評価 ★☆☆☆☆(15点) 全12話
あらすじ スマートフォンから得た先人の知恵と知識を駆使し、多くの仲間に支えられながら現実世界に帰る方法を探す。引用- Wikipedia
wikipediaに寄付する義務のある主人公
原作はライトノベルな本作品。
監督は小林浩輔、制作はEMTスクエアード。
なお、シリーズ構成はみんな大好き「高橋ナツコ」さんだ(笑)
あれはまさか鉄なんじゃないか!?
引用元:© 鷹山誠一・ホビージャパン/ユグドラシル・パートナーズ
この作品の主人公はいわゆる「異世界召喚」された状態だ。
スマホを片手に(笑)
異世界をスマートフォンとともに生き抜いている主人公は、
スマホの知識でのし上がっていく。
こういった異世界召喚や異世界転生の場合、
主人公の強さを描写するために周囲のレベルを引き下げるという手法がある。
主人公以外のキャラを弱く、無知にすることで主人公を引き立てる方法だ。
この作品はまさにそれである。
1話で敵は主人公たちの軍勢が持ってる武器を見て驚く。
「おい、あの槍、鉄なんじゃ!?」「馬鹿な!?」
これが1話で死ぬ運命にある敵の最後の言葉である。
主人公の知識で作り上げた鉄の槍は豆腐のような敵の鎧を貫通し、
模造品のような敵の木製武器ではまるで歯が立たない(笑)
異世界の住民の知識や文化レベルを下げて、
主人公が現代知識をスマホで調べながら無双する。
この作品はそんな作品である。真面目に見てはいけない、
この作品はギャグアニメであることを序盤から教えてくれる。
さすが高橋ナツコ
引用元:© 鷹山誠一・ホビージャパン/ユグドラシル・パートナーズ
この作品のシリーズ構成は悪評高き「高橋ナツコ」さんだ。
そんな悪評通り、この作品もまたひどい。
基本的にキャラは早口である、間なんてものは無視だ。
大したセリフではないため間が必要がないという判断だろう。
怒涛のセリフの応酬をまるで畳み掛けるように視聴者に聴かせていく。
ストーリーのテンポも早い、サクサクと余韻なんてものを感じさせずに、
どんどんと場面が切り替わり、どんどんとストーリーが進む。
大したシーンではないため無駄な尺を使いたくないという判断だろう。
戦争が描かれたかと思えばすぐに終わり、またすぐに戦争が始まる(笑)
少しは落ち着けと言いたくなるほどに展開が早い。
1話の段階で「異世界から2年」たってるせいで、
その間の2年間の出来事は基本的に回想でいきなり描かれる。
本当にいきなり描かてるせいで見てる側が
「あ!これ今、回想してるのか!」と少し気づくのが遅れるほどである。
オラつく主人公
引用元:© 鷹山誠一・ホビージャパン/ユグドラシル・パートナーズ
この作品の主人公は別に強くはない、なにか特別な能力があるわけでもなく、
現代のスマホを使えるというぐらいしかない。
そのスマホも基本的に「検索」と「通話」くらいしかできず、
某作品のようにスマホで魔法が発動できるというわけでもない。
そんな主人公がとある部族の長になっている。
当然、彼に反対する輩もいるのだが、主人公は机を思いっきり叩いて
「威圧」することで言うことを聞かせる。
ちなみに強く叩きすぎてちょっと血が滲んじゃってるのも
素晴らしいまでにダサい(笑)
この威圧は一応、主人公の能力?のようなものでありWikipedia曰く
「怒りを露わにした際の覇気は他者を圧倒するものがあり、
単純な殴り合いであれば決してかなわないであろう相手をも威圧する。」
つまり勝てない相手や言い負かしたいときに、ちょっとオラつくだけで
威圧し圧倒できるという何ともご都合主義全開の能力を持っている。
しかし、視聴者側は主人公の威圧に全く圧倒されないため、
威圧シーンが出てくるたびにダサくて爆笑できる。
主人公はスマホで調べた戦術や武器の作り方を自分の軍に教えることで
戦闘に勝ち、オラついて威圧して人を操る。
そんな姿を見て女性キャラたちは「ホ」の字である(笑)
頭さえ撫でとけばなんでもやってくれるヒロインたちのチョロさは
ラノベアニメの中でも軍を抜いたチョロさだろう。
便利なwikipedia
引用元:© 鷹山誠一・ホビージャパン/ユグドラシル・パートナーズ
主人公はスマホで色々調べる、戦略や武器の知識、格言や兵法など
様々な知識を取り込んでいる。
しかし、それは主人公にしか基本的にわからないことだ。
それなのに彼はひけらかす。
覚えたての知識を誰かに自慢したくて仕方ないのか、
wikipediaをコピペしてきたような文章を他のキャラの目の前で言い放つ。
終いにはwikipediaのページを表示しながら見せびらかせつつ、
「君主論」を偉そうに解説してるシーンを、
視聴者はどんな感情で見れば良いのだろうか(苦笑)
不安定な作画と不安定な戦略
引用元:© 鷹山誠一・ホビージャパン/ユグドラシル・パートナーズ
作画崩壊こそしていないもののギリギリだ。
本作品は戦闘シーンも多いのだが、ギャグにしか見えない。
まるでコピペしたようなモブ兵士たちや、やたらとアップの多いアクション、
倒れたときに無駄に転がるetc…
戦闘シーンはじっくり見れば見るほど笑える(笑)
そんな中で光る主人公の作戦。
このレビューを読んでいる人は知っているだろうか?
