評価 ★☆☆☆☆(17点) 全12話
あらすじ 両親と兄を突然交通事故で失い、その後のごたごたで大学受験に失敗した山野光波(ミツハ)は崖から転落した際、謎の生命体のかけらを引きちぎったことにより、中世ヨーロッパ風の異世界と元の世界を自由に行き来する能力を得た。引用- Wikipedia
異世界詐欺師
原作は小説家になろうで連載していた小説作品。
監督は玉田博、制作はFelixFilm
ここはどこ
1話冒頭、なんの脈絡もなしに主人公である少女が異世界に転移される。
なろう系あるあるな始まりには特に衝撃的でもなんでもない。
ただ、彼女の設定自体はやけに重い。
家族を交通事故で失った彼女は18歳でありながら
天涯孤独な身になっている。
どこか孤独を感じながらも「家族の分まで生きる」ことを目標にしている彼女は、
冷静に自らの状況を把握する。
ただ、冒頭はかなり淡々としている。
崖から落ちて異世界転移して、そこから彼女の過去が語られ、
異世界をひたすら歩く中で異世界の住民と出会う。
丁寧ではあるものの、かなり淡々としており、
なろう系特有の1話からチート感MAX!というような派手さがない。
なろう系の場合は異世界の言葉が自動的にわかることも多いが、
この作品は珍しく言葉が通じない。
そのあたりの設定がねられていることを感じる冒頭ではあるものの、
いまいち面白さがピンとこない。
「知らない天井だ」
とこすり倒されたパロディなども数多くあり、それが1つも笑えない。
ギャグとしてやってるのかはたまた真面目なのか、
その判断すら付きかねるほどパロディギャグが滑りまくっている。
この作品の原作者はあの「私、能力は平均値でって言ったよね!」と同じ人だ。
あの作品も一切笑えないパロディネタに乾いた笑いすら出なかったが、
今作も似たようなテイストのパロディが盛り込まれている。
何度もこすり倒されたジブリネタや、ボトムスのパロディなど
通じる人が限られるニッチすぎるネタなど相変わらずだ。
更に笑えない「脳内兄」との会話。
彼女の兄は両親と同じく交通事故で亡くなっており故人なのだが、
彼女はなにか困ると「こういうとき兄だったら…」と脳内の兄と会話する。
これが特に面白くもない。
面白いと思って入れているのはわかるが、表情筋は微動だにしない。
主人公の独り言も異様に多く、自分でボケて自分で突っ込む。
例えば異世界のトイレを初めて使った際にこんな事を言う
「なんとかならないかなこの匂い…百均でトイレの香水かってきたいよー、
ってないからそんな店!」
と独り言で叫ぶ。
一体誰に向かって喋ってるんだ?と思うほど
独り言とは思えないような台詞回しに気持ち悪さを感じてしまう。
これが「おじさん」ならば納得できるが、
18歳の少女とは思えないような台詞回しに違和感を覚えてしまう。
説明
主人公はなんかすごいエネルギー存在のエネルギーの一部を
「むしりとって」しまい、その結果、異世界に転移する力を手に入れている。
その説明自体はいいものの、エネルギー体との会話が始まったかと思えば、
都合よく「治癒能力」と「言語能力」をもらう。
なら最初からそうしておけばいいのにと回りくどいストーリーだ。
エネルギー体も都合よくどこかへ行ってしまい、
彼女はなんのリスクも使命もなく、異世界と元の世界を
行き来する力を手に入れている。
そんな中で彼女はタイトル通り「お金を稼ぐ」ことを目標とする。
地球で仕入れたものを異世界で売って老後の資金を稼ぐ。
これまた40代か、早くても30代後半くらいで考えそうなことを
18歳くらいの少女が考えつく。
パロディや台詞のセンスもそうだが「思考」そのものが、おっさんだ。
性別はともかく、年齢設定が2周りくらい上でようやく納得できるような
台詞ばかりで違和感が凄まじい。
キャラクターデザイン的にも高校生というよりかは
小学生のような見た目をしている。
リアリティライン
こういうファンタジー作品の場合「現実的じゃない」という
言葉はご法度ではあるものの、この作品は
いわゆる「リアリティライン」をあげようとする努力を感じる。
異世界の金貨を元の世界ではいくらの価値があるのか、
