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劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ

4.0
映画
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評価 ★★★★☆(68点) 全118分

あらすじ ある日、映画館の見回りのバイトをしていた銀時は、突如現れたタイムマシン「時間泥棒」によって5年後の未来へ飛ばされてしまう。そこで銀時が目にしたのは、自身の墓、そして見るも無残に荒廃した江戸の町であった。引用- Wikipedia

銀魂集大成

本作品は銀魂の劇場映画作品。
監督は藤田陽一、制作はサンライズ。

前作は紅桜篇を再編集したものだったが、
今作は完璧に劇場オリジナルストーリーになっており、
週刊少年ジャンプ創刊45周年記念作品、アニメ銀魂 ラストエピソードと
銘打っている。

しかし、今作から約1年半後に新作TVシリーズ制作が発表されたという
銀魂らしいオチがついている(笑)

映画泥棒


画像引用元:劇場版銀魂 完結篇 万時屋よ永遠なれ 本編より
© 空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

冒頭から「映画泥棒」による注意喚起が流される。
劇場で映画を見た方ならばお馴染みの映画泥棒、
劇場公開当時は「映画泥棒」が笑っていいとも!に出るなど
話題になっていたキャラクターだ。

そんな話題のキャラクターを早速、パロディとして取り入れている。
TVアニメ放送時もやばいパロディややばすぎて怒られた事案などが
銀魂にはよくあったが、本作品は冒頭からそれを見せつけてくれる。

何度も何度も繰り返し流れる映画泥棒の映像、
そんな映画泥棒に銀さんが「ツッコミ」を入れる所から本作品は始まる。
はじめてこの作品を見た人にとっては銀魂の映画だからこその
「マナームービー」であり、まだ本編は始まっていないと思うはずだ。

しかし、この作品はそこを逆手に取る。
あまりにも長過ぎる映画泥棒と銀さんの漫才の中で
映画泥棒が映画泥棒になった理由や彼の悩みを聞く。
本編が始まらないまま9分近く映画泥棒とのシーンだ(笑)

「けい○ん商法」を始めとする特典商法、
当時のジブリ最新作であった「風立ちぬ」をパロディした「あれ勃ちぬ」、
パロディとしてかなりギリギリのラインを責めまくっている。
週刊少年ジャンプ創刊45周年記念作品がこれでいいのか?という
疑問すら浮かんでくる。

そんな中で映画泥棒が撮影していた「あれ勃ちぬ」の
映像を確認しようとした所、なんと銀魂最新作の映像であり、
ネット流出を心配していた銀さんが我に返ると、そこは何もかも変り果て
「銀さんが死んだ」5年後の世界だった、という所からストーリーは始まる

いい加減本編を始めろと思っていたら、
実は本編だったという導入部分には素直に驚かされ、
更にこの冒頭の悪ふざけの限りを尽くしたシーンは
今作において重要な伏線まみれだ。

パロディかと思った「映画泥棒」が実は「時間泥棒」で
全てが終わった未来に銀さんを連れてくるため、
タイムスリップさせる重要なキャラだった。
というストーリーなど誰が予想できるだろうか。

この作品は一切先が読めない作品だ

5年後の彼ら


画像引用元:劇場版銀魂 完結篇 万時屋よ永遠なれ 予告編より
© 空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

5年後の「銀さんの居ない世界」で
変り果てたおなじみのキャラクターたちはもはや、
予測すらできない変わり様だ。

こういったキャラクターたちの未来の姿は
他の作品でもたまに見かける要素ではあるが、
普通に「大人」になって「成長」していることのほうが多い。

詳しく書いてしまうとお楽しみを減らしてしまうので省略するが、
エリザベスが「神谷明ボイス」になるほどの変貌を遂げており、
5年後の姿でおなじみのキャラクターが登場するだけで面白い。
出落ちではあるものの、その出落ちの姿があまりにも強烈だ。

そんなギャグと同時に5年後の世界はシリアスだ。
「白詛」と呼ばれる謎の死の病が流行っており、
江戸は廃れまさに世紀末状態。

いつものようにギャグをやるムードではないはずなのだが、
シリアスな5年後の彼らに対し、5年前からやってきた銀さんはつねに
いつもの銀さんのリアクションで驚きまくり突っ込みまくることで
「銀魂」という作品らしい雰囲気を保っている。

