どうもみなさん、前回に引き続き「なろうアニメ」に的を絞ったアニメコラムとなります。
最近は普通にライトノベルや漫画作品でも、
なろうっぽい雰囲気の作品もあるのですが、当サイトとして小説家になろう、もしくはカクヨムで
連載していた原作のアニメ化作品をなろう系というくくりにいれています。
なろう系の魅力
前回は、なろう系がどうして嫌われるのかを考えていきましたが、
今回はなろう系の魅力を逆の視点で考えてみようと思います。
なろう系の多くはチート系スキルでサクサクとした展開で
多くの美少女を侍らせています。
良い意味で「ストレス」を感じにくいのも魅力の1つです。
変にキャラクターが死ぬわけでもない、シリアスになるわけでもない、
一生懸命、血反吐を吐いて努力をするわけでもない。
ある意味で現代的な価値観によるストーリーが描かれている
作品も多くあります。
最近は「タイパ」なんて言葉も生まれて
アニメも倍速視聴してる人も少なくありません。
「効率的」に人生を生きようとしている人が多いのかもしれません。
そういった意味でテンプレ感のあるなろう系作品は
テンプレ感があるからこそ、ぶっ飛んだ展開がなく、
安心感があります。
変に事前知識も必要なく、誰でもお手軽に楽しめる。
それがなろう系作品の魅力なのかもしれません。
さて、そんな「なろう系」作品の中で
私がおすすめする作品を今回はご紹介していきます。
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…
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この世界はなろうらしい「異世界転生」な作品でした。
いわゆる悪役令嬢ものであり、オタクだった自分、
乙女ゲームを楽しんでいて17歳で死んだ自分の記憶を
ある日、唐突に思い出し、自分がそんなゲームの悪役令嬢に
なっていることに気づきます。
ゲームのとおりなら自分は破滅してしまう。
だからこそ、そんな破滅フラグを回避するためにも
奮闘するという物語が描かれていました。
悪役令嬢ものは数多くアニメ化されていますが、
この作品はその中でも頭1つ飛び抜けた面白さがあります。
なによりも主人公が愛すべき存在です。
彼女は脳内でいろいろな自分と会議をし、
ときには前向きに、ときには弱気に、ときには真面目に。
17歳で死んでしまった前世だからこそ、
天寿を全うするためにも破滅フラグを回避する。
そんな姿が可愛らしく、物語の目的もしっかりしており、
破滅フラグを回避するためとはいえ、
それが同時に人誑しのごとく多くの人に好かれていきます。
しかし、ゲームという運命に抗うことは困難です。
終盤には最悪のバッドエンドルートに
入りかねない展開になってしまうのですが、
序盤から中盤までの行動が多くの人からの好意につながり、
彼女を最高のハッピーエンドへと導きます。
この素晴らしいストーリーは1クールだけで満足感があり、
非常に完成度の高い作品でした。
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~
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なろう系作品は低予算で作られている作品も多く、
作画が悪いという評価になる作品も数多くあります。
しかし「無職転生」は違います。
これこそ「なろう」の最終兵器の名には恥じぬ気合の入った
アニメ制作をこれでもかと拝める作品です。
なにせ、この作品をアニメ化するうえで
「アニメ制作会社」が新たに作られています(笑)
この時点でかなり規格外なのですが、
わざわざ制作会社を作ったからこその
作画のクォリティの高さには度肝を抜かれます。
34歳無職の引きこもり。そんな彼が人生の最後で善行を積み、
異世界でもう1度チャンスが与えられる。
これはそんな男の物語、34歳無職の男だからこその
物語が生々しいまでの「性欲」が凄まじい作品です(笑)
テンプレ的なろう要素は多いものの、
それをここまで面白く仕上げるのは本当に凄いという
