評価 15点 全12話
あらすじ 大学生の木ノ下和也は彼女にフラれた寂しさから、レンタル彼女を申し込んでしまう引用- Wikipedia
クズなの?
原作は週刊少年マガジンで連載中の漫画作品。
監督は古賀一臣、制作はトムス・エンタテインメント
マガジンらしいゲスさ
画像引用元:彼女、お借りします 1話より
© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会
始まってそうそう、主人公は付き合って一ヶ月の彼女に振られ、
別れた彼女を想像し悶々とした中で
「レンタル彼女」をレンタルするところから始まる。
連載がマガジンと言われなくてもマガジンのラブコメだな!と
感じることのできるサンデーやジャンプにはない「ゲスさ」を感じる内容は
Theマガジンのラブコメ感満載だ。
主人公の視点は常に「女体のパーツ」に向いており、清廉さのかけらもない。
ラブコメの主人公がヒロインに「4万円」渡して
デートしてもらう作品など前代未聞だ。
レンタル彼女をレンタルしておいて八つ当たりするような言動も多く、
物語の主人公に一切、感情移入も同情もできない。
下ネタも直接的な言葉で出てくることが多く、
主人公の言動や態度に逐一、いらっとさせられる。
1話の時点で「マガジンらしい」ゲスさをひしひしと感じることができる。
見栄を張るための嘘
画像引用元:彼女、お借りします 1話より
© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会
とにかく主人公は見栄を張るために嘘を付く。
家族にもレンタル彼女を「彼女」とうそぶき、友達にもうそぶく。
嘘に嘘を積み重ねることでコメディな展開を生み出しているものの、
同時に主人公への不快感も増す。
これだけならまだぎりぎり許せる部分はあるものの、彼は心のなかで
友人たちに優越感を感じながら
「なんだこれ?超気持ちいい!隣には史上最カワのメス!」
とヒロインをメス呼ばわりである。
主人公の元カノも彼にふさわしいクズっぷりであり、
大勢の前で堂々と彼をディスり、別れたのにまた主人公を誘惑してくる始末だ。
この作品に出てくるキャラクターの誰にも好感が持てない。
レンタル彼女なヒロインは一応、主人公をかばったり可愛らしさはあるものの
前提として「金で買われた彼女」であるため、その可愛らしさや魅力を
素直に受け取り難い。
そんなレンタルな彼女の行動や台詞に「所詮、レンタルなんだから」と
主人公が悩むのもこの作品の主軸ではあるものの、
ウジウジと悩みつつ、クズさを見せる彼に感情移入は出来ない。
そもそも主人公にとって「彼女」=「やる対象」であり、
恋愛感情よりも肉欲を優先している主人公だ。
故に、やれないレンタル彼女なヒロインに対してはそんな感情は抱かず
ヤれそうな元彼女のほうに感情がいっている。
嘘と言い訳の限りを尽くし、なんとかやりたい。
そんな主人公に感情移入はできない。
命の恩人
画像引用元:彼女、お借りします 5話より
© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会
中盤でヒロインが主人公の惚れるキッカケが生まれる。
体調不良のヒロインが主人公とともにフェリーに乗り、彼女は朦朧としたまま
フェリーから落ちてしまい、それを主人公が助ける。
とんでもなくベタな展開に頭を抱えるが、
ようやく主人公が汚名返上、名誉挽回するようなシーンとも言える。
そこからが問題だ。家に帰った主人公は「元カノ」の写真を見ながら
一人で悶々とし、一人でするさまを見せられる。
せっかく上がった株が大暴落だ。1分近く主人公のそんなシーンを見せられる。
主人公が元カノとヒロインで感情が揺れ動いているという描写なのは分かるが、
不快感のほうが勝ってしまっている。
「この思いだけは返却不可なんだと」
と詩的に語るものの、賢者タイムで出たポエミーな台詞に
苦笑いを浮かべることしかできない。名誉返上、汚名挽回だ。
この作品は下ネタが妙に「生々しい描写」が多く、この生々しさが
主人公の気持ち悪さを後押ししてしまっている。
レンタル彼女の正当化
画像引用元:彼女、お借りします 3話より
© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会
ヒロインはヒロインで「レンタル彼女」という職業をある種、正当化している。
お客さんのケアや成長を促すといったもっともらしいことを言ってはいるものの、
パパ活などの行為と何が違うんだと見てる側が感じてしまう。
終盤で彼女がレンタル彼女をしている理由が
「女優志望」で有ることが明らかになる。そのためのレッスン費用や
「演技」の勉強のためにやっている(笑)
将来、人気女優にでもなろうものなら週刊誌がとびつきそうだ。
ヒロインも「バレたらまずい」という認識はあるようで、
そういう認識のある仕事をしておいて、正当化するような言い訳を述べている。
レンタル彼女での彼女の演技が演技の勉強になるのかというのも疑問であり、
色々な部分で「レンタル彼女」というものを作品全体で
正当化しようとしているのを感じる。
下ネタもそうだが、生々しい部分とファンタジーな部分の描き分けが下手で
生々しいのに正当化しようとするファンタジーな描写に違和感や
気持ち悪さを感じてしまう。
もうひとりのレンタル彼女
画像引用元:彼女、お借りします 6話より
© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会
中盤になると「もうひとりのレンタル彼女」が現れる。
彼女はレンタル彼女ではあるものの、偶然主人公と出会い、
