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鮨詰めアイドル「アイドルマスター ミリオンライブ!」レビュー

アイドルマスター ミリオンライブ! 青春
©Bandai Namco Entertainment Inc.
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評価 ★★☆☆☆(38点) 全12話

【アニメ】【ミリオンライブ!】劇場先行上映本予告PV【アイドルマスター】 #ミリアニ

あらすじ まだ見ぬ夢を掴みたい、春日未来。アイドルに憧れ揺れる、最上静香。本気になれる何かを知らない、伊吹翼。アイドルの輝きに導かれた3人を待っていたのは、新たな仲間。引用- Wikipedia

鮨詰めアイドル

本作品はアイドルマスターシリーズのアニメ作品。
監督は綿田慎也、制作は白組

フルCG

本作品はアイドルマスターシリーズとしては
初のフルCGアニメだ。
制作が白組ということもあってか、いわゆるセルルックCGになっており
CG特有の違和感はかなり抑えられている。

自然かつぬるっとしたキャラクターの動きは
CGだからこその細かい動きが描かれており、
CGが苦手な人でも受け入れやすいものになっている。

主人公は1話の冒頭の段階ではアイドルですら無い。
春日未来という少女には「夢」と言えるものはない。
色々な部活動に参加するものの、これといえるものもなく、
漠然と日々を過ごしている。
そんななかで「765プロ」のライブのチケットをもらうことで
彼女の夢へとつながる。

懐かしい面々も1話から登場することで、
「アイドルマスター」という作品を知っていれば知っているほど
1話は楽しめる。
あのプロデューサーや、あの社長、懐かしい面々だ。
そしてステージにはあのアイドルたちが堂々と立っている。

1話からフルCGだからこそのライブシーンを見せてくれる。
「影」の演出から、きらびやかなアイドルとしての姿を
全開にステージの上で見せてくれる姿は素晴らしく、
一人ひとりをきちんと動かしながら、表情を見せ、
そんなライブシーンに主人公も見惚れる。

夢がなかった彼女が「夢」を見つける瞬間を
765プロのアイドルたちを使って描くことで、
自然とアイドルに憧れる主人公に感情移入することができる。

かつてアイドルとして様々なことを乗り越えてきた765プロ。
そんな彼女たちがプロのアイドルとしてのステージを披露することで、
アイドル未満の少女たちを魅了していく。

「アイドルになりたい!アイドルをやってみたい!」
そんな思いを同じライブにきていた静香に彼女はぶつける。
静香はアイドルになりたい女の子だ。
子供の頃からアイドルに憧れてはいるものの、
その一歩が様々な事情で踏み出せない。

しかし、春日未来という主人公はそんな彼女の背中を押す。
ともに踏み出すアイドルへの一歩だ。
今までのアイドルマスターはメインキャラが
事務所所属している時点から始まっていたが、
この作品はオーディションから始まるところが面白いところだ。

ドバドバ

主人公と最上静香はオーディションを受ける段階だが、
そのオーディション以前にスカウトや別のオーディションで
合格しているメンバーも居る。

このメンバーが異様に多い。
2話からそんなメンバーたちも出てくるのだが、
名前がテロップでちらっと出るだけで、
出番も少なく、誰が誰だか記憶に残らないほどの
キャラクターがどんどんと出てくる。

レッスンを受けていたり、仕事をしていたり、
オーディションの受付をしているものの、
ちょっとキャラクターが出すぎだ。

アイドルですら無い「カメラマン」も名前のテロップ付きで
出てくるのも混乱しやすい。
アイドル兼カメラマンなキャラクターならばともかく、ただのカメラマンだ。
ただでさえキャラが多いのにカメラマンまで出てくるのは
ちょっと厳しいところだ。

更にそこにすでに765プロに所属しているアイドルも出るため、
もうキャラクターで大混雑している。
1クールで39人のアイドルを出すのは流石にやりすぎだ。

更にアイドルマスターの最初のアニメで出てきた
765PROオールスターズの13人もちょいちょい出てくる。
そこにマネージャーやスタッフなどを足せば、
60人近いキャラが出てくることになる。
あまりにも1クールでキャラを出しすぎている印象だ。

