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合宿感覚の異世界転生「ひとりぼっちの異世界攻略 」レビュー

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ひとりぼっちの異世界攻略 ファンタジー
画像引用元:©五示正司・オーバーラップ/ひとりぼっちの製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(22点) 全12話

TVアニメ『ひとりぼっちの異世界攻略』第1弾PV

あらすじ 高校生活を“ぼっち”で過ごしていた遥は、授業中に突然クラスメイトと共に異世界召喚に巻き込まれてしまう。チートスキルが並ぶリストから好きなスキルを選んで神様から与えられる引用- Wikipedia

合宿感覚の異世界転生

原作は一時期小説家になろうで連載していたが、
なにか問題があったようでノクターンノベルズに移籍した小説作品。
監督は鹿住朗生、制作はハヤブサフィルム、パッショーネ

モノローグ

冒頭から迫力のない絵を見せられる。
多数のゴブリンに追いかけられている主人公は、
ゴブリンを罠にはめ撃退する。
異世界もぼっち、そんな主人公のモノローグで
この場に至るまでの回想が繰り広げられるのだが、痛々しい。

一言で言えば「痛い」台詞回しだ。
1話の冒頭の台詞を紹介するとこんな感じだ。

「俺はいつものように本を読んでいた、見ての通りぼっち、
誰がどう見てもぼっち、そう、俺は現実世界でもぼっちだったのである。
ぼっちぼっち言うな!いや、あってるけどさ!
なんで俺がぼっちかって!?クラスメイトを関わりたくないからだ」

どうだろうか(苦笑)
主人公がボッチだということを強調したいのはわかるものの、
自分でぼっちぼっち言っておきながら、それをツッコミ、
誰も聞いてないのにボッチな理由をモノローグで説明してくれる。

やや気恥ずかしさすら感じる台詞回しは、
どこか懐かしいラノベな雰囲気を感じるものの、
主人公はクラス内のどのグループにも馴染めない存在であり、
そんなクラスメイトごと異世界に召喚されてしまう。

異世界召喚の魔法陣から逃げようとした結果、
彼は「先着順」の使えるスキルの大半をクラスメイトに奪われてしまう。
使えないスキル一覧をいちいち説明し、その使えなさを
説明してくれるのだが、1人でボケて1人で突っ込むという
痛々しい台詞回しをひたすら聞かされるのはきつい。

神様的な存在につっかかった主人公は
使えないスキルを全て手に入れて、運のステータスだけはMAX値だが、
ぼっちの称号まで手に入れた結果、パーティーを組めなくなる。
そんな主人公のひとりぼっちの異世界攻略が始まる。

1話から痛々しいモノローグを含めて説明口調が
非常に多く、スキルの説明など、
別にいらないようなシーンや台詞も多い。

ぼっちじゃない

クラスメイトも近くにいるのはわかっていても、
主人公は誰にも邪魔されない、誰にも指示されない
「ぼっち」ライフを、異世界攻略を楽しもうとしている。

ただ、そもそも「なぜ」異世界召喚されたのかという
決定的な部分が明かされない。
最終目標があって、そこにむかうための攻略のはずなのに、
決定的な部分が描かれず、最終目標もないため、
ふわーっとしている。

1話ではぼっちで異世界攻略するんだ!といきんでいたが、
2話ではクラスメイトと接触する、ぼっちとは…?と言いたくなるが、
クラスメイトの事情も描くために接触しないといけないのだろう。

ヒャッハー!なクラスメイトはハーレム計画を模索したりするものの、
オタクなクラスメイトに阻止されたり、キャンプが崩壊したり、
ぼっちじゃないからこその気苦労が淡々と描かれる。

ぼっちだけど、時折クラスメイトは絡む、
主人公と気があったオタクたちや、ギャルなど、
2話の時点でぼっちとは…?という現状だ。

オタク友達とはすぐにわかれるものの、
ギャルに関しては異世界で生き抜く力を主人公に教えてもらうために
パーティーではなく「使役」という関係性になる。
もはや「ぼっち」の称号ゆえにパーティーを組めないという
デメリットも意味がなくなってしまう。

3話になると幼馴染の委員長率いる女子団体が
主人公の隠れ家にやってくる。
もう全然ボッチじゃない。

主人公は使えないスキルを多くもらったという設定だが、
使えないスキルばかりをもらったはずなのに、
そのスキルの使えなさを感じることもないうえに、
むしろ使えるスキルも多く、新しいスキルもぽんぽんとゲットするため、
不利な状況という感じも一切ない。

