評価 ★★★★★(87点) 全24話
あらすじ 高校生の大木大樹は、以前より想いを馳せていた小川杠に自分の気持ちを告白しようとしていた。引用- Wikipedia
ジャンプ版マインクラフト
原作は週刊少年ジャンプで連載中の漫画作品。
監督は飯野慎也、製作はTMS/8PAN
主人公
画像引用元:Dr.Stone 1話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
1話冒頭、この作品の主人公のデザインに驚かない人は居ないだろう。
髪はサイヤ人のごとく逆立ち、中心に一本顎下までたれた髪型、
髪はセロリのごとく緑色、白衣をきて怪しげな実験をしている。
どんな主人公なのだろうか(笑)
こんな癖のある主人公のキャラクターデザインを見せられた後に人間が石になる。
世界中に謎の光が降り注ぎ、意識はあるのに体だけが
石化してしまう現象が起こる。あまりにも衝撃的な展開だ。
何年、何十年、何百年、何千年という月日が
経過した後に主人公の石化が溶けることで物語が動き出す。。
「人間社会」は崩壊し、自然が溢れかえった世界。
そんな中で主人公は、人類は「文明の再興」を目指す。
ゾクゾクとするような始まりだ。今までのジャンプでこんな作品があっただろうか。
悪いやつを倒すわけでもない、青春を繰り広げるわけじゃない。
「文明の再興」を目指す作品だ。
これまでのジャンプ作品にはなかった個性あふれる世界観と設定、
ストーリーを1話から見せつけてくれる。
実験検証
画像引用元:Dr.Stone 1話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
1話から実験と検証を繰り返す。そもそもなぜ自分だけ石化が溶けたのか。
コウモリの糞から生まれる硝酸が自分たちの体を包んでいた石を腐食させ、
その結果、自分たちは石化が溶けたのではないか?と結論を出す。
決してファンタジーな石化現象で済まさずに、科学的に解き明かしていく。
主人公は石化する前からの自分の知識を活かし、様々なものを作っていく。
最初は木材を集め、家を作り、自然に生えてるものを食べる。
余裕が出来たら素材を加工し新しい素材を作り、新しいものを作る。
自分たちの石化の謎を解明していきながら、自分たちの暮らしを発展させていく。
長い長い繰り返しと積み重ねの日々だ。
「分からねぇことにルールを探す、
そのクソ地道な労力を科学って呼んでるだけだ」
思わずにやにやしてしまうような主人公のセリフ、
地道な積み重ねの果にたどり着いた結果、
1年が経過し、ようやく石化を解くための薬を開発に成功する。
百獣の王
画像引用元:Dr.Stone 3話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
人類の文化が崩壊し、人類が居なくなった世界で頂点に立つのは「百獣の王」だ。
動物たちは繁殖し繁栄している。たった二人の人類、武器は槍しかない。
そんな中で彼らは3人目の人類を復活させる。
霊長類最強と言われる高校生だ(笑)
素っ裸のままライオンを殴り、群れを怯えさせる。
その姿のインパクトは凄まじく、主人公の「ライバル」として君臨する。
知力、体力、武力。
ひとりひとり目覚める若者たち、ひとりひとり目覚めるからこそ
一人一人のキャラクターに強烈な印象がつく。
武力を手に入れたことで動物を狩り「肉」を手に入れることができるようになる。
完全に0だった人類の文明が、徐々に、本当に徐々に発展していく。
だが、たった3人の人間しか居ない世界でも「価値観」が一緒とは限らない。
霊長類最強の獅子王 司は、ある種の選民思想の持ち主だ。
危険な彼の力と思想はストーリーの面白さを生んでいる。
主人公は科学の力で全人類を助けたい、
獅子王 司は1度文明がリセットされ、助ける人類を選べる状況だからこそ
彼にとって「理想」の世界を作りたいと考えている。
対立する思考だが、そこに「バカ」が交じることで
とりあえず状況が収まる(笑)
3人しか居ない人類だからこそ、3人のバランスが素晴らしい。
本来はかなり緊迫しシリアスな状況ではあるのだが、
それを感じさせない明るいキャラクターたちがいる。
若者だからこそ絶望せず彼らは希望にあふれている。
マインクラフト
画像引用元:Dr.Stone 5話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
この作品にはきちんとした科学知識の裏付けがあり、
その科学知識をきちんと主人公がわかりやすく「バカ」に解説する(笑)
科学知識が正しいからこそ
「本当に爆弾ができるから真似しちゃダメだよ」と注意喚起まで入るくらいだ。
石灰を手に入れ農業を発展させ、石灰でモルタルを作り頑丈な家を作る。
素材を集め組み合わせ加工する。
この作品でやってることはいわば「マインクラフト」だ。
このゲームの内容を知らないという人は少ないと思うが
サンドボックス系と言われるゲームであり、2011年の発売から
今もなお売れ続け、似たようなゲームも多く生まれている。
この「サンドボックス系」と言われるゲームの共通点は
何かを作るということにある。
最初はなにもないところから始まり、木を切り、石を砕き、
自らの力で文明を発展させていく。
まさにこの作品がやっていることと同じだ。
この作品は漫画という媒体、アニメと言う媒体で
「マインクラフト」をやろうとしている。
月日の流れは早く、文明をどんとンとは発展させていくのは
まるでマインクラフトのゲーム実況を見ているかのような面白さがある。
所詮、人間の敵は人間だよ
画像引用元:Dr.Stone 5話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
話が進みヒロインも復活し、たった4人の人類。
そんなたった4人の人類なのに対立してしまう。
人は結局、人だ。武力に対して武力を求める。
