評価 ☆☆☆☆☆(7点) 全12話
あらすじ 歴代最高の外皮【9999】の数値を持つルードは、勇者パーティーの盾役として迷宮攻略に挑んでいた。それはどんな願いも叶えるとされる秘宝を見つけ、最愛の妹の病気を治すため――。引用- Wikipedia
体力9999作画1話5
原作は小説家になろうで連載中の小説作品。
監督は雨宮ひとみ、制作はSTUDIO POLON
タンク
この作品はなろう系ではあるものの、異世界転移や異世界転生な作品ではない。
ファンタジーな世界でのファンタジーな物語が描かれており、
主人公は「タンク」を担当する冒険者であり、
妹の病気を治すためにダンジョンに挑んでいる。
1話冒頭からゲーム的な世界観の描写が目立つ作品だ。
タンクという役割自体もそうだが、この作品には「外皮」という概念がある。
簡単に言えばシールド値のようなものだ。
この世界の住人は誰しももってるもので外皮の数値が0にならない限りは
怪我さえしない。
そんな世界で主人公は「9999」という体力を持っている。
この文章だけ見ると意味がわからないだろう。
外皮の説明をしているのに急に体力という言葉がでてくる、
かなりややこしいが、外皮=体力だ。
言葉が統一されておらず、そもそものタイトルの時点で外皮を
体力と言っていたりと、バラバラなためなれるまで混乱してしまう。
そんな世界で主人公の外皮は歴代最高の「9999」という数値を持っている。
もはや中学生が考えたような数字だ。
いかにもなゲーム的な世界だが、ゲームの中というわけでもない。
それなのに彼らが挑戦している迷宮はパーティーの人数制限まである。
色々と「いかにも」な設定が並び、
主人公は冒頭で勇者パーティーに「役立たず」と認定されてしまう。
彼は自分が攻撃を受けていないのに、なぜか外皮が減るという
現象に悩まされている。
タンクとしては優秀で、タンクには不可欠な外皮の数値も優秀だが、
その謎の現象ゆえに勇者に使えないと言われてしまう。
いわゆる追放系だ。
追放するまえに色々と検証すればいいのにしない。
主人公自身も自身が持つスキルの効果を把握しきれていない。
勇者パーティーを追放され、故郷に帰る最中で、
彼は偶然、ホムンクルの少女と出会い助けるというところから
物語が動き出す。
作画
1話の時点から作画のクォリティが悪い。
戦闘シーンは多いものの、安っぽい演出と安っぽい作画で、
ペラペラで動きの面白さなどまるでない戦闘シーンが
ひたすらに展開される。
作画崩壊こそしないものの、戦闘シーンのやる気の無さはすごく、
アニメーションといっていいのかどうかすら怪しいほど
止め絵を動いている風に見せているだけだ。
メインキャラの女の子の可愛さを感じるシーンだけは
しっかりしているものの、それ以外はペラペラだ。
戦闘シーンになると思い出したかのように
現在の外皮のポイントが出るのもゲームっぽさ全開であり、
そのせいで画面の安っぽさも増している。
展開自体もペラペラだ
なろう系のお約束である主人公が奴隷の少女と都合よく出会い、
都合よく助けたかと思いきや、彼女が都合よく
「鑑定」の魔法を持っていることが明らかになる。
鑑定はこの世界では珍しいスキルらしく、
奴隷のヒロインくらいしか居ないほど珍しいようで、
そんなスキルのお陰で主人公が持つスキルの謎が明かされる。
彼は仲間だと認識した人物が受けた攻撃を身代わりで受ける
スキルをもっていたことが明らかになる。
なぜ勝手に外皮が減ってしまったのかという原因が
ここで明らかになるのだが、こんなスキルくらい
ちょっと検証すればわかりそうなものでしかない。
仲間が攻撃を受けたのに外皮が減らず、
なぜか主人公の外皮が減る。そういうシチュエーションは
いくらでもあったはずなのに、主人公も、彼の仲間も、