1話の設定が2話、3話でどんどん崩壊していく。
ぼっちで使えないスキルばかりな主人公だったはずなのに、
4話になると女子を率いて戦闘指導してイキりまくる。

ギャグ

この作品がきついのは台詞回しだ。
1話のモノローグもそうだが、ギャグとツッコミが
シンプルに「私」にあわず、この作品のコメディなノリについていけない。
見る人によってギャグは合う合わないが分かれる部分があるものの、
演出の安っぽさも含めて、厳しい部分がある。

とくにきついのが主人公だ。
クラスメイトの名前をろくに覚えず、オタクや脳筋といった
属性でしか呼ばない。幼馴染の委員長ですら委員長だ。
なにか理由があるのかもしれないが、1クールではそれも明かされず、
そのせいで余計に主人公が鼻につく。

ぼっちになりたいけど、お人好し故にぼっちになれない。
そういうストーリーを描きたいのはわかるものの、
異世界に来た目的自体が曖昧なため、
そのストーリーも生きてこない。

中盤になると異世界人と出会って交流したり、
クラスメイトの1人が不良なクラスメイトを殺害するという事件が
起きるものの、結局内輪もめだ。

暴走したクラスメイトを倒すために、
幼馴染やクラスメイトを守るために主人公は強くなろうとする。
ようやく中盤で目的らしい目的が生まれるものの、
だからといって面白さが生まれるわけでもない。

中盤の盛り上がりどころなのはわかるものの、
いきなり出てきた敵キャラとのバトルが盛り上がるわけでもなく、
ようやく生まれた主人公の目的もあっさり解決してしまう。

ダンジョン

終盤はダンジョンにとあるアイテムを探しに行くことになる。
ようやくぼっちでダンジョン攻略かと思いきや、
ぞろぞろとクラスメイトもついてきて、
ダンジョンで離れ離れになって、ようやく
「ひとりぼっちの異世界攻略」っぽくなっていく。

しかし、そうかと思ったらダンジョンの地下で
操られてるスケルトンを使役してしまう。
ひとりぼっちの期間は一瞬だ。
しかも、スケルトンは「受肉」し美少女になる始末。

終盤にはなろう系では1億回くらい見た
「スタンピード」がおこり、それを解決して終わりだ。
最後の最後まで目的らしい目的を見いだせずに終わってしまう作品だった。

総評:ぼっちになれよ!ぼっちなんだろ!?

全体的に見て「目標がない」ということが最大の欠点な作品だ。
クラスごと異世界召喚されるという要素は
他のなろう系でもよく見かけるが、そこからの物語の核となる
目標がこの作品にはない、例えば倒すべき存在がいたり、
元の世界に戻るために奮闘したり。

そういうことは一切しない、元の世界に戻ることもしなければ、
魔王のような存在がいるわけでもないのに、
主人公は異世界を攻略しようと思っている。
なにをもって攻略なのかが見えてこず、いきあたりばったりな
ストーリー展開とたまに倒すべき敵やイベントが起こるものの、
それもあっさりと解決する。

1話1話の内容が非常に薄く、タイトルにもなっている
「ボッチ要素」も1話くらいで、2話以降はクラスメイトや
異世界人と絡みまくりだ、1人でいるシーンのほうが少ない。
ひとりぼっちでもなければ、異世界攻略してる感じもない。
とんだタイトル詐欺な作品だ。

独特の台詞回しやギャグなど薄ら寒い部分もあり、
作画のクォリティは一定して保っているものの、
迫力のある戦闘シーンがあるわけでも、
セクシーシーンがあるわけでもなく、淡々としている。

いわゆるスローライフ系のなろう系に属するのかもしれないが、
そのわりにはシリアスな展開もあり、
この作品で何を見せたいのだろうという疑問場係が浮かぶ。

なんというか感覚的に学校で
サマーキャンプで異世界に来たような感覚だ。
キャンプをしたり、自炊をしたりしながらも、
クラスメイト同士で揉めたりしつつも、異世界を楽しんでいる。

このライトな感じがこの作品の魅力かもしれないが、
この作品らしい面白さを見いだせずに終わってしまった作品だった。

個人的な感想:コミカライズ

コミカライズは22巻も続いており、かなり人気の作品と言えるだろう。
もしかしたら、もう少し話が進めば面白みも生まれてくるのかもしれないが、
1クールではそれを感じきれずに終わってしまった。

なろう系は2期も決まりやすいため、
この作品も2期があれば評価が変わる作品かもしれない。

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