、この作品だからこその
シチュエーションコメディを展開している感じだ。

終盤になるとシカの宿敵である「マタギ」との勝負が描かれる(笑)
パロディも世界観もやりたい放題であり、
荒唐無稽さが終盤になればなるほど強まっていく。
そんな荒唐無稽さ極まるのが最終話だ。

せんとくん

最終話で急に「せんとくん」が出てくる(笑)
シカといえば奈良、奈良といえばせんとくんだ。
シカというものを扱っているこの作品だからこそ、
向き合わなければならない存在とも言える。

最終話ではシカ系ゆるキャラ養成機関
「シカの穴」が刺客を放ってくる、もうこの時点で
ツッコミどころ満載だが、北海道のキュンちゃん、
長崎県のちかまるくんがやってきて勝負をすることになる。

その流れで最後の刺客として「せんとくん」が出てくる。
せんとくんのインパクトは凄まじい、リアルなせんとくんは
そのインパクトから大人気?になったが、
アニメでもその異質さは健在だ。

そんなせんとくんとのバトルで終わる(笑)
最後の最後までシュールさと荒唐無稽さのみで
突っ走った作品だった。

総評:せんとくんは卑怯だろ

全体的に観て、OPがアニメの放送前からバズったことで
話題になったものの、そんなOPに引き寄せられてアニメ本編を見ると
とんでもない荒唐無稽かつシュールな内容で
度肝を抜かれた人も多いはずだ。

はっきりいって万人受けする作品ではない。
鹿と人間のハイブリットな女の子が転校してくるという
設定だけで意味がわからないのだが、そんな基本設定よりも
やりたい放題なストーリーを詰め込みまくりながら1クール描いている。

序盤はメインキャラとサブキャラを続々と登場させながら、
ギャグアニメらしいクセの強いキャラとのストーリーで掴みつつ、
中盤からはキャラを追加せずにシチュエーションを変えることで
ギャグを成立させている。

虎視虎子のヤンキーツッコミは常に冴え渡り、
鹿乃子 のこのシュールなボケに突き刺さり、
笑いにつながっているものの、話によっては当たり外れもあり、
そもそもこのギャグセンスが受け入れないという人もいるはずだ。
ギャグに関しては本当に千差万別の好みがあるだけにそこは仕方ない。

ただ、そこを踏まえてもあまりにも荒唐無稽かつシュールな内容は
「ポプテピピック」などを彷彿とさせる部分があり、
最終話の「せんとくん」の登場はとんでもない角度から
打ち込まれるような感覚になるほどの衝撃だ。

好みはあるだろうが、まだ観てない人は
1話をみたあとに最終話を観てほしい。
この作品のシュールさ、荒唐無稽さが最終話には詰まっていた。

個人的な感想:割と好きだが…

なんだかんだであまり大きな不満もなく最終話までみて、
割と好きな作品だったなと振り返ることはできるのだが、
この作品、非常に疲れる(苦笑)

私のように1クール一気見スタイルだと、
疲労感をかなり感じてしまう作品だった。
1話はいい意味でインパクトが有り、OPの印象も残る。
中盤はややマンネリ感というか疲労感を感じるものの、
最終話のせんとくんに持っていかれた作品だった。

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