評価 ★☆☆☆☆(19点) 全82分
あらすじ 人間が多種多様なモンスターと共存している新世界。強力な生物を狩るために訓練された戦士であるハンターは、角の生えた地底のモンスター「ディアブロス」に船を襲われ、チームと離れ離れになってしまう。引用- Wikipedia
赤字43億の嫁自慢
本作品はモンスターハンターの実写映画作品。
監督はバイオハザードの実写映画でもおなじみのポール・W・S・アンダーソン、
主演は同じくバイオハザードでおなじみのミラジョボビッチ。
現代
モンスターハンターといえば1000万本以上の売り上げを誇る
大人気シリーズであり、現在、モンスターハンターワイルズという
新作も発表されて大盛り上がりだ。
監督が過去に手掛けた実写のバイオハザードシリーズは
モンスターハンターと同じくカプコンのゲームであり、
高い評価を得ている。
だからこそ、この作品が上映される前は
そこまで「やばい」匂いは漂っていなかった。
実際PVだけ見ると悪くないように見える。
しかし、ふたを開けるととんでもない世界が広がってるのがこの作品だ。
まず、舞台は現代である。
なにをいってるか意味不明かもしれないが主人公は現代にいる。
モンスターハンターの世界は巨大なモンスターが
闊歩し、そんなモンスターを倒すハンターが存在する。
決して現代ではない、ファンタジーな世界だ。
だが、主人公は軍事装備に身を包み、大尉の立場として
行方不明になったチームを捜索している。
そんな中で謎の石碑を発見したかと思えば嵐に巻き込まれ、
異世界転移してしまうところから物語が始まる(笑)
なろう系もびっくりな展開だ。
この現代から異世界、モンスターハンターの世界に
行くまでのシーンもやたら冗長で、
主人公の仲間たちがアメリカ的なジョークを口にしたり
歌を歌ったりとくそどうでもいいシーンが多い。
これで彼らがメインキャラならば、
どうでもいいシーンではなくキャラの掘り下げとして
受け入れることができる。
吹き替えでは有名な声優さんばかりが彼らを演じており、
メインキャラっぽい雰囲気を醸し出してる。
しかし、開始30分くらいで主人公以外は全員死亡する(笑)
メインではなくモブのどうでもいいシーンがあまりにも多い。
現代から異世界に行くにしても冗長なセリフが多く、
演出面でもバカの1つ覚えのようにスローを多用する、
そのせいで話が全く進まない。
異世界
いざ異世界にやってくると、状況もわからないまま
主人公たちはモンスターハンターの世界を探検する。
探検するといっても一面砂漠だ、現代でも砂漠である。
異世界でも砂漠、ほとんど絵面は変わらない。
後半になるとオアシスのような場所や拠点のような船も出てくるが、
基本はずーっと砂漠だ。
途中でモンスターの巣穴にいったり、終盤は遺跡にもいったりするが、
基本的な絵面はずっと砂漠である(苦笑)
モンスターハンターといえば多種多様なフィールドと
そこに住まうモンスターを倒すのが特徴だが、
この作品にはそう言った要素はほぼない、ひたすら砂漠だ。
そんな異世界に来た主人公たちは戸惑いながらも
元の場所に戻るためにのんきに歌を歌いながら調査をするのだが、
ディアブロス亜種が突如現れる、
異世界の現地の人の警告もむなしく、多くの隊員があっさり犠牲になり、
ひたすら逃げ回る。
モンスターのグラフィックのクォリティは非常に高いのだが、
それに対して人間のアクションの面白みのなさが限界値を迎えており、
ダラダラとしたアクションは本当に詰まらず、
異様に長回しのシーンも多く1シーン1シーンが冗長だ。
話があまりにもすすまない。
ホラー
なんとかディアブロス亜種から逃げたものの、今度は
ネルスキュラに襲われてしまう。
ディアブロス亜種は巨大な体でモンスター感があるのだが、
ネルスキュラは巨大な蜘蛛だ、それゆえにこのあたりのシーンは
完全にホラー映画であり、BGMや演出も完全にホラー映画のように見せている。
後ろから不意打ちで主人公ことミラジョボビッチが
ネルスキュラに毒をうちこまれて心肺停止状態になって
仲間に見捨てられるのだが、なぜかミラジョボビッチは生き返る。
意味が分からない(笑)
たまたま毒耐性を持っていたのかもしれないが、
このあたりのシーンの突っ込みどころはすさまじく、
ネルスキュラに捕まったかと思えばあっさりと逃げ出し、
仲間が全滅したかと思えば一人だけ助かって一緒に逃げようとしたら、
仲間にはネルスキュラの子供が大量に埋め込まれており、
仲間が子供たちに食われる。
何度も言うがモンスターハンターの映画である。
決してバイオハザードの映画ではない(苦笑)
序盤の30分くらいは完全にパニックホラー状態であり、
モンスターハンター感があるのは登場モンスターくらいなものだ。
いざこざ
ミラジョボビッチがネルスキュラの巣から逃げ出しさまよってると
現地の人と出会う、しかし、現地の人と言葉が通じず、いざこざが発生する。
このあたりの展開でまた20分くらい使う(苦笑)
全然モンスターと戦わず、ミラジョボビッチも
モンハンらしい武器を手にすることもなく、
ひたすらモンスターから逃げ、現地の人とトラブルになるという
