評価 ☆☆☆☆☆(5点) 全12話
あらすじ ブラック企業に勤めるサラリーマン・佐藤亮太は、ある日ふと気がつくと、見知らぬダンジョンの中にいた……!引用- Wikipedia
殴れや!!!
原作は「小説家になろう」で連載されている小説作品。
監督は柳瀬雄之、制作はMAHO FILM
MAHO FILM
制作のMAHO FILMは作画が悪いことで定評のある制作会社だ。
基本的に「なろう」作品のアニメの制作を手掛けており、
異世界はスマートフォンとともに。を制作したスタッフが
独立して設立した制作会社でも有る。
そんなMAHOFILMらしさが1話冒頭から感じられる。
本当に令和のアニメなのか…?と思うほど作画が悪い。
やたらアップの絵が多く、そのアップも過剰だ。
キャラクターの全身を描くよりも顔だけにしたほうが
作画コストは低くなるものの、それを顕著に感じる。
クォリティが高いわけでもない止め絵をアップにしたり、
引いたり、エフェクトを付けたり、
とにかく作画枚数を減らすことに必死だ。
本編だけでなくOPの時点からその調子だ。
OPでもアップを多用し、本編でも使われるシーンや背景絵を
使いまわすことでようやくOP映像を構成しており、
OPの時点で主人公の顔の作画が安定していない。
ドロップ
異世界ではすべてのものがモンスターから「ドロップ」される。
例えばスライムを倒せば「もやし」がドロップする、
冒険者たちはダンジョンの中のモンスターを倒し、
そんなドロップ品を売ることで生活している。
当然「ステータス」の概念も存在する。
ドロップ関連のステータスも存在し、
人によって落ちやすいものや落ちる量が違う。
そんな世界で主人公は唐突にスライムからドロップする。
ちなみに主人公のドロップ関連のステータスはMAXのSだ。
基礎ステータスは平均か、平均以下ではあるものの、
ドロップ運だけはいわゆる「ユニークスキル」レベルであり、
ただのスライムを一匹倒すだけで山程もやしをドロップする始末だ。
社畜だった主人公は前世で倒れ、入院し、
退院した矢先、会社で仮眠をしているといきなり異世界に転移している。
この手の設定もありがちであり、特に面白みもない。
そんな社畜人生だった主人公が少女が倒したスライムからドロップし、
社畜な人生を送っていた主人公を少女は慰めてくれる。
そんな彼女に感謝し、彼女のために稼ぎ、
アパートを借り、彼女と同棲することになる。
トントン拍子に進むストーリーはテンポこそいいものの、
逆にテンポが良すぎてスカスカだ。
ありとあらゆるものがドロップする世界。
そんな世界でなぜか「なにもドロップしない」ダンジョンが
急に発生するところから物語が動き出す。
lv1
この世界でのレベルは上限が在り人によって違う。
主人公はレベル1が上限だ。
一生レベルは1のままだがドロップ運だけがいい。
それがこの作品の主人公の特徴もである。
しかし、そこは「なろう作品」だ。とんでもないご都合主義が発生する。
「なにもドロップしない」ダンジョンで主人公がモンスターを倒すと
「種」がドロップし、そんな種を使うとステータスがあがる。
ドラゴンクエストなどのRPGではありがちな
レベルに関係なくステータスを上げるアイテムがいきなり現れる。
この時点でレベルという概念が意味がなくなる。
lv1だけどドロップ運が最高で、ステータスを上げられるアイテムのお陰で
レベルに関係なく無限に強くなれる。
とんでもない主人公のためのご都合主義が
