評価 ★★★☆☆(45点) 全12話
あらすじ ある日、7人の超人的な能力を持つ高校生の乗った飛行機が太平洋上空で消息を絶ってしまう。引用- Wikipedia
これぞドヤりの真骨頂!?
原作はライトノベルな本作品。
監督は柳伸亮、制作はproject No.9。
7人の超人
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
1話早々にナレーションで「7人」のメインキャラクターの紹介が行われる。
あるものは発明家、あるものは剣豪、あるものは医者、あるものは政治家、
あるものは実業家、あるものはマジシャン、あるものはジャーナリスト。
彼らは高校生ながらに「超人」と呼ばれるほどの能力を持っている。
ただ、残念なのはこれをナレーションベースで説明してしまう点だ。
癖が強く「分野の違う天才」な彼らの特徴をナレーションベースで
片付けてしまうのはひどくもったいなく、
この冒頭のナレーションによる説明はいらなかったのでは?と感じてしまう。
昨今はいわゆる「なろう」作品が流行っており、
多くは異世界に転移、転生したあとに何らかのチート級の能力を手に入れて、
その能力で異世界を無双する。
しかし、この作品の場合は異世界に転移する前から彼らは
1つのジャンルにおいてチートだ。
超人な彼らは同じ飛行機に乗り、事故にあったはずが
何故か異世界に転移してしまったという所から話が始まる。
唐突
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
怪我をしてエルフの住む街に保護された彼ら。
主人公は意識は覚めるものの、食事をするほどの体力は戻っていない。
そこでエルフの少女は思いつく
「私が噛み砕いたものを飲ませればいい」
どこの「もののけ姫」かな?と思わずツッコミたくなるほど、
露骨かつ艶めかしい口移しを見せられる。
セクシーなシーンと言うよりもあまりにも唐突な展開に逆に笑ってしまうほどだ。
そんな普通の高校生なら慌てふためき動揺してもおかしくない事をされた
主人公だが、そこはさすが超人だ。彼は世界最高の政治家だ。
一切動揺せず、慌てず、彼女の行為に感謝し受け入れる。
さすがは世界最高の政治家である(笑)
だが、そんな世界最高の政治家でも流石に異世界に着たことには困惑しており、
「自分たちが何故か異世界の言語」を話せることに戸惑いつつ、
1分ほどで自分たちが異世界に着たことを自覚する。
さすがは世界最高の政治家だ、現状把握能力が早い。
他の6人も、一人を除きあっさりと状況を飲み込み、
1話の10分足らずで異世界の村に馴染んでるくらいだ。
さすがは超人と言われる天才たちと納得してしまいそうになるものの、
サクサクと進むストーリー展開は悪くない。
マヨネーズ
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
まず、彼らがすることは「食」の改善だ。
ふかした芋というシンプルなものを食べてる異世界人に、
主人公はドヤ顔で調味料を披露する
「これが世界を席巻した魅惑の調味料、マヨネーズだ!」
たかがマヨネーズでよくぞここまでドヤ顔できるなと思ってしまうほどの
ドヤ顔っぷりは爆笑しか無い。
「超人」でなく「一般人」でも作れるようなマヨネーズで
異世界人にドヤ顔する彼らをギャグのように楽しむことができる。
超人は主人公以外にも6人居て、一緒に日本に帰るために画策する。
異世界に来て一ヶ月も立たない内に7人のスマホをこの世界でも
使えるようにした「発明家」のほうがよっぽど凄いくらいだ(笑)
マヨネーズでドヤ顔シてしまう主人公という、
ある意味で強烈な印象を受ける1話だ。
なにせ1話の最後に主人公は超人たちに向かってこう言い放つ
「我々があまり本気を出しすぎると、この世界を壊してしまうからね」
とてつもないイキリ具合である(笑)
もはやまともに主人公の顔を見れないと思うほどに
彼のセリフが狙ったギャグのようにしか聞こえない。
ちなみに彼は2話になってもマヨネーズを作ってる。
この作品の謎のマヨネーズ推しは意味不明な領域まで達しており、
作中でマヨネーズが出るたびに笑ってしまう。
マヨネーズで世界を壊すのでは?と思うほど彼はマヨネーズづくりに勤しむ。
超人高校生たち
