評価 ☆☆☆☆☆(2点) 全23話
あらすじ 今から3000年前の古代中国、殷の王朝時代。第30代皇帝紂王は文武共に優れた名君であった。引用- Wikipedia
高橋ナツコは犠牲になったのだ…企画段階の間違いから続く…その犠牲にな…
原作は週刊少年ジャンプで連載していた漫画作品。
1999年に1度アニメ化されたが、オリジナル展開が多かったせいで
いわゆる「黒歴史」的な扱いを受けており、
ファンの間ではなかった事にされることも多い。
監督は相澤伽月、制作はC-Station
制作する前から面白くしようとする気配がない
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
監督の相澤伽月さんを知っている人は少ないだろう。
昔から原画や作画監督、キャラクターデザインを手がけている方だ。
しかし、その一方で監督経験はない。
アニメ業界歴は30年以上だが監督を任されたことはない。
更にストーリー構成はあの「高橋ナツコ」さんである。
この名前の脚本家を知らないという方はGoogleで検索してみると、
悪評しか出てこないのがわかるだろう。
仕事は早いそうだが、早いだけで雑であり、監督と対立して
監督を降板させるなど悪評しか無い。
そんな監督未経験の人と悪評な脚本家が合わさって
週刊少年ジャンプの名作を再アニメ化する。
このスタッフ情報が流れて以来、ファンからは失望の声しか聞こえなかった。
原作未読の人、お断り
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
1話から説明の連続だ。作品の世界観やなぜ戦っているのかという
わかり易すぎる解説シーンを流し、主人公の過去や敵キャラの行動や
言動などをダイジェスト形式でどんどんと描かれていく。
はっきりいってわけがわからないだろう。
原作を読んでる人ならば「ここはあのシーンだな」とわかるが、
逆に言えば原作を読んでいない人ならば、
とんでもないスピードで話が進み、話が進めば進むほどついていけなくなる。
原作を読んでいても「今、何処まで進んだんだ?」と思うほどに、
展開が早すぎてまるでついていけない。
回想シーンやダイジェスト形式で一気に話を進めるのは
尺の都合上仕方ない部分もあるのだろう。
だが、最低限「話がつながる」ようにしなければ意味がない。
原作を読んでいる人ならばわかると思うが
「あのシーンがない」「あのキャラが居ない」と感じる部分が非常に多く、
私も見てるうちに違和感を感じてwikiや解説サイトなどを見たのだが、
その解説サイトを見てようやく「あぁ!あそこの部分がないのか!」と
かけていたパズルのピースがハまった用な感覚になる。
それだけ原作からカットしすぎている。
カットするのはアニメ化という媒体の違いにおいて仕方ない部分もあり、
それ自体を否定はしない。
だが、最低限、原作を読んでいない人でも話がわかるようにしなければ
一体、誰に向けてアニメを放送しているのかわからなくなってしまう。
重要なアイテムの喪失
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
主人公である太公望は飄々とした性格のキャラではあるが、策士だ。
しかし、それは原作のみでのお話だ。
アニメでは彼の行動や言動が意味がわからず、ただのバカになっている。
例えば人を操れる妲己というキャラが、とある国の国王を操っている。
そんな国王のもとに太公望は宮廷音楽家として取り入ろうとする。
原作では太公望は琵琶を持っており音楽家と自称するのも納得できるのだが、
アニメでは持っていない(苦笑)
楽器も持っていないのに音楽家を自称するのは違和感しかなく、
しかも、この琵琶はめちゃくちゃ重要なアイテムであり、
強力な力を持つ「妲己」を牽制するものでもある。
だがカットされてしまったせいで持っていない。
持っていないのに音楽家だ、一体どういうことなのだろうか。
カットしても良いがせめて重要なアイテムは持っていないと意味がわからず、
この琵琶を持ってるだけで他のキャラの言動や行動に納得できるのに、
物語における重要なアイテムが出てこないせいで
ストーリーの整合性がまるで取れていない。
致命的な時系列の描き方
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
ただでさえ尺が足りないのに毎話必ず冒頭シーンで
物語の終盤で描かれるシーンを挟んでくる。