作品の面白さになっておらず、ただただ深い溜め息をついてしまう。
ご都合主義
1話の時点でかなりご都合主義な作品だが、
2話以降もそんなご都合主義が続く、というよりご都合主義だけで
この作品は構成されていると言っても過言ではない。
主人公はHPがSランクまであがり、
強い冒険者の攻撃にもモンスターの攻撃もまるで食らわなくなる。
そんな状況でご都合主義ダンジョンの2階に訪れると、
今度はHPのかわりに力があがる種がアップする(苦笑)
もう、この異世界のすべてが
主人公のためにお膳立てしているような感覚だ。
ステータスだけでなく女性キャラクターもだ。
異世界転移した瞬間に優しい女の子と出会って同棲、
高品質なにんじんをドロップする主人公は
人参が大好きなうさぎの女の子に気に入られ、
ギルドの受付の女の子にもなぜか気に入られている。
原作やコミカライズではもう少しこのあたりの序盤を
丁寧に描いているようだが、アニメではヒロインを多く
出したいせいか、かなり省略して描いているせいで、
余計にご都合主義が目立つ。
作画も悪いせいで戦闘シーンが多いのに盛り上がりに繋がらず、
展開の雑さと省略、作画の悪さのせいで、
作品のご都合主義が悪目立ちしている印象だ。
ハグレモノ
この世界のあらゆるものはダンジョンのドロップ品だ。
だが、そんなドロップ品が人気のないところに放置されると
「ハグレモノ」と呼ばれる凶悪なモンスターに変貌する。
この時点で意味不明だ。
人気がないというのがどの程度なのかは
定義づけされていないものの、もやしや人参など
ただの野菜レベルですらダンジョンのドロップ品ばかりなのに、
人気がないところにそれがあるとハグレモノになってしまう。
例えば街から離れた場所に家があって、その家の中に
あまりものの野菜を放置して
でかけてしまえばハグレモノになるのだろうか?
このあたりのガバガバ感は凄まじい。
3話で出会った冒険者と商人が崖の下に
ダンジョンのアイテムが詰まった商品を落としてしまい
困っているという状況になる。
そんな状況でハグレモノが現れる危険性が生まれている。
状況的に1時間くらいで、距離で言えば100Mほど離れるだけで
ハグレモノになる世界だ。
もうそこらじゅうハグレモノだらけになってもおかしくなさそうだ。
中盤では主人公の試験のためにあえてハグレモノを作るシーンが有るが、
このシーンでは数分と数メートルでハグレモノ化している。
これもご都合主義だ。
ハグレモノは本来、何もドロップしないモンスターだ。
だが、主人公がそんなハグレモノを倒すと「銃」をドロップする。
ただでさえチートな力を持っているのに
魔法弾を撃つことができるチートなアイテムまでゲットだ。
殴れ…
しかし、弾数の問題は有るのにも関わらず、
ただのゴキブリ退治に使ったりと一貫性のない展開にも頭を抱えるしか無い。
更にご都合主義が続き、ドロップ品をあえて人気のないところに放置し、
意図的に「ハグレモノ」をつくり弾もゲットできる。
そもそも攻撃力もSランクになっているのに、
遠距離武器である銃を使うのも意味がわからない。
物理攻撃がききにくい相手に氷などの属性は付与された
銃弾を使うのはわかるが、彼は頑なに殴ってくれず、
銃弾が切れても殴ることはしない。
HPもSランクならダメージを恐れずに殴りかかったほうが
弾数の制限のある銃よりも効果的に見えるが、
彼はひたすら銃を使う始末だ。
力をSランクにした意味はあったのだろうか?
