評価 ★★☆☆☆(23点) 全12話
あらすじ 普通の男子高校生・サトウが、幼馴染のヒメを追いかけて異世界へ行き、そこで伝説の勇者・指輪王となって、復活した深淵王を再び封じようとする。引用- Wikipedia
寸止めヘタレ主人公
原作は月刊ビッグガンガンで連載中の漫画作品。
監督は直谷たかし、制作はStaple Entertainment
幼馴染
主人公は幼少期に山の中で「異世界」からやってきた姫と出会うという
ところから物語が始まる。最近はなろう系の流行により、異世界ものが増えたが、
この作品はなろう系ではないものの「異世界転移」な作品だ。
幼馴染でギャルなヒロインである「ヒメ」は
主人公が幼少期に出会った異世界人だ。
だが、そんな幼少期の頃を忘れ、すっかり幼馴染として二人は
成長し10年間の日々を過ごしている。
幼馴染としてベタな設定ではあるが、相思相愛の仲ではあるものの、
高校生になっても告白するわけでもなく付き合っているわけでもない。
ベタなラブコメでも始まりそうな勢いだが、
ヒメは引っ越してしまい、祖父の故郷に帰ることになる。
当然、帰るのは異世界だ。
冒頭で彼女が異世界人であることは分かってしまっているため、
このあとの展開のインパクトが薄くなってしまっている。
ベタな幼馴染との朝、ベタな幼馴染との関係性から、
幼馴染が異世界人で異世界に帰ってしまう!という展開を見せればいいのに、
先に見せてしまっているためインパクトが薄れてしまっている。
そんな冒頭の流れ自体は悪くないのだが、作画の癖がすごい。
背景がやたらリアルに作られている材質の質感まで感じるクォリティなのに
キャラクターデザイン自体はそこまでリアルではない、
独特の色彩のせいもあってか、作品全体の作画が「ぼやけた」ような印象を受ける。
予算が少ないのに無理に作画にこだわろうとした結果、
色彩を明るくし、光源を意識しまくった光の
描写や背景の無駄なリアルさが、
かなり見づらい雰囲気を生んでしまっている。
特に光の描写は過剰で、キャラの顔が影に隠れて見えなくなってしまっている
シーンも多く、こだわりなのか、作画の悪さを
ごまかすためなのかわからないが、1話から見づらくて仕方ない。
そんなヒメが異世界に帰る際に主人公は彼女についていき
異世界へとやってきてしまう。
指輪
異世界に行くと唐突に魔物のような存在が現れる。
そんな魔物に立ち向かうために、ヒメは主人公に指輪をわたし、
そんな指輪の力で光の剣を作り出し、魔物を倒すことに成功する。
この1話の戦闘シーンですら作画が悪い。
主人公が特別な力に目覚めたうえでの初めての戦闘シーンなのに、
まるで見ごたえがない。
ヒメによって主人公は「指輪王」、いわゆる勇者というものに
選ばれてしまっている。
この世界には「深淵の魔物」というものが存在し、
特別な指輪がそんな魔物に対する有効手段だ。
ヒロインにキスされることで指輪の力が目覚める、
ベタな流れではあるものの、とにかく作画のクセと悪さのせいで
見づらくて仕方ない。
主人公が手に入れた指輪の力は不完全だ。
5人の姫と結婚し、5つの指輪を装備することで初めて
指輪王としての完全な力を使える。つまりはハーレムである。
それでも、主人公はヒメ一筋だ。
異世界を救うためには5人と結婚をしないといけないが、
心だけはメインヒロインという状況はハーレムとしては面白みがない。
しかも、この主人公ヘタレだ。
せっかくヒメが主人公に思いを告げ、覚悟を決めても手を出さない。
キス止まりだ。
ヒメも普段から谷間を露出し、パンチラしまくりな格好で、
セクシーな感じのヒロインが多く、セクシーなシーンも多い作品だが、
どれもこれも中途半端なものでしかない。
旅
ヒメとの幸せな暮らしを掴むためにも指輪の力を開放しなければならない。
そのために5つの指輪、5人のヒロインと結婚するために
4人のヒロインに会うために旅に出る。
それぞれのヒロインがそれぞれの事情を抱えており、
そんな事情に首を突っ込み解決していきながら結婚していく。
設定的にもストーリー的にもベタなファンタジーものだ。
指輪の力は想いの力であり、多くのものに心から愛されることで
主人公は真の力を発揮できる。
だが、ハーレム的状況故にヒロインの心にもゆらぎが生まれ、
それが直接的に戦闘力に影響していく。
一人のヒロインに尽き、大体、2話から3話で話を展開ていく。
ベタではあるものの悪くないストーリーを展開しているものの、
中盤でヒロインが3人になったことで、
メインヒロインである「ヒメ」が嫉妬してしまう。
だが、主人公はあくまで彼女一筋だ。
しかし、いよいよ彼女と一夜をともにする!という展開になっても
