評価 ★★★☆☆(50点) 全95分
あらすじ 「ニアサードインパクト」から14年後。葛城ミサトをはじめ旧NERV職員らは、反NERV組織「ヴィレ」を結成し、NERVのエヴァを殲滅すべく活動していた引用- Wikipedia
おかえり
本作品は新世紀エヴァンゲリオンの劇場版。
ヱヴァンゲリヲンとしては3作品目の作品となる。
監督は庵野秀明、制作はカラー
宇宙
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー
前作のラストである程度、旧エヴァのストーリーは描かれきっている。
このQからは旧エヴァを見ていた人もまったくもって知らないストーリーであり、
今までが「リビルド」という名のリメイクだったのに対し、
今作は完全なる新作と言っても良い。
冒頭から舞台は宇宙だ。
旧エヴァは「基本的にエヴァは宇宙に行けなかった」が、
いきなり宇宙船が描かれる。
いい意味で「エヴァンゲリオン」らしくないとも言える高速戦闘シーンは
「無重力」な環境であるがゆえの滑らかさやと素早さだ。
旧エヴァの頃ではできなかったフルCG全開の描写は
この作品が紛れもなく「新作」であることを感じさせる。
誰も予測できないエヴァが始まる。
困惑
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー
助け出されたシンジは困惑する。
破の最後の自分の行動はわかっているものの、目がさめたら見知らぬ天井どころか
見知らぬ場所であり、首には謎のチョーカーをはめられ、
周囲の人間は彼に対して「嫌悪」と「憎悪」の目を向け冷たい。
何も教えてくれず、何もわからない。
「視聴者」と同じ立場で碇シンジは現状を見て把握するしか無い。
戸惑う中で自分も力になろうとエヴァに乗ることを提言するも
彼は「必要がない、何もしないで」と言われてしまう。
せっかく破までのストーリーの中で自分を確立し、
自信も少なからず手に入れていたはずの彼の心をがくじける。
ヴンダー
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー
旧エヴァにおいて「戦艦で戦う」というのはなかった(海上戦を除く)
今作ではそんな戦艦の起動が序盤の盛り上がり所だ。
エヴァ初号機を取り込んだ戦艦の存在は思わず興奮してしまうほどの迫力がある。
だが初号機が戦艦になり、碇シンジという存在は不要になる。
それどころかエヴァに乗って覚醒すれば「爆発」するチョーカーまでつけられている
戸惑う中で更に深刻な事実が告げられる。
彼にとっては一瞬でも「14年」が経過している。
かつて少女だった子は大人になり、みんな年をとっている。
「エヴァンゲリオン」のパイロット以外は。
世界は彼の行動のせいで「変革」し、
そんな変革した14年をシンジ以外の人間は生きてきた。
何も変化のない彼に周囲はいらだちを感じる。
世界を代償に彼は一人の少女を救おうとした。
そんな「身勝手」という名の罪の代償を彼は払わされている。
セカイ系において言ってはいけない「責任」を負わされていると言っても良い。
事実を受け止められず、何かをすることも許されない。
物語の主人公でありながら「傍観」することしかできない。
綾波レイと再会してもどこか以前の彼女とは違う。
彼の疑問には一切答えてくない。
陰鬱とした雰囲気、主人公にかかるストレスの数々。
新エヴァにはなかった旧エヴァの「鬱々」とした雰囲気が漂いまくる。
どこか前向きだった前2作とはまるで違う、
旧エヴァの続きを見ているかのようなどんよりした雰囲気は
心のなかで「おかえり」と言いたくなるような懐かしさがある。
この雰囲気こそが「エヴァ」だったと思い出させてくれるような
郷愁にかられる
渚カヲル
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
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そんな彼のそばにいるが「渚カヲル」だ。
新エヴァにおいて1作目から登場し、いろいろなことを匂わせてきた彼が
碇シンジとようやく肩を並べる。会話ではなく「ピアノ」で会話をする二人。
自分に冷たい人間しか居ない中で唯一優しくしてくれる存在は
彼にとっては貴重だ。
