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ただの鳥映画が ディズニーを超えた?!「FLy!/フライ!」レビュー

3.0
FLY!/フライ! 映画
(C)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.
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評価 ★★★☆☆(59点) 全83分

『FLY!/フライ!』日本語吹替版 本予告映像<2024年3月15日(金)全国公開>

あらすじ

ニューイングランドの森のどこかにあるムースヘッド池で、マガモ一家のマックは、妻のパムを大いに困惑させながら、子供たちのダックスとグウェンが外の世界へ出かけるのを阻止する。

引用- Wikipedia

ただの鳥映画が ディズニーを超えた?!

本作品はイルミネーションによるフルCG映画作品。
監督はバンジャマン・レネール、制作はイルミネーション

真鴨

この作品の主人公は「鴨」だ。
イルミネーションらしいコミカルな表情の表現は
アメリカ的なアニメイズムを感じる大胆な表情の変化であり、
それがわかりやすい面白さと感情表現になっている。

たとえセルフがなくとも、見ているだけで
キャラクターが何を感じているかが、何をいいたいかがわかる。
そんなアニメーションという表現において基本的な
キャラクターの見せ方をイルミネーションという制作会社は
抑えている印象だ。

そんな主人公である「カモ」は一家の大黒柱だ。
妻と二人の幼い子供、近所には叔父さんも済んでいる。
池の中で幸せに暮らしながらも、同時に変化を恐れている。

大人になるということは同時に変化しないということでもある。
家庭を築き、家を買えば、多くの人はその場所から
どこかに引っ越すことはない。
この作品の主人公も同じだ、住んでいる池から出ようとしない。

外は危険がいっぱいだ、野生動物出る彼らにとってすれば
どこに外敵がいるかわからない。臆病なくらいがちょうどいい、
臆病だからこそここまで生きてきた。
主人公の「マック」にはそんな自負がある。

しかし、彼の家族は違う。
「真鴨」は本来渡り鳥だ、いろいろな場所を移動しながら
住処を変え、世界中を旅している。
そんな「本能」があるゆえに、彼の家族は旅することに憧れている。

主人公のマックにとっては旅などもっての外だ。
知らない場所に行くことへの恐怖、命の危険がさらされる恐怖。
しかし、そんな恐怖よりも家族がばらばらになってしまって
一人になる方が怖い。

一家の主であるマックは家族とともに移住を決めるという
ところから物語が始まる。

キャラクターの表現自体はコミカルであるものの、
背景描写のクォリティはかなり練り込まれている。
キャラクターはアニメ的にコミカルなのに、
背景はリアル、しかしフルCGだからこそ、キャラが浮かない。

普通の手描きアニメで同じようなことをすると
リアルな背景の上で二次元なアニメキャラが浮くことが多いのだが、
フルCGの場合はその欠点も感じさせない。

真鴨の一家が初めて池から飛び出し、太空を駆る。
その姿、彼らの旅がはじまったと感じさせる雄大さは、
見ている側にも「冒険」が始まるワクワク感を感じさせてくれる。

しかし、旅は前途多難だ。
彼らは外の世界を殆ど知らない、
天気が悪くなればどこかで雨宿りをしなければならないし、
真鴨を食べようとするものもいれば逃げないといけない、
そして、彼らは初めて「人間の世界」に訪れる。

シェフ

旅の中で彼らは多くのものと出会う、同じ渡り鳥と出会ったり、
サギにくわれそうになったり、ゴミを漁るカラスと出会ったり、
そんな出会いが彼らの世界を広げていく。
それは主人公であるマックにも変化を生むきっかけにもなる。

彼は心配性だ、家族を思い、ひどい目に合わないように
一家の大黒柱として家族を守ろうとしている。
だからこそ池から出ることを拒んでいた。

しかし、それでは成長しない。
外の世界を知ることで自分も子どもたちも少しずつ成長していく。
危険な目に合うことも多い、サギに食べられそうになったり、
人間のシェフに料理されそうになったり。