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
本作の主人公は「世界最高の政治家」だ。
ゆえに彼が何かをするというよりは彼は他の「超人高校生」のまとめ役だ。
1話でドヤ顔でマヨネーズを披露し、2話でもマヨネーズを作り続ける彼だが、
他の「超人高校生」たちは異世界で様々なことをする。
彼らは怪我をした自分たちを保護してくれた「村」のために様々なことをする。
世界最高の実業家は獣人やエルフなどが居るこの世界で商いをし、
貧乏な村のために金を稼ぐ。
なんの苦労もなくサクサクと進むというご都合主義感は否めないものの、
序盤からのマヨネーズ推しのせいでこの作品を「軽く」受け止めやすく、
テンポよく進むストーリー展開が心地良いくらいだ。
主人公以外にも「俺は魔王と呼ばれた男だ」とドヤったり、
明らかに瀕死な重症を追った獣人を1分もかからずに手術で救ったり、
わかりやすく「イキり」まくる彼らがイキればイキるほど
ギャグとして笑いを誘われる。
ほとんどのキャラが自信満々で、その自信満々な様がなぜか笑えてしまう。
ちなみに主人公はそんな彼らに「ご苦労」と言い放つ。
流石、世界最高峰の政治家である自らの手を動かさず、
自らの手駒を動かす。
敵も敵で分かりやすい。もはやテンプレートのような
あくどい商人だったり、権力に溺れてる領主だったりと、
Theテンプレートな「悪人」が分かりやすい敵として彼らの前に立ちふさがるが、
わかりやすくあっさり倒す流れは「水戸黄門」を見てるかのような安心感だ。
手品師
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
ただ、こいつだけは意味不明だ。
「世界最高峰のマジシャン」という肩書の彼だが、
彼の行動だけは本当に「ご都合主義」という範疇を超えている。
例えば彼らの村に領主の使いがやってきて難癖をつけて彼らを国家反逆罪にし、
住人たちが住む家に火をつけて立ち去る。
燃え盛る家の中にいる住人を何とかしないといけない。
そんな状況で主人公は「溶接した棺からも脱出した男がいるから大丈夫」とドヤる。
常に他人任せなのはいつものことだが、そんな任された手品師が謎だ。
彼はいきなり空中に現れ、指を鳴らすと煙とともに
燃え盛る家の中にいる住人が突然、外に現れる。
一体どういうことなのだろうか(笑)
領主の使いがやってくるのは想定できなかった自体だ。
しかも「火」までつけられている。手品師とは常に「準備」が必用なものだ。
何らかの仕掛けを施し、それを作動させることで見てる側には
摩訶不思議な現象が起こる、それが手品師だ。
種も仕掛けもあるのが手品師のはずだ。
しかし彼がやったことは原理がまるでわからない。
「手品」というにはあまりにもぶっ飛びすぎて魔法か何らかの
超科学技術でなければ説明がつかず、ちょっと意味不明だ。
「世界最高峰のマジシャン」という超人キャラを作り出したはいいが、
使い方が思いつかなかったのでは?と思うほどに
マジシャンの領域を超えすぎたキャラになってしまっている。
燃え盛る家から住人を手品で助け出すより、
発明家が何らかの方法で大量の水をぶっかけたほうが早いと思うのだが、
絶対に火は消さない。3話から4話に至るまでずっと燃え続けている(笑)
燃え続ける家の前で主人公がドヤ顔で語るさまは絵になってることを考えると、
主人公をかっこよく魅せるためにあえて家を燃え続けさせたのかもしれない。
自覚
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
この作品は「なろう」原作ではないものの、他のなろうと似ている部分も多い。
異世界という場所でチートな能力を持つキャラクターが無双しつつ、
元の世界に帰る手段を求める。
ただ、他の作品とは違い、この作品のキャラは自分自身を「自覚」している。
「またオレ何かやっちゃいました?」
これはとある「なろう」作品の有名なセリフだ。
彼の場合は自分自身がとてつもない力を持ってることを自覚してないからこそ、
こんな言葉が出てくる。それに嫌悪感を持つ視聴者も多い。
しかし、この作品の場合はきちんと自分たちが「規格外」の力を持ち、
異世界よりも遥かに進んだ科学力や知識を持ってることを自覚している。
