青春

「絆のアリル」レビュー

1.0
青春
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評価 ★☆☆☆☆(18点) 全12話

TVアニメ「絆のアリル」PV第2弾/2023年4月3日放送開始!

あらすじ これは、少女たちが“絆”でつながる物語。バーチャル世界に彗星のごとく現れ、瞬く間に人気となったキズナアイ。彼女は「バーチャルグリッドアワード」の頂点・ラピンドールに5年連続輝いた後、突如として姿を消した。引用- Wikipedia

蘇る悪夢

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は駒屋健一郎、制作はWIT STUDIO SIGNAL.MD。
現在無期限活動休止中のキズナアイのアニメ化ということで
話題になった作品だ。

キズナアイ

冒頭からキズナアイのいつもの動画のような光景が映し出される。
キズナアイといえばかつてはVTuber四天王といわれ、
日本だけではなく海外でも知名度のあるVTuberではあるものの、
事務所がまずかったのが途中で意味もなく分裂したり、
中国版のようなものがでたりとゴタゴタが凄まじかった。

嘘か真かわからないが、中の人を巡るゴシップなどもありつつも、
現在キズナアイは無期限の活動休止状態になっている。
そんなキズナアイのアニメ化というのはやや意味不明だ。

どんな内容になるのかも想像できず、
VTuberのアニメ化というと「バーチャルさんは見ている」という
決して開けてはいけないパンドラの箱を思い出す人も多いはずだ。

1話冒頭から意味不明な言葉が並んでいる。
「バーチャルグリッドアワード」というものにキズナアイが
出場する予定なのは分かるが、彼女がラピンドールというものを
もらったらしくステージにたつらしい。
そもそも「ラピンドール」というのがなんなのかわからない。

なんでも、ここはなんでもできる場所であるらしいのだが、
いまいちピンとこないまま物語が始まる。
「私はもっともっと繋がりたい!」と言い放つものの、
それならば活動を再開すればいいのにと思ってしまう私は
歪んでいるのだろうか。

配信活動

そんなキズナアイのシーンが終わると
誰も知らないようなVTuberの生配信模様が描かれてる。
彼女は人気のないVTuberだ。
視聴者もまったくおらず、キズナアイに憧れているようなのだが、
そんな憧れの気持ちが結果に現れていない。

配信模様はフルCGで描かれており、
現実世界は普通の作画で描かれているものの、
リソースをフルCGのほうに割きすぎたのか、
明らかにCGではないシーンの作画のクォリティが低い。
OPの時点で作画がやや安定していないくらいだ。

時代設定的に現代よりも少し先の未来を描いており、
VRやARなどの技術やデバイスも進化していることはわかる。
そんな世界だからこそバーチャル世界も発達しているようで、
主人公はバーチャル世界で活躍する人材を養成する
アカデミーに通っている。

個人配信で芽が出ず、キズナアイに憧れる少女が
キズナアイのようになるためにVTuber養成所に行く話だ。
「YouTuber養成学校」で芽が出たひとを知らないように、
彼女がVTuber養成所に通ったところで芽が出なそうと
突っ込みたくなる気持ちを抑えつつ主人公以外のキャラも出てくる。

特に印象の残るようなキャラクターもおらず、
作画のクォリティも低いだけに余計に印象に残らない。
なぜか「キズナアイ」が消えた世界でVTuberを目指す彼女たちに
果たして未来はあるのか、この作品の未来もあるのかと
1話の段階から面白さよりも不安しか感じさせない。

ライブ

1話ではキズナアイに憧れる主人公のキズナアイへの思いを
感じさせるものになっており、彼女がなぜVTuberとして
人気になりたいのかがわかるものの、
そんな彼女のライブシーンが酷い。

まだ彼女がVTuberとして未熟なことを表現しているのかもしれないが、
適当な振り付け、カメラワークですらガチガチにボンドで
固定されたかのようにほとんど動かない。
昨今のライブシーンのあるアニメはライブシーンへのこだわりを感じる、
しかし、この作品にはそれがない。

クラスメイトの面々は彼女のパフォーマンスに対して
「いいじゃん!」と一声かけるくらいなので、
このくらいのライブシーンでいいのかもしれないが、
見ている視聴者が1話のライブシーンという大事なシーンで
何もひっかかるものがない。

昨今のVTuberはフルCGで生配信でライブをすることも多いが、
そんなVTuberたちに圧倒的に負けている。
言葉自体も作中で色々と変えており「VTtuber」という
言葉はそもそも出てこず、ファンのことも「リンカー」と
表現しているせいでいまいちわかりにくくなってしまっている。

バーチャルの世界と現実の世界、
この表現の区切りも分かりづらく、ライブシーン以外は基本的にCGは使われない。
主人公が謎のモヤモヤに触れてアバターの存在するバーチャルの空間に
いきなり移動することもあるが、
こういうシーンもCGにすれば雰囲気作りができるはずなのだが、
そういったことはしない。

授業を受ける歳に教室に移動するときに
「バーチャル」の世界に移動するシーンが使い回されているのだが、
別に主人公の格好がかわったり、CGに切り替わるわけでもないのに、
無駄にこのシーンを毎回見せられてしまう。
せめてCGではなく衣装だけでも変化してくれればいいが、そのまんまだ。
変身バンクのようなものを入れる必要性が生まれていない。

1話からわかりやすく「低予算」であることを感じさせてくれる

はぁ…?