言葉しか出てきません。
理不尽な異世界で、不器用に生きる彼らの人生を
感じるような作品でした。
転生したら剣でした
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この作品、どこかで見たことのある要素ばかりで
新鮮味という意味では0に近いものがあります。
しかし、それでも作品は作りてしだいで面白くなるんだということを
実感させられるような作品でした。
タイトル通り剣に転生した主人公、
敵を倒せば倒すほど強く慣れる能力をもっているものの、
とあるトラブルで動けなくなり、奴隷の少女と出会います。
チートな能力、奴隷な少女、異世界転生、
テンプレ的な要素ではあるものの、その見せ方が美味い。
チートなサクサク感はきっちりと見せつつ、
奴隷なヒロインと出会って、そこからの関係性の構築を丁寧に描いています。
奴隷の少女の装備となった主人公は
冒険者ギルドへいき…とテンプレ的な展開ですが、
可愛いヒロインと、そんなヒロインが師匠と慕う主人公の
関係性が微笑ましく、しっかりとした作画で、
どっしりと腰を据えた作品に仕上がっています。
たとえテンプレ的な要素でも面白くなる。
テンプレ的な要素も見せ方次第で、
王道の面白さになることを実感出来る作品でした。
慎重勇者 〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜
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なろう系の多くは「努力」という要素がありません。
最初から神様からもらったチート能力で無双を繰り返す作品が
多いわけですが、この作品はその真逆を言っています。
異世界に召喚された主人公はとにかく慎重です。
異世界に通じる扉をくぐらずに、まずは筋トレ。
異世界に転生された主人公が1話のAパート、
1週間筋トレをし続けるアニメはこの作品くらいでしょう(笑)
例え相手に勝てる状態でも「確実」に「余裕」で勝てるまで彼は鍛えます。
本来はレベル20で勝てる相手に彼はレベル30で挑む。
そんな行動理念があるからこそ、彼が敵に勝つ理由に納得できます。
その様子がギャグになりつつ、コメディタッチに物語が進みます。
しかし、終盤でそんなギャグが一変します。
彼がどうしてここまで慎重なのか。
11話、彼はたった一人で魔王城へと向かいます。
女神も仲間たちもおいてたった一人で戦いに赴く、
それには理由があります。
彼の真意、真実を知ったとき、
そしてラストの展開には思わず涙腺を刺激されるような作品でした
冰剣の魔術師が世界を統べる
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慎重勇者も筋トレが描かれていましたが、
この作品は「なろう界」のなかまやきんにくんのような作品でした。
なろう系ではあるものの、この作品は異世界転生や
異世界転移要素はありません、あくまでも魔法が存在する
ファンタジーな作品です。
貴族社会と魔法絶対主義な世界、
この世界では理論的な魔法技術が確立されています。
しかし、そんな魔法な世界なのに「筋肉」要素が押し出されています(笑)
主人公が魔術を使ってるシーンよりも、
肉体美をアピールしてるシーンのほうが多いと言っても過言ではないほど、
序盤は筋肉要素を押しまくっており、
そんなコメディタッチ全開で描かれつつも、
サクサクとしたテンポで進むストーリーを楽しめます。
独特の語彙のあるセリフも魅力で
主人公がヒロインを褒める際に
「キュート!ハートがチクチクする!」
「クール!クールがホットになってしまうな!」
「まさにローズパッションだな!」
と謎の褒め言葉が飛び交います。
主人公は朴念仁でありながら無自覚にヒロインたちを謎の語彙力で
褒めまくり、ヒロインたちの悩みをフィジカルで解決していき、
主人公が魔術をつかってるシーンよりも筋肉を見せつけてる
シーンのほうが印象に残るような不思議な魅力のある作品でした。
この素晴らしい世界に祝福を!