オーディション

しかし、そんなオーディションの模様は素晴らしい。
主人公も最上静香もアイドル未満だ。
だからこそ技術というものがまだ追いついていない。

そんな二人が先にオーディションに受かっているキャラを含めて
3人でオーディションで踊るシーンがあるのだが、
決して上手とは言えない「ダンス」をフルCGで表現しつつ、
決して上手とは言えない「歌」を声優さんが歌い演じている。

歌がうまいからアイドルというわけではない、
ダンスが上手いからアイドルというわけではない。
「人を魅了」するからこそアイドルなのだといいたいような、
オーディションの描き方が素晴らしい。

39人によるアイドル、ミリオンスターズ。

ライブシアター

ミリオンスターズがライブをする場所は劇場だ。
まだ劇場自体も出来上がっておらず、
原っぱしかない、そんな原っぱに
オーディションに受かったアイドルたちが集まってくる。

序盤は主人公、最上静香、伊吹翼を中心に物語が綴られており、
アイドルに憧れる少女たちがアイドルになるまでの物語が
1話と2話で描かれているのだが、
3話からはそこにドバドバキャラクターが増えてくる。

出てくるたびに名前のテロップが出てくるのだが、
名前をおぼるまもなくシーンが切り替わるといなくなる。
本来は一人ずつ掘り下げてほしいところなのだが、
そんな掘り下げをできるレベルではないほどのキャラクター数だ。

この作品は2023年秋アニメとして放送されたが、
2023年夏アニメには同じアイドルマスターシリーズの
U149がアニメ化され放送されている。
同じ1クールでありながらU149はメインのアイドルは9人だが、
この作品はその4倍以上の人数が出ている。

流石に多すぎだ。
そこまで多くのアイドルが出てきても、ほとんどが記憶に残らない。
ソーシャルゲーム原作アニメはガチャというシステムが有る都合上、
キャラクターが多い傾向にあるが、
そんなソシャゲ原作アニメとしてもキャラが多すぎる。

一応は主人公、最上静香、伊吹翼が
他のキャラに比べて後輩の立場として関わっていくのだが、
すぐにそんな後輩も先輩もなくなってしまい、
キャラを掘り下げきれていないままに初ライブも描かれてしまう。

掘り下げが少ないままにライブをされても、
いまいち盛り上がりに繋がらない。

新キャラ

ただでさえ序盤からキャラクターが多いのに、
中盤では更に二人のアイドルが追加される。
序盤から中盤までに出てきているキャラクターを
掘り下げきれていないのに、更に追加されてもという感じだ。

あくまでも話の中心に居るのは
春日未来、最上静香、伊吹翼であり、他のキャラは完全にサブキャラか、
下手したらモブキャラになってしまっている。

6話で劇場完成し、チームファースト、チームセカンド、チームサードと
ユニットごとにデビューしていくのだが、
このデビューしていくユニットにしても、
掘り下げが甘いせいで名前とキャラの見た目が結びついておらず、
印象のうすすぎるキャラによるライブシーンを見せられている印象だ。

大前提として原作をやっていて
それぞれのキャラにある程度以上思い入れがあると
ファンサービス的なシーンもあるため、楽しめると思うが
アニメだけ見ている、またアイマスシリーズを一切知らないと
この大量のアイドルに押し倒されてしまう感じだ。

序盤から最上静香は父との問題を抱えている。
彼女の父は厳しく、彼女のアイドルという夢を認めておらず、
アイドル活動も中学生までと決めている。
中盤までの原っぱのライブを見ても父は認めてくれない。
だからこそ彼女にも焦りがある。

そういった問題が1クールずーっと続いており、
なかなか解決せず、そのせいで他のキャラの掘り下げや
担当回というのもほとんどなく、
色々なアイドルをどばどば出して話を作り上げている。
そのせいで終盤になっても一人ひとりのキャラの印象が薄いままだ。

終盤で最上静香が父に認めてもらうためにも
ライブでソロで歌うシーンがあるのだが、
メインであるはずの彼女への印象も掘り下げも足りていないため
感動には至らない。

39人というキャラの多さのせいで
メインの立ち位置のキャラでさえ薄まっており、
ストーリーの盛り上がりに繋げきれていない。

終盤

アイドルマスターシリーズのアニメはどれも終盤には
いわゆるシリアス回が合ったのだが、この作品にはそれがない。
最上静香の問題が解決すれば大きな問題もなくなり、
ろくにキャラを掘り下げていないためキャラの内面を
更に掘り下げるようなシリアス回も必然的に生まれない。