その自覚が「ギャグ」として作用しており、
はっきり言えばあからさまにこの世界の住民を下に見ている(笑)
自分たちがいかに凄いか自覚した上での言動や行動だからこそ、
不思議とそこに嫌悪感を感じない。
なにせ
「命のやり取りとなれば本気を出さざる得ない、
結果、この世界の文明を500年進めてしまうだろう。
ようするにこの世界事ぶち壊すことになるが、それでも本気を出していいのだね」
もはやドヤりの真骨頂なセリフまで飛び出す(笑)
こんなセリフを真面目に受け取れはずもなく、彼らがドヤればドヤるほどに
大爆笑してしまう。
宗教
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
異世界の住人を下に見ていなければ自分たちを
「神」といい出したりはしないだろう。
自分たちの力が「超人」であることを自覚し、異世界の文明レベルが
圧倒的に自分たちが知る売る文明よりも下だからこそ、
自らの力を見せ方によっては「神の所業」にみせることもできると考える。
街に行き手品を見せ、神の品とマヨネーズをばらまく(笑)
必ず「マヨネーズ」が出てくるところがこの作品のいいところでも有り、
マヨネーズが出てくることで彼らのドヤりっぷりが
いい塩梅にギャグとして受け止めることができるようになってる。
主人公たちの権力の範囲も大きくなることで
主人公のネタでしかなかった「世界最高の政治家」という肩書が生きてくる。
きちんと「主人公の魅力」というのが中盤からにじみ出てくる反面で、
主人公の過去が色々と謎だ。
彼の父も政治家だ。汚職にまみれた政治家だった父を告発し、
結果として主人公の父は「死刑」になった。元々彼が住んでいたのは「日本」だ。
突っ込んではいけないのかもしれないが、汚職で死刑というのは
主人公の父はどんなことをしでかしたのだろうか(苦笑)
主人公を主人公足らしめた過去や主人公の魅力がせっかく出てくるのに、
その反面でこういう「ツッコミどころ」があるのは、ある意味この作品らしい。
真面目な面白さが出てきたかと思えば、
この作品はギャグアニメだぞと言われるようなツッコミ所だ。
掘り下げ
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
ただ1クールにしてはメインキャラクターが多い。
異世界からきた超人高校生だけで「7人」もいる。
それぞれのいわゆる「担当回」があり、彼らの過去などがきっちり描かれることで
最初は印象の薄いキャラだったキャラがきちんと印象がつくようになってる。
「超人」であるがゆえの彼らの重い過去は
彼らを彼らたらしめん設定がしっかりとある。キャラクターデザインもよく、
きちんとそれぞれのキャラの立ち位置がしっかりしており魅力的なキャラも多い。
ただ、「剣豪」と「マジシャン」だけは担当回的なものがなく、
序盤で掘り下げのあった「商人」も中盤以降はやや影が薄い。
このあたりは1クールでは仕方ないのかもしれないが、
本来は原作にももっと一人ひとりの活躍があるであろう部分がなく、
「7人のメインキャラ」をバランスよく描写してるとはいい難い。
ついでにいってしまえば、この作品に「ハーレム要素」はない。
異世界から着たメインキャラクターが多いというのもあるが、
主人公に思いを寄せるキャラはいるもののハーレムとまでは行かず、
この手の作品にありがちな好みの分かれるハーレム要素がないというのは
この作品の利点の1つだろう。
主人公に思いを寄せるヒロインもきちんと「理由」が描かれており、
無条件で主人公に思いを寄せているわけではない。
「ラノベ原作」とは思えないほどきちんとと恋愛模様を描いている。
核
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
この作品の面白いところは異世界に着た彼らは
異世界に来る前と同じ力と技術しかない。
ゆえに異世界における「魔法」を彼らは使うことは出来ない、
魔法は彼らにとって未知の力であり、それゆえに抗う術を求める。
現代兵器ですら防ぎようのない敵の使う「魔法」、
それに対して彼らは人類における最大火力とも言うべき「核」を作り出す。
アニメでそれをきちんと「明言」することはない。
だが、そう臭わせるキャラクターの台詞がきちんとあり、
