アクション

セカンド幼馴染ってなんだよ「IS<インフィニット・ストラトス>」レビュー

3.0
IS<インフィニット・ストラトス> アクション
画像引用元:(C)2011 Izuru Yumizuru, PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION MEDIA FACTORY/Project IS
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この記事を書いた人
笠希々

オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、
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評価 ★★★☆☆(59点) 全12話

【PV】IS(インフィニット・ストラトス)プロモーション映像

あらすじ 引用- Wikipedia

セカンド幼馴染ってなんだよ

原作はライトノベルな本作品。
原作者はアリスソフトという有名なアダルトゲームの
製作会社の元ライター。
制作はエイトビット、監督は菊地康仁

懐かしい

インフィニット・ストラトスを覚えてる人も多いだろう。
2011年に放送されたこの作品は当時、話題沸騰であり、
1期の円盤に関しては平均で3万枚以上売れるという
とんでもないヒットを飛ばした作品だ。

あれから13年、2024年の9月にTwitterで再びこの作品が話題になった。
原作者である「弓弦イズル」さんが、インフィニット・ストラトスの
最終巻の予定だった13巻を執筆しないと発言されたことで、
かつてのISオタクが一斉に集合し、様々な討論がかわされた。

私もなんだか懐かしくなり、13年たった今、
改めてインフィニット・ストラトスを見てみることにした。
OPをきくだけで13年前の記憶がぶわっと蘇るような
懐かしさを感じるような作品にインフィニット・ストラトスは
もうなってしまった。

あっという間の13年だ、アニメ業界も色々と変わり、
インフィニット・ストラトスのようなラノベ原作アニメはなりをひそめ、
いまやなろう系が筆頭している。
そんな今だからこそ、あえてインフィニット・ストラトスを
再視聴し、再レビューすることに意味があるかもしれない。

99%女性

一話、冒頭から激しい戦闘シーンが流れる。
非常に質の高いアクションシーンとCGは観ていて清々しく、
今後のシーンに期待を持たせるという意味では
十分すぎる魅力をひめており、
あのシーンで今作品の世界観に「ぐっ!」と引き込まれる感じだ。

ただその後は少し肩透かしを食らう。
流石元アダルトゲーム脚本家というべきか、
テンプレートをはるかに超えるハーレム設定は驚くしか無い(笑)
なにせ主人公は本来女性しか動かせないはずの兵器であるISといものを
男性で唯一動かすことができる存在だ。

そんな存在である主人公はISの養成学校に通うことになるのだが、
こんな設定だからこそ、当然、主人公以外は女性ばかりの状況だ。
本作品で男性の登場人物というと主人公の友達一人がちょっと出てるくらいで
99.8%女性のような状態だ。

クラスメイトや先生ももちろん女性だ。
この男の夢&まさにギャルゲー状態でストーリーは進行するものの、
1話は説明口調がかなり多い。

世界観の導入としてはいいのだが説明が少し多すぎるうえ、
主人公はISに関する知識を0にすることでボケと
世界観の説明を一緒にしてるのはわかるがかなりわざとらしい部分はある。
例えば転校初日に主人公のクラスに主人公の姉がいきなり現れる。
すると彼はこんな風につぶやく

「なんで千冬姉がここにいるんだ?職業不詳で
月1,2回しか家に帰ってこない実の姉が…」

わざとらしいなんてもんじゃないほどの説明だ(苦笑)
ただ、わかりやすい導入ともいえる。

1話から女性キャラの態度も露骨だ。
主人公のクラスには6年ぶりに会う幼馴染もおり、
明らかに主人公へ好意を向けている。
担任の先生も胸の谷間を露出していたりと、
このころのわかりやすいラノベ原作アニメ感を全開に感じる作品だ

そんな幼馴染と同室になったかとおもえば、
風呂上がりの彼女がでてきてこんにちわだ(笑)
13年も前のアニメだからこそ、こういうテイストに
懐かしさすら感じるほど露骨にセクシーな描写がある。

セシリア・オルコット

だが、誰も彼もが主人公に好感をもっているわけではない。
クラスメイトの「セシリア・オルコット」は
プライドの高いお嬢様だ、だからこそ、
男性でありながらISを動かせる主人公にきつくあたってくる、
そんな彼女がクラスの代表をかけて主人公と戦うことになる。

この作品の世界は女尊男卑な世界だ。
ISという兵器の登場で女性がシンプルな強さを手に入れ、
そんな強さの前に男性の強さは霞んでしまう。
だからこそ、基本的にこの世界の女性は男性を舐めている。
しかし、そんな世界で主人公は「男」である自負があり、
女性より強くあろうとしている。

女尊男卑な世界で女性しか動かせないはずのISを
動かせてしまう主人公、そんな主人公の専用機「白式」の
デザインはシンプルにかっこいい。

この作品は純粋なロボットアニメとはいい難いものがある。
彼らが装着しているISは機体ではあるものの、
あくまで装着しているため武器に近い。
ロボットアニメなら普通はパイロットが生身で外に出てることはないが、
この作品の場合はアーマーを着ているような感じだ。

独特なデザインのIS同士による戦闘は「浮遊感」がきちんとあり、
高速で動き回る中での戦闘シーンはきちんとした爽快感がある。
そんな戦闘をへてセシリア・オルコットは
主人公に惚れてしまう(笑)
そんなチョロさとベタ惚れっぷりが彼女の魅力でもある。

恐ろしい速度で主人公への好感度が変わる姿は
平成のチョロイン代表として表彰したいほどだ。
このあたりは原作者がアダルトゲームの脚本家の影響もあるのだろう、
話が進めば進むほどキャラが増えていき、ハーレムになっていく

セカンド幼馴染

本作品には幼馴染が二人も出てくる(笑)
ファースト長馴染な箒と、セカンド幼馴染なリン、
セカンド幼馴染という概念はこの作品くらいだろう。
その他にもヒロインが3人おり、
5人のヒロインと主人公が中心となってストーリーが展開するが、
基本的に全員が主人公好き好き状態だ。

ハーレムものとしてはある意味で優秀ではあるものの、
主人公に好意を抱くきっかけが曖昧か、もしくは幼い頃より好きなので、
もう少し練って欲しいと思ってしまう点はある。
ついでに言えば、ヒロインたちが登場するきっかけもかなり雑だ。

なにせ5人中3人が転校生という無茶苦茶な設定だ。
別に他のクラスにいたって設定でもいいような気もするのに
何故か転校生にこだわる、作者は転校生&幼なじみマニアなのだろうか?
と思うほど、転校生と幼馴染なヒロインばかりだ。
ちなみに5話では二人も転校生がくる、前代未聞だ(笑)

そういうつっこみどころはあるものの、
出てくるキャラクターは流石元アダルトゲーム脚本家ともいうべきか、
ヒロインがしっかりとキャラ立ちしている。
1期の時点で5人のヒロインが出てくるものの、
そんな5人がそれぞれ属性を持ち、魅力的に描かれている。

各ヒロインが増えていくごとにエンディングにも追加され、
最初は一人のヒロインだけで歌っていたエンディングが
最終的には全員で歌っているという仕掛けも、
インフィニット・ストラトスという作品を印象深いものにしている。

方向性

ただ、ストーリーの方向性が見えてこない部分がある。
ISは兵器ではあるものの、軍事利用が禁止されており、
主に競技用として使われる。
スポーツのためのパワードスーツのようなものだ。
大会なども行われているようで、主人公たちが通うのはそのための養成学校

ただ、1期の段階ではそういった大会などが始まるわけでもなく、
いったいどういうルールでどういう競技が行われているのか、
そういう部分が一切描かれずに、新しいヒロインが現れて
イチャコラしつつ、模擬戦をしたり、無人機が乱入してきたりする。

作品自体のストーリーの方向性、どうしたいのかが見えてこず、
ヒロインの可愛さだけで作品の面白さが保たれてる印象だ。
しかし、この作品の場合はそこが破壊的だからこそ、
覇権作品になったともいえる

シャルロット・デュノワ

主人公以外は全員女性という学校に主人公は入学してしまい、
先生も含めてまわりは女性だらけだ。
だからこそ、主人公はどこか「息苦しさ」を感じている。

明らかに彼に好意を向けてる人は多いものの、
持ち前の鈍感さとおとぼけっぷりのせいで、それに一切気づかず、
女心に振り回されっぱなしなのがこの作品の主人公だ。
そんな中でもう一人「男子」が現れる。

世界で一人の男性IS操縦者だったはずなのに、
もう一人「シャルル・デュノア」という人物が現れる。
それに彼はある種の同情と共感による仲間意識が生まれている。
男友達が学校には一切いない中でようやく現れた男子だ。

見ている側からすれば着替えを見られるのを嫌がったりと
明らかに「女性」であることはわかるのだが、
そんな男装女子な彼女の破壊力がシンプルにやばい。

なにせ主人公ですらヤラれている(笑)
数々の女の子が彼にわかりやすいアピールをしているのに、
彼はほとんど気づかず反応すら示さないのに、
男子と偽っている彼女が「優しいね」というだけで彼は顔を真赤にする始末だ。

女性には顔を赤らめないが男性には顔を赤らめる。
主人公は同性愛者なのでは?と当時の視聴者からもいじられていたが、
そんないじりも生まれるのも分かるほど、
同性と異性への対応も反応もまるで違う。

5人のヒロインのうち、彼女は明らかに
優遇されたシーンの数々もあり、一緒にお風呂に入ったり、
下着をおろしたりと彼女だけのイベントのおかげもあって
シャルロット・デュノワというヒロインの魅力が爆発している。

本作品の魅力はキャラクターだ、それ以上でもそれ以下もでもない。
5人いるヒロインや先生達やクラスメイトなど、
誰かしらに惹かれてしまうほど魅力的に描かれており、
キャラクターの動きや描写も悪くない。

後半若干作画が崩れてしまったことが残念でならないが、
それでも数々のイベントやラッキースケベ、
セクシーシーンの数々はこの作品らしい魅力にもなっている

何の脈絡もなく発生するイベントの数々に笑って萌える、
ギャルゲーや萌えアニメらしい作品だ。
しかも円盤は作画修正、及び乳首や裸などのサービスシーンも解禁されている。
この作品が売れた理由も納得できる部分がある。

1クール終盤

ただその分芯となるストーリーは設定に突込みどころが多く、
内容的にも唐突な展開が非常に多い。
都合のいい展開も多く、戦闘の流れも無理に
「主人公にとどめをささせない」感じが多く
戦闘の結末ですっきりするものが少ない。

終盤では暴走した無人ISとのバトルで1期は終わってしまい、
このふわふわとした部分や目標の見えなさが、
後に様々な二次創作を生み出した部分でもある。
作品の「余白」が多いからこそ
二次創作が今もなお続いているというのも納得できる部分だ。

円盤も私はすでに手放してしまったが、
当時は所有しており、解禁された要素の数々に
オタクらしい気持ち悪い笑みを浮かべていたのをよく覚えている。

配信されているものは画質や作画のクォリティも
今見るとやや劣る部分があるため、
もし今から観るという人がいればぜひ円盤に手を出してほしいところだ。

総評:円盤3万枚の大ヒットアニメの栄枯盛衰

全体的に13年たった今見返しても
色褪せないヒロインたちの可愛らしさがしっかりとある作品だ。
5人のメインヒロインのうち、3人が転校生、
二人が幼馴染というツッコミどころはある意味面白く、
バカバカしいともいえるラッキースケベやセクシーシーンが作品に花を持たせてる

このあたりは原作者がアダルトゲームの脚本家だったことも
大きいと感じさせるようなヒロインの見せ方や立ち位置と
主人公の同性愛者なのでは?とすら感じさせる朴念仁っぽさが、
2011年のラノベ原作アニメらしさも感じさせてくれる。

作画のクォリティもしっかりとしており、
ISというものをつかった浮遊感のあるバトルは迫力を生んでおり、
ヒロインたちのセクシーシーンへのこだわりも凄まじい。
特に円盤で解禁されたセクシーシーンの数々は
2011年という年代だったからこそのものだ。

ただ2期も含めて、ストーリーの方向性が定まっておらず、
1期の段階はまだ序章として納得できるものの、
2期ではブレにブレまくった感じも強く、
出版社の変更など原作も揉めに揉めた結果、
かつての大ヒットアニメは今や殆ど語られない作品になってしまった。

もう少し方向性をきちんと定めた作品だったら、
今もなお語られる名作になったかもしれない。
しかし、インフィニット・ストラトスという作品の名前を知っていても
内容を知らない!という人はぜひ1期だけでも観てほしい。

2011年、13年前の、あの時代だからこそできた
ハーレムアニメがここにある。
そう感じられる作品だった。

個人的な感想:2期と原作者

2期では作画のクォリティの低下、
ストーリーの迷走、新キャラのせいで既存キャラの掘り下げ不足など
欠点も目立ち、1期の人気はどこへやら。
原作も原作者が出版社ともめ、出版社がかわり挿絵の絵師もかわってしまった。

それでも12巻まで発売され、最終巻がいつでるかと
ISを追い続けてた人は心待ちにしていたはずなのだが、
つい先日には原作者さんが
「お金にならないから13巻は執筆しない」と宣言し、
炎上に近い盛り上がりがTwitterで開催された。

そんなきっかけで1期を再レビューしたのだが、
もうISがここまで話題になるのは最後かもしれないと思うと複雑な心境だ。
EDは今聞いても色褪せない名曲であり、
優秀なキャラソンにもなっている。
13年たった今でもフルで歌えてしまうほどだ。

そんな名作…とはいわないものの、印象に残る作品だっただけに、
こんな形で原作が完結しないと明言されてしまったことは
本当に残念でならない。

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