評価 ★★☆☆☆(36点) 全13話
あらすじ 武力による戦争が根絶され、女性が覇権を握るようになったH歴。男性を完全排除した中王区と呼ばれる区画で、女性による政が行われるようになった。引用- Wikipedia
深夜のコロコロコミック
原作は曲及びドラマCDな本作品。
監督は小野勝巳、制作はA-1 Pictures
歌って戦え!
画像引用元:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 1話より
©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会
1話冒頭、この作品の根本的な世界観が明かされる。
この作品は「殺傷能力のある武器」の製造禁止と廃棄された日本だ。
そもそも殺傷能力のある武器の製造を日本が行っていたのか?などと
考えてはいけない。包丁やカッターやハサミはどうなんだろうかなどと
考えてはいけない。深く突っ込んだら負けである。
武器の代替に国は「ヒプノシスマイク」という特殊なマイクを用意する。
人の精神に干渉するマイクであり、武器で争う代わりにこのマイクで争う。
「戦争をやめない愚かな男」に代わり女性が政権を握った世界。
そもそも精神干渉するマイクは殺傷能力のある武器よりも厄介な
「洗脳」行為ではないか?と突っ込んだら負けである。
政権を握ったのはあくまで日本であり、他の国はどうなっているのか、
武器を放棄した日本は侵略されるのではないか?などと
政治的なことも突っ込んでは負けだ。
この作品はそこまで深く考えていない。
あくまで「ラップバトル」というものを正当化するための設定だ。
まるで90年代のカラーギャングのごとく、
徒党を組み争ってるものもおり、そんな争いを政府は認めている。
戦いを無くしたいのか、むしろ戦いを後押ししたいのか。
ちょっと理解できかねる設定だ。
俺達の歌を聞け!
画像引用元:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 1話より
©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会
「ヒプノシスマイク」は精神に干渉する。
バトルが始まると「リリック」を聞いた相手は、
そのリリックで想像できるような攻撃を受けてしまう。
「切り刻むぜ きりきり舞い 切りがない」
と歌われれば切り刻まれる(笑)
マクロスやシンフォギアもびっくりな「ラップ」による攻撃の具現化、
巧みな文字演出をリズムカルにアニメーションとして魅せて表現するのは
面白く、荒唐無稽ともいえるラップバトルを盛り上げる。
むしろ普通の「武器」よりも破壊力がありそうなヒプノシスマイクによる
バトルをやや過剰に盛り上げることで「ギャグ」めいた部分が
強調されており、見る側に突っ込ませることで作品を成立させている。
1話や2話で明らかになる設定の数々と、その描写がシュールだ。
例えばテロリストや犯罪者は「違法マイク」を使っていたりするものの、
そもそも違法なマイクとそうでないマイクの違いもいまいちわからないため
見てる側としては「違法マイクってなんだよ!」と
思わず突っ込んでしまう。
メインキャラたちが持ってるマイクもバトル前に変化し、
それぞれの「フィールド」のようなものを展開する。
「キャラクター」の特徴をマイクや舞台装置で見せつつ、
最後は爆発で終わる(笑)
まるで戦隊ヒーローや変身ヒーローものの様式美を見てるかのような
予想できる部分を見せることで、より、この作品の設定の
荒唐無稽な部分が際立つようになっている。
特に「独歩」など、明らかに「555」の変身のパロディだ。
原作は女性をターゲットにしたプロジェクトではあるものの、
ノリとしては「コロコロコミック」原作のホビーアニメのような感じだ。
ベイブレードで竜巻をおこし、ミニ四駆で世界征服を目論む。
そんな、どことなく「少年心」をくすぐられるノリがこの作品にはある。
キャラの多さ
画像引用元:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 6話より
©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会
ただ1話からドバドバとキャラクターを出しすぎだ。
キャラクターの名前が異様に覚えにくく、
各地域の3人組を出すのは良いものの、
1話の時点でメインキャラ12人全員がでている。
2話冒頭ではそんな1話で出た12人ではなく、
全然知らない3人が自己紹介もなく出てくるところも厄介であり、
キャラクターの印象がしっかりと付く前に
別のディビジョン(ユニット)の話になってしまう。
基本的に1話完結で各ディビジョンで起る事件を解決しつつ、
3人ずつキャラクターの掘り下げを行っている。
