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「実験品家族 -クリーチャーズ・ファミリー・デイズ-」レビュー

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評価 ★☆☆☆☆(16点) 全11話

あらすじ タニスら5人の兄弟は、マッドサイエンティストである両親によって孤島の研究所に監禁されていたが、ある日、両親が警察に逮捕されたことで、その生活は終わりを告げる引用- Wikipedia

出来損ないの狂乱家族日記

原作は台湾のコミックサイトで連載中の漫画作品、
日本では月刊コミックバンチで連載されている。
監督は危天行、制作は大火鳥動画。
なお枠的には1話30分なのだが実写映像部分があり、
実質1話15分ほどのアニメとなっている。

妙にこだわりはあるが意味のない背景作画

キャラクターの作画は中国の制作会社にしては普通なのだが、
背景がやたらこだわって描かれており、
キャラクターの作画との違和感が強くなってしまっており、
一言で言えば「浮いている」感じのアンバランスさを秘めている。

町並み自体は香港か台湾風になっており、
日本の雰囲気と違う町並みは面白く、
「お茶」や「料理」など日本が舞台のアニメでは出てこないものが、
多くアニメで描かれている新鮮さはややある。
ただ、そこをこだわって描く意味がわからない。

話が進むほどにキャラクターの作画は悪くなっていき、
かなり手を抜いているシーンも目立つ。
極端に崩れないものの、ギリギリだ。
背景にこだわる割にはキャラの作画のこだわりが薄い。

癖のあるキャラクター設定

この作品のキャラクターは両親の実験によって生み出されたクリーチャーだ。
あるものは犬から人間に変身する犬人間、
あるものは心を読め、あるものは蜘蛛の足が背中についていて、
あるものは光合成ができる。

マッドサイエンティストな両親が逮捕され、
5人だけの家族となった彼らの日常系と呼べる作品だ。
だが、普通に街に彼らが出ても誰も驚かない。
明らかに見た目でおかしいキャラクターが2人もいるのに、
その二人を見ても周囲は驚かない。

異質な彼らを見ても「コスプレをしている」「手品をしている」など
周囲がいいように解釈してしまっており、
1話の段階からかなりの「ご都合主義」が目立つ

例えば彼らは実験されていたため世間知らずだ。ピザすら知らない。
だが、とあるキャラが「ハリウッド映画みたい!」と
唐突に一般知識を比喩表現で持ち出してくる。
このあたりの設定の甘さが細かい部分にも現れている

1話15分をうまく使いこなせないストーリー構成

別に複雑でも大した話でもないのにいちいち
「前回までのお話」が45秒ほど挟まれる。
そのうえ本編自体も妙に間延びしており「だらーっ」っとしたテンポで、
特に楽しみどころもない話がグダグダと描かれてしまう。

話自体はこの手の日本のアニメを数本見れば
似たような話を見つけられるだろう。
よくある話でしかなく、そのよくある話をテンポよく描けば、
面白さに変わる部分もあったかもしれないが、テンポの悪さのせいで
面白さまでも引き伸ばして薄めてしまっている。

たかが家族の1人が買い物帰りに迷子になりましたというだけを
グダグダグダと15分も掛けて描いているような作品だ。
15分という尺の割には話の密度があまりにも薄い。

シリアスがやりたいのか、ほのぼのがやりたいのか

実験体である彼らが両親が居なくなってしまったことで、
普通の家族として暮らしていくために試行錯誤していくのだが、
すぐにシリアスかつ鬱な展開に持っていく。

きちんとしたキャラクター描写と日常があって、
そこからシリアスな展開に持っていくならわかるが、
作品の方向性も定まっていない段階からシリアスなシーンを入れまくり、
見ていて気分のいいシーンが少なく、
シリアスなシーン以外のシーンでも「くらーい」音楽が流れている。

そこから唐突にギャグを入れたり、ほっこりな話を入れても、
暗い雰囲気に引きづられていることも多く、
話の方向性もいまいち見えづらい。

中途半端すぎるラスト

終盤は作画も悪いのだがストーリー構成も悪い。
場面展開が非常に多く混乱しやすく、状況を把握しづらく、
お涙頂戴的な展開にしたいのはわかるのだが、
そこに至るまでの展開の雑さや詰め込みまくりな
内容のせいで感動には至れない。

更にはめちゃくちゃ中途半端な所で終わる。
「え?ここで終わり?」と思うほど半端かつ歯切れの悪すぎるラストは
次の話がないことは不思議なほど歯切れの悪いストーリー構成であり、
中国アニメらしい中途半端さが残る作品だった。

総評:狂乱家族日記をしたいのはわかる

全体的に描かれている内容は薄めた狂乱家族日記みたいな作品なのだが、
1話15分の割にはテンポが悪く、密度が薄く、
ストーリー構成の悪さがかなり目立つ。
作品全体で重くシリアスなシーンが多く、
雑な部分や設定のツメが甘い部分も目立つ作品だ。

一言で言ってしまえば洗練されていない。
中国アニメ特有の「日本のアニメの2番煎じ」っぷりが凄まじく、
それゆえにやりたいことはわかるのだが、
やりたいことをきちんと描けていないもどかしさが見ていて募り、
面白くなりそうでならない作品だ。

結局、最終話まで見てもスッキリする作品ではなく、
中国アニメは売上関係なく2期をやることも多いので、
2期を想定しているのかもしれないが、
もう少し1期と2期の「区切り」をきちんとしてもらいたい所だ。

個人的な感想:中国アニメにしては作画が良い

背景描写だけだが背景や小物の作画はかなりいい。
特に料理に関する描写は別に料理アニメでもないのにこだわりまくっており、
そのリソースを崩れまくる終盤の作画に回してほしかった所だ。
だが、中国のアニメ制作会社はもっと酷い作画のところもあるため、
制作の大火鳥動画の今後には期待したいところ。

果たして2期はやるのだろうか?
なお、実写パートは早見沙織さんが出ている回もあるため、
早見沙織さんのファンならば楽しめるかもしれない(笑)

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