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「境界戦機 第二部」レビュー

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評価 ★☆☆☆☆(14点) 全13話

境界戦機 第二部放送前スペシャル映像

あらすじ 西暦2061年、日本は支配された。4つの世界主要経済圏によって分割統治されるに至り、日本人は隷属国の人間として虐げられる日々を送っていた引用- Wikipedia

敗戦処理

本作品は境界戦機の第二クール目となる第二部。
監督は 羽原信義、制作はSUNRISE BEYOND

あれから八ヶ月

1クール目の最終話から2クール目の1話の段階で
八ヶ月の時間が経過している。
その間、北米軍が自立思考型AI搭載機の開発に成功し実戦に投入した結果、
日本を舞台にした各国の戦争は激化している現状だ。

主人公であるアモウが前回の戦いで生死不明になっている現状で、
ガシンとシオン、ヤタガラスのメンバーはレジスタンスとして
戦っているという現状だ。

日本人の被害も大きくなっており、レジスタンスも
避難民の救済に追われている。
1クール目に比べれば「抑圧されている日本人」という現状を
よく描けており、わかりやすい日本人の子供の被害などを描くことで、
より「日本を取り戻す」目的を持つレジスタンスの意味も大きくなっている。

本来の主人公であるアモウが不在のせいで、
1クール目以上に「ガシン」が主人公をしており、
アモウがいないことによる彼の葛藤や成長を感じられる1話だ。
その反対で相変わらず紅一点のヒロイン枠である「シオン」の描写は甘い。
ろくろを回し、姫之焼を復興させたいくらいの動機で戦い続けている。

そんな現状で避難民をおおく抱えるレジスタンスが襲われ、
大ピンチの中で「アモン」が唐突に現れる。
生死不明、行方不明だった主人公がピンチで現れるという
王道の展開でありながら「アニメーション」が微妙だ。

第一部の1話は少なくとも戦闘シーンの見ごたえはあったが、
第二部の2話は戦闘シーンの盛り上がりも薄い。
止め絵やアップを多用し、動きの面白さがほとんどなく、
「決める絵」もない。
どうにも第二部の1話から盛り上がりに欠けてしまっている。

8ヶ月の変化

この8ヶ月でアモウに一体何があったのか。
そう思わせるほど彼の表情は暗く、重い。
15話では1クール目の謎や設定が一気に明かされる。
ゴーストを誰がなんのために開発したのか、
アモウたちのAIの正体はなんなのか。

ものすごい説明セリフで一気に語られる。
おそらく多くの方が「そうだろうな」と想像できる範囲の
内容でしか無く、第二部の2話になっても盛り上がらない。
ヤタガラスのメンバーだったキャラの裏の目的なども明らかになるものの、
そもそも「こんなキャラいたっけ」くらいのキャラなのであまり思い入れもない。

怪しかったブレンゾン社のキャラも、当然のように悪いことをしており、
「意外性」というものがほとんどなく、
そうだろうなという展開と要素ばかりがひたすらに説明セリフで説明される。
そんな説明セリフのオンパレードの中でアモウは自身に起こった
8ヶ月の出来事をなかなか喋らない。

各機体のパワーアップもされるものの、
持ってきたパーツを付けたらそうなりましたという
なんの盛り上がりもないパワーアップでしかなく、
本当に話が盛り上がらない。

アモウ自身も平気で人を殺すような感じにまで
闇落ちしているものの、1話、2話、3話と
いつまでたってもその理由がなかなか語られない。
ウジウジするアモウに「いい加減に話せよ」と苛立ってしまう。

ゴースト

第一部では強敵だったゴーストだが、第二部では有人機に改造されている。
ただ、改造されたのはいいが完全な弱体化だ。
無人機だったゴーストはいろいろなパーツを取り込み、
人間が乗っていないからこその動きがあり、それが脅威でもあった。

しかし、第二部の改造で人間を乗せるせいで動きも制限され、
色々なパーツを勝手に取り込む機能もなくなってしまっている。
有人機に改造された初陣の戦闘も対して盛り上がらず、
メインのロボット以外の機体のデザインの微妙さもあいまって、
敵軍同士の戦いの盛り上がりも生まれていない。

どうにも第一部に比べて作画が軽くなっており、
一部では重みを感じた戦闘シーンもあったのに、
第二部では作画のクォリティがやや落ちたせいで、
戦闘シーンの面白さも薄くなっている。

