評価 ★★★★☆(63点) 全12話
あらすじ とある街、オフィス街に近い商店街の一角にある洋食屋「洋食のねこや」は、平日は普通の食堂であるが、土曜日だけは扉が異世界につながる不思議な店だった引用- Wikipedia
唾液ダバダバ飯テロアニメ
本作品は異世界食堂の2期。
1期はシルバーリンク制作だったが、2期ではOLM Team Yoshiokaになっている。
なお、監督は1期から変更はなく神保昌登。
開店
1話が始まってそうそう、違和感の無さに驚く。
制作会社が変更されるとどうしてもキャラデザや作画の雰囲気の差で
1期と2期で違和感が生まれることが多いが、この作品はそんな違和感がまるでない。
キャラデザや色彩はやや色鮮やかになっている印象は受けるが、それくらいだ。
手掛けている監督が同じだからこそ、1期と同じ「空気感」が保たれており、
安定の2期といえるだろう。
1話ではまた新たな客が異世界食堂に迷い込むところから物語が始まる。
1期で見かけた常連はいつものものを食べており、
4年ぶりの2期とあって久しぶりに地元の行きつけだった店に
来たような懐かしさすら感じさせてくれる。
「ああ、この雰囲気この雰囲気、あの客まえもいたな」
そんな郷愁にすら駆られる。
美味しそう
作画のレベルもあまりおちていない。
特に今作品でもっとも大事とも言える「料理の作画」は
1期よりも気合が入ってると言えるかもしれない。
特に1期では「料理」が出てきた瞬間の、
バラエティ番組などでいえば「インサート」の作画は気合が入っていたが、
キャラクターの口元に運ばれた瞬間にその作画のクォリティが
一気におちてしまうのが気になった。
しかし、2期では口元に運ばれ、口の中に消える瞬間まで
きちんと作画のクォリティが保たれている事が多く、
作画の雰囲気が明るく色鮮やかになったことで、
より料理が美味しそうに見える。
スマホアプリでやや加工したような感じといえばわかりやすいかもしれない。
やや過剰ともいえるきらびやかな料理の魅せ方は、
過剰ではあるものの、より見る側の「食欲」をそそる描写になっており、
思わず「おいしそう…」と口からこぼれてしまう。
鉄板で焼かれる牛肉の「じゅうじゅう」とした音、湯気、
こぼれおちる「肉汁」と下に敷かれた玉ねぎでさえ美味しそうに見える描写は
腹の虫がなくのを抑えきれない。
1期以上に「飯テロアニメ」になっている。
1期よりも2期のほうが簡単に言えばより
「高カロリー」なメニューが多い。
ステーキ、ピザ、ハンバーガー、お好み焼き、ローストビーフetc…
贅沢で高カロリーなメニューが毎話のように出てくる罪深いアニメである(笑)
食レポ
1期から異世界人による「食レポ」はこの作品の特徴でもあった。
そんな食レポが2期ではより繊細なものになっており長文になっている。
そこにやや「くどさ」のようなものは感じるものの、
熟練の声優陣が感情を込めてやる食レポは思わず舌をくすぐられ、
口の中から唾液が溢れてくるような感覚だ。
1話に2エピソードずつ綴られる異世界職の物語が心地よく、
1期と同じくある種の「パターン化」しているものの、
そんなパターン化した中での「変化」もこの作品の面白さだ。
常連同士のちょっとした会話、関係性の変化は緩やかだ。
異世界食堂での経験が、出来事が少しずつ彼らに影響を及ぼし、
「誰か」とモノを食べることの楽しさや幸福感、
彼らにとっては1週間に1度の贅沢、そんな贅沢を味わっている
幸福感が見ている側にもつたわる。
この作品では「負」の感情は抱かない。
キャラクターに対する不快感や、シリアスな展開、
見ている側がイラっとしたり悲しくなったりすることはない。
美味しそうなものを食べる彼らと同じく、
私達も「幸せ」な気持ちになれるアニメだ。
「あぁーなんておいしそうなんだ、美味しそうに食べるな
自分も食べたいなー…」
幸せに食べる姿、全身で出されたものを味わい、
味と幸せを噛みしめるその瞬間に見ている側の舌と心を刺激してくれる。
食の喜び
1期で感じたのは「縁」だった。
異世界食堂を通じて描かれる人の縁の物語、
そんな縁の物語から2期では「食の喜び」、
食事とはなにかというものを感じさせてくれるような作品になっている
私達が普段食べている日本の料理の数々、
そんな料理を本当に美味しく食べる彼らの姿を見て、
私達が本当に幸せな時代に生まれ、食の喜びと楽しみを
改めて感じさせてくれるような作品だ。
香辛料や品種改良で安価にそして美味しい食べ物の数々、
カレー1つでさえ、チーズケーキ1つでさえ、多種多様な種類が有る、
今の日本の「料理」はこんなに豊かなんだと実感させられる。
1人で食べるのではないだれかと食べる喜び、
美味しいと感じたからこそ、今度は親しい誰かと食べたいと思う。
人が生きる上での「食事」という行為はただ栄養補給のためだけのものではない。
味を楽しむ、美味しいと感じる、誰かとともにたべることの
「幸せ」がこの作品では描かれている。
総評:幸せを噛みしめる
全体的に見て素晴らしい2期だ。
1期からパターン化している話の展開や雰囲気はそのままに、
彩り豊かになった「料理」のクォリティは1期以上であり、
そんな料理を楽しむ異世界の人々による食レポと、
彼らが紡ぐ縁が「食事の喜び」や「食事とはなにか」というものを描いている。
1期よりテーマが深くなっており、作画のクォリティも上がっている。
制作会社の変更は心配だったものの、そんなものが杞憂なほど
1期よりも「美味しそう」とストレートに感じる料理の数々は
思わず唾液がドバドバでてきてしまう。
1期では1人で訪れていた常連がときには土産を持ち帰り、
ときには誰かを連れてくる。
1期よりも1人で食べるシーンよりも誰かと食べてるシーンが多い。
そんな「縁」と「食の喜び」の連鎖が幸せな物語を紡いでいる。
毎話毎話誰かが店に訪れるたびにそこにいる「常連」の姿も愛おしい。
今回はトンカツのひとがいる、今回はエビフライのあの人がいる。
1期から見続けたからこそ見ている私達もこの店の常連の1人に
なったかのようなそんな感覚を覚える作品だった。
個人的な感想:はらへった…
この作品、私は夜の23時から見始めたのだが
腹の虫がなってなってしかたない(苦笑)
1期よりも彩度があがった料理の描写はアニメ的な表現がより強まり、
そのせいでより舌に味を想像させられる。
決してキャラクターを使い捨てにせず、縁をつむぎ、
新たな客が異世界食堂に訪れる。
その繰り返しが心地よい作品だった。
常連たちの関係性の変化もすばらしく、最終話のあの
「プロポーズ」には思わず爆笑してしまった。
いつか3期があればぜひ見てみたい。
そう感じさせるほど「異世界食堂」という作品はストレートに
面白い作品だ。
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オーガの夫婦を出さなかったのが
2期の微妙だった点