誰も彼のスキルの謎に気づかない。バカなんじゃないだろうか。
そんなスキルの真実が明らかになったのに、
ろくに迷宮にもいかずに妹や奴隷ヒロインと
イチャコラしている。本当にこの作品は無駄に女性キャラが多い、
主人公が故郷に帰ると妹だけでなく、鍛冶屋の娘だったり、
街の騎士だったり、女性キャラばかりが名前ありで存在している。
そんなキャラクターたちとの関係性を掘り下げ、
主人公や主人公の妹の過去などを描いているものの、
淡々としており、シンプルに退屈だ。
いいから早く迷宮に行けと思うほど序盤は話が動かない。
追放した勇者パーティーも主人公を追放した結果、
迷宮探索に失敗しつづけ、勇者パーティーは解散してしまう。
追放する前に主人公が居ない状態でどうなるのかも一切検証しない、
この手の追放ものにありがちなアホな展開だ。
主人公のスキル自体も鑑定スキルでもし鑑定していなくても、
勇者パーティーから抜けることで勇者パーティー自体も
察知しており、色々と突っ込みどころが多い展開だ。
外
4話になっても、まだ迷宮にはいかず外にいる魔物ばかりを倒している。
主人公が自らのスキルの使い方を覚えて、武器や装備を整えてと、
丁寧に迷宮に行く準備をしながら迷宮の外の魔物を倒しているのだが、
この戦闘シーンもほぼ紙芝居だ。
そんな中で主人公が住む街に「迷宮」が突然現れ、
主人公が迷宮の破壊に挑むことになる。ようやくだ。
都合よく妹の体調も悪くなり、主人公が迷宮に挑む理由、
迷宮で手に入るかもしれない願いが叶う秘宝を探し求めるためにも、
仲間とともに迷宮に挑む。
展開自体は丁寧ではあるものの、その展開自体がかなり遅く、
余計なキャラも多い。
主人公を追放した勇者も、あっさりと改心し、主人公のことを認めている。
こういう作品の面白さは主人公を追放した存在が、
落ちぶれたり、因果応報な目に合うことも面白さの1つだと思うのだが、
そういった要素すら薄い。
都合よく勇者も怪我をしており、主人公が連れているのはほぼ女性だ。
一人だけモブみたいな男性キャラも居るものの、
ほぼ女性キャラだらけの状態で迷宮に挑み、あっさり迷宮の主に出会う。
中盤の盛り上がり、ようやく挑んだ迷宮という場所でのボス戦なのに
まったくもって迷宮を探索する面白さもなく、戦闘シーンの面白さもない。
あっさりとボスを倒し、目的の秘宝を手に入れたかと思えば、
完全には治らない。
何でも叶う秘宝を手に入れたのに妹の病気が完全には治らないというのも
意味がわからず、何がしたいのかよくわからなくなってくる作品だ。
迷宮
中盤からは迷宮の主と仲良くなったことで、
主人公は街を発展させるためにも迷宮を運営しつつ、
街のクランを運営していくことになる。ようは八百長である。
ゲームの世界でもないのに迷宮の運営はまるでゲームのようで、
ポイントを使って魔物を増やし、ガチャまである。
作中のキャラがそのまま「ガチャ」という言葉を使うのも気持ち悪い。
迷宮自体は魔神とやらが、この世界を壊すために作り上げたものらしいが、
ゲームのシステムなのはどうしてなのかなどの説明はない。
序盤に出てきたキャラも使い余している感じが強く、
女騎士や鍛冶屋の娘など、中盤以降ほぼ出てこない。
何のために序盤出てきたのか謎でしかない。
話が進めば進むほど強敵が現れて、
成長した味方とともに戦うのだが、
そんな戦闘シーンも終盤になっても相変わらずだ。
作画枚数は少なく、決めのシーンでの
エフェクトも集中線などのギザギザな線で囲うのみで、
2種類くらいしかない。エフェクトすら使いまわしている。
次々と迷宮を攻略し、そこの主を仲間にし、
妹の病気を治すための秘宝をゲットしていく。
ただ、なんでも願いが叶うはずなのに2つ使っても治らない。
一体どんな病気なのだろうか
