評価 ☆☆☆☆☆(6点) 全12話

TVアニメ『神達に拾われた男２』本PV│2023年1月8日放送開始

あらすじ神々によって子供の姿で異世界へ転生したリョウマは、ジャミール公爵家をはじめとしたあたたかい人々との出会いを経て、異世界ライフを謳歌していた引用- Wikipedia

薄味を超えた虚無
総評：視聴者に見捨てられた男
1. 個人的な感想：無味無臭

薄味を超えた虚無

本作品は神達に拾われた男の２期。
監督は柳瀬雄之、制作はMAHO FILM

忘却の彼方

１期は３年前の作品だ。もうこの作品の内容を忘れてる人も多いだろう。
私もこの作品の内容の８割を忘れており、
自分のレビューを見返し、１期を若干見直すことでようやく思い返したくらいだ。

１期ではブラック企業づとめで両親も失った主人公が
死んでしまって、異世界に転生する際に神から様々な加護をもらい、
最初は人里離れたところに住んでいたが、とある貴族と出会い、
そんな彼らの優しい人達の優しさに触れていきながら、
終盤には「洗濯屋」をはじめ、そんな洗濯屋の従業員を雇い、
最後は厄介な魔物と契約して主人公が独り立ちして終わりの作品だった

この作品は特に目的のある作品ではない。
倒すべき敵がいるわけでもなく、魔王などもいない。
あくまでも異世界の生活を楽しんでるキャラクターを見て楽しむものだ。

スローライフ系の作品であることはわかるものの、
まるで味のしないガムをひたすら噛み続けるような作品だった。

作画

１期の段階でそこまで作画がよかったわけではないが、
２期では明らかに劣化している。
１枚絵のクォリティの低さだけではなく、単純に作画枚数も少ない。
無駄にカメラを下から上に動かしたりして作画枚数を誤魔化しているが、
ごましきれないほど「カクカク」としたアニメーションになってしまっている。

無駄なアップも多く、逆に引きの絵も多い。
なんとか少ない予算で２期を作りましたという感覚が強く、
主人公がしゃべりまくってるのに「口」を一切みせずに、
鼻から上の顔面のアップで誤魔化していたり、
なぜかぬるぬると動くスライムを映していたりする。

TVアニメというよりはFLASHアニメを見ている感覚だ。
そんな作画のクォリティの低さは話を進むごとにひどくなっていく。
３話の冒頭など本当に「カクカク」している。
もしかしたら配信サイトや私の環境のせいなのかもしれないが、
上から下に画面がスライドするだけなのにカクカクだ。

セリフの読み上げに合わせて画面を動かすため、
スライドするための作画の枚数が足りていないせいで
カクカクっとした動きになってしまっているのだろう。

なぜか料理描写のシーンだけは作画の気合が入っており、
特にキャベツの作画には「なぜか」こだわるを感じる。
一体どうしてなのだろうか（笑）
終盤にはほんの一瞬だけ馬車のシーンでCGをつかったりと、
もうガタガタだ。

薄味

１期も内容が濃い作品とは言えなかった。
それでも、色々な人との出会いや環境の変化による
主人公の成長と変化が少なからずあったからこそ見れた部分もあった。
しかし、２期にはそれがない。

２期の１話では「洗濯屋」の防犯を強化するために強化ガラスを作ったり、
２号店の計画を立てたりしながら、
「１期」でも出てきたキャラクターたちとの会話劇を繰り広げている。
大きな変化というのが１期以上になく、
本当に薄味なストーリーがひたすら繰り返される。

１期では彼を拾ってくれた貴族のお嬢様との交流があり、
明らかに彼に惚れているヒロインが可愛らしくもあった。
しかし、２期ではそんなヒロインと別れた状態で始まっており、
「文通」という形での交流しかなく、ほぼ出番がない。

１期ではヒロインの可愛さがあるからこそ見れた部分があったのに、
２期にはそんなヒロインの出番がなく、
彼女の代わりになるような魅力あふれるキャラクターも居ない。
適当なキャラクターデザインのレベルの低い作画で描かれたキャラに
魅力など一切感じない。

引き伸ばし引き伸ばし

１話１話の内容が本当に薄く、何がしたいのかと思うほどだ。
２話では刀作りに手を出したりする。
そんな中で２話で「スライム研究者」というものが唐突に出てくる。
彼らはスライムの研究していたが、
「研究で成果」を出せずに首を切られていたという状況のようだ。

