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次元崩壊「ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで」レビュー

ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで ファンタジー
©篠崎芳・オーバーラップ/ハズレ枠の状態異常スキル製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(29点) 全12話

TVアニメ『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』第1弾PV

あらすじ 女神ヴィシスによってクラスメイトごと異世界に召喚された三森灯河は、最低評価であるE級勇者という理由で高レベルモンスターが徘徊する遺跡へと廃棄されてしまう引用- Wikipedia

次元崩壊

原作は小説家になろうな本作品。
監督は福田道生、制作はSeven Arcs

不遇

主人公は子供の頃、両親から虐待された不遇な環境で育っている。
そんな彼は成長し、高校生になったものの、
家庭環境故に己を殺し、目立たない空気な存在として過ごそうとしている。
彼のクラスには明らかないじめっ子や陽キャなども多く、
修学旅行中のバスでも浮かれ気分だ。

クラスの中で明らかにいじめが起きているのに
先生も特にそれを止めるわけでもなく、面倒事を避けている。
そんな不遇なクラスがクラスごと異世界召喚される。

なろう系ではこういったクラスごと異世界召喚される作品は珍しくない。
女神によって「魔王」的な存在が現れた異世界を救うため
選ばれし勇者として主人公のクラスが選ばれている。

魔王的な存在を倒せば元の世界に戻ることができる、
むしろ元の世界に戻るためのエネルギーが魔王的な存在とも言える。
異世界に召喚されたことで特別な力を得ることができるのだが、
主人公は最も低いランクであるEだ。

異世界でも不遇、異世界でも特別ではない。
彼に備わったのは「状態異常」を与えるスキルで、E級の最低のランクだ。
彼1人だけがE級であり、廃棄遺跡と言われる高難易度ダンジョンに
処分されてしまう。

非常にベタな展開だ、どこかで見たことのあるような
テンプレ的展開を丁寧に丁寧に1話描いており、
そんな丁寧な展開の中で勝手に召喚し、勝手に処分するという
女神に対する主人公の恨みつらみを積み重ねていく。

クラスメイトも一部のキャラ以外は主人公へのあたりが強い。
彼を蔑み、優越感に浸るクラスメイト、
そんな彼らに、勝手に召喚した女神への憎しみを爆発させる。
子供の頃から押し殺していた感情を、境遇への憎しみを解放する。

丁寧な展開ではあるものの、既視感は凄まじい。
この冒頭の展開はほぼ「ありふれた職業で世界最強」で同じだ。

チート

絶体絶命の中で主人公はみずからのスキルの本当の力を知る。
どんな敵でも状態異常をかけることができる、
麻痺をかければ相手はずっと麻痺しつづける、
相当なチートスキルだ。

使えないと追放されたけど実は使えるスキルでした。
これまた追放系のテンプレ展開だ。
1話からずっとなろう系あるあるのようなテンプレを
丁寧に見せている、ある意味で王道ともいえるのだが、
主人公の長いモノローグは鼻につく。

戦闘シーンも面白みがあるとは言えない。
主人公の能力が状態異常にかけるという能力なため、
1度発動してしまえば相手は棒立ちだ。
モンスター自体はCGをもちいて描写しており、
ぬるぬるとした動きで迫力はときおり強烈に違和感が生まれる。

シーンによってはモンスターだけでなく、
後ろ姿や遠いアングルでの主人公が急にCGになったりするため、
いきなり主人公も「ぬるぬる」とした動きになってしまい、
画面に強烈な違和感が生まれている。

そんな違和感まみれのシーン描写でひたすら
「パラライズ!」「ポイズン!」というだけの戦闘シーンだ。
面白みもなにもない。
ご都合主義全開の100%状態異常にかけるスキルのお陰で
本来なら倒すことの出来ないモンスターを倒し、
レベルも一気に1000を超える。

もはや意味のない設定だ。
馬鹿みたいに数値をあげて、その数値の意味がなくなる。

状態異常

本来、この世界で状態異常スキルは使えないスキルだ。
成功率が低いという常識故に女神から見放されたものの、
主人公の状態異常スキルの成功率は100%だ。
ただ発動にも条件があり、スキル発動距離の近さ、
スキル名を言う、視界にいれるなどの条件がある。

そういった駆け引きが重要なのはわかるが、
主人公の自分語りがひたすらにうざい。

「他者の痛みを感じられる人間になれると思ったのに、
命を奪う恐ろしさに震えることも苦悩することもない…
自分が怖い!」

これが人間相手ならともかく相手背景のモンスターだ。
厨二病全開な台詞回しはちょっと鳥肌が立ちそうな感じだ。

そんな主人公とは違ってクラスメイトたちは
「ヒャッハー!」状態だ(笑)
意地の悪い女史たちは弱い立場の女子を支配し、
男子は異世界に来て特別な力をもらいイキりまくる。

彼らを召喚した女神も女神でかなり腹黒であり、
弱者は切り捨て強者は利用する。
この極端とも言えるキャラ付けは
一周回って面白くなってくる部分がある。

作画のクォリティをごまかすためか妙に暗いシーンや、
影を強調している部分が多く、
それが作品全体をどんよりと暗くさせており、
キャラクターたちの陰鬱さをも強調させている。