飛ばしまくり、カットしまくりな状況なのに貴重な冒頭の尺でさえ
無駄に使っており、それを描く必要性をまるで感じない。
今それを描かれたところで見てる側はどんな意味のシーンなのかわからない。
全体的なストーリーもなぜか無意味に「時系列」をいじる。
原作と起きる出来事の順番が違うだけならまだしも、
戦いの最中に戦いの後に起こる出来事を描いていたり、
話が進んだかと思いきや過去の出来事を描いたり、
「回想中」に「回想」を描くという真似までしている。
時系列をいじりすぎるせいで、キャラクターの行動や言動がつながらず、
原作を読んでいても、はっきり言って話がつながらない。
「え?なんで今、このシーンが描かれてるの?」と意味不明になるほど、
本当に脚本家は原作を読んだのか?と疑問になるほどツギハギだらけだ。
それだけならまだいい。
時系列がシャッフルされる中で、いちいち場面が変わり、
いちいち視点が変わるため、話をまともに理解できない。
見てる側に「ストーリーを理解してもらおう」という気がなく、
おそらくは混乱させることを目的としている。
そうでなければ、ここまでひどくはならないだろう。
有志wiki必須
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
本作にはアニメを見たファンが原作との違いを検証したものを
まとめたwikiが存在するのだが、そのwikiを読むと
この作品がいかに荒唐無稽かがわかる。
例えば6話の前半では原作7巻の場面が描かれている。
1巻辺り1話消費で話が進んでいることすら恐ろしいのだが、
それ自体は2クールという尺に押し込める異常仕方ないだろう。
だが6話の後半では原作13巻のシーンに飛んでいる。
原作をよく読み込んでいる人ならばまだ理解できるシーンのつなぎだが、
原作を読んでいないアニメだけしか見ていない人や、
原作は読んだが細かい部分の記憶は曖昧という方には理解できない。
物語の違和感やわからないと感じるたびにwikiを見てようやく保管できるが、
wikiを見てしまうと「なんでこんなひどいんだ?」と嘆かざる得ない。
有志によるwikはこちらから
http://seesaawiki.jp/housinengi/
迫力の無さすぎる作画
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
封神演義は戦闘シーンの多い作品だが、その戦闘シーンがまるで面白くない。
長年、作画監督をやっていた人が初めて監督を手がける作品の
戦闘シーンが本当にこれで良いんですか?と監督に聞きたいほど
迫力のかけらもない戦闘シーンは面白みがまるで無い。
本来は漫画という媒体の原作ではもっと動いてるシーンですらも、
アニメでは静止画をつなげてるだけにしか過ぎないシーンも有る。
なんのためのアニメーションという媒体なのか問いたくなるほどに
動かない戦闘シーンは苛立ちしか感じない。
作画自体の質はそこまで悪くはなく、
キャラクターデザインも原作に近いデザインだ。
だからこそ手抜きな戦闘シーンになってしまっているのが残念でしかなく、
原作ファンが期待したであろう戦闘シーンすらも盛り上がらない。
致命的なまでのキャラクターの多さ。
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
キャラクターもどんどん出てくる。
封神演義のキャラはもともと覚えにくい名前が多く、キャラ数も多い。
アニメでは自己紹介もなしにメインキャラのそばにいるキャラや、
どこからともなく湧き出たキャラが非常に多く、
原作以上に「このキャラは誰だっけ?」となる場合が多い。
1度出てきた後に再登場まで時間がかかりすぎるキャラや、
再登場しても「このキャラの立ち位置はどこだ?」となるキャラも多く、
逆に原作から削られてしまっているキャラも居る。
出すキャラと出さないキャラの区別がすっかりついておらず、
「そのキャラを出すならこのキャラを出すべき」という
キャラを出していない。
逆にそのキャラクターを削るなら自然に
削らなければならないキャラが、なぜか出てるせいで無駄も生まれており、
「カット」するのは仕方ないがカットする部分が明らかに間違っている。
そのせいでストーリーの整合性が余計に取れなくなってしまっており、
不要なセリフや意味不明なセリフにつながってしまっている。
ただでさえ尺がないのにアニメでは意味をなさないセリフがあまりにも多い。
総集編?なにそれ?
