ラブコメ

「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」レビュー

ラブコメ
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評価 ★★★☆☆(56点) 全12話

あらすじ 主人公・桐生 慧輝は、生まれて初めてラブレターを受け取る。
そのラブレターには、差出人名は記されていなかったものの、女物の白いパンツが添えられていた引用- Wikipedia

これぞ令和版シンデレラ

原作はライトノベルな本作品。
監督はいまざきいつき、制作はギークトイズ

開始0秒で


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

1話始まって早々に画面いっぱいに映し出されるのはおっぱいだ(笑)
下着姿のヒロインが主人公の夢の中に出てきて、
主人公のベッドには「妹」が忍び込んでいる。

何とも懐かしい雰囲気溢れる作品だ。
この手の開始0秒でのセクシー要素やベタベタな萌えラブコメを
予感させる要素の数々は10年くらい前に「俺妹」あたりのアニメと
一緒に大量に作られていた。久しぶりにわかりやすく原作がラノベであることが
伝わるような要素を1話からビンビンに見せつけてくれる。

しかも主人公が「下野紘」さんだ(笑)
かつては様々なラノベアニメの主人公を演じており、
「安定の童貞声優」とまで言われた彼の声は、
まさにこのラノベラブコメアニメの主人公にふさわしい配役と言えるだろう。

更にヒロインには「竹達彩奈」さんや「日高里菜」さん、
「野水伊織」さんなど2019年のアニメというよりは2009年のアニメと
言われたほうが違和感がないほどの配役だ。

開始0秒で思わず笑い、開始10分もたてばこの作品が
醸し出す懐かしいラノベラブコメアニメの雰囲気に浸ることができる。
10年前にこの手のアニメを楽しんでた人にとっては
何の抵抗感すら無くスラスラ湯水の如く受け入れてしまうだろう。

ラブレターは突然に


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

主人公が一人、部室の後片付けをしていると自分宛てのラブレターを発見する。
ド直球な彼への思いを綴った文章とともに、
なぜか「下着」もともに添えられていたという所からストーリーは始まる(笑)

差し出し人不明のラブレターは誰が書いたのか?
なぜ「下着」を一緒に添えたのか?
ガラスの靴ではなくパンツを落とした彼女をシンデレラと称し、
「同じ部活」の誰かが自分宛てのラブレターを書いたに違いないと探し始める。
パンツの持ち主を探すというとんでもないミステリーが始まる。

1話の段階でヒロインの4人は出尽くしており、
1話の段階である程度の関係性が構築されている。
本来、ラブコメにおいて「出会い」というのは大事なはずなのだが、
この作品はそんな出会をあえて描かない。

ベタベタなラノベラブコメアニメに見えて、省かれてる部分が多く、
この作品が「変態」というディープな部分に触れる作品だ。
それゆえに前提条件をちんたらやってる場合ではない。
ある程度、ヒロインと主人公の関係性と信頼性、
ヒロインから主人公への「好意」もある状態で物語が始まっている。

全てのヒロインが主人公に対して「思わせぶり」な態度で接してくる。
誰が「犯人(シンデレラ)」なのか見てる側にはまるで予想がつかない。

秘密


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

主人公はヒロインに対し「なにか隠していることがあるんじゃないか?」
と問いかける。当然、主人公としては手紙と下着の件のことを指していっている。
しかし、そんな事を知る由も無いヒロインは主人公に隠していた
秘密をあきらかにしてしまう。1話にして早速、タイトルの回収だ。

ヒロインたちはもれなく「変態」であり、様々な性癖を隠し持っている。
あるものはマゾヒズムを、あるものはサドヒズムを、あるものは露出癖を、
「犯人(シンデレラ)」を探す中で主人公は本来なら知る由もなかった
彼女たちの変態的な性癖を知ることになってしまう。

可愛い外見なのにとんでもなく変態なヒロインたちは、
最初の正統派のラノベラブコメのヒロインの印象から
一気に印象が塗り替えられてしまう。

キリッとした容姿端麗な先輩は実は主人公に「飼われたい」という
願望を秘めており、首輪をつけて主人公に迫りまくる(笑)
2話からはそんな変態なヒロインの変態的な行動や言動が
「ギャグ」になっており、1話から2話にかけて雰囲気が変わる。

1話でつまらないと思った人も2話を見れば印象が変わるかもしれない。
この作品はややスロースタートな作品だ。
徐々にヒロインの本性が暴かれることで面白くなっていく。