手書きの作画自体は素晴らしいものの、
その素晴らしさを見せてくれるのは一瞬で、
あとは止め絵やアップでごまかすような演出が第2部では
一気に増えてしまっている。

トラウマ

第二部の4話で彼が八ヶ月で何があり、
敵を剣でぶっ刺すほどになったのかが語られる。
しかし、これもよくわからない。
彼は敵をロボットに乗らず、拳銃で撃ち殺してしまった。
その姿を小さな子どもたちにも見られた。

これだけである。
それがなぜ、コックピットがむき出しになった敵を
躊躇なくぶっ刺すような変化になったのかがつながっていない。

「銃弾を受けて死んでいった人の顔とか
怯えた目でこっちを見てる子ども達の顔とか浮かんでくるんだ…」

と彼は語るものの、そう語るならば無慈悲に敵を倒す変化ではなく、
むしろ敵を倒すことに怯えるようになるような経験だ。

どうにも脚本のちぐはぐ感が第二部で更に増している感じが強く、
これくらいの経験を第二部になってから4話も引っ張ったのもよくわからず、
日本を取り巻く世界情勢は複雑になっていくものの、
第二部になってからまるで盛り上がらない。

第一部と同様に相変わらずアモウという主人公は流されるまま、
周囲の意見どおりに言われるがままのことしかしていない。
ここまで主人公らしくない主人公はこの作品くらいだろう。

赤ちゃん

中盤で仲間の奥さんが出産するというシーンが有る。
主人公が過去のトラウマを克服し、守れた命の重さを実感するという
シーンではあるものの、生まれてきたばかりの赤ちゃんが問題だ。
とても生まれてきたばかりの赤ちゃんに見えない(苦笑)

目はバッチリ開いており、本当に生まれて間もないはずなのに
生後6ヶ月位には見えるような赤ちゃんだ。
制作陣の中に誰かこの赤ちゃんの描写はおかしいという
人はいなかったのだろうか。

主人公は守れた命の尊さに感動して泣いているものの、
見ている側は生まれたばかりのはずなのに生後半年くらいの
赤ちゃんにしか見えない描写に笑いながら突っ込むことしかできない。

敵も敵でゴーストのAIを搭載した機を持ち出してくる
ぽっと出のキャラがあっさり負けて終わる。
なんの面白みも深みもない盛り上がりにかける展開が
淡々と描写されてしまう。

各国が色々と小競り合いをしながら日本を征服するために
色々としている中で主人公の所属するレジスタンスはろくに行動しない。
第一部も彼らがやってることが小さすぎて、
ここからどう日本を取り戻す展開に結びつけるんだろう?と
疑問ではあるものの、ゴーストという謎の無人機との戦闘の面白さはあった。

しかし、第二部にはそれがない。
日本奪還という本来のメインになるはずのストーリーは一切進まず、
第一部以上にストーリーが進まない。
第二部の中盤くらいまでの内容を第一部で進められてたら
色々と盛り上がりも生まれたかもしれないが、グダグダだ。

そんなメインストーリーの進まなさとグダグダ感の中で
ギャグ回のようなものまで挟まれる。
絶対にそんなことをやっている場合じゃないのに、
呆れ果ててしまう。

共同戦線

20話でようやくメインの話が進む。
第一部からそうだが、そこに主人公の意思や意見はまるで無い。
主人公が知らぬ間にレジスタンス組織のおえらいさんと、
北米軍をのぞく3つの勢力が同盟を結び、
更にレジスタンスと協力してくれる。

えらく都合のいい話だ。
更に北陸の日本海側の一部の土地を日本の土地として認めてくれる。
主人公が何もしていないのにいつの間にか話が進み、
どういう政治的な話が行われそうなったのかはまるでわからない。
なぜかいつの間にかそうなっている。もはや、この作品に期待できることは何もない。

主人公よりもガシンのほうが主人公をしているのは相変わらずだ。
彼は同盟に関しても懐疑的であり、正論の意見を述べてくれる。
この作品は彼が居るからこそなんとか作品として
成り立っている感が強い。

ただもう、この時点でいろいろな国に分割統治されているという
設定がほぼ意味がなくなる。各国のキャラが居る意味もなくなり、
特にオセアニアあたりの必要性を感じない。

終盤になると北米軍との争いも本格化し、
主人公の仲間に犠牲者が出たりするものの、
そもそも「こんなキャラいたっけ?」レベルのキャラが
死んでも、見ている側にはなんの感情も浮かばない。
そもそもこのキャラが死ぬのが22話だ。もう後3話しか無い。

