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唾棄すべき主人公「ポーション頼みで生き延びます!」レビュー

ポーション頼みで生き延びます! ファンタジー
©FUNA・講談社/ポーション頼みで生き延びます!製作委員会
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評価 ☆☆☆☆☆(5点) 全12話

TVアニメ「ポーション頼みで生き延びます!」PV第1弾

あらすじ OLの長瀬香は帰宅途中で、神のような存在である地球の管理者の調整失敗により死亡した。管理者は、地球によく似ているが文明が中世ヨーロッパ程度と現代に比べて遅れている世界「ヴェルニー」への転生を勧める。引用- Wikipedia

唾棄すべき主人公

原作は小説家になろうで連載していた小説。
監督は中西伸彰、制作は寿門堂
原作者は「私、能力は平均値でって言ったよね!」や
「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」もアニメ化されているが、
私とは非常に相性が悪い

きらら系?

1話冒頭で感じるのはキャラクターデザインの異様な幼さだ。
転生前の主人公は社会人として働いているのだが、
とても大人には見えないほど幼い見た目をしている。
設定的には20代後半かそれ以上なのかもしれないが、
そうは見えない頭身の低さがあり、きらら系アニメのような雰囲気だ。

理系学部を卒業し社会人になり順調な暮らしをしていたある日、
主人公は次元の歪みに巻き込まれてしまい、
主人公の体が真っ二つになってしまう。
魂だけは救われた主人公は神様により転生することになる。

なろう系作品にはありがちな設定だが、
転生前に「家族」や「親友」には別れを告げられるという
シーンは珍しい要素だ。
なお、家族や親友は「異世界でも生きててくれれば充分だ!」と言い放つ。
もう少し心配してくれてもいいようなものだが、あっさりしたものだ。

転生前に主人公は神と交渉しチートな能力を貰い受ける。
ありがちな剣と魔法な世界で、主人公は
安心安全に暮らすために「どんなポーション」でも生み出す能力と、
そんなポーションを生み出すために「どんな容器」でも
生み出す能力を貰い受ける。

他にもアイテムボックスと言語能力と年齢の若返りも貰い受けるのだが、
前述した通り、転生前の姿でさえ幼いせいで、
転生後の姿は若い姿のはずなのだが変わった感じはまるでない。
少し後で女性騎士がポーションで若返るのだが、
これまた違いは分かりにくく、キャラデザもあまり良くない。

深夜アニメというよりは女児向けアニメのような雰囲気すらあるが、
中盤には戦争などで過激な血液表現もあるため、
キャラデザの雰囲気と内容の雰囲気のギャップが
悪い意味で凄まじい。

まず、そんな異世界でポーションを生み出し金を稼ぐことになる。
FUNA氏の過去の2作でも主人公は金に汚かったが、
この作品の主人公も割りと金に汚い。
原価0のポーションを売りさばこうとするが、
金額設定が高いせいか売りさばくことが出来ない。

そんな彼女の前に都合よくけが人が現れ、
彼女のポーションの効果に周囲が驚く。
この作品の世界における魔法は使えないものだ。
長年修行してようやく水を出せるかどうかでしか無い。
だからこそ彼女のチートなポーションに目をつけるものも居る。

目をつけた貴族は彼女を邸宅に誘うものの、
主人公はそんな面倒に巻き込まれたくない。
すると彼女は罪のないメイドを薬で眠らせ、裸にし、
「ポーション」の効果でメイドそっくりに変身してしまう。

更には部屋の調度品も盗んでいる始末だ。
なお、貴族は特に悪いことを主人公にしているわけではない。
彼女はただの盗人だ。
1話から主人公に対する好感度は最悪だ。

FUNA氏の他の作品の主人公達も
一切の好感を持てなかったが、
輪にかけてこの作品の主人公の印象は悪すぎる。

一応原作ではこの貴族は悪いことをしているという
補足があるようなのだが、メイドにはなんの罪もない。
ポーションという概念もブレブレであり、
怪我の回復や病気を治す効果があるだけならまだしも
「姿かたちを真似る」薬まで作れてしまうのはもはや何でもありだ。

