評価 ★☆☆☆☆(16点) 全12話
あらすじ 海外で生まれ育った山田木はなこは音楽家の両親と来日。降り立った空港でアイドルグループ「音楽少女」のプロデューサー池橋大輝に声をかけられる引用- Wikipedia
炎上商法で売れたアイドルに未来はない
原作はもともとキャラソン及びCDのプロジェクトであり、
2012年11月から色々な企画がスタートしている。
監督は西本由紀夫、制作はスタジオディーン。
2015年に「アニメミライ2015」という企画の中で映画化もされているが、
パッケージ化などもされていないため、見ることができなかった。
アニメミライ版では「二人」の少女がユニットを組む話のようだが、
テレビアニメ版はアイドルものに変わっている。
1話から大量の登場人物
引用元:©音楽少女製作委員会
1話から空港で行われるアイドルイベントにキャラクターたちが
集まっているのだが、大量のキャラクターを一気に出す。
自己紹介的なシーンもなく互いの名前を呼び合ってはいるものの、
誰が誰かもよくわからずにキャラデザ的に見分けもつきにくい。
いわゆる「コピペ顔」なキャラデザだ。
目の色や髪の毛の色、髪型が違うだけで顔は一緒という
2000年代前半の深夜アニメによく見られたタイプのキャラデザは、
正直古臭さすら感じてしまう。
誰も彼も「ドコかで見た」キャラでしか無い。
そんなどこかで見たことのあるデザインのキャラが
1話の5分足らずで「12人」以上出る。
結局、セリフを「分散」させて言わせているだけであり、
キャラの特徴もつかみにくい。
有名所のアイドルアニメだとライブライブは9人、
アイマスは2クールで13人という人数設定だが理にかなっており、
きちんと尺を意識した人数になっているが、
この作品は本来は2クール以上の尺で描かないといけない人数を
無理やり1クール尺に押し込めてしまっている。
テレビアニメ化に伴い8名もキャラが追加されたようだが、
正直半分くらいでよかったのではないか?と感じてしまう。
せっかく12人の中に魅力的なキャラが居ても、
掘り下げられる尺が少なく、魅力を発揮しきれずに終わってしまう
ある意味、グループアイドルという物の
本質をついているとも言えるが(苦笑)
作画
引用元:©音楽少女製作委員会
アイドルアニメにおいてライブシーンは外せない。
昨今のアイドルアニメブームのせいかアイドルアニメでもないのに
ライブシーンのあるような作品も増えたが、
ライブシーンというのはアニメにおけるセンスがかなり必要だ。
カメラアングル、ダンス、表情、ファンの描写など拘れる部分が多いのだが、
逆に言えばこだわりがなければあっさりと手抜きが分かる。
この作品にこだわりはない。
主人公が「アイドル」に憧れるきっかけでもある重要な
初めてのライブシーンですら踊るシーンは一瞬であり、
適当な振り付け、適当なカメラアングル、一辺倒なファンの描写、
全体を映した際の作画の悪さで萎えさせてくれる。
せめて1話くらい、せめて最初のライブくらいは
「アイドルアニメ」の核なのだからきちんと見せるべきだろう。
作画の悪さと予算の少なさを1話から感じさせてくれる。
更に話が進めば進むほど作画は悪くなっていくが、
その一方でお風呂シーンだけは異様なまでに作画が良い(苦笑)
アイドルアニメでライブにこだわらずに風呂シーンにこだわるのは
やや本末転倒気味だろう。
ただ単純に光や湯気で隠すのではなく「カメラに付いた水滴」で
隠す描写は面白い。
歌が下手じゃアイドルは駄目なんですか!?