尺がないのに呑気に神社の日本人が出している出店に訪れたり、
抑圧されている日本人という設定はどこ行ったんだと思うほどの
のんびりした風景を見せられた後に日本を取り戻すための戦いが始まる。

戦い自体もコンピューターによると「45%」の勝率らしい。
驚くほど微妙な確率だ(笑)
もうそれなら50%でいいのではないか、その5%はなんなんだと
ツッコミたくなる数字だ。

開戦

最終話直前の24話でようやく開戦だ。あまりにも遅い。
北米軍と同盟軍の戦いではあるものの、
結局やっていることは「ゴースト」との戦いだ。
一部では無人機で強かったゴーストを最終話でようやく倒し、
二部では回収されたゴーストが有人機となって再び出てくる。

もう、ずっとゴーストだ。
主人公以外の味方は色々と戦い犠牲は出るものの、
22話と同じくどこの誰だかもよくわからないキャラばかりが死ぬ。
敵であるブラッド大佐もゴーストに乗り捨てみの攻撃を仕掛けてくるが、
彼がどうしてここまで必死になって主人公に向かってくるのかは
明確には描かれない。

ただの戦闘狂のようにしか描かれておらず、
そもそも彼が乗らないほうが明らかにゴーストは強い。
AIのサポートがない中でガシン達が戦っていたりもするが、
そういう展開はそもそも終盤ではなく中盤で描かれそうな展開だ。

最終話になると「これはもしかして全4クールの作品なのか?」と
思うほど話的にもシーン的にも中盤っぽい雰囲気にしか見えず、
何かが裏がありそうな人物に裏がなかったりと
肩透かしな要素が多く、本当に浅い。

特に思い入れも、そもそも誰だっけ?となるキャラが
武器商人とドンパチしていたりもするが、
もう本当にどうでもいい。

なんやかんやあって戦いは終わるが、
一週間しかたってないのに北米と新日本政府が和平交渉してたり、
死んだと思ってた人物が生きてる展開ばかりだったり、
アモウはなんか旅に出たりと、もう勝手にしてくれといわんばかりのラストだった。

総評:日本を、取り戻せませんでした

全体的にみて作品全体の迷走感が凄まじい作品だ。
一部の1話こそ期待感があったが、主人公は常に流されるまま、
日本を取り戻すという話も急に都合よく進んだかと思えば、
最終的には本当に一部だけしか取り戻せず、私達の戦いはこれからだで終わる。

キャラクターもメインキャラの一人である「シオン」も
ろくに掘り下げられず、本来の主人公であるはずのアモウに
決定的なまでに魅力がないせいでガシンに食われてしまっており、
メインキャラでさえ魅力的に描けていないせいで、
その他のキャラの描写も微妙だ。

まるで思い入れのない人物が死んだかと思えば、
敵キャラも死んだかと思えば生きていたり、
そもそもの分割統治や高度なAIという設定もまるでいかせておらず、
作品全体での迷走感があまりにもひどい。

一言でいえば浅い。
設定自体は面白そうなのに活かしきれておらず、
キャラクターももう一歩掘り下げれば魅力的になりそうなのに掘り下げない。
ここから「2期」とそうしてもう2クールくらい続きそうな感じで終わっており、
本当に支離滅裂な作品だ。

ツッコミどころが本当に多く、ツッコミだしたらキリがない。
だが、記憶に残る作品でもない。
一ヶ月後には「境界戦機?あったね、そんな作品」くらいにしか
語られなくなるであろう作品だった。

個人的な感想:ひどい

第一部もそれなりにひどかったが、それでもまだ
第二部から面白くなるかもしれないという一抹の期待感はあった。
しかし、そんな消えいりそうな期待感すら
第二部の序盤で消え去り、中盤からは虚無な表情でこの作品を見てしまった。

本当になんでこうなってしまったんだろうか。
うまいことすべての歯車が噛み合っていない、
バラバラの要素をまとめきれずに終わっているようなそんな作品だった。

「境界戦機 第二部」は面白い?つまらない?

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  1. きょうかいさん より:

    夕方の5時くらいに放送した方が(知名度的には)良かった作品だと思いますん

  2. 匿名 より:

    一期のコメ欄は変な盛り上がり方してたのにそれすら無いあたり、あの人たちですら脱落したか飽きたんだろうな…という寂しさがある

  3. 匿名 より:

    全話視聴しましたが最終回が一番酷いと思います、悪い意味で境界戦機の集大成とでも言うべき内容でしたね