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慎重勇者や冰剣の魔術師もそうなのですが、
なろう系にありがちな要素を「ギャグ」にすると、
なろう系特有の不快感を感じにくく、面白く感じることも多い傾向にあります。
その象徴ともいえるのがこの作品です。
主人公はトラックに轢かれそうになった女の子を助けて死んでしまい、
異世界に召喚されます。そんなベタな導入ですらこの作品はギャグにしています。
主人公は寝不足でトラックと低速のトラクターを勘違いし、
突き飛ばして助けようとした女の子には怪我をさせてしまい、
あげく主人公はトラックにひかれたと思って「ショック死」している(笑)
異世界テンプレを逆手に取ったギャグ展開、
本来は触れることすら禁じられるような「女神」様を
転生特典としてチート代わりに強制的に異世界につれていくことで、
更にドタバタとしたギャグが生まれています。
異世界にいってもチートの限りを尽くすわけではありません。
日々の暮らしもやっと、連れてきた女神様はカエルに飲み込まれ
唾液まみれにされ泣きわめき、仲間になった騎士はドM、
魔法使いは1日1回しか爆撃魔法を使えない。
魅力あふれるキャラクターたちによるドタバタコメディが
たまらない作品でした。
ナイツ&マジック
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この作品も、なろう系作品としては異色な「ロボットアニメ」です。
前世はロボットアニメオタクだった主人公、
そんな主人公が転生した世界では魔法の力を原動力とした
ロボットが存在する世界だったという作品です。
もし、自分の想像通りにロボットを作れる世界があったら。
これは男のロマンの作品です。
前世ではアニメやゲーム、創作物の世界の中でしか
見ることができなかったロボットに、乗れて、作れる。
こんな理想な世界を求めないオタク男子は居るでしょうか(笑)
そんな彼の前世の記憶=ロボットアニメの知識を利用し、
異世界でのロボットがどんどん進化していきます。
異世界では異例とも言える技術やアイデア、
「何処かで見たことのある」ロボットと装備の数々がたまりません。
例えば「国王」専用機を用意しろいわれたら、
貴方はどうしますか?
この作品の主人公は「金ピカ」な機体を用意します(笑)
ロボット好きがロボットに求める「ロマン」を試行錯誤していく。
それがこの作品の魅力です。
主人公のロボット好きなキャラクター性も素晴らしく、
一応チートな能力ではあるものの、
ロボットマニアな彼にどこか愛着を持ち、
「僕が考えた最強のロボット」を実現していく彼に
オタクだからこそ共感してしまう作品でした。
魔法科高校の劣等生
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今やライトノベル原作というイメージも強いのですが、
この作品はなろうらしさもありつつ、ラノベらしさもある、
厨二病的な面白さとなろうの爽快感を合わせたような作品でした。
この作品はいわゆる「 俺TUEEEEE」な主人公なのですが、
彼の同級生の強さを「1」とするなら主人公は「1万」のような
バランスであり、そのせいで序盤はあまり戦闘シーンが
がっつりと描写されず、魔法だけでなく忍術まで体得しているため、
体術だけでも敵を圧倒する始末。
序盤から主人公の潜在能力の高さを見せつつも、
それががっつりと描写されないフラストレーションをためつつ、
1期は2クールという構成だからこそ、
1クール目は丁寧に、2クール目からは爽快感あふれる
ストーリーを展開しています。
特に2クール目からの圧倒的な戦闘シーンの数々は、
言い方を変えれば「主人公による一方的な暴力」とも言えるような
戦闘シーンであり、そんな強さを感じさせる主人公の魅力と、
メインキャラクターたちの可愛らしさが際立っている作品でした。
特に妹の過剰なまでの兄に対する愛や、
主人公に対する恋愛感情、キャラ同士の恋愛展開や
キャラクターの関係性の変化などラノベらしい
魅力的なキャラも多い作品でした。
Re:ゼロから始める異世界生活
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いきなり異世界に召喚された主人公、
