評価 ☆☆☆☆☆(0点) 全63分
あらすじ 国民的アイドルユニット「Fool’s End」が突然の解散を表明し、天下一のアイドルだけが保持できる「天下旗」を後継グループに譲り渡すことを宣言。引用- Wikipedia
アイドルアニメブームの亡骸
本作品は戦国武将をモチーフにした音楽バトルプロジェクトである
IDOL舞SHOWの劇場アニメ作品であり、
初のアニメ化作品となる。
監督は小林真吾、制作はORENDA×Amineworks
何の説明もなく…
映画冒頭でいきなりライブシーンから始まる。
かなり固い感じのCGであり、アニメというよりは
どこかのソシャゲの中のモデリングをそのまま
引っ張ってきたような感覚すら覚える質感だ。
そんなライブをしているユニットがいきなり解散宣言をする。
そうかとおもえば、別のアイドルのリハーサルが始まる。
このリハーサルシーンは止め絵の連続であり、一瞬で終わってしまい、
一瞬で終わるくらいなら、そのシーンを入れる必要性は有るのか?
と思ってしまう。
この世界はアイドル戦国時代らしく、天下一のアイドルグループには
「天下旗」というものがもらえるらしく、
解散したユニットは天下旗所有者のようで、
各アイドルがその後継を狙って動いているようだ。
キャラ多すぎ
わかりやすくメインキャラクターの自己紹介を
アイドルたちの生配信という形で行われるものの、
キャラデザ的な特徴も薄く、
どこかでみたことのあるようなキャラクターでしか無い。
色々なアイドルが出てくるものの、60分ほどしか無い尺の中では
キャラクターが多すぎてさばききれていない。
メインのアイドルグループでさえ10人ほどキャラがおり、
60分の尺では10人のキャラが平均して6分も喋っていない
計算になってしまう。
更にそこに別のアイドルグループやプロデューサーも混じっている。
アイドル以外のキャラクターはなぜか「2D」の作画だ(苦笑)
2Dの手書き作画で描かれる男性キャラクターと
3DCGで描かれる女性キャラクターが同時に存在すると、
強烈な違和感が生まれてしまっている。
このように2Dと3Dを混ぜている作品は
「エクスアーム」という作品でもあったが、
エクスアームと同じような違和感が生まれてしまっている。
アイドル
そんなメインキャラの一人はアイドルとしてのやる気を失っている。
「フールズエンド」という憧れのアイドルが解散してしまい、
彼女たちと同じ舞台に立ちたいという夢を叶えられなくなっている。
そもそも別のアイドルグループと同じ舞台に立つのは
なかなかに難しいことであり、
そんな夢があるのに別のアイドルグループに入っている
彼女の夢の叶え方がそもそも意味不明だ。
音楽番組で共演できたり、合同ライブをすれば
彼女の夢は叶うのだろうか?
このあたりの意味不明さ加減のせいで、
メインで描かれる彼女のアイドルとしての再起の物語が
いまいちピンとこない。
色々あったがアイドルとしてまとまった彼女たちが
アイドルとしての天下を目指すというところで
物語が終わる。30分で。
実質30分
映画の尺自体は60分なのだが、30分でアニメは終わってしまう。
そのあとの30分は一体何をするのかと思えば、
「中の人」たちのライブである(苦笑)
彼女たちのファンとすれば嬉しいのかもしれないが、
ファンでもない人にとって見れば、
よくわからないアイドルアニメキャラの物語を30分見せられ、
そのあとの30分にこれまたよく知らないアイドルの
ライブを30分見せられてしまう。
しかも、このライブシーン自体も過去に配信されたものを
編集しただけのもののようだ。
手抜きにもほどが有る作品であり、
「IDOL舞SHOW」というコンテンツ自体のズレっぷりを
感じさせられる作品だった。
総評:アイドルアニメブームの死骸
全体的に見て30分のアニメ単体としてみても酷い作品だ。
メインキャラクターたちはCGで描かれているものの、
CGのクォリティ自体がかなり酷く、硬い表情と硬い動きで
ライブシーンの盛り上がりにも繋がらない。
ストーリーもキャラクターの多さに振り回されながら、
メインキャラの一人の再起を描いているものの、
色々と突っ込みどころも多く感情移入も愛着もわかずに、
あっという間に30分のアニメパートが終わってしまう。
中途半端に2Dと3Dを混ぜてるのもたちがわるく、
かなりの違和感を感じる絵面になってしまっている。
残りの30分のライブシーンも、ファン向けと考えても
新録ですら無い過去映像をツギハギしたものだけになっており、
作品全体としての手抜きを感じるほどだ。
「IDOL舞SHOW」というコンテンツも2019年頃から
始動したようだが、始動直後にコロナの影響で
イベントを開けず、長い間、動きがない中でこの作品が制作されたものの、
2023年現在、IDOL舞SHOWというコンテンツが動いていることを確認できない。
公式Twitterですら2022年11月以来とまっており、
公式ホームページにもなにか動きがあるわけでもない。
アイドルアニメブームがはじまり、あまたの声優アイドルユニットが組まれ、
この作品もそういったブームの流れで生まれたことはわかるが、
企画倒れなプロジェクトで終わってしまったようだ。
個人的な感想:アイドルアニメブームの終わり
アイドルアニメは2023年現在も多く制作されているが、
流石に限界を感じるような作品も多い。
アイドルアニメブームの終わりをひしひしと感じ、
失敗した作品の死骸が積み上げられていくさまを見るのは
どことなく悲しい気分にさせられる。
コロナウィルスさえなければ、この作品ももう少し盛り上がったかもしれないが、
色々とタイミングの悪かった作品なのかもしれない。
そもそも「戦国武将をモチーフ」にしているらしいのだが、
それすらもよくわからない作品だった…
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