銀魂という世界観で銀さんという主人公を失い、
5年という月日を世紀末状態の星で過ごしてきた彼らの変化は
哀愁すら漂わせており、そんな哀愁漂う彼らと
5年前から来た銀さんが再びよろずやとして手を組む。

銀さん自体はまわりからは「珍宝さん」に見えており、
銀さんとは認識されていない。
いつもの銀さんらしい少し臭いセリフを履いても
外見が「珍宝さん」であるがゆえにしまらず、
シリアスな世界観でありながら笑いが絶えない。

真実


画像引用元:劇場版銀魂 完結篇 万時屋よ永遠なれ 予告編より
© 空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

中盤からはギャグが減り、シリアスなストーリーだけになる。
突然流行った白詛とはなんなのか?誰が流行らせたのか?
銀さんはなぜ死んでしまったのか?銀さんはなぜ未来に来たのか?

伏線を回収しながらストーリーをきっちり展開しており、
中盤で「敵の正体」が分かった時は予想できた方も居るだろうが
その先の物語をどう締めるのか全く予想のできない展開になる。
ここまで銀魂で「ストーリー」が気になる展開になるのは
予想外といえるかもしれない。

「坂田銀時」の存在か、それとも「世界」か。
完結の名にふさわしい壮大なSFストーリーが描かれている

タイムパラドックス


画像引用元:劇場版銀魂 完結篇 万時屋よ永遠なれ 予告編より
© 空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

ただ、中盤までかなり丁寧なストーリー運びだったものの
終盤の展開はかなり散らかってしまっている。
いわゆるタイムパラドックス的な問題が発生しており、
はっきりいって時系列や改変などが一体どうなってそうなったのか?
といううのがイマイチわかりづらくなってしまっている。

特に登場人物たちの記憶の残り方は違和感が強く、
そのあたりはやや「勢い任せ」にストーリーを進めている。
完結編にふさわしい「全員集合」とラストバトルの迫力があるからこそ
ご都合主義と矛盾が目立たなくなってはいるものの、
映画を見終わった後に「結局どういうことだ?」と思ってしまう部分だ。

それでも「15年前の攘夷志士戦争」の描写は素晴らしく、
素晴らしい作画とアクションシーンで終盤の戦いを盛り上げており、
スピード感のあるカメラワークと激しい戦闘シーンは
劇場という大きなスクリーンを大胆に使っており、
劇場版の名に恥じぬシーンだ。

ラストシーンもは物語のエピローグではなく、
いつもの「万事屋」で締めるところも
1本の映画を見終わった印象がとても強く残り、
あぁ、ヤッパリ銀魂面白いな~とひしひしと
感じられるポイントになっている。

総評:映画は見ても盗んではいけない


画像引用元:劇場版銀魂 完結篇 万時屋よ永遠なれ 予告編より
© 空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

全体的に見て予想以上に素晴らしい出来栄えの作品だ。
「銀魂」という作品を知っている前提という部分はあるものの、
真面目でシリアスな本筋のストーリーを怒涛のギャグとパロディ、
銀魂らしいセリフ回しで決してシリアスに感じさせない
ストーリー展開になっている。

中盤からはきちんと真面目にシリアスなストーリーを展開しており、
映画冒頭からの伏線を回収しつつ、SFストーリーを魅せている。
しかし、終盤はやや話が散らかってしまった感じは否めないものの、
最初から最後まで銀魂らしい内容だったといえる作品だ。

本当に全編ギャグが冴えている。キレキレだ。
映画泥棒からの本筋のストーリー、銀さんが珍宝さんに見える、
けいおん商法批判、あれたちぬ、5年後の変わりすぎなキャラクターたち、
笑いっぱなしになってしまうほどギャグのレベルが高く、
見終わった後に「あぁ、やっぱり自分は銀魂が好きなんだな」と
実感できる作品だ

個人的な感想:熱演


画像引用元:劇場版銀魂 完結篇 万時屋よ永遠なれ 予告編より
© 空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

個人的には中盤で小林ゆうさんの予想外の熱演に驚いた。
小林ゆうさん演じる「猿飛あやめ」は銀魂ではギャグ要員でしか無いが
そのギャグ要員な彼女が予想外にシリアスな演技で熱演をしており、
その予想外さと「お妙さん」の状況で涙腺をくすぐられそうになった。

こういった真面目な部分でもギャグではない
予想の裏切り方をしているのは本作品の魅力の1つだ
銀魂の様々な要素を集大成にしたようなそんな作品だった。

「」は面白い?つまらない?

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