評価 ★★☆☆☆(29点) 全12話
あらすじ 平均よりも『出来る子』であった少女栗原海里は高校の卒業式が終わった後、自転車で転倒した少女を大型車から救い、それと引き換えに死亡する。引用- Wikipedia
せめて平均的な面白さにしてください
原作は小説家になろうで連載中の作品。
監督は太田雅彦、製作はproject No.9。
目立ちたくない
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
1話早々に主人公は「私が目指すのはごく平均的なごく幸せです」と宣言する。
彼女は「なろう作品」でありがちな異世界転生者であり、
そんな彼女が「ハンター養成学校」へ入学するために街を訪れるところから
物語が始まる。
「なろう作品」の主人公としては「スライム」という無性別な存在を除けば
初めての女性主人公の作品だ。
キャラクターデザインも可愛らしく、テンプレ的な見た目ばかりの
なろう主人公作品が多い中では新鮮な作品と言える。
彼女は前世は才能のせいか友達がおらず周囲から浮いている存在だった。
だからこそ異世界では「目立たない平均的」な能力を持つ少女で
ある事を神に望んだ。
多くのなろう主人公がわけもわからないチート能力を
いつの間にか身につけてることが多いが、
この作品の主人公は自らチートではなく「平均値」を望んだ。
ツッコミ
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
主人公はいちいち状況や他者のセリフにツッコミどころを入れる。
例えば悪者に絡まれてるときに女騎士が出てきる。
主人公は女騎士とは昼間に出会っており、彼女の見た目から
「おねにいさま」と評している。
そんな彼女が現れると主人公はモノローグで
「おねにいさまきたー!」と叫ぶ、
更に女騎士が「悪党に名乗る名前はない」と叫ぶと
「おぉ!1度言ってみたかったあの漫画のセリフ!」と突っ込む。
このようにいちいち突っ込む。
大した話でもなく、大して面白いセリフでもなく、大したツッコミでもないのに
頻繁に主人公によるツッコミが入ることで話の腰を折り、
テンポを悪くしてしまっている。
メタパロディ
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
1話からこの作品は色々な作品のパロディが満載だ。
北斗の拳、あばれはっちゃく、ドクターXetc…
ジャンル問わずありとあらゆるパロイディネタが盛り込まれまくっている。
メタネタによる主人公のツッコミや、
主人公の前世の知識があるからこそのパロディネタを頻繁に入れてくる。
正直うざいと感じるほど大量のパロネタ&メタネタを入れまくっており、
それが面白いのなら良いが別にそれが面白いわけでもない。
パロディネタも恐ろしいほど古い。
「このネタを理解できるのは視聴者の中にどれくらいいるんだろう?」と
思うほどに古い。
古くてもある程度知名度のある作品ならば共通認識としてパロネタが
通用するかもしれないが、「あばれはっちゃく」のパロディなど
どのくらいの人が理解できるのだろうか?(1980年のドラマ)
パロディネタはただでさえ好みが分かれやすい。
そこにさらに「元ネタが分からない」という要素が加わればなおのことだ。
この作品はキャラクター同士の会話や動きでギャグを作るのではなく、
「パロディ」に頼ることでギャグにしている。
北斗の拳のような敵を出して「ヒャッハー」と言わせるなど誰にでもできる。
それをどう笑いに変えるかというのが腕の見せ所のはずなのだが、
この作品は出すだけだしてそれを笑いに変えられていない。
ただの「パロディ」であり、「ギャグ」ではない。だからこそ不快感が募る。
主人公のテンポを崩すだけのツッコミと、
多用するだけのパロディボケという組み合わせは最悪でしか無い。
パロディも今更「ドラゴンボールネタ」を入れてどうしたいのだろうか、
それで見てる人が笑うと思うのだろうか、ギャグセンスを疑ってしまう。
主人公のパロネタを見て「さぶっ…」と思わずつぶやいてしまうほど
ギャグは滑っている。
説明
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
主人公は平均値を望んでおきながら、
この世界の魔術師の6800倍の力を持っており並外れたチート性能を持っている。
これにはからくりがあり、「平均値」を望んだ主人公ではあるが、
神様はこの世界に存在するありとあらゆる生物の中の平均値と勘違いし、
最強である古龍の半分の力を持ってしまっている。
という設定をマスコットキャラによる説明シーンで説明する。最悪だ。
他のなろう作品は設定の是非はどうあれ、物語の中で自然に世界観や
主人公の能力を描写していく中で視聴者に主人公がチートであることを
理解させようとしている。
しかし、この作品は説明する。
原作のような小説という文字媒体でならともかく、
アニメーションという媒体でマスコットキャラに長々と主人公が
なぜチートであるかと説明させるシーンは意味不明でしか無い。
ストーリーの中で自然に主人公が平均値を望んでおきながら
人間の中での平均値ではなかったことを理解させようとしておらず、
説明で片付けてしまっている。正直センスを疑うほどの最悪な説明シーンだ。
しかも、これが1度ではない。
作品中に何度kかこのマスコットキャラによる「解説」シーンが挟まることで、
主人公のツッコミに加えマスコットキャラによる解説で更に話の腰を折る。
もはや折りすぎて話の腰の骨は粉砕骨折してしまっているほど
テンポが悪い。
私、またなにかやっちゃいました?
