冬の訪れを感じる今日この頃。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
どうも笠希々です。
今日はとあるツイートをきっかけに書き綴った
昨今のラノベ事情についてのアニメコラムになります。
いつも通り、長文の記事になりますので
お時間のある時にでもお読みいただければと思います。
ライトノベルは漫画の劣化コンテンツ?
先日、とあるツイートが話題になりました。
現役の書店員を名乗る彼曰く
「ライトノベルは漫画の劣化コンテンツ」
とツイートしたことにより軽く炎上状態になりました。
この発言の是非に関しては個人個人の価値観もあると思われますので
あまり深く掘り下げないことにして(笑)
最近は彼のように「ライトノベルは衰退した」と囁く人も少なくありません。
そこで今回は本当にライトノベルは衰退したのか?というのをラノベの歴史を振り返りつつ、
私なりに結論づけたいと思い筆という名のキーボードをパチパチと叩いた次第です。
売上
アニメの売上の比較は毎年記事にしているのですが、
ライトノベルの衰退を語るにあたり同じようにライトノベルの売上を調べようとしたところ、
問題が発生しました。
簡単に言えば信憑性のあるデータがありません。
データ自体はいくつかあるものの、2015年の売上データと2016年に出た
2015年の売り上げデータの数字が違ったりと、
どの数字を信じて良いやらわからなくなってしまいました。
そもそも出版会社によって「ライトノベル」という括りで売り上げを出していないところも多く、
多くは「文庫」または「book」というくくりにライトノベルは組み込まれています。
更に近年では電子書籍でライトノベルがAmazonなどで販売されていますが、
文庫やbookの売上データの中にその電子書籍の売上が含まれているのかも謎でした。
そういった前提条件はあるものの、一応の参考程度の数字として
ライトノベルの売上が1番良かったのは2012年。
この年は300億近い売り上げがありました。
しかし2019年になると150億円ほどと、ざっくりと言えば半減しています。
他の資料を見ると数字自体は違うものの、半減または4割減なのは間違いないようです。
この2012年が1番売上がよく、ここ最近は半減している。
売上データだけで見ると衰退してるという事は言えてしまいます。
しかし、売上だけが全てではありません。
ここからはライトノベルのブームを振り返りつつ、
衰退したのか否かを考えていきます。
第一次ラノベブーム
ラノベにはいくつかのブームがありました。
大きく分けて3つ、90年台のファンタジーブームから始まった
ラノベブーム、00年台のブーム、そして近年のブームです。
90年台のファンタジーブームが起こったきっかけは
剣と魔法を主体としたものでした。
ロードス島戦記とスレイヤーズ、
この2作品を筆頭にライトノベルファンタジーブームが巻き起こりました。
アニメ化された作品も非常に多く、特にスレイヤーズがヒットしたことで、
ラノベブームがより大きなものになり、多くの作品がアニメ化されています。
魔術師オーフェン、ゴクドーくん漫遊記、魔法戦士リウイなど、
アニメとライトノベルの相性もよく
相乗効果が働き、互いの業界を盛り立てて行きました。
2000年台に入ってもそれは止まらず、
ブギーポップは笑わない、十二国記、キノの旅など
思い出深い作品ばかりです。
余談ですが、この頃の作品でちょっと印象に残っているのが「まぶらほ」です。
ハーレムラブコメな本作品ですが、
原作を買うのを辞めてしまっていたのですが、2015年に完結したと聞いて驚きました。
もし作中でリアルに時間経過していたとしたら
主人公もヒロインたちもアラサー、下手したらアラフォーです
第二次ライトノベルブーム
そんな90年台から2000年代前半に巻き起こったファンタジーブームの作品を
引き継ぐように第二次ライトノベルブームの
火付け役ともいわれる作品が出てきました。
それが「灼眼のシャナ」と「ゼロの使い魔」です。
どちらもアニメでは主人公を日野聡さん、
ヒロインを釘宮理恵さんが演じており、特に
釘宮理恵さん演ずるツンデレなヒロインの魅力に
はまってしまった人は多かったのではないでしょうか。
ツンデレという言葉自体も2002年ごろに生まれており、
「つよきす」という作品ではヒロインが全員ツンデレという
狂気の沙汰のような作品も生まれました。
ちなみに私は大好きです笑
そして、この第二次ラノベブームが起こった原因とも言える作品が
「涼宮ハルヒの憂鬱」です。
魅力的なヒロインとSFなストーリーは多くの人を魅了し、
特に京都アニメーションが手がけたアニメはそのクォリティから
更に注目が集まり、ライトノベルブームを巻き起こしました。
とらドラ、デュラララ!!、バカとテストと召喚獣、化物語。
2009年から2012年ごろまでさまざまなライトノベルが発売され、
アニメ化されライトノベル業界が活性化しました。
更に2010年には俺の妹がこんなに可愛いわけがない、
2011年にはインフィニットストラトスと、人気作がアニメ化されました。
2012年にはソードアートオンライン、ハイスクールD×D、アクセルワールド、
氷菓、中二病でも恋がしたいなどもアニメ化されました。
2012年がライトノベル市場1番の売り上げだったというのも納得できるほど、
ライトノベルブームでした。
しかし、この2012年を境にライトノベル市場は、右肩下がりになります。
第三次ラノベブーム
そのきっかけとも言えるのが「小説家になろう」の台頭です。
ライトノベル作家ではないし素人が投稿し、
無料で読めるこのサイトからは多くの作品が生まれました。
ログホライズン、魔法科高校の劣等生、