ある程度話としてはパターン化しており、
「シンデレラか?」と疑い、仲を深めると
告白イベントが有り「性癖」を告白され、ヒロインの本性が明かされる。
主人公の友人ポジションのキャラの存在も含めてどこかギャルゲーっぽさがある。
序盤は一人ずつヒロインを掘り下げていく形で話が展開していく。

セクシー


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

この作品におけるセクシーシーンはヒロインの意思によるものが大きい。
主人公に調教されたい、主人公を調教したい、
それがゆえにセクシーなシーンになっており、いわゆる「ラッキースケベ」とは
また違う。能動的なヒロインの行動と意思によるセクシーシーンだ。

主人公のことが好きだからこそ、
自分の変態的な性癖を受け止めてほしいからこそ主人公に迫る。
愛ゆえの、己の性ゆえのセクシーシーンだ(笑)

主人公も主人公で「愛がなくてはそういうことをしてはいけない」という
強い意志を持っており、安易に彼女たちの誘惑に屈しない。
ラノベ主人公らしい安定の童貞ぶりを見せつけてくれる。

話が進むと彼女たちの変態的な性癖につきあわされることも多く、
「バニーガール」のコスプレをさせられたり、
パンツを口にぶちこまれたりと、うらやましいのかうらやましくないのか
わからない状態になっている。

作画


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

ただ、作画は終始不安定だ。
キャラクターがアップになる際の作画は安定しているのは唯一の救いだが、
カメラアングルが遠くなるほどあからさまに作画のクォリティが落ちる。
セクシーシーンの際は安定しているため問題ないとも言えるが、
あからさまにがたっと作画が崩れるシーンは目立つ。

キャラクターデザインは目の部分はやや癖があるものの可愛らしく、
可愛らしいがゆえに崩れてしまうと残念な気持ちになってしまう。
特に中盤以降からは顕著に作画のブレが目立ってしまっている。

ただ、セクシーシーンの作画はフェチズムあふれるこだわりを感じる。
「おへそ」だったり「足の裏」だったり、色々とこだわりを感じる描写は
不安定な作画の中でも決めるときはきちんと決めている感じだ。

それでも終盤はかなり作画が乱れており、
せっかくキャラクターが可愛いだけにもったいない。

ロリ先輩


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

ある程度メインヒロインを掘り下げると趣を少し変えてくる。
序盤から中盤にかけてある程度パターン化したストーリーだったからこそ、
中盤の5話でマンネリを防ぐために変化を付けている。
それが「ロリ先輩」だ。

彼女は主人公の先輩であり3年制だ。
だが、1年生かはたまたそれ以下にしか見えないような幼い見た目をしており、
主人公の親友に恋をしてストーカーになってるほどだ。
主人公の親友は生粋のロリコンを自称しており、幼い見た目の彼女は
当然、好みにドンピシャだ。年齢意外は。

当初は彼女は主人公の助言通り「年齢」を偽って主人公の友人と接する。
当然、好みにドンピシャな彼女に好意を寄せる主人公の友人だが、
偽りではなく、本当の自分を見てほしいと彼女は
自らの本当の年齢を彼に告白する。
彼女の真っ直ぐな思いと告白シーンは本当に可愛らしく、健気だ。

だが、彼はあっさり断る。僕はロリコンだからと。
彼自身の性癖であるがゆえに、そこに愛があっても彼女を素直には
受け入れきれず、だが、彼もまた1度は断っておきながら
自身の性癖に向き合い一歩進もうとする姿は男だ。

主人公の友人と、そんな彼に思いを寄せるヒロイン。
きちんと「オチ」までついてこの作品らしいコメディな部分もあり、
サブエピソードながらも、サブキャラ同士の恋愛事情まで
この作品はしっかりと描いている。

ミステリー


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

意外とこの作品は1話からの伏線である「シンデレラ」についての
ミステリー部分がきちんとしている。
落とした下着を女子生徒たちにガラスの靴のように履かせることもできず、
「鍵のかかった部室」が僅かな時間、鍵のかかってない状態で
誰も入れるような状況だったことが分かったりと、話が進めば進むほど
誰が「シンデレラ」か?というのは予測できにくくなっている。

序盤から中盤にかけて問い詰めたヒロインたちは、
問い詰めてゲロった内容が「性癖」であり、彼女たちがシンデレラかどうかは
聞けておらず、シンデレラ候補も学校にいる全ての女子生徒にまで広がってしまう。
ほとんど関わりのなかった女子生徒まで候補に上がってしまい、
そんな関わりのなかった女子生徒の性癖まで知るハメになってしまう(笑)