なぜか1話の手抜きライブシーンを見て、
クラスメイトが主人公に興味を持ってくれる。
見ている側の感覚と作品の中の感覚に共感できない。
1話できちんとライブシーンを描いていればこうはならないが、
1話できちんとライブシーンを描いていないせいで
2話の時点ですでに「ズレ」が生まれている。

VTuber養成所にはアーティストコースだけでなく、
VTuberとしての体をデザインを学ぶコースもあるらしく、
そのコースに通っているキャラや学園の説明に
序盤は割かれてしまっており、話が進んでいるようで進んでいない。

主人公がメインキャラの一人がデザインしたアバターを
褒めるのだが、そのアバターの凄さも全く伝わらない。
主人公が普段使っているものとの「差」が見ている側に伝えきれていない。

主人公のライブの魅力もそうだが、こういった「見せて」伝えなければ
ならない部分をアニメという媒体で伝えきれていないせいで、
見ている側がずっとキャラクターに感情移入することも共感することもなく、
何の感情も抱かずにただただどうでもいい日常を眺めているだけになってしまっている。

2話ではメインキャラの一人がライブパフォーマンスを行うが、
これも1話と同様に低クォリティだ。
しかも曲は同じだ(苦笑)

「私なんかよりぜんぜんすごい!」

と主人公は驚くものの五十歩百歩だ。

3分間の苦行

各話の最後にいわゆるCパートがあり、
本編よりも動いているCGを用いて
作品の世界観を解説している。
これがやたら長い、3分近くある始末だ。

1分くらいで用語や設定の説明をCパートですることはあるが、
3分は長いうえに、本当にどうでもいい内容だ。
彼女たちが通う「ADENアカデミー」がどんな学校なのかというのを
何の面白みもない会話で3分も続けてしまう。

主人公の配信の視聴者数が伸びなかったのも分かると思うほど
過疎VTuberのどうでもいい話をひたすら聞かされる気分だ。
「NFT」の説明など、この作品とあまり関係なさそうな
解説までされる。
どこぞのゆっくり解説でも見てたほうがよっぽどためになるだろう。

「バーチャルグリッドアワード」に出演するためには
養成所の中でのランキングの上位に入る必要性があるらしく、
主人公はそのランキングの上位を目指す。

ようやく本筋のストーリーの方向性が見えるのが3話だ。
おそらく多くの人が1話切りないし、3話で切ってしまうと感じるほど
序盤のストーリーが退屈でしか無い。

ドラマがない

そもそもストーリーが退屈でしか無い、ドラマ性が薄いといえば
わかりやすいだろうか。
主人公はシンプルに「キズナアイみたいになりたい!」という動機だけであり、
それ以上でもそれ以下でもない。薄い。

他のメインキャラのバックボーンが描かれたり、
ライバルみたいなのが出てくれば話は違うかもしれないが、
この作品のメインキャラが勢ぞろいするのは「11話」だ(苦笑)
分割2クールの作品であり、余裕のあるストーリー構成なのは分かるが、
あまりにも話の展開が遅すぎて1話1話の内容が薄い。

主人公やメインキャラたちが悩みつつも切磋琢磨しながら
ライブパフォーマンスの技術を伸ばしたりする。
それ以上でもそれ以下でもない。
そんな肝心のライブパフォーマンスも使いまわしのモーションと
使いまわしの曲ばかりで「何が変わったのか」が見てて伝わらない。

一体何度、同じ曲が使い回されただろう、
一体何度、同じモーションが使い回されるのだろうと
ライブシーンが出るたびに「正」の字で使い回された数を
数えたくなるのだが、ほぼ毎話使い回されるので数える意味はない。

彼女たちの課題曲だからこそ同じ曲が使われるのは仕方ないが、
歌詞こそ彼女たちがオリジナルでそれぞれ違ったりするが、
曲自体は全部同じであるがゆえに、
歌詞が違っても結局は同じに聞こえてしまう。

それぞれが自分と向き合い自分らしいオリジナル歌詞を作る。
この流れが中盤ずーっと続いてしまう。

過疎VTuber

なぜキズナアイは突然姿を消したのか。
このあたりの謎に迫るストーリー展開はほぼない、
「バーチャルグリッドアワード」というものや
「ラピンドール」というものもピンとこないままだ。

キズナアイのアニメ化作品の本作品で
「キズナアイ」の物語を見たいのに、そこは見せてくれずに、
どうでもいい過疎VTuberばかりが描かれる。
キズナアイはただの客寄せパンダでしかない。

序盤から中盤まで見せられるのは「過疎VTuber」が
なぜ過疎ってるのかという原因究明の模様だ。
トークがつまらない、ライブパフォーマンスも普通な主人公。
人が集まらないのは当然だ。