終盤になるとヒロインの一人である奴隷ヒロインの
「ホムンクス」問題を掘り下げる展開になっていく。
つまり、また迷宮にいかない(苦笑)
1クールという尺の中で迷宮の中にいる時間よりも、
外にいる時間のほうが圧倒的に長い。
魔の力
強敵がどんどん現れ、次々と迷宮も現れる。
街に襲いかかる魔物も増えていき、魔神の魔の手も忍び寄ってくる。
そんな中で主人公はより力を求めて魔神のようになっていく。
このあたりは、もし2期があれば掘り下げられる部分なのかもしれないが、
1期の時点では毒にも薬にもならないストリーをひたすらに展開し、
どんどんヒロインを増やしつつ、妹の病気が少しずつ治っていく。
それだけだ。
終盤には「グリード」という強敵が現れる。
そんな強敵を倒して1クール終わりだ。
なんともあっさりしており、薄味な作品だった。
総評:アニメ化した意味がない
全体的に見て色々とひどい作品だ。
ストーリーだけ抜き出してみても、いわゆる追放系な作品だが、
追放した意味はあったのか?と思うほど元のパーティーメンバーと
主人公は迷宮に潜りまくっており、追放した勇者自身もあっさり改心している。
タイトルに「最強タンクの迷宮攻略」とあるものの、
序盤は本当に迷宮に潜らず、どうでもいいヒロインと
どうでもいいイチャコラを繰り返しており、物語のテンポも悪い。
主人公の目的である迷宮の秘宝もあっさりと手に入り、
何でも願いが叶う秘宝によって妹の病気が治るかと思いきや、
完全には治りきらないというのも意味不明でしかない。
迷宮自体は魔神がこの世界を破壊するためのものであり、
そんな魔神から世界を、街を、人々を守るためにも
主人公が強くなっていきながら次々と迷宮を攻略し、
仲間を増やしていきと淡々として展開が続いてしまう。
キャラクターは多いものの使いこなせていない感じも強く、
特に序盤以降殆ど出てこない鍛冶屋の娘や騎士は何だったのかと思うほどだ。
無駄にヒロインだけ増やしまくり、主人公のハーレム的要員が増えるが、
当の本人は妹の病気が感知するまではそんな気すら起こさないゆえに
ハーレムにすらならず中途半端にヒロインだけが増えていく
そんなストーリーをさらに盛り下げるのが作画だ。
本来は盛り上がる戦闘シーンのはずなのに、
ペラペラな戦闘シーンは相変わらずであり、本当にやる気がない。
アニメーションという媒体を使っているのに、
アニメーションとしての動きの面白さがほぼない。
アニメ化した意味をまるで感じない。
最初から最後まで戦闘シーンもワンパターンで、
敵の攻撃を受けまくって、それを反射して倒すようなスキルで
毎回終わる、本当につまらない。
極力減らした作画枚数、斜線や集中線ばかりのエフェクト、
制作側にやる気も予算もないことがうかがえる。
きちんとした作画でやっても、このストーリーで面白くなるか?と
言われれば疑問なところではあるものの、
せめてアニメ化した意味があると感じるような
最低限の作画のクォリティを保ってほしいところだ。
個人的な感想:ネタにすらならない
これで作画崩壊まで行けばネタになる部分もあり、
ニコニコ動画あたりで楽しめるのかもしれないが、
作画崩壊とまではいかない、単純にクォリティが低い作画なだけに
ネタにすらならない。
アニメ化するならもう少し、きちんとした予算とスケジュールでやらなければ
原作に対しても失礼だ。
なろう系はこういった低予算な作品になりがちだが、
だからこそ、なろう系が嫌われる要因の1つにもなっている。
もう少し予算があれば印象が違ったかもしれないが、
このあとのストーリーも余り気にならないだけに、
作画が良くても評価自体は余り変わらなかったかもしれない。
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