評価 ★★★☆☆(58点) 全4分46秒
あらすじ 都会で一人暮らしをする彼女と、偶然彼女に拾われた一匹の猫の物語。ある日、彼女の留守電に彼からのメッセージが入る。引用- Wikipedia
たった5分で描かれる「何気ない」日常の素晴らしさ
本作品は新海誠監督の個人制作作品。
監督がファルコムに務めていたときに作った作品であり、
約5分のモノクロのアニメーション作品。
現在、新海誠監督のYoutubeチャンネルで見ることができる。
音
引用元: (c) Makoto Shinkai
この作品は淡々とした語りから始まる。
「猫」である彼が拾われた「雨」の日、雨の音や鳴り響く電話の音。
新海誠監督らしい「雨」と「音」へのこだわりを
20年前以上の作品でもひしひしと感じることができる。
日々の生活の音、季節を感じさせる音。
個人制作では限界のある作画ではなく「音」でこの作品は
様々なことを描写しようとするのを感じる。
トントン、シュー、カランカラン、ガチャン。
目を閉じて耳で聞いてるだけでも「情景」が想像できるような音の描写、
音の広がりが作品全体の広がりに繋がるような感覚になる。
しかもナレーション兼「猫」を演ずるのは新海誠監督自身だ。
新海誠の優しい語りと声がこの作品の世界観にぴたっとまっちしており、
不思議な気持ちにさせられる。
猫
引用元: (c) Makoto Shinkai
この作品は猫目線で描かれる作品だ。
一人暮らしの女性に拾われて、恋人のミミと出会って恋をして。
「猫」の目線で彼は一人暮らしの女性のそばにそっと寄り添う。
一人暮らしの彼女の寂しさ、そんな彼女が大好きな猫。
淡々とした語りの中で移り変わっていく季節と何気ない日常。
何か大きな出来事が起こるわけでもない。
なにかが起こってもそれがきちんと描かれるわけでもない。
猫にとってはどうしようもない人間の事情、
ただ猫は寄り添うことしか出来ない。「誰かに助けてほしい」という心の叫び。
それでも猫と彼女は生きていく。
移り変わる季節を感じながら、そっと二人は寄り添う。
この世界が好きだから。
総評:モノクロだからこその良さ
引用元: (c) Makoto Shinkai
全体的に見て「語り」が素晴らしい作品だ。
詩的でどこか気恥ずかしさすら感じさせるような新海誠らしい
言葉による「表現」が何気ない日常の何気なさを猫目線で感じさせてくれる。
そこに何気ない日常の中の「音」をリアルに取り入れることで、
たった5分で移り変わる季節を粛々と感じることができる。
「新海誠監督作品」らしさというのをたった5分でしっかりと感じることができる。
この5分が新海誠監督作品のルーツであり、表現したいことなんだなと。
そんな新海誠イズムといわんばかりのものが5分にぎゅうっと詰め込まれている。
たかが5分、だが、されど5分だ。
背景の描写のこだわり、音へのこだわり、日常というものへのこだわり。
5分の中に「新海誠ism」と言わんばかりのものが詰まりに詰まっている。
この作品を見ると新海誠監督が後に作る作品への道が見えてくるs悪品だ。
個人的な感想:今だからこそ
引用元: (c) Makoto Shinkai
君の名はで大ヒットし、ポスト宮崎駿と言われた新海誠監督。
新海誠監督が大物になってしまった今だからこそ、
この原点の作品を見るのは面白いかもしれない。
新海誠監督作品が好きならば是非見ていただきたい作品だ。
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