結局はしない。この寸止め、中途半端な感じが
作品全体の中途半端さにつながっている。
主人公には一応理由がある。
ヒメときちんとするなら元の世界に戻ってからと何故か決めている、
彼にとって異世界は非現実であり、非日常だ。
だからこそ、元の世界に戻ってから想い人と結ばれたい。
しかし、ヒメはもともと異世界人であり、
彼女にとっての現実は異世界だ。
そのあたりのセリフの違和感や寸止め感もあり、
パットしない作品になってしまっている。
そんなセリフを言ったのに、終盤ではいい感じになり
一線を越えようとするものの、結局超えない。
もういい加減にしろともう程の寸止めやるやる詐欺ばかりで
セクシーシーンやキャラの魅力よりも苛立ってしまう感じだ。
復活
終盤になると魔物の王である「深淵の王」が復活してしまう。
指輪自体は4つは集まったものの、残り1つは集まっていない中で、
ラスボスの復活だ。主人公たちには勝つことはできない。
だからこそ彼らは「元の世界」に送られることになる。
異世界へと渡る手段もないまま、ヒロインたちは
主人公の世界に慣れて生活しながらも、異世界のことを考えている。
展開自体はかなり早く、1度敗退するという流れ自体は面白いものの、
その後の展開が問題だ。
唐突に行方がわからなかったドワーフの姫が
主人公たちの世界で見つかる。彼女と結婚すれば
異世界にふたたび戻ることはできるものの、主人公は悩む。
彼にとって異世界は非現実のものだ。
だが、それでも彼は異世界に戻る決意をする。
ここまでの展開自体は悪くなかったが…
俺達の戦いはこれからだ!
異世界に戻った彼らだが、異世界はなんとか持ちこたえてる状況だ。
そんな中で5つの指輪の力を1つにし、
指輪王の力で主人公はラスボスである深淵王と戦い始める。
だが、敵わない。
ヒロインたちをも殺される一歩で味方が救出に現れ、
逃げることに成功する。
つまりは「俺達の戦いはこれからだ!」だ。
2期も決定しており、原作も連載中なのだから原作通りなのかもしれないが、
1クールで完結できるような話を引き伸ばしている感じも強く拍子抜けだ。
指輪王の力をより引き出すためにも、より絆の力を強くしなければならない。
結局、主人公が早くヒロインたちに手を出していれば
1クールでラスボスを倒せたのでは?と感じる部分もあり、
寸止めまみれな結果のラストにもやもやしてしまう作品だった。
総評:据え膳食わぬは男の恥ぞ
全体的に見て微妙な作品だ。
異世界ファンタジー作品が流行ってる中で、
王道な指輪物語をモチーフにしたファンタジーな世界観で、
5人のヒロインと結婚しないといけないというハーレム的状況の中、
序盤から中盤までは丁寧にヒロインを掘り下げている。
だが、結局、主人公は最初に結婚したヒメ一筋だ。
彼女以外との仲が話が進むごとに深まることもなく、
かといってヒメとの関係性が進展するわけでもない。
関係性が進展しそうになっても常に寸止めで、
それを何度も何度も繰り返す。
彼女に手を出さなければ他のヒロインには手を出さない。
主人公がそう決めているため、結局、他のヒロインはお飾りに過ぎない。
ハーレムものとしての面白みがあまりにも薄い。
話が進めば進むほどヒロインが増えていくが、
そのヒロインが増える意味がうすすぎる。
魔王的な存在を倒すためには複数の女性と結婚して
指輪を集めて、彼女たちとの絆を強くしないと強くなれない。
そういう設定ならもっとラブコメ的要素が強まってもおかしくないのだが、
主人公がヒメ一筋だからこそ、その要素が強まることもない。
中盤以降はただヒロインが増えていくだけだ。
終盤になると唐突に魔王的な存在が復活し、
一時的に撤退し、元の世界戻ったかと思えば異世界に舞い戻り、また撤退だ。
1クールで完結できそうな話を引き伸ばしてるだけに見えず、
原作が完結していないことを考えると2期でも完結しそうにもない。
これで2期では1期とは違ってヤりまくりなストーリーになるなら
印象は変わってくるが、果たして…
個人的な感想:作画
1話の段階から作画の雰囲気が気になっていたが、
中盤以降もそれにあまり慣れず、戦闘シーンが多い作品なのに
戦闘シーンのクォリティが低いのも気になるところだ。
ストーリー的にはベタなファンタジー世界の
ベタなファンタジーストーリーにハーレム要素を付け足しただけに過ぎず、
もっと僧侶枠の作品のようにはっちゃけて色々やっているなら
面白みが出そうなものの、寸止めばかりだ。
2024年冬アニメは紳士アニメが色々と頑張っていただけに、
その影にすっかり隠れてしまった印象を受ける作品だった。
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