全キャラ、それぞれ職業が違い、その職業を生かした
ストーリーが展開される。
1話完結故にストーリー自体はそこまで大したことがなく、
どちらかといえば各ディビジョンのキャラ紹介的な印象が強い。
戦隊ヒーローもののごとく怪人という名の敵(ヤクザ、敵チーム)が
現れ、それを倒す。わかりやすい展開ではあるものの、
深みがあるとは言い難い。
話によって当たり外れもでてしまっている。
戦え
画像引用元:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 5話より
©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会
序盤こそ設定の奇抜さや「違法マイク」などの面白さ、
バトルシーンの演出の過剰な盛り上げなどで強烈な印象があるものの、
中盤くらいになってくるとそれも慣れてしまい、
あとはシンプルなストーリーと各キャラ描写を楽しむしか無い。
一言で言えば出落ちだ。
各ディビジョンを掘り下げるために序盤の5話を使ってしまい、
ディビジョン同士のバトルがなかなか始まらず、
6話で「ディビジョンラップバトル」という大会が始まっても
ザコ敵ばかりと戦っている。
見たいのはメインキャラ同士のディビジョンバトルなのに、
それがなかなか描写されない。
ラップバトルのはずなのに基本的に攻撃は一方的だ。
終盤になると「Aパート」と「Bパート」で違うディビジョンの話を
描いたりもするが、序盤から15分構成でテンポよ
各キャラを描写して早めにディビジョンバトルまで
話を進めてしまったほうが良かったかもしれない。
ようやく
画像引用元:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 9話より
©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会
9話でようやくメインキャラ同士のラップバトルが描かれる。
キャラ同士の因縁、過去なども断片的に描かれつつ、
ようやくきちんとしたラップバトルが見れる。
見たかったメインキャラ同士のラップバトルが
ようやく描かれることで盛り下がっていたストーリーが盛り上がってくる。
悪党相手に一方的な攻撃だけで終わっていた序盤から中盤までの
ラップバトルと違い、きちんと攻防が描かれる。
ただ9話にしていきなり「ラップアビリティ」という要素が出てくる。
各キャラによってアビリティが違い、回復能力だったり、
攻撃を受けると自分の攻撃が倍になったり、
もはやソシャゲみたいなキャラ設定だ。
しかも、意外にあっさりとメインキャラ同士の
バトルの決着がついてしまう。
この作品は1クールだ。序盤から中盤までのキャラ紹介と
キャラの掘り下げに尺をとられすぎてしまったせいで
「ディビジョンラップバトル」を描く尺が明らかに足りなくなっている。
残り4話で政府の陰謀だったり、キャラの過去だったり、
キャラ同士の因縁だったり、行方不明の妹だったりと
描くべきことが非常に多く、視点もコロコロ変わってしまう。
本来はもっと盛り上がるべき「ディビジョンラップバトル」も
あっさり決勝戦まで描かれ、あっさりチャンピオンも決まってしまう。
見たかった部分なのに物足りなさが凄まじい。
主人公
画像引用元:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 6話より
©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会
全員がメインキャラであり「主人公」といえる存在がいない。
一応「山田一郎」が主人公的なポジションなのはわかるものの、
彼が全く出ない回のほうが多いくらいだ。
そのせいでどこか面白さも分散してしまっている。
キャラクター自体の人気もある作品なだけに
しっかりと「主人公」を据えるとキャラ描写に差がでてしまうため
出来なかったのかもしれないが、
しっかりと主人公が居ない弊害が中盤以降如実に現れている。
終盤で彼がいきなり主人公として活躍しようとするものの、
他のキャラの濃ゆさもあり、主人公としての存在感を
確立しきれていない。
12人を平等に描こうとして物語の「芯」を作りきれてない。
原作ファンへのキャラ人気の配慮という名の遠慮が作品の面白さにも
影響を及ぼしている。
ディストピア
画像引用元:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 12話より
©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会
終盤はディストピアらしく「管理社会」に対する反乱的な
ストーリーになっていくものの、
設定の掘り下げや描写がきちんとなされていないため、