スライム

最悪なダンジョンから抜け出すことが出来た主人公は
仲間からいじめられた「スライム」と出会い仲間にする。
スライムが仲間になるのもなろうあるあるだ、
この作品はあるあるしかない(苦笑)

主人公たちのクラスメイトだけでなく、
異世界人もヒャッハー!な連中が多く、常に治安が悪く
ガラの悪い連中が画面に映りまくる。

常に重苦しく画面を暗くすることで作画のクォリティを誤魔化しており、
相当に作品全体の制作費も少ないのだろう。
その限られた予算の中で作画の悪さを目立たせないために
暗い画面にし、CGを随所で多用している。

限られた予算の中でそういう工夫自体は素晴らしいとは思うものの、
戦闘中や暗いシーンだけではなく、
ただの日常会話のシーンの中でもいきなりCGに切り替わるため
画面の違和感が凄まじくなってしまっている。

かつてエクスアームというアニメで2DとCGの
キャラが混同して同じ画面に映ることで強烈な違和感が生まれていたが、
それに近い強烈な違和感が生まれており
話に集中できない。

そんな雰囲気の中で仲間になったスライムを強化するために
ダンジョンを攻略したりしながら、
冒険の途中で出会った訳ありなエルフ美女を仲間にし、
旅を続けていく。

人類最強

そんなエルフを追って「人類最強」と名高い存在が現れる。
主人公もチートな能力を持っている、だが「射程距離」が短いのが問題だ。
自分のスキルが届く距離までいかに近づくか、
この作品の本来の見せ所はその会話劇であり頭脳戦なのだろう。
嘘を見抜く相手に嘘をつかず、だが、相手を騙す。

この会話劇とキャラクター同士の掛け合いこそが見どころだ。
声優さんによる熱演でアニメをも盛り上げている、
巧妙な心理戦と一瞬で片がつく戦闘シーンに爽快感が生まれている。

序盤こそ相手が雑魚だったり、モンスターだったりと
この作品の面白さが見えにくい部分があるものの、
中盤の人類最強戦でこの作品の面白さを感じられる。

遠距離が弱点だった主人公も、それを自覚しており、
スライムと合体することで遠距離を克服している。
チートなスキルではあるものの欠点がある、
状態異常は距離が、スライムとの合体はMP消費が、
チートではあるもののそういった弱点が戦闘の駆け引きにつながっている。

なろう系ではハーレムになりがちだが、
この作品の場合、ハーレムにもならない。
同時に主人公と同じく召喚されたクラスメイトや
女神の動向も描かれながら物語は進んでいく。

終盤

ただ1クール全体としてストーリーの進行は遅い。
主人公のレベルがガンガン上がりまくっており、
目的である魔女が住む森にたどり着くものの、
そこで現れた大群に対処するのが終盤の展開だ。

強敵一匹ならば問題ないものの、
主人公のスキルの特性上、大群には弱い。
そんな大群をさばきまくる終盤の展開は盛り上がるものの、
アニメーション的な盛り上がりはCGを多用してるせいで薄い。

そこにはクラスメイトたちもレベル上げに訪れており、
ここで再会するのかと思いきや再会もしない。
復讐を誓った女神に一矢報いるわけでも、
クラスメイトの再会するわけでもない1クールの展開は
間延びしてしまっており、残念だ。

物語的には序章であり、ここから
クラスメイトとの再会や女神への復讐なども描かれるのだろうが、
1クールではあくまで序章で終わってしまっていた作品だった。

総評:厨二病全開!既視感まみれのなろう

全体的に見て序盤の導入は「ありふれた職業で世界最強」に
そっくりすぎる展開で、テンプレ感が強く、
主人公に厨二病感もやばい作品だ。

この作品の面白さが出てくるのは中盤からであり、
チートなスキルではあるものの欠点のあるスキルによる
頭脳戦を描きたいということがわかってくるあたりから
面白さは生まれるものの、話のテンポは悪い。

ただハーレム感なども少ないため、そのあたりは
多くのなろうよりもストレスを感じないものの、
主人公のイキり感は好みが分かれるところだ

ストーリー自体は好みはあるものの、
アニメーションのクォリティに関しては厳しいものがある。
CGをかなり多用しており、モンスターをCGで描写するのは
独特の気持ち悪さを演出できているものの、
キャラクターの描写までCGになっているせいで違和感が凄まじい。

これで戦闘シーンはキャラクターもCGになりますなどと
統一されていればいいが、そこが統一されていないのが問題だ。
戦闘シーンで一瞬だけCGになったり、日常シーンでも一瞬だけCGになる。
特に日常シーンでのCGは強烈な違和感が生まれており、
あの伝説の「エクスアーム」を彷彿とさせる歪さが生まれていた。

物語的にも中途半端なところで終わっており、
先が気になる感じで終わってはいるものの、
果たして2期があるかどうか….

個人的な感想:中盤から

序盤はテンプレ感や厨二病感の強さゆえに
厳しい作品だったが、中盤くらいから
この作品の面白さがわかってきて楽しめた作品だった。

ただエクスアームのようなCGの使い方や、
ストーリー進行の遅さなど気になる部分も多く、
人には進めづらい。

追放系、復讐ものは「ざまぁ」展開が描かれるまでが
面白い部分もあり、もし2期が
あるならその展開にも期待したいところだ

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