だが、そんな危険を家族や仲間と協力して
乗り越えることで冒険の楽しさをしり、外の世界の広大さを知る。
家族だけではない多くの鳥たちと出会うことで価値観の変化が生まれ、
自分の知らない世界を知れるようになる。

シンプルなストーリーではあるものの、
そのシンプルさの中でイルミネーションらしい
コミカルな表現がささる。

ジャマイカ

彼らの目的はジャマイカだ。
そんなジャマイカの場所すら「南」という曖昧なものだ。
だが、旅の中でジャマイカからやってきたオウムとであう。

しかし、そんなオウムは囚われの身だ。
人間のシェフであるペットであるオウム、
そんなオウムを助け出し、ときには飼育されていた鳥を助けながら
旅は続いていく。

だが、絶体絶命のピンチが訪れる。
主人公と、その妻と仲間たちがシェフによって捕まってしまう。
それでも彼らは諦めない、家族のために最後の一瞬まで
足掻く彼らの姿はまっすぐであり、そんな希望が実を結ぶ最後の展開は
読めるストーリーではあるもののシンプルに楽しめる作品だ。

そして最後にたどり着くジャマイカの地。
池から飛び出してきてよかった、旅を始めて良かった、
あの場所にとどまっていたままでは知らなかった景色が
そこには広がっている。

更にはラストのエンドロールでも旅路が描かれる。
南極への旅路が1枚絵でコミカルに描かれるさまも楽しく、
最後までストレートに楽しめる作品だった。

総評:池の中の鴨、大空を知らず

全体的に見て映像表現はさすがはイルミネーションといえるような
コミカルな表現とリアルな表現がうまくマッチしており、
コミカルな表現はキャラクターの魅力に繋がり、
リアルな表現は世界観をしっかりと感じさせてくれるものになっている。

ストーリーはシンプルだ。
心配性だった主人公が旅をすることで世界を知り、成長し、変化する。
そんなまっすぐなストーリーがコミカルに描かれながらも、
ハラハラする展開もきちんとあり、ツボを抑えた展開だ。

一方でシンプルすぎるとも言える。
あくまで子どもと一緒に観る家族向けの映画であり、
それ以上でもそれ以下でもない。
感動して泣いてしまう要素やゲラゲラと笑ってしまうシーンもほぼなく、
ストーリー展開自体もある程度は予想できるものだ。

予想できるからこそ安心して楽しめる作品ではあるものの、
何度も見たい!と思えるような作品でもなく、
キャラクター自体もデザインはただの「鳥」であるがゆえに
同じイルミネーションのキャラクターのミニオンのような
洗練されたものがあるわけではない。

安心して楽しめる安定した作品とも言えるのだが、
作品自体のメッセージがそんな安心と安定した環境から
飛び出して成長するメッセージであるがゆえに、
もう少し深堀りしてほしいと感じる部分にもなってしまっていた。

ただ、子供が楽しむにはシンプルに楽しめる作品だろう。
大人が観るとやや物足りなく感じる部分はあれど、
肩の力を抜いてスッキリと楽しめる作品だった。

個人的な感想:ディズニー

この作品、日本ではそこまで興行収入は伸びなかったものの、
世界で見れば2.9億ドルという興行収入を突破している。
一方で去年のディズニー映画ウィッシュは2.5億ドルだ。

制作費自体はこの作品は7200万ドル、
ウィッシュは2億ドルとかなりの差がある。

確かに両作品で比べると、この作品はかつてのディズニーのような
コミカルな表現もありつつメッセージ性もある。
一方でディズニーは最近厳しい、
メッセージ姓を強く押し出した結果、微妙になっている作品が多い。

イルミネーションの最近の勢いを考えると、
いつかディズニーがお株を奪われる時代も
そう遠くないのかもしれない。

「FLy!/フライ!」に似てるアニメレビュー

監督:バンジャマン・レネール, プロデュース:クリス・メレダンドリ, Writer:マイク・ホワイト, 出演:クメイル・ナンジアニ, 出演:エリザベス・バンクス, 出演:カスパー・ジェニングズ, 出演:トリシー・ガザル, 出演:オークワフィナ

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