この素晴らしい世界に祝福を!、Re:ゼロから始める異世界生活。
これらの作品が書籍化、アニメ化され大ヒットしたことにより、
小説家になろうというサイトの知名度も上がり、多くの人が自らの作品を投稿しています。
2015年あたりから多くのライトノベルとして書籍化された
なろう作品がアニメ化し、ヒットしたことで
現在まで続くなろうブーム、第三次ラノベブームが起こっている状態です。
小説家になろう
しかし、面白い作品もあるものの、それ以上に
テンプレート化された展開や設定、類似する要素の
多い作品が大量に生まれることになります。
俺つえー系、悪役令嬢系、追放系。
ある種のジャンルとしてそれらは確立され、
多くの作品が生まれ、そのジャンルが飽きられ別の要素を加えた作品が生まれる。
この流れ自体は「なろう」作品ではないライトノベルにもあるのですが、
小説家になろうというサイトはその特性上、
異様なまでにそのサイクルが早く玉石混交、はたまたは粗製濫造と言ってもいいような状態です。
編集者がいない、プロではないからこその作品の面白さはあるものの、
結果的にその早いサイクルは飽きられやすさにもつながり、
更に「無料」で読めるということも大きいのでしょう。
買ってライトノベルを読まなくても似たような作品が小説家になろうには大量にある状態です。
ライトノベルは現在、年間で2000作品ほど発売されます。
多いと言われるアニメでさえ年間で250作品ほどです。
2000作品も発売されているのに売り上げは下がっている。
結果的に一人一人の作家さんの収益は下がります。
また「小説家になろう」の書籍化で、言い方はアレかもしれませんが純粋な
「ライトノベルで連載してる作品」は減っています。ライトノベルの賞に応募するより、
小説家になろうで連載して人気を得て書籍化されるほうが早く売れやすいという現状です。
良くも悪くも無料で読める「小説家になろう」というサイトが台頭したことにより、
ライトノベルの売り上げは下がっている、
といのが現状です。
蠱毒を勝ち抜け
しかし、それはあくまで売上として見た場合です。
作品の質が落ちている、衰退したと言えるのでしょうか?
酷い作品があることも事実ですが、それはライトノベルにもあります。
多くの人が「なろう作品」を楽しんでおり、ヒットしています。
確かにサイクルは早いのですが、玉石混交、粗製乱造だからこその、
ある種の「蠱毒」のような状態になっており、
数多ある作品の中から生き残った面白い作品が生まれ、
更にその作品を参考にした作品が生まれています。
アニメもそうなのですが、大体、5年模索して、その後の5年で名作が生まれる、
10年に一度、のちの作品にも影響を与えるような名作が生まれます。
ライトノベルも同じような流れになっており、ざっくりと言えば
95年から2000年の第一次ラノベブーム、
2005年から2010年までの第二次ラノベブーム、
2015年から今に至るまでの第三次ラノベブームと、
周期は似ています。
もしかしたら「小説家になろう」という蠱毒を経て、
とんでもない名作が2022年か2023年ごろに生まれ、
2025年ごろには新たなラノベブームが巻き起こるかもしれません。
第一次のファンタジーラノベブームでも、第二次のツンデレヒロインブームでも、
第三次のなろうブームでもない。新たなるラノベブーム。
そんな作品が生まれることを私は期待しています。
だからこそ「ライトノベルは衰退した」とはまだ結論づけません。
確かに売り上げは下がっています、
しかし、まだ結論づけるのは早い。
「まだライトノベルは衰退してない」
これが私なりの結論です。
あと5年以内にスレイヤーズのような、ハルヒのような、
リゼロのような作品が生まれるかもしれない。
そう期待したい。
安易に衰退したと絶望しボやくのは簡単です。
ですが、まだ衰退したとぼやくのは早いかもしれません。
個人的なラノベ事情
個人的にはスレイヤーズからハルヒまで多くのライトノベルを読んで
学生時代を過ごした身ではあるものの、
いわゆる「なろう」な作品はほとんど原作を読みません。
私は現在アラサーであり、ターゲットが違うというのもあるのでしょうが、
文字での表現がキツく感じる作品が多く、原作には手を出せない状態です。
もっとも今読み返せば「まぶらほ」などもキツく感じることでしょう笑
そう考えると今の若い世代が減っている、
少子化や経済的な問題もラノベの売り上げに影響してる部分はあるのかもしれません。
余談ですが、だれかラノベの売り上げについての
信ぴょう性のあるデータをご存じの方がいたら
こっそり教えてください笑
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください
ラノベという存在をここまで大きくしたのは間違いなく第二次ラノベブームのおかげだと思う
色んな作品があって本当に楽しかった
あと今もいいラノベありますよ
来期やる錆喰いビスコとか面白いですよ
自分は第一次ラノベブーム中後期の作品群の貢献は大きかった思います。
ブギーポップを中心にファンタジーだけどファンタジーファンタジーしていないラノベの枠を一枚広げた作品が多く輩出され、ファンタジーが苦手な層を取り込めたというか、
小説は好きだけどラノベはちょっとって人をあっと言わせる作品が多く台頭したなと
※その後にハルヒ、SAO、禁書目録&超電磁砲は一般人も取り込んだので貢献としてはもの凄いですが・・・
ブギーポップは笑わない
キノの旅
バッカーノ
ウィザーズブレイン
R・O・D
戯言シリーズ
なろう系も面白いものはあるんですが下火に…、他に何かしら火種はでてきそうですね。
第四次ラノベブームはチャットGPTが火付け役になるかも?