それを自覚しながら成長していくというストーリー自体は悪くないが、
その成長の結果が見えてこない。
見ている側にはその成長の結果がみえてこないのに
視聴者数は増え、ランキングの順位が上がっていく。

この作品のテーマは理解できる、「絆」だ。
普通の主人公がメインキャラとの絆を紡ぎながら、
また新しいメインキャラと出会い絆を紡ぐことで
「多くの人と繋がれる」ようになる。

そういうストーリーが描かれているのは分かるものの、
物語の起伏の薄さが面白みの薄さにも繋がっており、
結局、毎回物語の周着地点は同じ曲だ。

もう少し曲のバリエーションとライブのクォリティが高ければ
ストーリーの重みも増すかもしれないが、使い回しの曲ばかりで
メインキャラクターたちの成長が見えてこず、
毎回のストーリーも似たような感想しか生まれない。

終盤にも新キャラが出てきて仲間になるが、
終盤で出てきたところでただでさえ印象が薄いキャラが多い中で、
更に薄い印象のキャラが増えるだけだ。

終盤

終盤はメインキャラたちがユニットを組みイベントに参加したりしながら
それぞれが順位を上げていく。
そういえば「バーチャルグリッドアワード」の予選をしていたんだと
終盤になって思い出してしまうほどどうでもいい話ばかりをやっていた。

互いの人気を利用しつつコラボ配信をし自身の人気を上げる。
ある意味で「VTuber」らしい行動が描かれている部分はあり、
コラボの問題なども学園の上層部などが会話している。
こういう「VTuber」の深い部分を時折描いているのが
この作品の面白いところではあるものの、あくまで部分的に過ぎない。

「バーチャルグリッドアワード」の運営側も
「コラボ配信」をするVTuberのランキングを故意に操作したりと、
この作品のメッセージでもある「絆」が通用しない流れになる。
一人でも乗り越えられないことでも、みんななら。
たとえ不利でもみんなで活動をする。

そういう流れを描きたいのは分かるのだが、
そもそも主人公が目指した「キズナアカリ」は
一応は個人の一人のVTuberだったはずだ。
そんなVTuberを目指してるはずなのにコラボ配信や
グループ活動をするのはやや矛盾してる部分がある。

終盤には別のグループキャラも匂わせており、
2クール目からはそんなキャラたちとの戦いになるのかもしれないが、
1クール目の時点でははっきりいって「つまらない」作品だった。

総評:キズナアイは客寄せパンダ

全体的に見てキズナアイはこれでいいのだろうか?と思ってしまった。
彼女が無期限の活動休止の間にやることとして
第第的に発表されたはずのアニメ化だったはずだが、
キズナアイ自身は殆ど出ていない。

伝説のVTuberであり、数年前に突如姿を消した。
彼女がなぜ姿を消したのかなど見ている側としては
気になる部分を一切掘り下げずに、過疎個人VTuberが
コラボ配信をやりながら人気を上げていくという内容にしかなっていない。

「絆」を大事にしてみんなとの繋がりたい。
そういうテーマで物語を紡いでいるのは分かるものの、
彼女たちの成長ストーリーの結末が毎回「使い回しの曲」を
歌詞を変えてやってるだけにすぎず、
ライブシーンのクォリティは恐ろしく低い。

最終話のライブシーンだけはクォリティは高いものの、
一部キャラのモデリングが不気味さを放っており、
他のアイドルアニメと比べるとエフェクトに頼りまくった
「CG感」満載のライブは見劣りしてしまう。

全体的に予算は少なかったのだろうなと感じてしまう。
2クール想定で間延びしたストーリー構成のせいで1話1話の内容は薄く、
毎回のようにライブシーンはあるが使いまわしでクォリティが低い。

日常シーンの作画のクォリティもお世辞にも高いとは言えず、
キズナアイのアニメのはずなのにキズナアイがほとんど出ないという
矛盾を最後まで抱えている作品だった。

2クール目から色々とストーリーが動き出し、
キズナアイも本格的に出るのかもしれないが、
分割2クールという都合上、2クール目を見る頃には
この作品のストーリーをすっかり忘れていそうだ。

それほど作品全体が酷く薄味過ぎた作品だった。

個人的な感想:悪夢再び

VTuberのアニメといえば「バーチャルさんは見ている」を思い出すが、
この作品と比べると、まだバーチャルさんは見ているという作品が
VTuberというものが出始めにも関わらず頑張って
アニメにしようという努力を感じるものだった。

この作品は何がしたかったのだろうか。
キズナアイという名前を使っただけで、キズナアイのファンが
この作品をみて納得するのだろうか?

色々と意味がわからない作品だった。

「バーチャルさんはみている」レビュー
評価 ☆☆☆☆☆(5点) 全12話 あらすじ 電脳少女シロ、猫宮ひなた、月ノ美兎、田中ヒメ、鈴木ヒナをはじめ、総勢30名超のVTuberが出演するTVアニメ「バーチャルさんはみている」引用- Wikipedia

「絆のアリル」は面白い?つまらない?

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