しかし、彼らは無能の極みだ。
スライムの進化条件は「食事」であることを主人公が
１期の段階で得た情報だ。しかし、彼らは知らない。

「そんな！餌と進化は無関係なのが定説なのに！」

その定説とやらを考えたのは誰だかわからないが、
結局、「主人公すごい！」というふうにするために、
周囲を馬鹿にしている手法だ。
もう見ていられないほど馬鹿げた構図に苛立ちすら湧いてくる。

１期でも主人公を甘やかし、お膳立てし、
周りのキャラがまるで太鼓持ちのような状態だったが、
２期でもそれは変わらないどころか拍車がかかっている。

新キャラも何の脈絡もなく登場する。

「ドルツェさんはジェフさんの紹介できてくれた人だ、
ちょっと無愛想だけどいい人だ」

これで新キャラのドルツェの紹介と掘り下げは終わりだ。
雑に新キャラを登場させ、ろくに掘り下げもせず、
ストーリーにガッツリ絡むわけでもない。

終盤になると目新しいを主人公が考えてくれる
「麦茶」である（苦笑）
この世界には麦はあれど、麦茶はなく、
「え！？麦からお茶が作れるんですか！？」と周囲が驚き、
麦茶の味に周囲のキャラが感動する。

「こんなお茶初めて飲んだ！」

異世界人を馬鹿にするのもいい加減にしろと思うほど、
主人公を引き立てるために異世界人を馬鹿にしている。

転生者

３話では主人公は二号店設立のために別の町に行く。
そこにはかつて「転生してきた人」が残した技術や料理が残っており、
それを主人公は久しぶりに味わう。それだけだ。
別の転生者が出てきて敵対するわけでもなく、なにかするわけでもない、
ただ久しぶりの日本料理を味わうだけだ。

一応、この作品にも目的があることが２期で思い出される。
転生の際に「異世界での身分証明」のために借りた人たちの
遺産が「大樹海」と呼ばれる凶悪生物が存在する場所にあり、
それを受け取るという目的がある。

そもそもなんで、遺産がそんな危険な場所にあるのか意味不明ではあるものの、
別の町で２号店を出店し、順調な経営状態が続く。
従業員もどんどん追加されるが特に掘り下げはない。

そんな２号店が安定したらすぐに元の街に戻り、
遺産を受け取るために冒険者のランクをあげることになる。
「いままでの話に意味はあったのだろうか？」と
思わず考えてしまうほど無味無臭なストーリーが序盤続いてしまう。

中盤もお祭りに参加したり、色々な人と出会うものの、
なかなか本筋の遺産を受け取るストーリーにはならない。
９話ではヒロインの学校での様子なども描かれるものの、心底どうでもいい感じだ。
作画もどんどん適当になり
「点」３つで顔が描かれてるようなシーンも有る

便利すぎるスライム

この作品におけるスライムはもうなんでもありだ。
主人公はそんなスライムを使役し、ありとあらゆることをやらせている。
洗濯、掃除、雑用、変身させて武器として使用などもうなんでもありだ。
終盤になると「飛行するスライム」も出てくる。

そういう便利な活躍のシーンによる戦闘すらも
作画のクォリティが悪いせいで面白みもない。
最終話ではスライムがキャベツのスライサーになる、
もう意味不明だ。

最後はお祭りを成功させ、楽しんで、迷子を親のもとに育てて終わりだ。
結局、ヒロインとは再会せず、遺産も受け取っていない。
スローライフ的な作品にしたいのはわかるが、
物語の起伏も脈絡もなく、常に無表情で見続けてしまう作品だった。

総評：視聴者に見捨てられた男

全体的に見てなぜ２期をやったのか不思議でしかない作品だ。
DVD・BDも対して売れておらず、１期も話題になった作品ではない。
２期では明らかに１期よりも作画のクォリティがガクっとオチており、
作画枚数をごまかすための演出も多く、ガッタガタだ。
作画崩壊してこそしていないものの、それに近いものがある。

ストーリー的にも１期はまだ物語に導入として
やりたいことや作品の方向性が見える部分もあり、
ヒロインの可愛さも合って見れる部分があった。

しかし、２期ではそういったものがなく、
２号店をオープンさせたり、魔物を倒したり、
色々な商品や料理を異世界人にひけらかしたり、それくらいだ。
麦があるのに麦茶がない異世界で麦茶をひけらかす主人公の姿は
滑稽でしかなく、何の感情も生まれない。

１期以上に２期は薄味どころか無味無臭だ。
常に無表情で1クール見続けた結果、虚無感を感じてしまう作品だった。

配信自体も「Abema」が独占しているせいで、
他の配信サイトでは有料配信になっている。
そのせいで２期の放送中も余計に話題にならず、
「やってたの？」と思う人もいるはずだ。

神に拾われたかもしれないが、視聴者には見捨てられた
２期だったといえるかもしれない。