銃器など使えない主人公が銃器を使えるようになるまで訓練したり。
ファンタジーではあるものの、そういったところをご都合主義で
流すのではなく、可能な限りリアルに描こうとしている。
だが、そのリアリティラインを上げてしまったがゆえに
ツッコミどころが生まれている。
特に面白みもない銃器訓練シーン、
異世界で稼ぐための軍資金を親の遺産から引き出すために銀行に行ったり、
地球の品を「いくらで売るのか?」と考えるシーンなど、
本来ならカットしても良いシーンを「リアル」にするために
描こうとしているのはわかるが、淡々とした描写に盛り上がるわけでもなく、
唯一あるのは笑えないパロディと脳内兄との会話だ。
序盤からこの作品の「面白さ」というのを感じられない。
詐欺師
主人公ははっきりいって腹黒い。
異世界で稼ぐために元の世界の商品を持ち込んで稼ぐというアイデア自体は
面白そうなのだが、問題はやり方だ。
お店を開くわけでもなく、露天で売るわけでもなく、
まず彼女が最初にやったことは「当たり屋」だ。
人が良いと噂の領主の馬車の前にわざと飛び込み、
惹かれたふりをして領主の家に潜り込んでいる。
当たり屋的な行動をし、自分を「貴族」のように見せかけ、信頼を得て、
元の世界では百均で売ってるような商品を高額で売りつける。
詐欺師のやり口だ。
人の良心につけこみ身分を偽り高額な商品を売りつける手法は詐欺師でしかない。
名前も経歴も何もかも彼女は「嘘」で塗り固められている。
そこにさらに、なろうあるあるな「現代知識」を利用した
異世界人マウントがある。
例えば良心につけこんだ領主が「収穫量」に悩んでいると、
「連作障害なのでは?」とマウントを取ってくる。
異世界を「中世ヨーロッパ」くらいと主人公も認識しており、
いわゆる「なーろっぱ」な世界観ではあるものの、
農業始めたてならともかく、彼女が来る前から
ずっと農業をやっていたであろう世界で「連作障害」を知らないとは考えにくい。
異世界人の知識を時代感よりも低くすることで主人公を活躍させる。
いつものやつだ。
そもそも主人公が最初に持ち込んだ母の形見である
真珠のネックレスも異世界では相当な価値があるようで、
うまく売れば金貨8万枚くらい稼げそうなものだが、そんなことはしない。
お店やさんごっこ
4話からは街の中でお店を開くことになる。
百均などで仕入れたものを異世界で高値で売る、
やってることは「転売ヤー」だ。
そんなお店さやんごっこもあまり長く描かれず、
貴族のパーティーの手伝いをしたり、冒険者について行ったりと、
コロコロコロと状況が変わる。
状況は変わるものの、やってることは転売ヤーであり、
それ以上でもそれ以下でもない。
終盤の店のコンサルに関しては転売ヤーではなく、
やってることは似たようなことではあるものの、
マンネリにならないようにコロコロ状況が変わるのは
お手軽な面白さが生まれてると言えるかもしれない。
戦争
終盤には戦争が起こる。もはや転売ヤーなどやってる場合ではない。
しかし、そんな中で自分と自分を慕ってくれる人も傷ついてしまう。
それゆえに彼女は「遠慮」することをやめる。
一応は気を使っていた現代技術の持ち込みや兵器などを、
彼女は戦争をへて現実を知り、何が何でも持ち込む(笑)
転売ヤーよりも、この自重しない異世界への現代兵器持ち込み展開のほうが
爽快感もあり、主人公のある種の覚醒ともあいまって面白さがある。
自分以外の人物である傭兵を異世界へ迷わず連れて行ったり、
銃器や兵器の数々を持ち込みまくりな展開は
1クール、転売ヤーの活動をみつつけただけにカタルシスすら感じる。
ただ、主人公の薄ら寒い演説は厳しいものがある。
10話のタイトルは「ならば戦争だ」ということもあり、
HELLSING的な演説シーンをやりたかったのかもしれないが、
18歳かそこらかの少女の演説を傭兵の前にする姿は
かっこいいとも思えず、かといって笑えるわけでもない。
作画のクォリティの普通さもこういった部分での
シーンの印象の弱さにつながっている。
作画崩壊もしてなければ酷い作画でもない、
兵器などには一部CGを使っているものの、そこまで違和感はない。普通だ。