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
主人公は「平均」であることを望んでいるが、
実際の力は人間の平均を遥かに超えてしまっている。
だからこそ、彼女は力を隠そうとしている。
しかし、隠そうとしてもそれが漏れ出てしまうような場面や
感情的になってしまい力を出してしまうという場面が多い。
そのたびに彼女は嘆く「またやっちゃったー」と。
「能力を隠す」という要素に何の面白みも感じない。
アメコミで言えば自分がヒーローであることを隠すという要素ではあるのだが、
そういった「正体がバレる」というハラハラ感がなく、
彼女はわざとか?と思うほどに自分からバレにいっている。
そのたびに彼女は「またやっちゃったー」と嘆く。
自分の力を自覚してて、それを隠そうとしているのにそれが出来ない。
「賢者の孫」という作品では自分の力を自覚していなかった、
だからこそ自分の力を他者に見せたときの反応を見て
「俺、またなにかやっちゃいましたか?」と戸惑う。
その戸惑いにも意味があった。しかし、この作品にはその戸惑いに意味を感じない。
平均値を上げる
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
ある意味で頭がいいとも言える手法を主人公は取る。
自分以外の仲間を強くすることで「平均値」を上げる手法だ。
だからこそ主人公は仲間に自分の技術と知識を伝授する。
結局、やってることは「賢者の孫」と変わらない。
あの作品は主人公とコネを作り仲良くなれば彼の技術や武器をもらうことができ、
彼並みとは言わないまでもあの作品の世界では相当に強くなった。
この作品も同じだ。自らが目立たないために彼女の周囲に居る人間を
自分の知識を分け、武器を与えることで「強く」している。
それを笑えないパロディでごまかしてはいるものの、やってることは同じだ。
はいはい、おれつえーおれつえー
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
主人公が仲間を鍛えたおかげで仲間もかなり育つ。
1話で仲間と出会い、2話で仲間を育て、3話でそれを披露する。
ぐだぐだと会話をした後に戦闘が行われるものの、
「結果」が見えてしまっており、そこに面白さがない。
テンポよく、きちんとしたアニメーションで
「俺つえー」な戦闘シーンが描かれるなら面白さがあるが、
会話のテンポも悪く作画も悪い。敵が舐めてかかり、仲間がそれを圧倒し
敵が恐怖する。なろう作品ではよくあるパターンの描写でしか無い。
主人公も主人公で周囲に自分の実力をバレたくはないはずなのに、
もうバレたくてやってるのでは?と思うほど実力を出しまくる。
しかもパターンがまったくもって同じだ。
敵に「薄い胸」を指摘されて切れて本気を出してしまう。
このパターンを何度見せられれば良いのだろうと思うくらい引き出しが少ない。
シリアス
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
この作品の主人公には「目立たず暮らしたい」という目的しか無い。
学院で出会った仲間とともにパーティーを組みクエストをこなし日常を過ごす。
目立ちたくないならウェイトレスでもやってればいいのに、
冒険者としてクエストをこなし、目立ちたくないはずなのに結果的に
目立ってしまう。
どちらかといえば中盤くらいからは「日常アニメ」のような感じだ。
メインキャラの過去でシリアスなストーリーが描かれたりするものの、
正直、特に思い入れもないキャラの過去を描かれても面白さが出るわけでもない。
バカみたいにパロディを入れまくり、明るいノリな作品のままならば
まだ「軽いノリで楽しめる異世界日常ファンタジー」として
評価できる部分もあったかもしれないが、この無駄なシリアスのせいで
そういった評価もできない。
過去に盗賊に父親を殺されていたり、親しい人が殺されたりと、
メインキャラのうち二人の父親が殺されているというワンパターンな過去だ。
シリアス要素ですら引き出しに1つしか入っていないのだろうかと思うほど浅い。
世の中の悪いことは大体「盗賊」のせいなのかと思うほど、
盗賊が原因になってる事件や過去が多い。
しかも、それを無駄に引き伸ばす。
4話でメインキャラの一人の過去が少し明らかになり、
5話で過去がわかり、6話でその過去のトラウマを克服する。
メインキャラの一人の過去を3話もかけて描いている。
正直、そんなに大した話でもないに此処まで引き伸ばすのは意味がない。
日常回
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
キャラの過去がある程度片付くとシリアスな話もほとんどなくなり、
日常回が増えてくる。メインキャラが少ないことも在り、
キャラクターデザインのおかげもあってワチャワチャと
異世界でクエストをこなすストーリーは楽しめる部分も多い。
ただ、露骨にパロディは増えてくる。