引用元:©音楽少女製作委員会
この作品の主人公はダンスの才能とコミュ力、可愛さを持ち合わせている。
しかし、唯一の欠点として歌唱力がない、いわゆる音痴だ。
それゆえに彼女は「音楽少女」というアイドルグループを
サポートするスタッフとして参加する。
アイドルアニメなのに裏方のスタッフをメインにするというのは
目新しく、そこをきちんと掘り下げていけばこの作品なりの、
この作品だからこその面白さになったかもしれない。
しかし、大前提として「アイドル」に「歌唱力」は必要なのだろうか?
これがソロの歌手や二人や3人といった少人数制のユニットや
アイドルならば歌唱力の必要性はあったかもしれない。
だが12人である。
エグザイルという売れているグループも歌ってるのは二人くらいだ(笑)
歌が下手だからアイドルになれないというのはやや無理があり、
「歌唱力」というある程度、レッスンで最低限のラインまで
持っていけそうな要素をレッスンもせずにたった1回歌っただけで諦め、
音楽少女たちのスタッフになるという流れはやや強引だ。
痛い主人公
引用元:©音楽少女製作委員会
物語の中核に居る主人公の台詞や行動がいちいちきつい。
そもそも彼女は当初「アイドル」というものを自分が作り上げた
アイドルモンスターという人形と勘違いしていた。
この時点で理解に苦しむキャラクターだが、
いちいち他のキャラの癇に障るセリフを平気で吐く。
「みんなもテレビに出ればいいのに!」
とイベントをしても少ない固定ファンしかまだついていないような
アイドルグループに対して言い放つ(苦笑)
その言動に怒り奮闘するキャラを見ても
「そうなんだ!私達も頑張ろう!」と更に煽ってくる。
ちなみに帰国子女という設定があり、
その設定に基づくセリフなのかもしれないが、
その設定くらいで受け入れられないくらいの無神経さだ。
ちなみに高校1年生という設定だが高校に通ってる様子はまるでない。
ありきたりなストーリーと奇抜なストーリー
引用元:©音楽少女製作委員会
スキャンダルだったり、解散話だったり、声が出なくなったりと
アイドルアニメを3本ほど見れば似たようなストーリーを見ることができるほど、
ストーリーにはあまり新鮮さがない。
その中で主人公はアイドルを支える立場として行動をし、
アイドルたちを支えていく。
細かいツッコミ所や話の内容の甘さなどはあるもの、
スタッフが主人公という要素があるからこそ見れてしまう部分もある。
ただ、4話はなかなかに奇抜な話だ。
アイドルアニメで「詐欺メイク」についてここまで描いているのは
この作品くらいだろう。とあるキャラが
すっぴんとメイク時の顔が差が激しいという要素とキャラクターの特徴を
うまくストーリーに活かしている。
この4話のような話であれば、
もっとこの作品らしいストーリーの面白さを感じられたかもしれない。
こういう感じの話をやりたかったという片鱗は見える話もあり、
6話の「唐揚げ」の話もなかなか良くできている。
もう少し話が練られていればよくある話で終わらなかった話も多く、
「惜しさ」は感じる。
音痴なのか?音痴じゃなないのか?