都合よく

1話も都合が良い展開だが、2話も都合がいい。
森で寝ていると祖母が病気で悩んでいる貴族と出会い、
ポンポンと彼らが必要な薬を分け与える。
そんな薬で貴族たちの状況が変わるものの、
大して面白いストーリーな訳では無い。どうでもいい感じがすごい。

主人公は新しい街に訪れると前世の世界の料理の
レシピを提供し、それが貴族の目に留まる。
「いままで誰にも思いつかなかった調理法ですね!」
と貴族は褒めるが、ただのオムライスだ。
マヨネーズでイキるなろうアニメは多いが、
たかがオムライスでここまで絶賛されると萎えてしまう。

更に同時に主人公は色々なお店の「コンサルタント」業務を始める。
店主の浅い悩みを浅い答えを持ってコンサルしているものの、
それが別に面白い訳では無い。
肝心のポーションはどうしたんだ?と思うほど、
序盤の段階で色々とブレブレだ。

貴族の悩みですら彼女が解決してくれる。
税収に悩む貴族に「税を下げれば税収が上がる!」と言い放つ。
浅すぎる経済学を持ち出し、浅すぎるコンサルタントにため息しか出ない。
タックスヘイブン的なことを提言したいのはわかるが、
「理学部」のはずな彼女が「経済学」を持ち出すのは
ちゃんちゃらおかしい話だ。

そんな優秀なコンサル(笑)のせいで、
彼女は王宮からの呼び出しを受けてしまう。
せっかく安心安全な生活を手に入れたのに!と彼女は嘆くが、
そんなことをすれば目をつけられるのは当たり前だ。

目立ちたくない主人公というのは
「私、能力は平均値でって言ったよね!」もそうだったが、
「私、能力は平均値でって言ったよね!」と同様に
わざとかと思うほど目立つ真似をしている。

恋愛

コンサル業務で相談を受けていた王子に
主人公は気に入られてしまい、婚約者にしようとしてしまう。
いつどうなって恋愛感情が生まれたのかも分からず、
唐突すぎる展開だ。

主人公もべらべらと講釈を垂れ流し、城での生活が嫌な理由を述べたりする。
王女や貴族の女性になりたくないという事を言いたいのはわかるが、
そんな王女や貴族の女性たちの前で
「嫌な理由」を述べるのはかなり失礼な行為だ。
デリカシーというものがあまりにもない。

いきなり城に招待されて、安心安全な生活ができなくなり、
別の国に行かなければならないため腹を立てているのはわかるが、
わざわざ城に行かなくとも別の国に逃げることも出来たはずだ。

しかし、同じ店の従業員に迷惑がかかるかもしれないからと
城に乗り込み、なぜ貴族になりたくないかを
貴族たちの前でべらべら喋る光景は不快感しか感じない。

王子からの誘いを断るために
自らの顔を傷つける行為も狂気じみている。

容器

そんな3話の後編には別の国に行っている。
話の区切り方も悪く、ストーリー構成も悪い感じだ。
別の国では目立たないために「ポーション」ではなく、
正体を隠して「ポーションの容器」を売ることになる。
香水瓶のようなものではあるが、ポーションの容器なら
どんな装飾も自由だ。なんでもありともいえる。

そんな中で主人公は街中で子供に財布を盗まれる。
すると次のシーンでは主人公はスリをしていた子どもたちを
部下にして秘密結社の長のような立場に収まっている。
あまりにも意味不明だ。

原作では描かれている部分を端折ったせいでこうなっているようだが、
脚本家は本当にこれでいいと思ったのだろうか?
子供に財布を盗まれた次の瞬間には秘密結社の長になっている、
全く持って話が繋がっていない。

貴族の圧政が酷い世界で、ポーションの力を使って
こっそりと貧民を助けるというのはわかるものの、
そこにいたるまでの「過程」をはしょる展開は意味不明でしか無い。
4話ではその過程も描かれているのだが、
なぜ時系列をシャッフルしたのかも意味不明だ。

異様なまでにテンポは早く、AパートとBパートで
状況ががらっと変わることも多く、
その変化が唐突すぎてついていきづらい感じだ。
4話になっても序盤でやったような貴族の病気や怪我を直したりと、
あまり変化もない。