765プロが作り上げた劇場の「こけら落とし」の
ライブの準備をそれぞれがして、合宿をする。
アイドルマスターシリーズのアニメといえば
「プロデューサー」も、もうひとりの主人公のはずなのだが、
この作品のプロデューサーは特にキーパーソンでもない。

今までのアイドルマスターシリーズのアニメが築いてきた要素を
39分割してしまったような薄すぎる要素だ。
主人公的な立ち位置の「春日未来」ですら
元気な女の子くらいの印象しか残らず、
あとは最上静香以外は名前すら記憶に残らない。

そんな中でラストライブをやられても盛り上がりには繋がらない。
ドラマもなければキャラへの愛も生まれないまま、
ライブをやられても感情がそこについてこない。

ライブのCGのクォリティは素晴らしいものの、
その素晴らしさに感動できない。
最終回のライブシーンにしてもステージ上のアイドルだけでなく
楽屋で待機してるアイドルも映すため、
場面転換が多く盛り上がりが維持できていない印象だ。

一応、トラブルとして音響設備が壊れるという問題があるものの、
別に大したトラブルでもなく、それが盛り上がりにつながるわけでもない。
実際のアイマスのライブでも同様のトラブルが起こったようで、
史実の再現のようだが、ファンでないとそのあたりもピンとこない部分だ。

結局、最初から最後まで多すぎるキャラクターに
振り回されまくっている作品だった。

総評:1クールで39人は多すぎる

全体的に見て1クールにしてはキャラがあまりにも多すぎる作品だ。
39人の新しいアイドル、そして765ASの13人で
総勢52名のアイドルに、カメラマンやマネージャーや事務所の職員なども
出てきて1クールの中でキャラクターが鮨詰め状態だ。

メインキャラは主人公である春日未来と、伊吹翼、
最上静香を据えているものの、最上静香の物語は描かれていたが、
春日未来と伊吹翼の物語はかなり薄く、
出番も数分もないアイドルもおり、先輩アイドルである
765ASのファンサービス的な出番のシーンのほうが印象に残ってしまう。

せめて2クール、このキャラをさばくなら4クールは本来は必要だ。
しかし、1クールでそれをやってしまったために、
ほとんど掘り下げのないキャラクターばかりで、
アイドル以外のプロデューサーなど存在感があまりにもなさすぎる。

アニメアイドルマスターシリーズ特有のシリアス回や、
キャラを曇らせるような回も少なく、
淡々としたストーリーやコメディな話も多く、
気づけば最終話になっており、描かれている内容の薄さに驚いてしまうほどだ。

原作のゲームをやっていればキャラの印象もある程度あるため
問題ないかもしれないが、アニメだけを見ている人にとっては
キャラの印象が残らない作品になってしまっている。

CGのクォリティ、アニメーションは高いクォリティで描かれているが、
肝心のストーリーがアニメーションのクォリティに対して劣っており、
せっかくのライブシーンも盛り上がらず、印象に残らない。

もう少しキャラを減らしてU149のように9人くらいに絞れば
ドラマも生まれたかもしれないが、
流石に39人のアイドルを描くのは1クールという尺では
無理がある中で、なんとかファンサービス的に39人を
登場させたのはわかるが、新規勢には優しくない作品になってしまっていた。

個人的な感想:残念

アイドルマスター、シンデレラガールズ、SideM、U149と
私は全てのアニメを楽しんでみてきた。
私のレビューでもどの作品も高評価であり、
一時期はデレマスのゲームも楽しんでいたほどだ。

しかし、この作品だけは高評価には出来なかったのが
本当に残念でならない。
39人のアイドルを1クールで出す、それは前提条件だったのかもしれないが、
その前提条件から色々と無理がある作品だった。

2024年に放送されるシャイニーカラーズが一体どうなるか…
ちょっと不安のほうが大きくなってしまった作品だった。

「アイドルマスター ミリオンライブ!」に似てるアニメレビュー

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  1. 匿名 より:

    劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』に一部ミリマスメンバーがバックダンサーとして合宿に参加していました。残念ながらミリアニでの出番はあまりなかったですけど。