主人公にある種の一目惚れのようなものをしている。
主人公も彼女のことを「かわいい」と見ており、早い段階で主人公に告白している。
もう彼女と付き合ってしまえば良いのでは?と思うほど何の障害もなく、
「付き合うとか無理」といいつつ主人公は彼女の体を見て
悪くないとすら思っている。相変わらず下半身でしか恋をしていないものの、
元カノやヒロインと比べて選択肢として1番ありなんじゃないかと思うキャラだ。
しかし、主人公は友人がレンタルした彼女だから無理という
謎の論理を働かせており、結局、ヒロインに対する当て馬キャラでしか無い。
可愛くて魅力的で「この子と付き合ったら良いじゃないか」と思うキャラを
主人公が拒否する。視聴者の感情と主人公の感情がまるで合わない。
しかも、強い拒絶をしておいてヒロインに「試しに付き合ってみれば」と
言われれば、彼女の泣いてる姿を見て付き合ってしまう。
もう何がしたいのかわからない。断るなら断るで男らしさを感じるのに、
結局は流されてしまう。
もうひとりのレンタル彼女も主人公と付き合うために脅迫めいた行動や
泣き落としなどかなり強引なキャラクターであり、
他のキャラクターと同じく「見た目は可愛い」けど
よく考えると好きになりきれないキャラだ
嘘嘘嘘
画像引用元:彼女、お借りします 7話より
© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会
終盤になっても主人公は体面を保つために嘘を付き続ける。
それがまた厄介な出来事を引き起こしたり、ヒロインたちを傷つける。
序盤だけならまだしも、嘘をついて厄介なことになってる経験があるのに
終盤になっても学ばずに成長もしない主人公だ。
ヒロインに「自分を好きなのか」ときかれても素直に答えず嘘を付き、
もうひとりのレンタル彼女も「虚言癖のある娘」と親戚に嘘を付き、
もう嘘しかついてない。
見てる側としては主人公の不快感が募りまくり、そんな不快感を
ヒロインたちが一切感じないのが不思議でしか無い。
とある話ではレンタル彼女であるヒロインを失恋した友人に
自分の金で貸し出したりする。もはや謎だ。
ヒロインもヒロインで別のレンタル彼女を主人公にあてがったりする。
状況がカオスすぎてついていけない。
3人目のレンタル彼女
画像引用元:彼女、お借りします 11話より
© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会
この作品は1クール全12話の作品だが、11話で新キャラが出る。
初めから2期を想定したストーリー構成なのかもしれないが、
新キャラよりも本筋を進めてくれと思ってしまうストーリー構成だ。
彼女は極度の人見知りで「自分を変えるために」レンタル彼女をしている。
人見知りを治すためなら、レンタル彼女をする前に
飲食店やら他のバイトがあるだろうと思うのだがこの作品にそんな
正しいツッコミをしてはいけない。
ちなみに新キャラは11話で出た後に最終話の最後の方でちょろっと出て終わりだ。
何のために出てきたんだろうかと思ってしまうキャラクターの使い方に
頭を捻ってしまう。
結局、原作が続いてることもあり何も解決しないで終わる。
主人公は親族に嘘を付き続けたまま、レンタル彼女の関係性変わらぬまま、
試しに付き合ってるヒロインとは試しで付き合ってるまま、
最後まで嘘とへたれっぷりを見せつけてくれる主人公の不快感は拭えず、
どんどんとその不快感が大きくなるだけの作品だった。
総評:見た目と声はいいヒロインとクズ主人公
画像引用元:彼女、お借りします 12話より
© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会
全体的に見て主人公の不快感が最後まできつかった作品だ。
「レンタル彼女」というものを題材にし、疑似恋愛な関係性から
本気の恋愛になっていくという過程を描きたいのは分かるものの、
そんな「現実的」な部分と「ファンタジー」なご都合主義な部分が
作品の中で上手く噛み合っていない。
そのせいで主人公がイベントを起こすためにどんどんとクズになっていき、
ヒロインたちはそんなクズな主人公を受け入れるようなキャラばかりで、
「どうしてこんな主人公にヒロインたちは惚れるんだろう」
というラブコメで1番考えてはいけないことを考えてしまう。
作画とキャラクターデザインは非常に優秀であり、ヒロインたちは可愛らしい。
演じてる声優さんたちもしっかりと実力派の女性声優たちが多く、
そのせいで「かわいい」と感じてしまうシーンも多いのだが、
冷静に考えるとヒロインにも色々と問題があり、
芯までキャラクターを好きになりきれない。下ネタも妙に多く、妙に生々しい。
最初から2期が決まっているストーリー構成のせいか、
ほとんど出番のないキャラや何の区切りもついていないストーリーは
モヤモヤ感が強く、消化不良で終わってしまう。
クズと自覚しつつ、そこから一切替わらない主人公のクズさに
最後まで相容れない作品だった。
個人的な感想:不快です
画像引用元:彼女、お借りします 2話より
© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会
1話から最終話まで見ていて「きつい」と感じる作品はなかなかない。
この作品は本当にきつかった。ヒロインの見た目と声が可愛いというのが
本当に救いであり、それ以外は展開もキャラクターも
不愉快さのほうが勝ってしまった
2期でこの不愉快さが減ってくれることを祈るばかりだ。
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