腹黒

2話でも主人公の性格の腹黒さを感じたが、
4話でもそれを感じてしまう。
何かを断る時に断りやすい状況を彼女をは作り出す傾向にあり、
2話では貴族の傲慢な態度の裏をかいたり、
4話でもまた王子に呼ばれるのだが、平民という立場を利用する。

そういった行動やセリフで主人公の頭の良さを
表したいのはわかるが、性格が悪いふうにしか見えず、
序盤を過ぎても主人公にあまり好感を持てない。

FUNA氏の作品といえばパロディなどの多さもあるが、
この作品はパロディはほとんどないものの
「ああ!女神さま!」などの既存の作品のタイトルを
ちらほら出している。
他作品のパロディと同様に妙に古く、面白いわけでもない。

中盤になると序盤からの貴族の絡みもあって
彼女のポーションを少しずつ販売できるようになる。
ただ、もはやポーションだよりというよりは
口先と容器だよりな感じではある。

女神の御使い、女神の力を分け与えるものとして
他国にも広まり、様々な組織や国に狙われてしまう。
敵国が彼女を狙って攻めてくることもある、
そんな中で彼女は戦争に介入する。

子供を連れて(苦笑)、ドン引きだ。
たしかに子どもたちは彼女に恩義がある、
雨を凌ぐ家すらなく、その日の食事すらままならなかった彼らが
彼女に恩義を感じているのはわかる。

だが、所詮はただの子供だ。
そんな子どもたちに頼まれたとは言え戦争に同行させるのは
腹黒を通り越して、もはや嫌悪感しか感じない。

戦争

そんな戦争に国の兵士と子どもたちとともに主人公は参加する。
戦闘シーンではあるものの作画のクォリティは決して良くはない。
かなり策略化した作画で描かれている感じだ。
ただ、そんなアニメーションのクォリティよりも主人公への
嫌悪感が強まっていく。

子どもたちもあくまで後方支援や情報収集にだけ参加させるならともかく、
敵相手に爆発物を投げさせる役目をやらせている。
命こそ奪っていないものの、最前線に子どもたちを
連れて行くのは本当に嫌悪感しか無い。

敵地に侵入する際も子どもたちをぞろぞろと連れて行く。
そんな子どもたちの一人が自爆テロのような真似をする。
もう嫌悪感で吐き出してしまいそうだ。

主人公は相手の体内に直接ポーションという名の
毒物も生成できる。
そんな力を持ってるのに子供を連れて行く理由は一切ない。
チート能力でイキりまくるのはご勝手にという感じだが、
そこに子供を巻き込む展開は最低だ。

戦争の途中で「勝手に死ぬことは許さない、守りきれないから
王都に帰って」と子どもたちを返すが、
最初から連れてこなければいいのにと思ってしまう。

戦闘中に味方のキャラが致命傷を負うのだが、
チートなポーションを作れる主人公がそばにいるだけに、
どうせ助かるのだろうという結果も見えてしまっている。
ただ面白くないだけならともかく、嫌悪感と最低な気持ちを
抱えたまま中盤が過ぎていく。

容器

序盤はポーションの容器を作れる能力で
香水瓶や装飾品を生み出していた。これはまだ飲み込める。
だが中盤になるともうめちゃくちゃだ。
ポーションの容器を生成できる力で「剣」を作り出す。
もはや意味不明だ、なんでもありすぎる。

どこにポーションを入れるんだ?と思うほどの形をしており、
しかも剣は振動してサクサク切れる超絶武器だ。
容器を作れるという能力でなんでもありな武器を作り出しており、
そんな武器で戦争も楽勝だ。
もはやポーションどうこう関係なくやりたい放題だ。

主人公のモノローグの多さも気になるところだ。
アニメーションとして「見せて」説明するのではなく、
原作の小説の文をそのままアニメの脚本に起こしているような
説明セリフがあり、脚本家のやる気を感じない。
気持ちはわかるが、プロとしての仕事は最低限してほしいところだ。

中盤を過ぎても各地を旅しながら、
そこの問題を解決するという流れが続いており、特に序盤と変化がない。
作画のクォリティもずっと低空飛行のまま、
背景の手抜きっぷりも凄まじく、簡素なキャラデザだからこそ
極端に崩れることもないがアニメーションとしての面白みはない。