演出で工夫しているわけでもなく、普通の作画で
パロディ的な演説シーンを見せられても特になんの感想も生まれない。
主人公の「演説ごっこ」を魅せられている感じは厳しいものがある。
基本的にこの作品はごっこ遊びだ。
お店やさんごっこ、冒険者ごっこ、コンサルごっこ、演説ごっこ。
それを中身がおじさんのような少女にやらせている姿を
1クール魅せられているような感覚だ。薄ら寒い。
異世界に現代兵器を持ち込むのは「GATE」で、
演説は「幼女戦記」で。
どこかで見たことのある要素をつなぎ合わせてるだけにすぎない。
最後に1クールの締め的にドラゴンが出てくるものの、
バズーカで撃退して終わる。
1クールとしては「主人公が自重しない」までへの変化が描かれていたものの、
この先のストーリーは全く気にならない作品だった。
総評:目指せ!転売ヤー億り人
全体的に見て1クール、ごっこ遊びで終わる作品だった。
異世界と元の世界を行き来できる能力でなにをするかとおもえば
転売で老後の資金を稼ぐことであり、異世界の技術や知識を落とすことで
自分が作ったわけではない現代技術や知識で異世界人へマウントし、
良心につけ込み転売している。
そんな転売ヤーならぬお店やさんごっこも序盤くらいで飽きたのか、
中盤は貴族とのつながりや、冒険者ごっこをしたかと思えば、
最後は傭兵ごっこで終わる。
家族を失った主人公が異世界でのつながりが生まれて
彼らを守るために自重しないようになるという展開自体は
悪くなかったものの、それ以外の要素は見ていて厳しいものがあり、
終始薄ら寒いパロディネタや脳内兄との会話や、
キャラ設定の年齢に見合わぬ台詞回しが違和感を生んでいる作品だった。
ラストでは異世界の領民となり「子爵」の扱いを受けている。
おそらくは貴族ごっこが始まるのだろう。
そんな予感がビンビンに感じてしまうほど全体的に
浅さを感じる作品だった。
個人的な感想:合わない
同じ作者の「私、能力は平均値でって言ったよね!」も
パロディネタなどが終始合わなかった作品だったが、
この作品も似たような感じになってしまっていた。
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください
FUNAさんの作品の醍醐味は地の文で殴り倒す面白さだから、本質的にアニメという媒体に合わないんですよね、、
個人的には全編ギャグだと思って眺めていたらそこそこ楽しめたので、まあ良かったかなと。少なくとも平均花子よりは、、
レビューで酷評している部分は原作の段階でわかっていようところなのでだったらなんで見たのと言いたいのだが、原作のファンとしても戦闘シーンだけはいただけなかった。
なんでゴブリンが整然と行軍してるんだよとか、銃撃されても未知の攻撃なので攻撃と認識できない?いや痛みはあるだろうから攻撃とはわかるだろとか、残念臭がもはや刺激臭だったのがなんとも。
でもキャラは可愛かったので結局見てしまったのだが。
大体はしビューの通りですね
ネタが古いのも作者がこれわかるかな?ってクイズみたいな感じで盛り込んでいますから
なろうの感想欄でもこの位の知識とかは若い頃から知っていたとか再放送があるからと返してますし
作者は色々な資格を保有しておりそれを作品に活かしているようです
小説は笑えてもアニメにすると表現の仕方や後半のアニオリもあって評判は感想欄でも悪かったですね
色々な事について作者風に言うと
こまけぇーことはいいんだよ
一挙放送見てて凄くご都合主義だなー、って思ったんだけど…
アニメに関して評価甘々じゃない?
本当にとてもつまらない、いつものナーロッパラノベ系アニメだった…。もうエエわ、こんなつまらないアニメは…。もっと一昔前までの様な手の込んだアニメがとても観たいのですが…。
転売ヤーと言っても、主人公以外にこの世界に日本の物品を持ち込むことができる者がいない以上、転売行為自体は別に悪くないんじゃないかな?
ここまで都合よくいかねーだろ、と突っ込みたくなる箇所は多々あったけど、それも含めてギャグとして楽しむ作品かと思えばそれなりに楽しかった。