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
この作品はただでさえ尺がないのに13話に総集編をぶち込んでくる。
総集編とは「今までのお話」をまとめたものであり、
それまでの話やキャラが分かりづらい本作品において、
ある意味、総集編を入れること自体は間違ってなかったかもしれない。
だが、内容が問題だ。総集編なのに物語のネタバレをぶちかましてくる。
1話~12話まで描かれた内容ではなく、
本来なら原作の終盤で描かれるような話がなぜか挟み込まれる。
敵である妲己の黒幕の存在や敵の思惑なんかも描写されてしまい、
総集編なのに物語の終盤の内容が描かれるというわけの分からなさだ。
ちなみに1話~12話でカットされた人物まで総集編では出てきている。
13話は1~12話以上に混乱する内容になっており、
アニメ新規も原作既読済の人も混乱する。
原作を読んでいてもわからない。
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
14話以降のストーリーもカットや時系列などの問題点はあるものの、
制作側が描きたかった「仙界大戦」が話の中心になりだしてからは、
脚本もややマシになり、原作ファンなら不満はあれど楽しめる部分はある。
カットされた部分が減っただけとも言えるのだが(苦笑)
だが、この作品の最大の問題点は最終話である。
これだけハイテンポかつダイジェストチックに話を進めるのは
ある程度、話の中盤まで勧めて描くためなのは理解できなくもない。
そんな強引な手法で話を勧めたにもかかわらず
最終話のわけのわからなさはどう解釈していいかわからない。
見ていない人に簡単に説明すると
中ボスを倒したらラスボスがなんか地球と合体した。
こんな状態で終わる。
ワンピースで言えばエネルを倒したと思ったらワンピースを見つけた、
幽遊白書で言えば戸愚呂を倒したら幽助が魔界で戦ってた、
ドラゴンボールで言えばセルを倒したと思ったブゥが人間になってた。
これほど意味のわからない展開になっている。
最終話では原作の17巻の戦いが描かれている、
その戦いが終わると17巻後半~21巻までの内容を丸々カットして
22巻くらいの内容につなげている。
正直、17巻までをきっちり描いて
「俺たちの戦いはこれからだ」のほうがましだっただろう。
そう感じるほどに強引すぎるストーリー展開は
制作側が「何をしたかったのか」を1~100まで問いだしたくなるほどの
ひどい出来栄えの作品だった。
総評:この作品は一体誰向けに作っているのか?
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
原作のキャラクターに色がついて声がついて動いていればいい。
そんなおおらかな心を持つファン以外、この作品を誰が楽しめたのだろうか?
原作を読んでいない人はもちろん話やキャラを理解できず楽しめない。
原作を読んでる人でも理解できないのだから当たり前だ。
原作ファンもカットや時系列シャッフルによるストーリーの崩壊、
それによるキャラクター描写やキャラ性の違いなど、
原作の魅力をまるで感じない本作品には不満しか無いだろう。
そもそもの大前提として企画段階からこの作品は間違っている
原作全23巻を2クールのアニメにまとめるなど言語道断だ。
本来、漫画の場合は1巻あたり3話をかけて描かれることが多い。
この作品をきちんと描くなら4クールは必要だっただろう。
それを半分以下に収めることはどんな優秀な脚本家でも無理がある。
もちろんストーリー構成を手がける高橋ナツコさんを擁護するわけではない。
カットすべき部分やカットしたならそこも削れと思う部分は多々あり、
全体のストーリーの整合性の甘さや最終話のぶっ飛ばし加減など、
もう少しやり方はあっただろうと感じる部分も多い。
ただ、別の脚本家に頼んだところでテンポが早すぎて原作ファン以外には
楽しめない作品になっていたのはほぼ間違いないだろう。
ある意味、高橋ナツコさんがいたからこそ、これほどまでな駄作に仕上がり、
彼女の脚本にすべてのヘイトが集まったとも言えなくはない。
企画段階で失敗でしかなかった作品の罪を彼女が全て受け止めたと考えれば、
もしかしたら「あえて」こんな構成と脚本になったのかもしれない。
そう考えることでこの作品のストーリーの酷さをようやく全て飲み込める。
今から見る人は原作を読んでから、
または有志の検証wikを見ながら見ることをおすすめしたい。
どれだけひどい作品かがより伝わるはずだ。
個人的な感想:ナツコェ・・・
引用元:©安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
さすがとしか言いようがない脚本だった。
放送中にかなり悪い意味で話題になった本作品だったが、
もう、その評判を超える酷さは検証wikiなどで比較するたびに
逆に笑えてきてしまうほどひどい。
なお、私がこの作品で1番笑ったのは公式サイトの誤字である。
「宝具」と書いてある部分がある、ちなみに封神演義では「宝貝」は
出てくるがFateに出てくる「宝具」はもちろん出てこない。
ちなみに現在も修正されておらず間違ったままである。
http://www.tvhoushin-engi.com/story/10.html
余談だが、本作品は一応ソーシャルゲームが出る予定だ。
アニメ放送に合わせてソーシャルゲームが開始するなら、
その宣伝目的の作品とも理解でき、アニメの出来栄えはともかく、
原作ファンならばソーシャルゲームは楽しめたかもしれない。
だが、未だにソーシャルゲームは配信されていない。
そもそも事前登録が5月という時点で遅かったのだが(アニメは6月まで)、
リリースまで時間がかかりすぎており、
これでは宣伝効果もクソもないだろう。
本当に誰のためにアニメ化したのかわからない作品だった。
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