行き当たりばったりのストーリーはネタ切れ感も強く、
奴隷にされかけた女の子を助けたり、
田舎の村を助けたかと思えば、ポーション屋をやろう!と言い出す。

軍人病

この世界には軍人がかかる病気が存在する。
わかりやすく言えば「水虫」だ。
主人公はそんな中で価格が違う水虫の薬を作り出している。
別にどんなポーションを作ろうが一瞬であり、
魔力などを消費するわけでもないのに、
わざわざ価格が違う水虫の薬を作り出している。

金儲けのためだ。
すぐに治り、完治する薬を1番高く設定し、
完治はしないが緩和する薬を1番安く設定している。
1番高い薬は手が出ないが、1番安い薬は手が出る。
軍人たちは永遠と薬を使ったら彼女から薬を買わないといけない。

それをわかって主人公はやっている、金儲けのために。
いくらでも高く売るポーションを作り出せるのに、
わざわざ、こんな小狡いことをして金稼ぎする姿に
面白さなどなく、不快感しか無い。
そんな商売をしているからこそ厄介なことも舞い込む。

オムコさん探しが彼女の目的ではあるのだが、
安心安全な生活もまた目的のはずだ。
それなのに序盤と同じように目立ちまくる。
何度同じミスをするのだろうか。

疫病

終盤はもう呆れ果てるしか無い。
唐突に主人公は宝探しを依頼されるのだが、
そのために「金属探知機」の機能を持ったポーション瓶を生成する。
ドラえもんのように取り出して、原作や制作側も
わかってやっているのだろうが、なんでもありすぎて笑えない。

そんななんでもありな展開から最終話には
街の中で「伝染病」が流行る。
主人公は身バレ覚悟で女神の御使いとして行動する。

そもそも水虫の特効薬や軍人の役に立ったりと、
普通の薬屋の娘には見えないような行動や台詞が多かったのに、
今更感がすごい。

その手法もバレないようにするならばいくらでもあるのに、
素顔のまま、民の前に堂々と姿を表して、女神の力も見せまくる。
軍人や領主も動いており、普通に大量生産して配ればいいだけなのに
なぜかわざとのように目立つ行動をしている。

そんな伝染病問題もあっさり解決し、
また次の国へと足を運んで終わりだ。
なんなんだったんだろうか、この作品は。

総評:なにがポーション頼みだよ!

全体的に色々と厳しい作品だ。
作画のクォリティは低品質でありながら安定はしているものの、
キャラクターデザインは異様に幼く、
そんなキャラデザのせいで若返ったキャラの見た目の変化も薄い。

主人公に対する不快感と嫌悪感も凄まじい、
貴族に対して盗みを働き、金のためにわざと完治しない薬をうり、
子どもたちを戦場に立たせる。
特に子どもたちと戦場に行ったときは、
この作品を見るのをやめようかと思ったほどだ。

チート能力も制限がほとんどなく、ポーションもなんでもありだが、
ポーションを入れておく容器の生成能力に関しては意味不明だ。
剣を作ったり、金属探知機を作ったりとやりたい放題であり、
新たな容器が出るたびに呆れ果ててしまった。

一応主人公の目的は安心安全な異世界生活と
オムコさん探しのはずなのだが、
安心安全な生活を送りたくないのか?と思うほど目立つ行動を
しまくっている。

ストーリーのテンポ自体は凄まじくいいものの、
原作を読んでいなくともカットしているんだろうなとわかるほど
端折ったストーリー構成になっており、
主人公の説明セリフの多さやモノローグの多さも
原作の文章をそのまま読み聞かせられてるような気分になる。

作画に関しても脚本に関しても、制作側のやる気を一切感じない。
その気持はどこかわかってしまう部分はあるものの、
プロとして請け負った以上、原作の面白さを、
原作以上にアニメと言う媒体で見せてほしかったところだ。

個人的な感想:FUNA

原作者のFUNA氏のアニメ化作品は3作品すべて見てきたが、
どれもこれも厳しかったが、この作品が1番厳しかった。
笑えないパロディネタがないだけマシともいえるが、
それにもまして主人公に対する嫌悪感は凄まじく、
過去の2作品と似たような展開も多かった。

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