展開を104分の尺のうちの半分ほど使う。
この作品の評判が悪いのも納得だ。
序盤はバイオハザードみたいなホラー映画で、
中盤に入ってようやくディアブロス亜種と戦う。
唐突に落ちてた双剣や鎧を装備するものの、
この双剣に関しては映画の最後まで装備しているが、
特に役立つことはない。
ようやくディアブロス亜種を倒すと移動だ。
絵変わりしない砂漠をひたすら歩き、オアシスを発見したと思ったら
リオレイアが現れる。
ちなみにこの時点ですでに映画の時間は1時間を過ぎている。
あと30分くらいでリオレイアをなんとかして
ミラジョボビッチは自分の世界に帰らないといけない大忙しだ(笑)
終盤
実はこの世界と元の世界を移動していた古代人のような存在が
かつていたものの、今は滅亡しており、
そんな古代人が使っていた装置のせいで、たまにミラジョボビッチみたいな
人たちがモンスターハンターに迷い込んできているらしい。
ちなみにもちろん映画独自の設定である(苦笑)
ふわっとした理由で異世界転移の理由が描かれ、
元に戻るためには遺跡に行き、リオレイアをなんとかして
ゲートを通らないといけないという話になる。
現地のハンターとともにミラジョボビッチも戦うのだが
特に役には立たず、戦いの中で唐突にゲートに入ってしまい
元の世界に戻る(苦笑)
そうかとおもえばリオレウスもやってきて米軍は壊滅状態になり、
唯一生き残っていたミラジョボビッチがなんとかしようと戦うのだが、
苦戦しているところに現地のハンターたちもやってきて戦ってくれる。
ちなみに双剣はほとんど役に立たない、
1番役に立ってるのは現地のハンターの弓矢である。
そんなリオレウスを倒したかと思えば、
ゲートを通じて「ゴア・マガラ」も現れてしまう。
果たしてゴア・マガラを倒すことはできるのか、
最後に現れた謎のフードの人物は誰なのか!
俺たちの戦いはこれからだ!
完。
総評:何もかも間違えてる実写映画
全体的に見てモンスターハンターの実写映画を作ろうとして
何もかも間違ている作品だ。
そもそも異世界転移ものになっている時点でおかしく、
そこを飲み込むとしても序盤のホラー映画展開はわけがわからず、
現実世界にモンスターがやってきてドンパチする展開も必要性を感じない。
主人公補正もとんでもなく、毒を食らって仲間に死んだ判定されてるのに
生き返るミラジョボビッチ、舐めプされるミラジョボビッチ、
軍人たちがリオレウスに全員殺されてもミラジョボビッチだけは
生き残る(苦笑)
ストーリーの突っ込みどころもさることながら、
恐ろしいほどのテンポの悪さもあり、
序盤の30分は特にグダグダで、映画の半分くらい過ぎないと
話が進まないのは本当に致命的だ。
そうかと思えば終盤はリオレウスが現れたかと思えば、
ハンターもいっぱいあらわれて、元の世界に行ってと
かなりあわただしい展開になっており、
バカみたいなストーリー構成になっている。
この序盤の1時間くらいのグダグダさがもう少しコンパクトになって
現地のハンターたちとともにいろいろなモンスターと戦ったり、
素材から武器を作る工程などを入れてもよかっただろう。
そういうシーンを入れずに、ミラジョボビッチは拾った双剣を
付け焼刃の練習をしてちくちくダメージを与えるくらいだ。
剥ぎ取りなどのシーンもあるのだが、
序盤のホラーパートといい、妙に生々しくグロテスクな
描写になっている部分も多く、変な方向に描写はリアルにしてるのに
ストーリーの突っ込みどころがすさまじいものになっている。
ラストのクリフハンガーも続編を想定したものなのはわかるものの、
今のところ続編の情報は一切ない。
この突っ込みどころの多さを楽しめる部分はあるものの、
真面目に見ると厳しい作品だ。
個人的な感想:興行収入
製作費に対して興行収入も伸びず、
43億円以上の赤字になったともいわれている。
監督はミラジョボビッチの夫であり、嫁自慢のための映画だと
いわれても納得の出来栄えだ(苦笑)
中国ではわずか1日で上映中止になるなど話題に事欠かない作品だった。
作中でアメリカンジョークとして
「Look at my knees!(僕の膝を見て)」と聞き、
「What Kind of Knees are these?(どんな膝だ?)」と返されると、「Chinese!(チャイニーズ!)」と冗談で返すというシーンが問題になった。
あまり感覚手に日本人にはわかりにくいものの、
「Chinese, Japanese, dirty knees. Look at these(中国人、日本人、汚い膝。これを見て)」
というアメリカの古い童謡であり、アジア人差別の歌詞を
ほうふつとさせるものなのが問題だったようだ。
現在は配信でもこのシーンは見れなくなっている。
これがなければ中国での興行収入が伸びたかもしれないが、
それでも雀の涙だ。
いろいろと問題を抱えた作品なだけにそういう作品と割り切ってみると
個人的には突っ込みながら楽しめる作品だった。
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