「楽しい」ことを共有し、友情を培う。目覚めて初めてできた友達だ。
変化に対する恐怖、自分がやってしまったことの罪の意識、
なにもない部屋で日々を過ごす中で不安が増していく。
そんな彼に渚カヲルは真実をきちんと伝える。
彼が引き起こした「ニアサードインパクト」という名の人類壊滅。
ネルフが企んでいた人類補完計画の真実。
「碇シンジ」という人間が綾波レイを助けるために起こした行動の代償。
旧エヴァと違い新エヴァは碇シンジという主人公を通して
視聴者にもきっちりと説明している。
シンジの母親の真実、綾波レイの真実、父親の計画。
世界を犠牲にしても「綾波レイ」を助けられなかったという真実。
戻ってこられないほどの絶望を彼が襲う。
彼の身勝手な行動が世界を滅ぼし、人類をほぼ壊滅に追い込んだ。
そんな罪の意識に耐えられない。何もしたくない。
自分が何かをすればまた大変なことを引き起こしてしまうかもしれない。
そんな彼を救うのも「渚カヲル」だ。彼の呪いと罪を自らが引き受ける。
自分の命をかけて彼を救おうとしている。
世界の修復という「希望」を教えることで生きる道と前へ進む力を与えてくれる。
二人一緒に、信頼したカヲル君と一緒に世界を救う。
今の彼にとっての唯一の希望だ。
かつての仲間と
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
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そんな希望を叶えようとしても、かつての仲間がそれを邪魔する。
エヴァ同士の、エヴァパイロット同士の戦いだ。
主人公である碇シンジは無我夢中で、唯一の希望にすがるしか無い。
かつての仲間に手を上げても自分のすることを成し遂げようとする。
それが間違っているとしても止めることができない。
もはやそれにすがるしか道がなく、それしかないからこそ忠告も聞かない。
彼は14年経っても14歳の子供のままだ。
その結果、大事な人を失う。
絶望の中から見出した希望、そこからまた絶望へと叩き落される。
この物語に救いはあるのか、碇シンジは救われるのか。
全ては「シン・エヴァンゲリオン」次第だ。
総評:全ては結末次第
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
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全体的に前向きだった前2作と違い、今作はひたすらに後ろ向きだ。
14年という時間の経過、自分の犯してしまった罪との向き合い、
それを受け止め希望を見出してもまた絶望が襲う。
どこか「旧エヴァ」らしい雰囲気とストーリー展開は懐かしさが漂い、
それでも彼は歩くしか無い。
いろいろな謎やストーリーが結末次第という感じだ。
この作品はあくまで完結への「つなぎ」であり、この作品だけ評価しても
仕方ないような気さえしてきてしまう。
果たしてシン・エヴァンゲリオンでどんな結末を迎えるのか。
この作品を見たあとに気になるのはそこだ。
結末への期待感を強めるための「Q」といってもいいかもしれない。
なんにせよシン・エヴァンゲリオンを見て、この作品を含め
新手馬手新エヴァを評価したいと思わせる作品だった
個人的な感想:世間的な評価
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
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今作の世間的な評判はあまり良くないものの、
私はどこか懐かしさすら感じてしまった。
このわけのわからなさ、後ろ向きで鬱々とした雰囲気、
「あ~エヴァってこんな感じだったよね」と思ってしまうような
どこか納得してしまう出来栄えだった。
おそらく多くの人が期待したのは「前向き」なままのエヴァのエンドだろう。
だからこそ、Qの評価は高くない。
ずっと前に進んでいたのにスタートラインの前に戻ってしまったような
リセット感が喪失感を生んでしまう部分はある。
ただ、そんなリセットからどう結末を迎えるのか。
公開日がいつになるかわからないものの、
固唾を飲んでシン・エヴァンゲリオンを待ちたい。
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