引用元:©音楽少女製作委員会
強烈な音痴という設定のある主人公だが、
8話になるといつの間にか音痴が治っている。
これでアイドルたちに混じって練習する様子が描かれていれば飲み込めるが、
8話までの段階で主人公が練習してるようなシーンはまるで描かれていない。
強烈な音痴が自然治癒したようだ。
しかも自然治癒したかのように見えたのだが最終話ではなぜかまた音痴に戻る。
そうかと思えば「音痴」が理由でアイドルになれなかったはずなのだが、
最終的には音楽少女として自分もアイドルとして参加し、
いつの間にか音痴も治っている。
ちょっと意味がわからない。
都合よく解釈するならば「ソロ」で歌うシーンが下手なので、
1人で歌うと音程が取れないが、誰かの歌声を聞きながらだったり、
一緒に歌えば音痴ではないのかもしれない。
明確にそれが描写されるだけでスッキリする要素なのに
描写しないせいでモヤモヤしたものが残ってしまう。
目立ち過ぎなスタッフ
引用元:©音楽少女製作委員会
最終話ではフェスで1万人集めなければ音楽少女解散という
売れないアイドルや昔のバラエティ番組の企画のような展開になる。
裏方として音楽少女を盛り上げた主人公の力と、
成長してきた音楽少女たちの力で1万人を動員できた。
というお話ならば納得できたかもしれない。
だが、彼女たちが1万人集められたのはただの「炎上商法」だ。
機材トラブルでマイクや明かりが使えなくなり、
ライブが中止になってしまいスタッフである「主人公」が謝罪する。
当然観客は怒り、スタッフである彼女に罵詈雑言をぶつける。
この流れは決して悪くはなかっただろう。
表に立つアイドルではなく裏方であるスタッフが批判を受ける。
しかし、その批判を受ける中で観客にとってはスタッフでしか無い主人公が
音楽少女について語りだし、自分一人で歌い出す。
しかもマイクは使えてしまう始末だ。
マイクを使えるならば音楽少女たちがアカペラで歌い、
スタッフやファンが手拍子をして、場をつなげることもできるだろうにしない。
それ所かアイドルたちはステージに戻ったと思えば
全員揃って自分にビンタをし、泣きわめくしまつだ。
そんな様がSNSで拡散して、
それを見に来た野次馬のおかげで1万人動員してるの過ぎず、
結局、「音楽の力」や「アイドルとしての魅力」で動員したわけではない。
スタッフだった女の子がいきなり音楽少女に加わり、
どセンターで歌ってる様を見せられても茶番感だけが残ってしまうラストだった。
総評:ストーリーの練り込みが甘い
引用元:©音楽少女製作委員会
全体的に見て脚本の甘さを色々な所で感じてしまう作品だった。
細かいツッコミ所は1話の段階からあるものの、4話のような奇抜な話や、
裏方スタッフを主人公に据えてアイドルを支えていくという要素は
決して悪くはなかった。
しかし、その要素をきっちりと盛り上げるだけの脚本ができておらず、
多すぎるキャラクターを掘り下げるのに必死で、
肝心の要素をきちんと魅せることができていない。
スタッフだった少女が最終的に自分もアイドルになったという
ストーリーの流れ自体は良いのに内容が荒唐無稽すぎる。
中盤までで裏方のスタッフとしての仕事をやる中で、
「自分もスタッフではなくアイドルとして活動したい」というような
主人公の思いをきっちり描き、音痴になる原因をきっちり描いた上で、
音楽少女に加入する流れならば理解できるが、あまりにも唐突であり、
ストーリーの整合性が甘い。
結局、アイドルではなく裏方のスタッフが主人公という要素も貫けておらず、
本来描きたかったスタッフからアイドルへの変化もきちんと描ききれていない。
やりたいことは分かる、要素も悪くない。
だが脚本の練り込みが甘かったというのをひしひしと感じてしまう作品だった。
個人的な感想:以外にもキャラの印象は残った
引用元:©音楽少女製作委員会
1話の時点でドバっとキャラを出されたので困惑したものの、
見終わった後だと印象に残ってるキャラは結構多い。
2クールくらいの尺できちんと掘り下げればもっと
魅力的に感じたキャラも多かったかもしれない。
作画の悪さよりも脚本の甘さのほうが目についてしまう作品だった。
作画もかなり悪く、一瞬無言の時間が流れた後に
キャラが突然、不可解な踊りを踊りだすようなシーンも有るのだが、
そんなシーンよりも「脚本の甘さ」が気になってしまった作品だ。
決してストーリー自体がつまらないわけじゃないだけに惜しい。
こんな作画でキャラも多いのにつまらないわけじゃないと
言えてしまう作品なだけに、
きちんと練った脚本だったらもっと面白くなった作品だろう。
残念だ。
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