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テンプレ祭「黒の召喚士」レビュー

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黒の召喚士 ファンタジー
黒の召喚士©迷井豆腐・オーバーラップ/黒の召喚士製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(25点) 全12話

TVアニメ『黒の召喚士』PV第1弾

あらすじ 見知らぬ場所で目を覚ました男には、ここがどこなのか、自分が誰なのか、全く記憶がなかった。引用- Wikipedia

テンプレ祭

原作は小説家になろうで連載されていた作品。
監督は平池芳正、制作はサテライト

記憶喪失

なろうといえば異世界転生、この作品も例に洩れず、
神様の手違いによって異世界転生することになるものの、
「記憶喪失」になっている。
自分のことを何も分からず、名前すらもわからない中で、
彼は転生前に会得したスキルによって異世界を生き抜くことになる。

記憶がない彼には「女神」が付き添っている。
それも転生前の記憶を失う彼がやったことらしいのだが、
それすらも記憶もない。
女神であるメルフィーナに一目惚れし、召喚士としての彼は
女神と契約し、異世界を旅することになる。

1話はチュートリアル感が凄まじいものの、
「記憶」を代価に「チート能力」を手に入れており、
数多の異世界転生アニメのチート能力に比べると、
きちんと設定の裏付けがされている印象だ。

女神と契約しているものの、いくらチート能力をもっているとはいえ
彼のレベルは1だ、だからこそ召喚できるMPが足りない。
一目惚れした女神と会うためにもレベル上げをするためにも、
彼は冒険者ギルドに登録することになる。

もう何度見たかわからないような展開だ。
当然、冒険者にはランクもあり、1つ上のランクの依頼まで受けられ
Cランク以上は昇級試験もある。
ベタすぎる設定は既視感にまみれている感じだ。

1話からそういったテンプレ的な流れのツッコミどころや、
記憶喪失のはずなのに「自分が日本人」であることは
覚えていたりと、細かいツッコミどころも多い

チート

1話こそスライム相手に苦戦しているのだが、
2話以降からは異世界転生特典という名のチートのおかげで、
どんどんと冒険者ランクも上がっていき、
召喚士としてスライム、騎士とどんどんと強い仲間も手に入れ、
主人公自身の力もどんどんと上がっていく。

そういったストーリー的なベタさはあるのだが、
戦闘シーンはかなりこだわって描かれている。
特に2話からは一部の戦闘シーンがフルCGで描かれており、
いきなりフルCGが多用される違和感はあるのだが、
フルCGだからこそのダイナミックな戦闘シーンが描かれている。

ただ、違和感はかなり強い。
戦闘シーンの全てがフルCGならば、まだ違和感は薄れるかもしれないが、
CGと手書き作画を切り替えながら描いている部分があるせいで、
かなり強烈な違和感が生まれている。

奴隷ヒロイン

そんなテンプレ序盤でおなじみの「奴隷ヒロイン」も存在する。
数々のなろうアニメで何度も見た奴隷な女の子だ。
チートな能力でギルドの依頼をこなし大金を手に入れて、
かわいそうな奴隷の女の子を買い、なんやかんやあって好かれる。
少なくとも1億回は見ている展開だ。

この作品の原作は2014年から連載が始まったらしく、
なろう作品としては古い部類に入るが、
それでも2023年にアニメが制作され放送されてしまうと、
いわゆる「なろう系」といえる要素の数々ばかりだ。

サクサクと仲間を手に入れて、サクサクと強くなり、
サクサクとヒロインも増えていく。
このテンポ感自体は悪くないものの、
テンプレ展開はかなり気になるところだ。

要素だけでなくストーリーもそうだ。
ギルドでは新人をいびりという名の新人殺しもおり、
そんな新人殺しは主人公を舐めてかかり、あっさりとやられる。
これまた、何度も見た展開だ。

魔王

この世界には勇者が存在する。
魔王は復活直前であり、そんな魔王に備えるための存在だ。
だが、勇者のレベルは主人公よりも低い。
本来、魔王を倒すべきはずの勇者たちが主人公より弱く、
主人公はそんな状況で強敵に挑んでいく。

彼はある種の戦闘狂だ。
強敵を目の前にし、相手が強ければ強いほど燃える。
どこかこの世界をゲーム的に楽しんでいるのか、
それとも彼の元来の性格ゆえのものなのかは判断しかねるが、
戦闘を楽しんでいるのが主人公だ。

