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金!女!力!これぞ最低民度の世界「喧嘩独学」レビュー

4.0
喧嘩独学 アクション
画像引用元:©PTJ cartoon company・金正賢/LDF・喧嘩独学製作委員会
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この記事を書いた人
笠希々

オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、
YouTube登録者11万人な私の個人的アニメ批評。
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評価 ★★★★☆(61点) 全12話

TVアニメ『喧嘩独学』本PV

あらすじ 母子家庭で育った高校2年生の志村光太は、学校では人気ニューチューバーで番長のハマケンや手下のカネゴンにいじめられ、放課後はバイトを掛け持ちする生活を送っていた。引用- Wikipedia

喧嘩独学

原作はLINEマンガなどで連載されている韓国のマンガ作品。
監督は菱田正和、制作はオクルトノボル

YouTuber

1話冒頭から「YouTuber」だらけな世界観が描かれる。
高校を舞台にした作品ではあるものの、
生徒たちの多くがYouTuberとして活躍しており、
休憩時間には当たり前のように生配信している。

非常に時代を感じる作品だ。
YouTubeという動画サイトが生まれ、
そこでお金を稼ぐYouTuberが生まれた。
好きなことで生きていく、そんな代名詞とともに
彼らはYouTubeに動画を投稿し続けている。

そんなYouTuberに憧れるものもいるが、逆に利用されるものもいる。
主人公はいわゆるいじめられっこだ。
YouTuberなクラスメイトにいじめられ、いじられ、
スクールカースト最底辺にいる。

そんな彼らに対して主人公はどこか蔑んだ目で見ている。
しかし、真実を知ってしまう。金だ。
昼休みにちょっと配信しただけで3万円を超える収益をあげる、
そんなYouTubeの世界を知った彼は「YouTube」を始める決意をする。

だが、彼には才能もなければお金もない。
なにか特別な能力があるわけでも、見た目がいいわけでもない。
母子家庭で育った彼の母は入院中であり、
そんな母のことを知っているのにクラスメイトたちは
「まだ母親は生きているのか?」などといじってくる始末だ。

このあたりの民度の低さは韓国漫画特有のものだ。
いじめなどの要素がある韓国マンガは多いが、
日本の漫画での描写と比べてかなり過剰なことも多い。
これもまた文化の違いなのかもしれないが、
大抵の韓国の学校漫画の治安と民度は低い。

この作品も類に漏れず、最悪な治安と最低な民度だ。
一体先生は何をしているんだろうかと思うほど、
露骨に主人公はいじめられている。
バイトにあけくれる日々で救いはない。
唯一の癒やしはバイト仲間な美少女くらいだ。

主人公は家にまでクラスメイトに入りこまれ、
勝手に母の銀行口座とアカウントでYouTube配信される始末だ。
しかし、とある出来事がきっかけで
クラスメイトと主人公の殴り合いが
気づかないうちに生配信されてしまう。

高校生同士のガチ喧嘩、話題にならないわけがない(笑)
たった1日で全世界に配信された動画は
1000万超えの大バズリ動画になる。

若干このあたりはご都合主義はあるものの、
金がなもなくいじめられていた主人公が
YouTubeでカネを稼いでしまうこで、
甘い蜜を味わった彼はYouTubeの世界に入り込んでいく

喧嘩商売

主人公とともに喧嘩をした「金子 亨」は
彼に協力をしてYouTuberとして人気になろうとしている。
プロデューサーとなり主人公を利用し、
YouTubeでどうやって金を稼ぐかを主人公とともに模索していく。

そのためなら自分の、スクールカーストが最底辺という
立場すら主人公は利用をする。
いじめられっこがいじめっこを殴り倒す、
そんな「成り上がり」は古今東西、
世界問わずに注目されるコンテンツだ。

しかし、主人公は弱い。ひょろひょろの肉体、背丈だって低く、力も弱い。
喧嘩が金になるということはわかっても、
そんな喧嘩で勝つことはできない。
だが、そんな立場、弱さすら利用する。

あえて、自分をいじめていた人気YouTuberなクラスメイトにいどみ、
自分がいじめられていることを暴露する。
自分の立場や弱さそのものをコンテンツにしている。
サクサクとテンポの良い展開は心地よく、
人気YouTuberだったクラスメイトもあっさりと人気がおちる。

主人公が徐々に成長し、立場が変わっていくのも
わかりやすくサクサクとした展開だ。
人気になった主人公はアルバイト先の美少女とも
LINEを交換できるようになっていく。

金を手に入れ、女を手に入れる。
だが、それぞ持続させるためには「力」が必要だ。
負けてばかりでは人気のシリーズコンテンツにはらない。
喧嘩に勝たなければならない、不良に勝たなければならない。
母の入院費を稼ぐためにも、YouTubeで再生数を稼ぐためにも、
主人公は強さを求める。

たまたま見つけた謎の海外のYouTuberの動画に感化される。
実践的な喧嘩の方法を教えてくれる謎のYoutuberが
主人公にとっての師匠となる。

友情、努力、勝利。
治安は最悪で民度も最低ではあるものの、
どこかジャンプ漫画のような王道さがしっかりと根底にはある。
だからこそ、この最低民度の治安最悪な世界で
成り上がろうとする主人公の物語を楽しめてしまう。

挑め!

