評価 ★★★☆☆(47点) 全60分
あらすじ 銀の城のプリンセスのフウカは、いつも失敗ばかりの“らくだい魔女”。ある日、城の地下室に隠されていた「黒水晶の腕輪」の封印を解いてしまう引用- Wikipedia
ぎゅっと!詰まった児童文学の面白さ
原作は児童文学な本作品。
監督は浜名孝行、制作はProduction I.G
ラストバトル
映画冒頭からラストバトルで始まる。
悪い魔女相手に二人の男女が戦いを挑み、彼女を封印する。
悪い魔女は「いつか戻ってくる」という言葉を残し、
世界に平和が訪れたというところから物語が始まる。
そんな伝説的な存在である母、
この国を治める「銀の城」の女王の娘が本作品の主人公だ。
彼女は自分のパワーをコントロールすることが出来ない、
そのせいで授業では失敗ばかりであり、
「落第」寸前の女の子だ。
そんな彼女を見つめるショタもといクラスメイトだったり、
彼女のおっとりとした友人だったり、
ナマイキな幼馴染の男の子だったりと、
ベタな女児向けアニメのような雰囲気をただよわせている。
冒頭はそんな世界観とキャラ紹介が多く、
主人公のモノローグベースで物語が進んでいく。
冒頭の悪い魔女はもともとは良い女王様だったのだが、
7つの災厄を防ぎきれなかったがゆえに民の反感をかい、
結果的に闇に身を落としてしまった。
そんな彼女を可哀想と思う主人公が
「黒水晶の腕輪」の封印を解いてしまうところから物語は動き出す
おちこぼれ
主人公は落ちこぼれだ。
本当は銀白の女王の娘として優秀でなければならない。
だが、そんな女王とは裏腹に彼女は落ちこぼれで、髪の色も父親譲りの金髪だ。
幼い頃に父親がなくなったせいで、父親の顔すら知らない。
そんな彼女の前に怪しげな少女であるリリカが現れる。
母親に没収されたゲームを取り戻すために、
母が彼女に話していない秘密を知るために。
たった60分ほどの尺しか無いせいもあるが、
この作品のテンポが非常にいい。
1分ほどで前日譚が描かれ、5分ほどでキャラ紹介が終わり、
話が動き出し、また5分で展開が変わっていく。
5分か10分ほどで状況が目まぐるしく変わっていくテンポの良い
ストーリー展開は元々が児童文学だからこその、
子供でも飽きずに楽しめるわかりやすい展開だ。
怪しげな少女であるリリカに誘われて地下にやってきた主人公は、
謎の腕輪を彼女によってつけられてしまう。
闇の魔女が封印されていた腕輪をつけてしまった彼女は、
闇の世界へといざなわれる
闇の世界
彼女が腕輪によっていざなわれたのは闇の世界だ。
木々は枯れ果て怪しげな雰囲気をまとっている。
そんな世界になぜか親友である「カリン」や
幼馴染である「チトセ」も訪れており、
3人でその世界から戻るために冒険しはじめる。
ただ60分ほどの尺でしか無いからこそ、
説明不足な部分も多い。
特に中盤で現れる「キース」は黒の城の王子様であり、
主人公とは過去になんらかの関わり合いがあり、
彼女を助けたことが合ったようなのだが、さらっとしか語られない。
このあたりは60分という限られた尺だからこそ
仕方ないのかもしれないが、原作ファン向けになってしまっている。
コロコロと可愛い表情の変化や可愛らしいキャラクターデザインは
印象にしっかりと残るものであり、作画のクォリティも高い。
それゆえに60分の尺しか無いのがもったいないと感じてしまう部分だ
闇
封印されていた腕輪をつけてしまった彼女は
腕輪の影響もあり、心の闇を刺激されている。
彼女は落ちこぼれの魔女だ。
だからこそ「劣等感」も感じている。
優秀な親のもとで生まれたからこそ、彼女も心に闇を抱えている。
自身の心の闇を悪い魔女に刺激されつつも、
彼女は自分を、そして友人を信じることでそれを乗り越える。
自身が落ちこぼれであること、父親の顔すら知らないこと、
彼女が抱えていた心の闇を描きながら、
アトラクションのような闇の世界を冒険していく。
コミカルなアクションシーンはかなり激しく描かれており、
遊園地のようなアトラクションだったり、
ときに箒にまたがりながらピンチをくり抜けていく
友人たちを守るためにおちこぼれと呼ばれた彼女が
自身の秘められた力を発揮する。
落ちこぼれと呼ばれた彼女が謎の力を発揮し、悪い魔女を倒す。
展開としてはかなり王道だが、
わかりやすいストーリーが1時間ほどで描かれている作品だ。
主人公の思いやり、優しさがあったからこそ、
「メガイラ」という闇の魔女の心も救われる。
そんな児童文学らしい教訓も秘められつつ、
物語は幕を閉じる。
総評:4クールでお願いします
全体的に見て60分でよくまとまっている作品だ。
序盤で世界観とキャラクターを掘り下げ、
そこから物語が動き出し、落ちこぼれと呼ばれた主人公が
自身の中に秘められた闇と向かいつつ、友人とともに
敵を倒して終わる。
非常にシンプルな物語ではあるものの、
60分でよくまとまっており、テンポも良いため、
子供も大人も楽しめる作品だ。
その一方で60分であるがゆえの欠点もある。
特にキャラクター描写に関しては不足してる部分が多く、
中盤で現れる闇の城の王子など過去が全く語られず、
主人公と一体どうやって出会ったのかもわからない。
主人公の謎の力やお父さんは結局どこへ行ったのか?
など60分ではわからない部分も多く、
大人がみると消化不良で終わってしまう部分も多い作品だ。
4クールくらいがっつりと朝アニメで見たい、
そう感じるような雰囲気で終わってしまう作品だった。
個人的な感想:怪盗クイーンはサーカスがお好き
同時期に出版社も別の「怪盗クイーンはサーカスがお好き」が
同じような感じで映画化されており、
この作品とコラボ上映会も行われたようだ。
児童文学のアニメ映画を作るというような
企画が動いているのだろうか?
そのあたりはちょっと気になるところであり、
今後他の隠れた名作児童文学がアニメ映画になるのかもしれない。
期待したいところだ。
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