そんな強敵を倒し、魔王の娘も仲間にする。
話が進めば進むほどヒロインが増えていくのも、
これまた「なろう」らしさの塊だ。

戦闘シーンも2話はフルCGと斬新なものだったが、
中盤以降は作画もかなり元気がなくなり、
初の勇者と主人公のバトルシーンも、かなり残念なことになっている。
作画崩壊!とネタにするほどでもないが、クォリティは低い。
これならばフルCGのままでよかったのでは…?と感じるほどだ。

ただ、テンポは良い。
グダグダとした展開やひたすら日常を繰り返すのではなく、
主人公の小さな目的を次々と達成していきながら、
強くなりつつ仲間を増やし、ヒロインを増やしている。

本来は描かれるはずの日常シーンなどが
主人公のモノローグベースに「こういうことがありました」と
さらっと描かれているおかげもあり、
常にサクサクとしたテンポ感が保たれている。

勇者召喚

レベルも上がり、義体にではあるものの女神も召喚できるようになった
主人公は「勇者召喚」の権利を手に入れる。
これまたヒロインが増える流れだ(苦笑)
そんな新しいヒロインととともにレベル上げをしている裏で、
とある国が「大陸統一」を企んで戦争をしかけようとしている。

この作品の声優は妙に豪華であり、
主人公を演ずるのは内山昂輝、主人公の仲間である騎士を秋元羊介、
そして終盤には戦争を仕掛けようとしてる国の将軍の一人が
「石田彰」さんだ(笑)

そういった豪華な声優陣に寄る演技力が
キャラの印章を深めている部分もあり、
主人公も内山昂輝さんが演じているおかげか、
なろう作品の主人公にありがちな嫌悪感や不快感も薄れている。

ラストバトル

終盤は同じ転生者とのバトルだ。するとまたフルCGになる(苦笑)
3話以降フルCGバトルはなかったのだが、
終盤でいきなりまたフルCGバトルになる。

バトルシーンは必ずCGになるという統一感がアレば良いのだが、
3話や12話といった要所要所でしかフルCGにならないため
違和感はかなり強い。
もしかしたら制作会社のサテライトとしては、
フルCGによる人間のバトルシーンを描く技術的なテストも
含めた作品なのかもしれないが、この統一感の無さは違和感しか無い

しかも3話は一応バトルの始まりから終わりまでフルCGだったのだが、
最終話はフルCGになったかとおもえば通常の作画に戻る。
あまりにも統一感のない戦闘シーンは相当な違和感があり、
そのせいで話が頭に入ってこない部分もある。

ストーリー的には戦争を仕掛けてきた国の将軍を対決し、
「石田彰」さん演ずるキャラが思わせぶりなセリフを言って終わる(笑)
ある意味で正しい石田彰さんの使い方ではあるのだが、
これまたテンプレ的な展開で終わってしまっている作品だった。

総評:絵に書いたテンプレ

全体的に見てオリジナリティに欠ける作品だ。
原作が他のなろうアニメに比べて古いということを考慮しても、
他のなろう原作アニメで見たことのある展開ばかりであり、
間違い探しレベルでの違いでしか無く、新鮮味は0だ。

サクサクとしたテンポ感で話が進むのは悪くないのだが、
主人公の大きな目的というのが存在しておらず、
ひたすら強くなりながら、大金を手にしながら、冒険者ランクを上げて、
話が進めば進むほどヒロインが増え続けていく。

魔王が復活しそうという展開や、怪しげな将軍など
後の展開を匂わせる部分はあるものの、
1クールの最終話まで見ても先が気になる、2期が見たいというほどの
ストーリーではなく、一ヶ月後には話の内容も忘れていそうだ。

作画のクォリティも序盤こそ、そこそこ高かったが、
3話ではフルCGの戦闘シーンがいきなり描かれたり、
中盤からはCGを使わない戦闘シーンの作画のクォリティが一気に落ちたり、
最終話ではまたフルCGの戦闘シーンが描かれたりと、
作画に統一感がなく、強烈な違和感が生まれてしまっている。

2Dと3Dを同居させたエクスアームほどではないにしろ、
それに近い違和感が作品全体に漂ってしまい、
話に集中しきれなかった作品だった

個人的感想:俺より強い奴に会いに行く

主人公が戦闘狂という設定自体は面白く、
ただひたすら「俺より強い奴に会いに行く」の流れを繰り返しており、
最終的には魔王などとと戦う展開になるかもしれない。

物語的にあくまで序盤であり、
ここから面白くなっていくのかもしれないが、
1クールまでだと「なろうテンプレ」の領域を出ない感じが強く、
なんだかなーという感じで終わってしまう作品だった。

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