この作品の治安は最悪だ。当たり前のようにいじめがあり、
当たり前のようにカツアゲをする不良もいる。
喧嘩のチャンスはいくらでも転がっている。
主人公は意図せずとも喧嘩に巻き込まれ、挑まないといけなくなる。

アニメーションのクォリティ自体はそこまで高いわけではない。
特殊能力があるわけでも、プロ同士の喧嘩というわけでもない、
あくまでも素人同士の喧嘩だからこそ雑な殴り合いだ。

アニメーションも同じ動きを繰り返したり、
集中線やエフェクトでごまかしているようなシーンもかなり多いのだが、
そのいい意味でのチープな感じが、この作品には合っている。

意外にもYouTubeのシステムをこの作品はきちんと理解している。
収益までの審査があることによるタイムラグ、
更に「暴力的なコンテンツ」では稼ぎにくいという事実など、
そのあたりをきちんと踏まえてストーリーが描かれている。

お金を手にして、気になる美少女と仲良くなる。
しかし、主人公はあくまで貧困家庭で育った
苛められっ子な陰キャだ。

だからこそいきなり女性とデートをしようとしてもうまくいかず、
お金の使い方もわからず、憧れの美少女の幼馴染が
イケメンで喧嘩も強い男だと萎縮してしまう。
主人公の生々しい描写がみているものに妙な共感すらわかせてくれる。

付け焼き刃の喧嘩の方法もずっとは通用しない。
1度手にしたチャンス、勝った喧嘩、手に入れた大金、
仲良くなれた美女、そんな環境に彼は甘えてしまっていた。
だからこそ敗北してしまう。

このわかりやすいストレートなストーリーが突き刺さる。
努力し続けなければ簡単に負け犬になってしまう。
たまたま手に入れた環境でしか無い、環境に甘えれば堕落してしまう。
それを実感したからこそ、彼は抗い続ける。

守りたいものを、手に入れたものを、成り上がった環境を
彼は1度、失ってしまう。
彼が手にしたものは、たまたま手に入ったものだ。
だからこそ、あっさりと失われる。

それを主人公も実感したからこそ、彼は本当に強くなる決意をする。
たまたま手に入った環境ではなく、自分の力で
自分の意志で今度こそ、本当に成り上がる。

勝者

一ヶ月、彼は努力し続ける。
今度はふってわいたチャンスではなく、棚から牡丹餅ではなく、
自分の力で彼は負け犬から抜け出そうとしている。

なにか彼に原因があったわけではない。
たまたま苛められっ子に目をつけられいじめられ、
彼の考えや心根まで歪んでしまった。
そんな自分を見つめ直し、心と体を1ヶ月間彼は鍛え上げる。

好きになった女のために、偽りではない本当の友情を結ぶ友人のために、
彼は自らの意思でいじめっ子に挑む。
友人である「金子 亨」は口先だけの男だ。
権力者や強者に頭を垂れ、そのお零れをもらう。
そのために主人公に近づいた、偽りの友人だ。

しかし、そんな彼を本当の友人と主人公はいってくれる。
偽りだらけの自分を信じてくれる、友人と言ってくれた主人公に、
彼もまた男気を見せる。

スクールカースト最底辺だった主人公と、クズだった友人。
そんな二人が自らの意思で成り上がろうとする。
運や奇跡ではない、努力で手にした力と意思で勝利を掴む。

主人公が初めて自らの意思で掴んだ勝利と、
二人の友情が固く結ばれる5話はこの作品の山場の1つだ。
最底辺とクズだった少年たちが成り上がるストーリーが
積み上がっていく。

編集者

二人はチャンネルをより大きくするために編集者を雇うことになる。
いつも彼らのチャンネルにコメントしてくれる、
おじさんのような人、実は美少女だ(笑)
クラスメイトのいじめっ子はすでに勝った相手だ、
だからこそ主人公たちは次のターゲットを見つける。

何度もいうが、この作品の世界の治安は最悪だ。
不良はくさるほどいる(笑)
次はテコンドーを操るクズな不良だ。
だが、彼はクラスメイトのいじめっ子とはレベルが違う。
元テコンドーのプロ選手であり、イケメンだ。

