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シンプルにきついラブコメ「疑似ハーレム」レビュー

疑似ハーレム ラブコメ
©斉藤ゆう/小学館/疑似ハーレム製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(23点) 全12話

TVアニメ『疑似ハーレム』第1弾PV

あらすじ 漫画のようなハーレム状態に憧れる演劇部の先輩「北浜瑛二」と密かに想いを寄せる先輩の前だと、ついキャラを演じてしまう「七倉 凛」引用- Wikipedia

シンプルにきついラブコメ

原作はもともとTwitterで連載されていた漫画作品であり、
Twitterでバズリ、ゲッサンにて連載に至った。
原作はすでに完結している。
監督は菊池聡延、制作はノーマッド

キャラデザ

見出して感じるのはキャラクターデザインのクセだ。
特に表情の描写に関しては独特の描写であり、
笑っているのに引き笑いに見えるような感じがある。
主人公のデザインは特に特徴的で、
目の下のシワというかクマがかなり特徴的だ。

制作のノーマッドは老舗ではあるものの、
そこまで作画のクォリティが高い会社ではなく、
作品自体の制作費もそこまで多くはないのだろう、
最近のアニメとしてはやや物足りなさを感じる作画だ。

引きの絵なども目立ち、最近のアニメというよりは
2010年代前半の深夜アニメくらいの雰囲気を感じる。
メインヒロインを演じるのは早見沙織さんであり、
主人公を岡本信彦さんが演じている。
この配役も最近のアニメというよりは15年くらい前のアニメの
雰囲気になっている要因にもなっている。

そんな雰囲気で描かれているのはラブコメだ。

演技

ヒロインは高校1年生の女の子だ。
演技が好きな彼女は演劇部に入り、1つ上の先輩と仲良くなっている。
モテたい、ハーレムを築きたいと思っている先輩ではあるものの、
彼は決してモテるわけではない。

そんな彼のために演技力のあるヒロインは
彼のために様々な性格のヒロインを演じて見せてくれる。
ときにはクールに、ときには幼馴染に、ときには妹に、
ときにはツンデレに、ときには小悪魔系に。

コロコロと演技によってヒロインは性格を変えながら、
主人公に応対していく。
それがこの作品の面白さなのはわかるものの、シンプルにきつい。

そもそもヒロインが先輩のことを好きになったきっかけも
わからず、好きになるような魅力があるようには見えない。
ただの日常会話の中で「今のセリフ、クールちゃんでお願いします!」
というように頭を下げて疑似ハーレムを味わっているような
男だ、好感なども手筈もない。

ヒロインもヒロインで先輩のために、
様々な性格の女の子を常に演じ、先輩に接しており、
献身的で素直ともいえるのだが、
挙動不審で様子が怪しいヒロインだ、可愛さよりも
その様子のおかしさのほうが気になってしまう。

いわゆる多重人格系なヒロインともにているが、
人格の変化が毎分どころか30秒位で入れ替わることもあり、
常に性格ルーレットが回り続けているような感覚だ。

原作がTwitterで連載していた漫画だからこそ、
1エピソードも短く、その短い中で性格をコロコロ変えて演じているため、
余計に挙動不審なヒロインになってしまっている。
これが1話5分程度のアニメなら気にならなかったかもしれないが、
1話30分のアニメであるがゆえに1話の中に複数エピソード
詰め込んでしまっているため、余計に欠点が目立ってしまっている。

何が彼女の素、本当の性格なのかすらよくわからないまま
様々な性格のヒロインを演ずる姿にあまり好感が持てない。

マンネリ

そんな1話目の調子がずっと続く。
2話の時点で「1話とやってること」がほぼ変わらず、
先輩との日常の中でヒロインが様々な性格のヒロインを演じ、
彼のハーレム願望を擬似的に叶えていく。

色々とシチュエーションは変わるものの、
やってる事自体は変わらない。
ヒロインを演じている早見沙織さんのファンならば
彼女の演技と声を楽しめる部分はあるかもしれないが、
そこに頼り切っていてアニメーションとしての面白みはない。

ひたすら明らかに両思いな二人がイチャイチャしており、
もう2話くらいで胸焼けする。
風邪イベントや初詣イベントなど、
ベタなイベントもどんどん消化しており、
序盤の時点でマンネリかつネタ切れしつつある。

本来、こういうラブコメの場合はマンネリになる前に
恋愛事情が変化したり、サブキャラを投入することで
マンネリを回避するが、序盤の段階でほとんど
サブキャラらしいサブキャラは出てこず、
完全に二人の世界のままで物語が展開している。