パロディをしても結局、そのパロディの元ネタを知ってるのは主人公しかいないため
自分でボケて自分で突っ込んでるような感じでしか無く、
終盤になってもただいろいろな作品のシーンやキャラやセリフを出してるだけだ。
ギャグにしきれていない。
これでパロディがなければ日常回も素直に楽しめるのに、
日常回ほどパロディが増える為厄介だ。
5分に1回レベルでぶちこんでくるパロディはパロディで胸焼けしそうだ。
主人公のセリフがパロディなのか、パロディじゃないのか曖昧ものも多い。
最高値
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
主人公の魔力はこの世界の最強の存在である「古龍」の半分の力だ。
人間の中では規格外後からであり、モンスターにも遅れは取らない、
獣人などの他の種族でも彼女は圧倒してきた。
しかし、終盤にそんな彼女の前に「古龍」が敵として現れる。
彼女の倍以上の力を持つ存在であり、当然、彼女は圧倒される。
この終盤の11話の展開はこの作品で初めて見せる盛り上がりと言っても良い。
「平均値」を望んだ彼女が「最高値」の存在と出会い戦い負ける。
ここからどう、彼女が最高値の存在を倒すのか。
この作品の真価が問われると言っても良い展開だ。
だが、もうがっかりというレベルではないほどがっかりする。
この作品に期待した自分がバカだったと思うほどに、馬鹿げており
ご都合主義でなんかパワーアップして終わりだ。
最高の古龍の半分の力ではあるが、出会った古龍は古龍の中でも弱い方で
しかも主人公がパワーアップしたので勝てましたという
今どきのジャンプでもやらないようなご都合主義に辟易して終わってしまう。
総評:平均値以下の面白さ
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
全体的に見てキツイ作品だった。
序盤こそ軽いノリでパロディを混ぜつつ女性主人公と仲間たちによる
ワチャワチャ感でそれなりに楽しめた部分はあったものの、
話が進めば進むほど増え続けるパロディ、展開の遅いストーリー、
話の腰を折るギャグや演出、そしてご都合主義なラストと色々と呆れてしまう。
ある意味でこの作品を象徴するパロディそのものが
年代もジャンルも媒体もバラバラですべてを理解できた人が
どれくらいいるんだろう?と思うほどパロディとして機能しておらず、
そのパロディを使ったところで、この世界に主人公以外に作品の知識はないため、
ツッコミも居ないためギャグとして成立していない。
ただ懐かしい作品の要素やセリフやシーンを引用してるだけだ。
そう、この作品のパロディはパロディではなく引用だ。
序盤こそまだパロディはパロネタをやってるというわかりやすさがあったが、
終盤のパロディは「今のセリフバパロディだったのか?」と思うような
曖昧ない感じになってしまっており、この作品のパロネタの多さが
普通のセリフすらパロネタと疑わせてしまっている。
結局、ストーリー的にもいつもの「なろう」作品と対して変わりはない。
私つえーで私なにかやっちゃいましたか?だ。
明確な目的も「目立たず暮らしたい」というだけのはずなのだが、
そんな目的からは逆方向な言動や行動ばかりしているためたちが悪い。
最終話では世界の秘密のようなものを明かしていくようなストーリーを
匂わせていたが、正直どうでもいいとすら感じてしまう。
キャラクターデザインは可愛らしく、もう少しパロディ控えめで
無駄に話の腰を折らずにテンポよく描けば全体の印象は違ったかもしれない。
パロネタの多さも相まってガッツリと好みが分かれる作品だろう。
序盤の段階でパロネタで笑えない人は終盤でも笑えない、
逆にこの作品のパロネタでくすっときてしまったひとは楽しめる作品だろう。
個人的な感想:合わなかった
引用元:©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会
ひたすらに合わない作品だった。
パロディネタも入れるだけ入れてるだけで、それが笑いどころになっていない。
女性主人公という新鮮さはあったもの
それ以上、この作品に目新しい要素はないどころか、
久しぶりに開けたクローゼットの奥にしまってあった圧縮袋の洋服のような
センスの古さは流石に厳しいものがあった。
結局、ストーリーもほとんど進んでいない。
あっというまに学校は卒業し、仲間のキャラの問題は解決して、
色々なクエストをやって、世界の謎を最後に匂わせて終わっただけだ。
もう少し話を先に勧めても良かったのでは?と感じてしまう作品だった。
女性主人公ということで少しは目新しさがあるかと思ったが、
パロディが多いだけのいつものなろう作品で終わってしまったのが残念だ
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください
中盤のシリアス顔は「エガオノダイカ」のパロディである可能性が…?
原作が微妙な作品を新人とかにやらせて更に悪くするのそろそろ勘弁してほしい
原作以上にアニメ制作が作品をだめにしている