主人公が身に着けたのはあくまで素人に対する喧嘩方法だ。
プロには敵わない。
自らの力の無さ、情けなさをまたしても痛感してしまう。

そんな相手にすべてを賭けて主人公は挑む。
1度は負けを自覚した相手に、チャンネルをかけて
彼は一ヶ月また修行することになる。
泥臭いまでにきちんと努力する過程を描くことで
主人公が強くなることに説得力を持たせている。

運に頼るのではなく、自らの知恵で環境を作りプロに挑む。
だが、相手もまたプロのテコンドーの試合ではなく
「喧嘩」で挑んでくる。プロは甘くない。
それでも主人公はしがみつく。

金のためだけではない、友達のために、仲間のために、
彼は死にものぐるいで立ち上がる。
そんな中で勝利を掴んだ後に「案件」も差し込む(笑)

この作品らしい面白さがしっかりと感じられる作品だ。

喧嘩

主人公たちのYouTubeはどんどん人気になっていく。
しかし、それゆえに多くのものに目をつけられる。
クラスメイトや同級生、弱小YouTuberや強豪YouTuberまで。
自分が人気になるためになんでもする。
それは主人公も同じなのだが、道理が違う。

「おへそ三銃士」というYouTuberは通行人に
いきなりドッキリを仕掛けるYouTuberだ。
しかし、彼らは主人公が好意を寄せるヒロインに怪我をさせてしまう。
それなのに「ヘラヘラ」している始末だ。

世間的にムカつく相手、悪さをしている相手、
主人公が「悪」と断罪するものを彼は相手にしている。
だが、今回は力ではない、知恵で相手を叩きのめそうとしている。
YouTuberの「ヤラセ」を暴露し、叩き潰す。

数字は正義であり、面白ければ視聴者は
ヤラせかどうかは気にしない。
だが、主人公は「嘘」を許さない。

「ヤラせをしなければYouTubeをできないのか?」
1話ではいじめれっ子に過ぎなかった主人公が、
終盤にはきちんと成長している。それでも、負けることもある。
圧倒的強者に対する恐怖は凄まじい。

しかし、そんな恐怖にすら主人公はハマっている。
喧嘩というものの魅力に、お金や人気、恋愛よりも彼はハマってしまう。
圧倒的な強者を相手に彼はかつて戦った相手に教えを請う。
強敵と書いて友と呼ぶ。
最後の最後まで清々しいほどの王道を魅せてくれる作品だ。

プロの同士の戦いならば体重による等級がある、
しかし、喧嘩にはそれがない。そして「ルール」もない。
相手の弱点を突き、勝利を掴む。
ヒョロヒョロの主人公と力士のような相手が描かれる終盤は
予想外なこの作品らしい結末とラストシーンを迎えてくれる。

綺麗に1クールが終わり、俺達の喧嘩はこれからだ!で終わる作品だ。
もし、2期があればぜひみたい、そう感じさせてくれる作品だった。

総評:金!女!力!これぞ最低民度の世界

全体的に見て予想外に楽しんでしまった作品だ。
韓国漫画原作アニメ特有の民度の低さ、治安の悪さはあるものの、
「YouTube」という媒体を基本にしながら、
喧嘩で稼ぐ主人公の物語をまっすぐに描いている。

その根本にあるのはジャンプ三大原則だ。
努力、友情、勝利。
王道のこの流れがあるからこそ最低民度な世界でも
清々しいストーリーが描かれており、
苛められっ子だった主人公の成長が丁寧に描かれている。

ストーリーの緩急も素晴らしい作品だ。
緊張感のある喧嘩のシーンから、クスッとしてしまうオチ、
その流れがきれいに描かれているからこそ、
キャラクターにも感情移入しやすく、スッキリと楽しめる。
テンポもサクサクとしており、変に引き伸ばさない展開も素晴らしい。

アニメーションに関しては作画枚数としてはそこまで多くないのだが、
それを感じさせないように演出で盛り上げており、
メリハリのある戦闘シーンがきちんと描かれている。

キャラクターデザインなどは原作が韓国漫画だからこその
癖があり、ご都合主義をやや感じる部分や治安の悪さなど
好みが分かれる部分はあるものの、
そこを除けば非常に面白い作品だ。

ラストのオチはYouTuberというものを知らないと
分かりづらい部分もあるが、
「収益化」が止まりそうな彼らの未来がどうなるのか…
もし2期があれば見てみたいところだ。

個人的な感想:予想以上

あまり事前に情報を入れずに見始めた作品だったが
予想以上に面白くてびっくりしてしまった。
タイトルやキービジュアルなどで私と同じように
ピンときてない人もいるかも知れないが、
今回のレビューで気になった人にはぜひチェックしていただきたい。

韓国漫画原作のアニメは「外見至上主義」などもあったが、
やはり韓国という国の文化や雰囲気をすごく感じる部分が多い。
カースト最底辺からの成り上がりは、
日本のなろう系の異世界転生のようなものなのかもしれないが、
今後もこういう作品が日本でアニメになることを期待したいところだ。

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