あるものは匂いフェチであり、あるものはストーカーだ。
もはやこの学校にノーマルな性癖しか持たないヒロインは存在しないのでは?
と思うほどに変態の巣窟とかした学校はある意味で狂気だ。

更に終盤になると主人公が家に保管してたはずのパンツが、
ヒロインのうち二人が家に来てる最中に無くなってしまう。
なぜ下着を回収したのか?下着を回収したのは誰なのか?
ますます謎は深まっていく(笑)

真実はいつも1つ


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

終盤できちんと「シンデレラ」の正体が明らかになる。
ヒロインの一人ひとりが素直に自分の気持ちを告白する、
それは「シンデレラ」も同じだ。
それは彼女だからこそ気づけなかった。

主人公にとっては「恋愛」対象としてはありえない存在であり、
絶対にないと思ってたからこそ気づけなかった。
シンデレラの正体に主人公が気づくと同時に
見てる側も「納得」できてしまう存在だ。
きちんと「証拠」を突きつける様もまさにミステリーそのものだ。

名前を書かなかった理由もそこにきちんとある。
彼女の大胆な行動は主人公だけでなく、見てる側も心を奪われる。
「シンデレラ」の正体という真実をつきつけた主人公が、
シンデレラからも真実を突きつけられる様は驚きの展開だ。

11話の終盤から最終話にかけての彼女の行動の数々は「ヒロインの覚醒」を見た。
今まで順位としては圏外に居たはずのランナーが
一気に1位に躍り出てくるような感覚だ。

そして最終話にもきちんとオチがある(笑)
覚醒したヒロインの可愛さをさんざん味わい、ちょっとウルっときそうな
ストーリーを最終話にかけて見せてくれたのに、
最後の最後にして「なぜパンツを残したのか」という真実が明らかになることで、
この作品らしいコメディなオチが付いている作品だった。

総評:きちんとまとまってるラノベラブコメ


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

全体的に見てよくできたラブコメだ。
1話の段階ではこの作品の面白さが発揮されていないものの、
2話以降からどんどん明らかになるヒロインたちの性癖が
正統派のハーレムラブコメとは違い面白さと軽さを生んでおり、
真面目なラブコメなシーンから一気にコメディな展開の数々がシンプルに面白い。

ヒロインの一人ひとりも魅力的でありがちな属性と外見のキャラなのに、
そこに「性癖」が加わることでありがちではない、
この作品だからこその魅力あるヒロインに一人ひとりが仕上がっており、
そこに正統派のラブコメ童貞主人公が存在し、
彼が彼女たちの性癖を突っ込むことでギャグが成立している。

メインストーリーとなる「シンデレラ探し」も
意外にきちんとミステリーになっている。
鍵のかかった部室、容疑者、消える証拠(下着)と誰が主人公にラブレターを
書いたシンデレラなのか?というのがわかりにくくなっており、
それが主人公の行動理由にもなっている。

そして「シンデレラ」の正体もきちんと1クールで明らかになり、
シンデレラが明らかになってからのヒロインの可愛さは破壊的だ。
近年まれに見る「ヒロイン」であり、主人公の好みにはドンピシャだが、
手を出せない理由があり、それにも納得できてしまう。

きちんと最終話のエピローグでこの作品らしい「オチ」もあり、
終始、軽いノリで進められる作品だった。
当然、1クールでは恋愛関係の決着はついていないが、
妙に見終わった後にスッキリとまとめられている作品だった。

惜しむべきは作画の悪さと、ヒロインによって描写時間の偏りが
顕著な所はやや気になるところだが、
見れば見るほど面白くなり、見れば見るほど可愛らしいヒロインを楽しめる
良質なラブコメだった。

個人的な感想:可愛ければ良いんです


引用元:©2019 花間燈/KADOKAWA/変好き製作委員会

序盤の段階ではそこまで期待してみてる作品ではなかったが、
終盤のストーリー展開でやられたと感じる作品だった。
1クールで「シンデレラ」の正体もきちんと明らかになり、
それが話の主軸になり、きちんとオチまで付いてスッキリとした作品だ。

個人的にはもう少し匂いフェチなヒロインのストーリーが見たかったと
感じる部分も大きいが、ラストのあのヒロインの可愛らしさで
色々とぶっ飛んでしまった(笑)

今から見る人は1話切りせずに2話、3話と見続けてほしい。
この作品は話が積み重なることで面白くなっていく作品だ。

「」は面白い?つまらない?

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