3話の段階で進級し、ヒロインは2年生に
先輩は3年生になるものの、特に変化はない。
ありきたりなラブコメイベントを
ひたすら消化しながら同じようなことを繰り返している。

一人のヒロインが色々な性格のヒロインを演ずることで
擬似的にハーレムを形成するというのが
この作品のミソなのはわかるものの、
そのハーレム感は一切感じない。

情緒不安定で挙動不審なヒロインのみが存在する。

中盤になると、ようやくサブキャラとして妹が出てくる。
二人きりの世界だけでなく、第三者が介入しても
ヒロインによる先輩の疑似ハーレムは止まらない。

他人の前でも演技をするヒロインの恥じらいっぷりという
新たな側面が出てくるものの、マンネリは変わらない。
中盤になって夏休みがはじまり、お祭りやプールなどの
イベントを序盤と同じように消化していくだけの話だ。

ヒロインの幼い妹がでたことで妹の恋愛事情も
描かれたりするものの、そっちのほうが逆に面白く感じるほど
メインの二人のラブコメに一切興味が持てない。

時系列

この作品はとにかく時系列の変化早い。
3話の時点で進級し、7話になるとまた進級し、
先輩は卒業を迎えることになる。
マンネリかつネタ切れだからこそ時系列を進めることでしか
最低限の物語を作れていない。

7話でようやく告白し、二人が付き合うことになる。
予定調和な流れは特に面白みもなく、
ラブコメらしい面白さもない。

これで卒業するものの、付き合うようになって物語が完結するなら
まだしも、この作品は1クールのアニメだ。
まだ5話もある。更にこの作品は時系列を進める。
大学生編の始まりだ(苦笑)

大学生編

先輩が大学生になると変化が生じる。疑似ハーレムの終了である。
先輩が高校生の時は日常会話の中で頻繁に
ヒロインが先輩のハーレム願望を叶えるために演技していたが、
二人が付き合うようになったことで疑似ハーレムの必要性が無くなる。
つまりは普通のカップルだ。

ただ完全にその要素がなくなったわけではなく、
あくまでカップル同士のお遊びとして様々な性格を
演ずることはあるものの、8話以前と以降ではその回数が明らかに減っていく。
疑似ハーレムというタイトルから離れまくっている内容は
もうネタ切れが限界だったんだなと感じてしまう終盤だ。

主人公は大学では演劇サークルに入っており、
そんな演劇サークルのキャラクターも出てくるものの、
これもまた疑似ハーレムという特徴を失い、
普通のカップルになってしまった主人公とヒロインでは
話を作りきれないからこその新キャラでしか無い。

付き合ったからこその悩みなど色々とあるものの、
特にそこに面白みを見いだせない。

最終話になると彼らが作ったショートムービーがバズり、
ヒロインに芸能事務所からのスカウトが来るという
唐突なストーリーが一気に進んでいく。
最終話では一気に時系列が進み、幸せなラストで終わる。

このラストは唐突すぎてついていけないまま、
終わってしまう感じの作品だった。

総評:ラブコメとして致命的な欠点を抱えてる

全体的に観て色々と厳しい作品だった。
疑似ハーレムという一人のヒロインが複数のヒロインを演ずるという
要素自体は特徴的で面白みを感じたものの、
結局1話から中盤までやってることがかわらず、
シチュエーションが変わっているだけだ。

終盤になると付き合うよりになるものの、
付き合うことで擬似ハーレム感が薄れ、
ただただイチャイチャを見せられているだけで終わってしまい、
ラストの展開の唐突さや時系列の変化は
まるで打ち切り漫画でも観ているかのようだった。

擬似ハーレムに関しても作画やアニメーションで
それを演出するのではなく、
早見沙織さんの演技に頼り切っている部分もあり、
早見沙織さんのファンなら楽しめるかもしれないが、
彼女に依存しすぎている作品でもあった。

1クール全12話1話30分ではなく、
5分アニメや15分アニメなら胸焼けせずに見れたかもしれないが、
個人的に非常に厳しい作品だった…

個人的な感想:高木さん系

この手の特徴的なヒロインとのイチャイチャラブコメは
高木さんのヒット以降、様々な作品が生まれたが、
そろそろこのプラットフォームも限界なのでは?と
感じてしまう作品だった。

ジャンプ漫画で育った私としては、
疑似ではない本当のハーレムラブコメを観たいところだ(笑)

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