そんな主人公はどこか俯瞰的に状況を見つめつつ、
そんな俯瞰的な視線がリアルさを感じさせます。
異世界召喚系の作品、なろう系作品を読んでいる普通の男の子が
本当に異世界召喚されてしまったら…
そんな作品が始まったかと思えば、あっさりと主人公は死んでしまいます。
眼の前でヒロインは殺され、自らも刺され、バッドエンドを迎える。
すると彼の時間が巻き戻ります。
この作品はいわゆる「タイムリープ」ものです。
別ジャンルならシュタインズ・ゲートなどがわかりやすいのですが、
一定の間隔の時間を繰り返しバッドエンドの状況を回避し、
主人公にとっての理想の状況にするために奮闘するというジャンルを
なろう系で行っているような感覚です。
彼にタイムリープ能力以外の特別な能力はありません。
そんな彼がファンタジーの世界でどうやってバッドエンドではない
グッドエンドを迎えるのか。
偶然と経験が積み重なることで理想的な状況へと導く展開は
丁寧なストーリー展開を感じさせてくれます。
2クール構成故にテンポもやや悪く、主人公も若干ウザい感じの性格をしています。
しかし、そんな視聴者目線での彼への嫌悪感やストレスが、
終盤で主人公に「報い」となって襲いかかり、
それが主人公の成長へとつながる。
クズでうざい主人公が18話かけて物語の主人公になる。
その過程が素晴らしい作品でした。
オーバーロード
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今や鬼滅の刃の煉獄さんとして有名になった日野聡さんが主人公を演じる本作品。
プレイしていたオンラインゲームのサービス終了日、
そんな終了日、ある日気づくと主人公はゲームの中のキャラである
「モモンガ」になってしまっており、自分の仲間のNPCとともに
異世界に飛ばされているという状況に陥ります。
なぜこういう状況になったのか、他のプレイヤーはこの世界に存在しているのか。
断片的にそんな情報を主人公とともに探りながら、
意思を持ったNPCの前でプレイヤーである自分ではなく、
「モモンガ」を演じなければならないという状況が面白い作品です。
RPGとはもともと、ロールプレイングの意味を表し、
そのキャラクターになりきることが本質でした。
そんなRPGの面白み、架空の世界での冒険、戦闘を楽しみ、謎を解き明かし、
NPCキャラクターは人間のように意思を持ち、決められたイベントもない
広大な未知のフィールド、無数のNPC、
究極のオープンワールドRPGのような作品です。
丁寧な世界観の描写と魅力的なキャラクターの描写も素晴らしく、
徐々に解き明かされる謎は若干テンポの悪さは感じるものの、
しっかりと腰を据えた面白さを感じることができます。
戦闘シーンは圧巻の一言で、基本的に主人公にも、
彼の仲間のNPCにも異世界の住民にはかないません。
そんなチート、圧倒感を出しつつも、
1クール目の終盤では仲間が操られてしまったことにより、
仲間と死闘を繰り広げる展開は燃える展開でした。
現在アニメは4期まで制作されており、
この調子で原作の最後までアニメ化してほしいところです。
蠱毒を生き抜いた猛者たち
小説家になろうやカクヨムなどは粗雑乱造で
大量の作品が毎日アップロードされています。
そんな中で中にはライトノベルとして出版社から発売され、
コミカライズされ、アニメ化までこぎつける作品は1%にも満たないでしょう。
以前のコラムではひどいなろうアニメをご紹介したのですが、
そんな作品でさえ勝ち抜いた猛者です、
今回紹介した作品はそんな猛者の中でも頭1つか2つ飛び抜けた
面白さのある作品ばかりであり、小説家になろうやカクヨムなどの
なろう系作品がどうして受けるのかというのを
感じさせてくれる作品ばかりです。
特に小説家になろうで10年くらい前に連載していた作品や、
かつて連載していたものの、書籍化などに伴い削除されているは
名作が多い傾向にあるように感じます。
なろう系作品に限らず、名作と呼ばれる作品は
毎クール50本以上放送されて、1本あるかどうか。
それを考えれば、なろう系も意外と打率という意味合いでは高いのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。