そもそもの「ディストピア」の世界観の描写がいまいちだ。
原作のほうでは、この作品の世界観はかなりシビアな世界観になっており
第三次世界大戦により、世界は人口の三分の一を失い、
戦争をやめようとしたものの男たちがやめなかったため
女性たちがヒプノシスマイクによる精神干渉を行い、
ようやく戦争が終わったという状態だ。
メインキャラも孤児院育ちの戦争孤児だったりと
本来設定はもっと重いものの、そういった「重い」設定はあまり見せずに
序盤から中盤までの描いているため
終盤でそんなディストピアな世界観を真面目に描かれても
いまいち面白みを感じられない。
ラストバトルで敵が3人に対し12人で挑むという、
「戦隊ヒーローの様式美」が見れる部分は面白いものの、
このあたりも「最終話でメインキャラの見せ場を出すため」という
ファンへの配慮が透けて見える。
結局、「俺たちの戦いはこれからだ」で終わってしまっており
2期を匂わせる要因もかなり残っており、
色々と消化不良で終わってしまう作品だった。
総評:ファン向けの出落ち
画像引用元:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 13話より
©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会
全体的に見て右肩下がりの作品だった。
序盤こそ奇抜な設定と、その奇抜な設定を盛り上げる
ラップバトルの演出が面白く、荒唐無稽とも言えるシーンの数々に
突っ込みながら楽しめるアニメだった。
しかし中盤からはその奇抜さにも慣れてしまい、
12人のメインキャラを平等に掘り下げようとする制作側の
ファンへの配慮が作品の「主人公」の存在感を薄くしてしまい、
作品自体の面白みもどんどん薄まっていくような感覚だ。
もっとメインキャラ同士のラップバトルを見たかった、
もっとこの作品の世界観をしっかりと掘り下げたストーリーが見たかった。
そう思わせる部分はあるものの、それを見せてくれないもどかしさがあり
結局、2期にぶん投げてる要素が多すぎて消化不良で終わってしまう。
ファンの多い作品なだけにキャラの描写への偏りを無くしてるのは
わかるものの、もともとこの作品のファンだった方は
楽しめる部分が多いかもしれないが、
ファンへの配慮をした結果、ファン向けの作品で終わってしまっている。
序盤から中盤までのギャグなノリをもっと貫き通すか、
逆に終盤のディストピアなストーリーを掘り下げるか、
色々と中途半端になってしまってる感じは否めない。
作品自体を構成する要素は面白かっただけに
最初から2クールでガッツリとこの作品を描けば
もう少し印象は違ったかもしれないだけに残念だ。
個人的な感想:序盤
画像引用元:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima 13話より
©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会
3話くらいまではクスクスと笑いつつ楽しみ、
独歩の555風な変身で大爆笑したが、
それ以降はそんなに笑いにつながるようなシーンもなく、
どこか淡々とこの作品を見てしまっていた。
設定の奇抜さとアニメの演出に
序盤の段階で慣れてしまったのが原因だろう。
作品のコンセプトやラップのリリックなどは面白く、
速水奨さんのラップなど中々に貴重だ(笑)
女性陣営のラップが一人しかなかったのも残念な部分であり、
どこか「女尊男卑」な世界観だからこそ、
もっと男女のラップバトルも見たかったなと感じてしまう。
この「もっと見たかったな」という部分がこの作品には多い。
常にどこかもの足りず、モヤモヤとした消化不良が残ってしまう。
一言で言えばもったいないと感じる作品だった。
2期があるならば基本的な設定やメインキャラの紹介は済んでるだけに
1期で「もっと見たかった」と感じる部分を見れるかもしれないだけに
期待したい所だ。
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください
この感想は引いてしまう、、、原作のアニメアレンジだけ見て文句言うのはどーなのかと思う。知らないのは仕方ないけど、少しは調べてから感想書けばいいのに。
女性向けアイドルアニメ。
ツキウタ。THE ANIMATION2のレビューも読んでみたいです。
既にレビュー済みならすいません。
一言でいうならライブ以外はなんとか動くアニメです!
アイドルアニメなのに作画のスリムアップが凄くてとても面白い作品だと思います。
「アイドリッシュセブン」のレビューが読んでみたいです!
アイドルアニメとは思えないほどストーリー構成や演出が素晴らしいので是非レビュー抜きでも見ていただきたい作品です!(欲をいえば2、3期も…)