「馬はラクダの匂いが苦手」ということを、
私はこの作品で初めて知った。
wikipediaでその知識を調べた主人公は、
敵を撤退させるために異世界でラクダを調達し、見事撤退させる。
ラクダにまたがってやってきたヒロインが現れた瞬間に、
馬にまたがった敵が逃げていくシーンのわけのわからなさとシュールさは、
この作品だからの最高のギャグシーンだ。
ちなみに敵は大群だが、ラクダは一匹である。
怒涛の最終話
引用元:© 鷹山誠一・ホビージャパン/ユグドラシル・パートナーズ
終盤になると主人公がいる世界の秘密が明らかになってくる。
その解説は9話でいきなり現れたお姉さんが全部やってくれる、
なお彼女は9話以外では登場しない。
話の流れで自然に説明するのではなくいきなり説明する辺り、
さすがは高橋ナツコさんによるストーリー構成と言わざる得なない。
終盤の展開の速さは凄まじく、異世界から元の世界に戻ったかと思ったら、
元の世界から異世界に戻り、主人公は王冠を被りパレードをして終わる(笑)
何を言ってるかわからないだろう、私にもわからない。
2つの国から攻められてる状態だったはずなのに、
北欧神話云々の伏線や設定があったはずなのに、
何もよくわからないまま主人公が幼馴染を異世界に連れ帰って
ハッピーエンドで終わる。
見ている側が完璧に置いてけぼりのラストだが、
そもそも最初から置いてけぼりだったことに気づき、
「さすがは高橋ナツコだ…」と感嘆の声を上げた人も多かっただろう。
総評:wikipediaさえあれば異世界で無双できる
引用元:© 鷹山誠一・ホビージャパン/ユグドラシル・パートナーズ
1話10分位でこのアニメはギャグアニメだ、B級アニメだという事が分かる。
決して真面目に見てはいけない、決してストレートに受け止めてはいけない。
ある程度、この作品を「ギャグアニメ」と楽しむ姿勢ができていなければ、
ストレスしか感じない作品だろうが、逆に言えばB級作品が好きな方には
いろいろな意味でたまらない作品だ。
wikipedia頼りで威圧することしかできない主人公による無双は、
敵が馬鹿でなければ成立せず、実際に馬鹿である(笑)
頭を撫でられれば即落ちなヒロインたちは特に魅力がなく、
セクシーなシーンは多いものの、多いだけで特にエロくはない。
根本的なストーリーも「北欧神話」になぞっているという解説が
9話にいきなり出てきたお姉さんが説明してくれたものの、
そんなものは無視して終わる最終話はいろいろな意味で流石だ(笑)
駄作アニメ好き、B級アニメ好きならば間違いなく琴線に触れるものがあり、
戦闘シーンの作画よりも「みかん」の作画に気合の入っているこの作品を、
ぜひ広い心で楽しんでいただきたい。
個人的な感想:ああ、笑った笑った
引用元:© 鷹山誠一・ホビージャパン/ユグドラシル・パートナーズ
私はもう爆笑しっぱなしだった(笑)
ツッコミ所まみれで突っ込みだしたらキリがなく、突っ込んだら負けだ。
だが突っ込まざる得ないシーンの数々に常に脇腹をくすぐられてるような
荒唐無稽なストーリー展開の数々は下手なギャグアニメより笑える。
私がこの作品で1番気になったのは主人公の格好だ。
彼はマントを付けており、腕になんか紐を巻いている。
この紐が問題だ。これはなんのために巻いているんだろうか?
おしゃれなのだろうか?(笑)
私は彼があの紐状に日焼けしないか1クール心配しっぱなしだった。
最終話の投げっぷりは「覇穹 封神演義」の中ボスを倒したら
ラスボスが地球と合体してたくらいぶん投げた展開であり、
シリーズ構成「高橋ナツコ」というネーミングによる期待感を
裏切らない作品だった。
駄作の中の名作こと「聖剣使いの禁呪詠唱」には及ばないものの、
それに近いニュアンスのある作品なだけに、
駄作好きにはぜひ試していただきたい作品だ。
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