それを用いなければならない主人公の葛藤も描かれている。
彼らは独裁者に支配されている国を解放し、自らの国を立ち上げる。
国を作るには力が必用であり、そのための核だ。
マヨネーズでドヤ顔してた主人公はどこへやら、
きちんと「政治家」としての主人公の魅力を確立していく。
凡人
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
それでも核で倒しきれない敵がこの作品には存在する。
「余裕」とは名ばかりの強敵もきちんと存在し、
終盤になるとこの作品の面白さがより強まっていく。
だが、惜しむべきは1クールで終わってしまう。
最終話には思わせぶりに「新キャラ」も現れ、
俺たちの戦いはこれからだで終わるテンプレ展開で終わってしまっている。
せっかくマヨネーズだけではない主人公の魅力が出てきたところだ。
彼は自分自身が他の超人とは違うと自覚している。
「誰にでもできる方法で誰にでもできる政治を行ってるだけだ、
私は超人ではない」
それは謙遜ではなく、自らを俯瞰で見た主人公自身の評価であり、
そんな彼が異世界における統治者の天才である敵との戦いに不安を感じ、
話が終わる。
物凄くいいところで話が終わってしまっているのは本当に残念だ。
そんな「惜しい」と思ってる中で最終話の最後の最後まで
「マヨネーズ」を推してくる(笑)
最初は異世界のツボに保存していたマヨネーズが見慣れた容器になって
彼らの前に姿を表し、物語終わる。
この作品はなんなんだろうか、真面目に考えるだけ無駄だと
言われてるような「マヨネーズ」の存在感が作品の象徴にもなっており、
マヨネーズに始まり、マヨネーズに終わる作品だ(笑)
総評:行け!行くんだマヨ太郎
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
全体的に見て非常に楽しい作品だ。
事故にあった超人たちが異世界で自らの力を振るう、
「なろう」系と呼ばれる作品にありがちな展開ではあるものの、
「なろう」系とは違うストーリー展開やキャラ描写をしており、
軽いノリで始まりつつも、しっかりと魅せるところは見せている。
この作品の1番いいところは「嫌悪感」がないというところだろう。
主人公はじめメインキャラは自分たちの力を自覚し、
異世界の住人にドヤ顔でそれを披露するシーンは多いものの、
きちんと自覚しているからこそドヤ顔でも嫌悪感をいだきにくい。
真面目に異世界での彼らを描いてるはずなのに、
ところどころ笑わせるつもりとしか思えない要素もあり、
序盤のエルフによる口移しや、作品全体での謎のマヨネーズ推し、
女性キャラクターのセクシーな描写の数々のおかげで、
話が重くならず、作品のツッコミどころはありつつも、それがギャグにも見える。
異世界に来て「核」まで開発し敵と戦っている。
描き方によってはもっと重い話になってもおかしくない状況だが、
全体的に「軽く」描かれているためサクサクと話が進み、
その中できちんと一人ひとりのキャラを掘り下げている。
惜しむべきは色々と面白くなってきたところで終わってしまっており、
2クールぐらいでガッツリと描かればもっと化けた作品だったのでは?
と感じる部分があるのが残念なところだ。
個人的な感想:意外と
引用元:©海空りく・SBクリエイティブ/「超余裕!」製作委員会
この手の作品は正直に行ってしまえば見飽きてる部分がある。
ただ、この作品はそんな見飽きた人が見てもしっかりと楽しめる、
ご都合主義はあるものの軽いノリ、ギャグ要素やセクシー要素もしっかりとあるが
そこに「嫌悪感」はない。
だからこそ最初は印象の弱かったキャラの印象が
話が進む事にきっちりとついていき、
最後は終わるのは少し寂しくなるような作品だった。
ツッコミところはおおく、気になる点はあるものの、
そういう部分を突っ込まれる余裕のある作品でもあった。
いい意味でライトノベル原作らしいノリと軽さが有り、
このツッコミ所の多さや軽いノリやキャラ描写は見る人の好みに
分かれる部分はあるかもしれないが、1話のマヨネーズで
ドヤ顔する主人公に笑ってしまえば最後まで楽しめる作品だ。
個人的には2期が来てほしいところだが….
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