ダンジョンの中の魔物はダンジョンからドロップした
装備でしか倒せないというような設定があるならまだわかるが、
2話ではゾンビ相手に普通に殴りかかっていたため、
そういった設定もなさそうだ。
力がSランクも有るのに銃を使う意味が本当にわからない。
本人曰く効率のためらしいが、
弾が切れても殴って倒そうとしない、
もう本気で意味不明だ。
ハーレム
中盤以降になるとヒロインも更に増え、
一緒にパーティーを組んで戦うことになる。
ヒロインはもれなく主人公のことが好きであり、いわゆるハーレム要素だ。
ヒロインが増えたからといって面白くなるわけでもなく、
セクシーな要素があるわけでもない。
中盤では主人公が実は子供時代にこの世界に訪れていた疑惑が発生する。
そもそも、彼がなぜこの世界に来てしまったのか、
そういった部分も明らかになっておらず、
元の世界に戻るために行動しているわけでもない。
いわゆる物語の目的が存在しない。
ただひたすら金を稼ぎ、ステータスを上げ続け、
ヒロインを増やし続けてるのみだ。
本筋のストーリーというものが無い。
主人公にとって都合の良い展開ばかりがおこり、
強敵も存在しない。
例えば主人公が魔法使いの仲間をゲットするものの、
「魔力嵐」という魔法使いにとっては苦しい思いをする現象が起こる。
その現象は定期的に起こるため、定期的に魔法使いは
苦しい思いをしてしまう。
そんな仲間を目にした主人公が「魔力嵐」を防げる家を探す。
するとあっさり見つかり新居をゲットする。
以上、このエピソードは終わりだ。何が楽しいのだろうか(苦笑)
1つ1つのエピソードがプロットレベルでしかなく、
きちんとした掘り下げや描写がなく、
スパスパと物事を展開してしまうため浅くなってしまっている。
その展開に意味はあるのか?という展開も多い。
終盤で経験値稼ぎをしたりするものの、
主人公はレベルが上がらない存在であり、
仲間もレベル不足で悩んでいるわけでもない。
「強化弾」という次に込める弾の威力を上げる弾もゲットするものの、
1クールでは使われずに終わってしまう。
終盤
終盤になると唐突にダンジョンから何もドロップしなくなってしまう。
この世界のすべてのものはドロップ品であるがゆえに
かなりの大災害な状況だ。
だが、主人公だけはモンスターを倒せばドロップするようになる。
すると彼は原因はステータスアップの種が落ちる
「ニホニウム」ダンジョンだと決めつける。
ニホニウムダンジョンのダンジョンマスターが原因だと断定し、
その通りなのだが、断定する理由が見ている側にはよくわからない。
そんなダンジョンマスターは和服を着た美人であるものの、
彼は躊躇なく攻撃するが、攻撃が効かない。大ピンチな状況だ。
ここで11話でゲットした強化弾が出てくるのか?と
見てる側が勝手に予測してしまうのだが、
「追尾弾」で攻略法を見つけあっさりやっつけることができる(苦笑)
1クールのラスボス戦が3分ほどであっさりと終わってしまう。
結局ニホニウムダンジョンはなんだったのか、
ダンジョンマスターがなぜ他のダンジョンにも影響が与えたのか。
そのあたりも謎のままだ。
結局、最後までご都合主義だけで物事が進んでしまい、
ストーリーも進んでるんだか進んでないんだか
よくわからないままで終わってしまう作品だった。
総評:ご都合主義だらけで空虚
全体的に見てスカスカな作品だ。
原作やコミカライズでどうなってるかわからないが、
コミカライズ6巻くらいまでの内容がアニメ6話くらいになっており、
1巻あたり1話位の速度でストーリーが構成されている。
普通のTVアニメなら1話あたり漫画なら2話か3話使うことが常だ。
この作品はかなりの速度で物語を進行しており、
そのおかげで多くのヒロインを出すことができている。
おそらく内容よりもヒロインの魅力を売りにしようとしたのだろう、
だからこそ、細かい描写を省いたストーリー構成になっている。
そのせいで作品全体の欠点が目立ちまくりだ。
特にご都合主義の数々は渇いた笑いしか出ないほどであり、
主人公にとって都合の良い展開、都合のいいアイテムや物が
どんどんと目の前に降ってくる。
最終話でもその調子であり、プロットレベルのスカスカの
ストーリーをご都合主義で繋いでいるような作品だ。
作画のクォリティも酷く、作画崩壊こそギリギリしないものの、
戦闘シーンは多いのに止め絵も多く、
止め絵をアップと引きでカメラを変えながら作画枚数を減らし、
なんとか1クールのアニメを作り上げているような印象だ。
MAHOFILMが手掛けた作品は作画が酷い印象だが、
この作品は特に酷く、色々と厳しい作品だった。
個人的な感想:丁寧に…
もう少し丁寧に作れば面白くなりそうな部分はあるものの、
雑に作り上げた1クールとしか言えない内容だ。
本筋のストーリーも結局無いに等しく、
2期があっても、この調子なんだろうなと感じるほど
空虚な作品だった
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください
ドロップ率高くて色々ドロップ出来るのはわかったけどタイトルにあるユニークスキルとは…?状態でした