評価 ★★★★☆(60点) 全82分
あらすじ 宿敵・鬼舞辻無惨との決戦に向けて行われる鬼殺隊士たちの過酷な修行・柱稽古が幕を開ける。引用- Wikipedia
改善の刃
本作品は鬼滅の刃の映画作品。
3期の11話と4期の1話を組み合わせたものになっており、
先行上映的な意味合いのある総集編的な映画作品だ。
監督は外崎春雄、制作はUfotable
前作
前作は色々と問題点がある部分が多かった。
2期の10話と11話、そして3期の1話をつなげたものなのだが、
編集作業というものをほとんどしておらず、
本当に単純に繋げただけだ。
なにせ前作はオープニング曲が5回も流れ、
スタッフロールが3回も流れる始末だった。
総集編映画ではないから、ただ繋げたものだから仕方ないというのが
ファンの意見だったが、お金を取って1本の映画として
公開している以上、このスタッフロールの多さは欠点であり、
1本の映画としての満足感も薄れてしまっていた。
編集が雑でただ繋げたものを見せられた。
そんな感覚はありつつも、鬼滅の刃の映像美と
音の圧を感じる部分があるからこそ、
なんとか1本の映画として楽しめた部分があった作品だった。
改善
そんな前作から大幅に改善している。
映画冒頭は1期から3期までの振り返りをさらっと流しつつ、
3期の11話が始まる。
この3期の11話は特別編成になっているからこそ、
オープニング曲は元々なかったものだ。
だからこそスムーズに3期の11話が始まり、
そしてラストには曲が流れない。
本来の11話は炭治郎が刀鍛冶の里を去ったシーンのあとに
エンドクレジットが流れる構成になっていたが、
そのシーンをカットしている。
前作とは違いオープニング曲を5回も流したり、
エンドクレジットを3回も見せるということをしていない。
きちんと改善されている。
だからこそ、きちんと3期の11話と4期の1話がスムーズに繋がっており、
1本の映画としての構成がきちんとできている。
前作の問題点をきちんと今作で改善しており、
シンプルに1つの映画として楽しみやすい構成になっている。
映画冒頭の振り返りも前作は結構な尺を取っており、
どこかMAD動画っぽさがあったのだが、
今作ではさくっとした振り返りになっており、MAD動画感も薄れている。
映像美
3期の11話はもちろんテレビで放送されたものだ。
3期のストーリーはややテンポ感が悪く、
敵が逃げまくる相手なだけに面倒臭い感じが強まっていた。
そんなストーリー部分は変わらないものの、
圧倒的な映像美が映画館映えしまくる。
もともと鬼滅の刃の作画は異常だ。
最近はそこに呪術廻戦も追いついてきており、
TVアニメのクォリティとはいえないような作画、
本来なら映画としてやるようなクォリティでもともと
TVアニメが作られているのが鬼滅の刃だ。
だからこそ「映画館映え」する。
一般家庭の20インチや50インチほどの画面では味わえない、
映画館という「巨大なスクリーン」と「大迫力の音響」があるからこそ、
鬼滅の刃という作品の魅力を最大限に味わえる印象だ。
3期の11話は炭治郎が逃げる敵をおいかけつつ、
刃を首に振るうを繰り返すだけではある、
2期の終盤と違って激しい戦闘シーンとはいい難いものがある。
しかしながらど派手なエフェクトがそんなシンプルな
戦闘シーンをより燃え上がらせており、
それがTVで楽しむよりも大迫力で映画館という場所で味わえる
「映画体験」そのものを味わうような作品になっている
鬼滅の刃という作品は、Ufotableという制作会社の作品は
「スクリーン」で初めて真価を発する。
そう感じてしまうほどの映像美に酔いしれられる体験があり、
2000円を払う勝ちがあると感じてしまう。
惜しむべきはきちんとした総集編ではないため、
3期を見ている前提ということだ。
鬼滅の刃がアニメで完結した際は1話から映画館で改めて
劇場版として再編集したものを上映してほしい、
そう感じてしまうほどのアニメーションの魅力がある。
柱稽古
そして4期の1話の先行上映部分だ。
柱稽古編は文字通り、柱たちによる稽古が
描かれるストーリーになっている。
禰豆子が太陽を克服し、鬼舞辻無惨が彼女を狙いにやってくる。
その前に戦力の増強を図るための修行パートと言えるものだ。
鬼滅の刃の1期ではきちんと修行シーンが描かれていた。
令和のアニメとしては珍しく、昭和のアニメのような
修行シーンがあるのが鬼滅の刃の特徴でもある、
そんな柱稽古が始まる直前までの1話だ。
驚いたのはがっつりと「アニオリ」シーンを入れていることだ。
昨今はアニオリというのはアニメ視聴者的には
よろしくない傾向にとらわれている。
平成初期くらいまではガンガンにTVアニメで原作のある作品の
アニオリストーリーを展開していたが、最近では珍しくなってしまった。
そんなアニオリシーンをあえて入れている。
おそらくこれは「映画」でやることを意識してのことだろう。
柱稽古編は鬼との戦闘シーンと呼べるものがない、
やや地味なパートと言える。
だからこそ、そんな稽古に入る前に
「二人」の「柱」による任務の光景ががっつりと描かれている。
鬼滅の刃らしい爽快感あふれる戦闘シーン、
そしてのちの「無限城」につながる展開をガッツリと見せており、
思わずワクワクしてしまう戦闘シーンだ。
4期を早く見たい、そう思わせる魅力がたっぷり詰まった作品になっており、
鬼滅の刃が好きならば、鬼滅の刃のファンならば
見て損はない作品に仕上がっていた。
総評:これぞUfotable、まさに映画体験
全体的に映画としての盛り上がりをきちんと意識した作品になっており、
前作以上に「映画」というものを意識した作品になっている。
特に4期の1話ではアニオリシーンをあえて入れることで、
後半の盛り上がりどころを産んでおり、
戦闘シーンと映像美を映画館でたっぷりと堪能できるようになっている。
そしてエンディングだ。
前作はエンドロールを3回も見る羽目になって辟易していたが、
今作は1回だ、そんな1回が気合が入っており、
エンディング曲が特別に編集されたリミックスになっている。
ファンならば聞きたいと思うはずだ、
映画でしか味わえない、映画館でしか聞けない特別なリミックス。
そんなリミックスと映画館で改めて味わえる3期の11話の
映像美に酔いしれることができる作品になっている。
前作は不満点が多かったが、今作は繋げただけにはなっておらず、
前作の不満をきちんと改善した素晴らしい作品になっていた。
ファンならば見て損はない、鬼滅の刃という作品を
真の意味で楽しめるのは映画館だと認識できる作品だった。
個人的な感想:アニオリ
アニオリシーンをガッツリと入れているのは結構衝撃的だった。
刀鍛冶の里編でもちょこちょことアニオリを入れてはいたが、
あくまでも原作の補完であり、ふくらませるような形になっていたものの、
4期の1話はがっつりとアニオリシーンを入れている。
4期のOPにはHydeさんが参加しているのも
ちょっと予想外であり、エンディングは一体誰になっているのか
気になるところだ。
作画のクォリティも一切落ちておらず、
4期も楽しめそうなだけに、春まで待ちきれない。
この調子でまた来年には4期の11話と5期の1話をやるのだろうか?
映画館で味わってこそ鬼滅の刃、そしてUfotableの素晴らしさを
実感できるだけにまたやってほしいところだ。
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください