評価 ★★☆☆☆(37点) 全10話
あらすじ空席祭りなアイドルがキャパ100人のライブハウス「ほいほいホール」を満席するために奮闘する、10日間の熱くてゆるい物語である 引用- Wikipedia
固定ファン3人!?ガチ底辺アイドルの物語
本作品はTVアニメオリジナル作品。
メインキャスト4人はこの作品を作るためのプロジェクトのために
オーディションで選ばれた新人声優。1話10分ほどの短編アニメ。
監督は中野翔太、制作はシンエイ動画
滑
画像引用元:アイドールズ 1話より
ⓒIdolls! Project
1話冒頭、どんなアニメでも重要とも言えるシーンだ。
どんな作品が始まるんだろう、そんな期待感を
この作品はバキバキに折ってくれる。
ライブのあとで疲れた4人のアイドルたち。
そのうちの一人がもう我慢できないと缶ビールのようなものを
「もう我慢できない」と飲みだす。
それを見ていた別のアイドルが
「え?ちょ、ちょっと、るか」
と何故か戸惑う。
そんな戸惑いに対し「るか」は飲み干し、こう答える。
「言っとくけど、これノンアル」
「ノンアルかーい!」
これが1話の始まりだ。驚くほどにつまらない。
これは果たしてギャグでやっているのか?そうではないのか?
その判断すら付きかねるような意味不明な台詞だ。
これで「るか」が未成年なら分かる。だが設定的には22歳だ。
別にノンアルでなくても問題はない。
ボケがボケとして成立していないためツッコミも意味がなく、
ギャグとしての面白みもない。絶望的な滑りっぷりに寒気すらしてくる。
底辺アイドル
画像引用元:アイドールズ 1話より
ⓒIdolls! Project
彼女達は底辺アイドルだ。結成3周年なのに客は3人しか埋まらない。
古民家に4人で住んでおり、なぜ売れないのかと悩む日々だ。
武道館を目指してはいるものの現実は厳しい。
だが、唐突に喋りだした「置物」のアドバイスを受け、
彼女たちは危機感を持つためにも「キャパ100人」の会場を
思い切って予約しようとするが
1年後ではなく「半額」で予約できる9日後に予約してしまう。
たった3人の客しか集められない彼女達が、
いったい、どうやって100人の会場を埋めるのか。
そもそもいきなり喋りだした「置物」はなんなのか。
ギャグは一切笑えないものの、
「アイドルアニメ」としてのストーリーは気になってくる。
一歩
画像引用元:アイドールズ 2話より
ⓒIdolls! Project
「あいな」は家族にさえアイドルをやっていることを
3年間言っていない。なんとなく恥ずかしい。
だが、そうは言ってられないほど切羽詰まっている状況だ。
そんな彼女が決意したからこそ「隣に住むおじいさん」に
自分がアイドルであるということを告白する。
1話の時点で崖っぷちだったアイドルが、
更に追い詰められることでメンバーが変化していく。
物語の見せ方としては決して悪くなく、
追い詰められる状況の中での変化がキャラクターの掘り下げにも
つながっている。
売れないアイドルとして、崖っぷりのアイドルとして
9日間で彼女達にできることを精一杯考えやっていく。
この慎ましやかなアイドル活動の日常描写は悪くなく、
話が進んでくると一人ひとりにしっかりと愛着が湧いてくる。
ちなみにギャグは1mmも笑えない。
せっかくストーリーは悪くないのに、
そんな悪くないストーリーの余韻を毎度のように
滑り散らかしているギャグはもう少しなんとかならないのかと
頭を抱えそうになる。
だが、そんな頭を抱えそうなギャグが、
滑ってるからこその妙な味わいも感じられるようになる。
笑えはしない、だが、この作品のギャグはこれでいいんだと
中盤くらいから思えるようになる。
色物
画像引用元:アイドールズ 7話より
ⓒIdolls! Project
売れないアイドルだからこそ親にも色々なことを言われる。
バイト生活が続く日々、決して裕福とは言えない懐事情、
このままアイドルを続けていても将来はないかもしれない。
3年もアイドル活動をして3人しかファンが居ない彼女達だからこそ
現実的に「将来」に悩み、仲間のことも思う。
それでも、彼女達は「アイドル」で居続ける。
たとえ雑草を食べる将来が待っていようとも。
そんな彼女達がそんな底辺であがいたからこそ、
「メジャーデビュー」の誘いも来る。
だが、それは彼女達が本来、思うアイドルの形ではない。
だが、「売れる」ことは3年も底辺に居たからこその彼女達の望みだ。
しかし、そんな彼女達の姿を「古参ファン」が否定する。
たった3人のファン、3年も前から支え続けてくれたファンが、
3年頑張った彼女達が違う形でデビューすることを否定する。
そんなファンの思いに彼女達が答える。
ご都合主義
画像引用元:アイドールズ 10話より
ⓒIdolls! Project
9日間、彼女は頑張った。
頑張ったからこそ結果がついてくる
「あなたのロゴスに慈しみ、アイドールスです!」
100人以上に見えるかのようなサイリウムは
ファンの愛と彼女達が頑張った証だ。
底辺アイドルだからこそ、底辺だからこその頑張り。
1度は別の道も考えた、1度は色物アイドルにもなろうとした。
だが、彼女達は自らの殻を破り「アイドル」として
自分らしくステージの上に立つ。
そんな彼女達にファンが答え、100人というキャパがうまる。
1クールできれいに「アイドル」の物語を描いている。
だが、1年後に「武道館」に行っているというエピローグは
ちょっと唐突であり、かなり無理のある展開だ。
「新しい底辺アイドル」も最後に出てきていたが、
はっきいりえば蛇足感は否めない。
色々あったけど底辺アイドルが100人のキャパを埋めましたで
終わればスッキリとした物語で終わっていたのに、
続編展開のためのエピローグが蛇足担ってしまっている作品だ。
総評:結局、置物はなんだったのか
画像引用元:アイドールズ 6話より
ⓒIdolls! Project
全体的に見て「底辺アイドル」の物語としては面白い作品だ。
3年も売れなかった底辺なアイドル、そんな惰性でアイドルをしていた
彼女達が「9日後」のライブを埋めるために奮闘する。
この芯となるストーリーは悪くない。
底辺なりに、やれることを、少しずつやっていくストーリーの中で
4人のメインキャラクターがきちんとキャラ立ちしていき、
彼女達なりの「アイドル」の自覚と「アイドル」とはなにかを考えていき、
それが結果につながる。
ラストはややご都合主義に感じる部分はあり、
エピローグは蛇足でしか無いものの、
決して悪くないと感じられる物語が描かれている。
モーションキャプチャーを使ったフルCGアニメとしても面白く、
ヌルヌルと動き彼女達の動き、CGではあるものの硬さは感じずう、
きちんと「表情」がなめらかに変化し、ぬるぬると動くさまは
モーションキャプチャーを使っている感じはあるものの、
さすがは老舗のシンエイ動画が手掛けているだけの出来栄えだ。
ただ、最後までギャグだけは滑りっぱなしであり、
彼女達の日常会話はクスっとさせられる部分はあるが、
狙ったボケとツッコミは最後の最後まで滑っていた。
彼女達に話しかける謎の「置物」も最後までその謎は明かされず、
なんらかのメタファーなのかもしれないが、必要性も感じなかった。
エピローグでは2期をやりそうな雰囲気も匂わせており、
「売れた彼女達」と「新たなる底辺アイドル」の物語があるならば、
ちょっと見てみたいと思わせてくれる作品だった。
個人的な感想:意外にも
画像引用元:アイドールズ 5 話より
ⓒIdolls! Project
1話のギャグが本当に滑り散らかしており、
この作品は果たして大丈夫なんだろうかと視聴者として
心配になってしまったが、中盤からはそんなギャグの
滑り具合も抑え気味になり、ギャグ以外は悪くない作品だ。
終盤のご都合主義に感じてしまうトントン拍子な部分も、
全10話ではなく、全12話であと2話あれば
納得できるストーリー展開が生まれていたかもしれないだけに、
この中途半端な尺はややもったい。
1話がだだ滑りしているため切ってしまってる人もいるかも知れないが、
もう少し見てみると「悪くない」と感じさせる面白さが
にじみ出てくる作品だ。
2期があるかどうかはわからないものの、
あるならば「置物」の謎が解けることを期待したい。
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