評価 ★★★☆☆(57点) 全103分
あらすじ 人見知りが激しく、他人と話すのが苦手で、自分に自信が持てない市原由奈は、高校進学を機に引っ越す親友を見送りに行った際引用- Wikipedia
The少女漫画感
原作は少女漫画な本作品。
監督は黒柳トシマサ、制作はA-1 Pictures。
本作品は劇場アニメ作品だが上映一ヶ月前に実写映画も公開されている。
ちょっと意味がわからない。
ポエミー
画像引用元:アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』スペシャルMVより
(C)2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
C)咲坂伊緒/集英社
映画冒頭、ヒロインの一人がやたらポエミーな台詞を読み上げる。
そんなヒロインと別なヒロインである「由奈」が
引っ越す友達を見送るシーンから物語は始まる。
開始4分足らずでこの作品が少女漫画原作であることを
ひしひしと感じさせてくれる。
恋に対して、まるで物語のような憧れのあるような少女が偶然、
王子様のような男の子と出会う。
しかしながら、そこから急に恋が始まるとは限らない。
夢は見るが消極的な少女「由奈」と、
夢は見ないが積極的な少女「朱里」。
正反対とも言える2人が出会い、友達同士になり、
そんな二人の恋愛事情が描かれる作品だ。
正反対
画像引用元:アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』スペシャルMVより
(C)2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
C)咲坂伊緒/集英社
2人は考え方も正反対だ。
「由奈」は恋に恋をし夢を見て誰とも付き合ったことがない、
「朱里」は恋は恋と割り切り現実的に男の子と付き合った経験がある。
そんな正反対な2人だからこそのすれ違いはあるものの、
2人が親友な関係性になるストーリーは悪くない。
この二人の見事なまでの考え方の違いはこの作品の面白さでもあり、
そんな正反対の2人が
「由奈」が「朱里」の弟に恋をしてしまい、
「朱里」は「由奈」の幼馴染に恋をしてしまう。
だが、「朱里」の弟は血のつながってない姉「朱里」が好きだ。
見事なまでの四角関係が生まれており、
見ている側にはキャラクターたちが気づくよりも先に、
彼女たちの四角関係な状態に気づいてしまう。
四角関係
画像引用元:アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』スペシャルMVより
(C)2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
C)咲坂伊緒/集英社
互いが互いに告白できぬまま淡々と物語は進んでいく。
気持ちに気づいていても、その気持を受け入れることは出来ず、
自分以外に向けた恋心を知った上で彼女たちは恋心を
より強いものにしていく。
想い人の秘めた思いを知れば知るほどに、諦められない。
だからこそ告白する。
好きな人の気持ちを知っているからこそ、
自分が其の相手ではないと分かってるからこその告白だ。
そして、あっさりと振られる。
振られることで好きな人の「理解者」になれる。
曖昧でうやむやな関係ではなく「理解者」という立場になろうとする
「由奈」は健気だ。
一方で「朱里」は自身の悩みを打ち明けた「由奈」の幼馴染に
どんどんと強い気持ちを抱いていく。
1度、恋というものを諦めた彼女だからこそ、
それが恋とはなかなか認めきれない。
だが、「由奈」の健気さを見たからこそ、彼女も一歩踏み出そうとする。
諦められない
画像引用元:アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』スペシャルMVより
(C)2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
C)咲坂伊緒/集英社
1度は諦めたはずだった。だが、そんな簡単に諦められない。
自分の気持ちを「なかったこと」にはできない。
しかし、姉弟になってしまったからこそ諦めないといけない。
理屈では分かっていても感情は抑えきれない。
好きになった人が自分以外の別の人を好きになろうとする。
そんな姿を見てしまったからこそ、抑えていたはずの感情が爆発する。
4人が4人ともいい子だ。
いい子だからこそ感情を爆発させても「相手を理解」し、許し許される。
諦めないといけない恋も世の中にはある。優しい嘘はときにも必要だ。
それが分かってるからこそ行き場を失っていた恋心を
消化することができる。
関係性は複雑だが、この作品は重くなりすぎない。
ドロドロとすることがなく、いつまでも甘酸っぱい。
そんな「いい子たち」だからこそ告白してもうまく行かない。
自分の気持ちを抑えながら、時には爆発し、
だが、自分以外の誰かを気遣うからこそ
告白をすることも、受け入れることもなかなか出来ない。
4人の関係性はまるで複雑に絡み合った糸だ。
そんな糸が徐々に、徐々に解けていく。
告白
画像引用元:アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』スペシャルMVより
(C)2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
C)咲坂伊緒/集英社
終盤、ようやく思いが通じる。
絡み合った糸が解け誰にも構うこと無く自分の気持ちをぶつけ合う。
涙の告白シーンだ。
ただ、朱里の弟が恋愛感情を消化した展開は理解できるものの、
そこからの恋愛感情の変化がやや唐突であり、
あれだけ引きずっていた恋愛からの切り替えの速さは
やや気になるところではある。
しかしながら4人が4人共落ち着くところに落ち着いた。
そんな納得のできるハッピーエンドでこの作品は終わっている。
総評:このベタ感は悪くない
画像引用元:アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』スペシャルMVより
(C)2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
C)咲坂伊緒/集英社
全体的に見てすごくベタな少女漫画感あふれる青春恋愛アニメだ。
しかしながら、そのネタともいえるシーンの数々が悪くなく、
4人の四角関係なストーリーは最後はハッピーエンドとわかっていても
ドキドキと「ときめき」を感じさせてくれるストーリーと
キャラクター描写のある作品だ。
アニメーションという媒体、特に映画という場においては
ややこの作品は地味だ。背景へのこだわりや
すごく作画がいいというわけでもない。
演出の弱さを感じてしまうシーンも有る。
そういった地味さや演出面の悪さはあるものの、
タイトル通り「思い、思われ、振り、振られ」なストーリーと
4人のいい子なメインキャラたちの恋愛事情が心地よく、
最後は気持ちよく、すとんとハッピーエンドで終わる。
いい意味でも悪い意味でも王道の作品であり、
久しぶりに少女漫画原作らしい作品を味わった感のある作品だ。
個人的な感想:実写映画と同時
画像引用元:アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』スペシャルMVより
(C)2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
C)咲坂伊緒/集英社
ほぼ実写映画と同じ時期に公開された作品だが、
その企画意図はいまいち分からなかった。
これでどちらかがTVドラマかTVアニメなら映画につなげるという
形で宣伝効果が生まれたかもしれないが、
ほぼ同時期で同じ映画という媒体なのは謎でしかなかった。
実写映画の主演である浜辺美波さんなどが
本作品に声優としてカメオ出演しているらしいが、
どこで出演しているかまるで分からなかった…
もし、今から見る人はウォーリーを探せの気分で、
浜辺美波さんを探してみるのも面白いかもしれない(笑)
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