核に対して核を持つ国が多いよぅに、人類が敵対すれば
科学的な武力を求めるようになる。
サンドボックス的な面白さを描きつつも
「人類」というものをこの作品は描いている。
人類はなんとも愚かだ、だが、愚かだからこそ発展してきた。
人類の愚かさという対立がストーリーに緊迫感を生み、
そんな対立があるからこそ、
危機的状況だからこそ人類の科学は皮肉にも発展していく。
人類の歴史をなぞるかのように発展していくストーリーと
そこに生きるキャラクターたちの「熱さ」がこの作品の面白さの核だ。
そして同時に「誰が石化現象を起こしたのか」という部分も、
作品全体としての謎とそれを解明していく面白さになっている。
生き残っていた人類
画像引用元:Dr.Stone 12話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
主人公たちが活動範囲を広げたからこそ「人類」と出会う。
石化から復活した主人公たちと違い、
彼らは「石化から逃れた人類」の生き残りだ。
なぜ生き残っていたのかもまさに科学的だ。
彼らは「宇宙飛行士」で「宇宙」に居た。
だからこそ地球が石化の光を浴びた際に逃れることが出来た。
3700年前、彼らの祖先は生き残りなんとか人類の血を絶えさせず、
いつか復活するかもしれな人類に希望を託している。
しかし、彼らには科学技術までは伝っていない。
それでも「0」から科学技術を求めてたやつもいる。
例え主人公が死んでしまっても、科学を求める人類は消えない。
文明が滅びても科学を求めるもの、
文明が滅びても科学の知識を受け継いでいるもの。
この両者がタッグを組み「抗生物質」の制作に挑む。
人類の歴史は病との戦いでもある。その裏には必ず科学がつきまとう。
生き残るために求めた科学でも文明は発展してきた。
この作品は本当に人類の科学の歴史を再度なぞるかのような
ストーリー展開をしている。
素材集め
画像引用元:Dr.Stone 13話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
中盤でも変わらず素材集めだ(笑)
磁石を使い、砂鉄を集め、鉄を作る。
ときにはねこじゃらしからラーメンさえ作る。
この模様がシンプルに楽しい。
トライ&エラーを繰り返し、何度も何度も実験を繰り返して結果にたどり着く。
特に電気が生み出されたときは感動すらある。
なにもない石器時代に生み出された文明の光、
1クールかけて生み出された電気。
素材を集めまくって加工して、生み出されてたどり着いた電気。
原始的な仕組みだ。人力だ。しかし、真っ暗な夜が照らされる喜び。
電気で生み出された光はまさに文明の象徴だ。
ご都合主義ではなく、きちんと積み重ねて苦労してたどり着いた文明の光。
たった一筋の光がこの時代の人々も、石化から蘇った人も、見る側も虜にする。
失敗することも多い、だが、その失敗をギャグにしつつ、
成功したときの達成感をより強く感じさせる。
努力・友情・勝利
画像引用元:Dr.Stone 15話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
ときには死の危険のある場所で素材を集めないといけないこともある。
装備を整え、危険地域を乗り越えて、素材をゲットする。
まさにサンドボックス系ゲームそのもの面白さを
この作品ではしっかり見せてくれる。
そんな中でもこの作品はジャンプだ。
何度も失敗を重ねて努力し、運命をともにした仲間だからこそ信頼し、
その信頼は友情になり、結果と言う名の勝利を掴む。
清々しいまでのジャンプ三原則をきっちりと守っている作品だ。
この作品は紛れもなくジャンプの漫画原作のアニメだ。
それを強く感じさせるストーリー、キャラクターは熱い。
話が進めば進むほどキャラクターが増えるほど面白くなる。
キャラクターたちによってどんどん発展していく科学と、
それに伴い文明が発展していく。
コメディタッチな部分もあることで
この科学の発展を笑いながら、だが着実に進んでいく様を楽しめる。
発展することの面白さ。科学が進歩していくことの面白さ。
「コーラ」を飲むシーンに何故かうるっときてしまう。
この作品だからこそなし得た積み重ねと魅力だ。
半年かけて生み出された「抗生物質」は一人の命を救う。
人類は病に科学で勝った。
その過程をこの作品はしっかりと見せ、それが感動につながる。
受け継がれる意思
画像引用元:Dr.Stone 17話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
3700年たって主人公は父親の思いを受け取る。
いつか必ず石化から復活し、自分の息子が文明を再興させると信じたからこそだ。
唯一生き残った人類6人。彼らの物語が描かれる終盤はたった2話しかない。
だが、その2話の物語があったからこそ、
3700年先の未来で主人公の助けになった。
受け継がれてきた命のバトン。知識を残すために物語を残し、
息子を信じたからこそ残したもの。
父親が成し遂げられなかったことを息子である主人公がやり遂げる。
きちんと考えられた世界観と設定、ストーリーがあるからこその
壮大な物語が描かれている。
主人公の父を演じているのが「藤原啓治」さんなのも突き刺さる所だ。
携帯
画像引用元:Dr.Stone 22話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
人類が発展すればするほど戦いが生まれる。
考え方の違いが争いを生み、それは戦争につながる。
だが、戦争があるからこそ技術は進歩する。通信技術だ。
ようやく鉄やガラスといった近代的な素材は生まれたが、
終盤に一気に通信技術の開発にまで手を付ける。
人力から動力へ。水力発電が生まれる。
今まで人が動いてやらなければいけなかったことを、ギアと電力で自動化する。
発展していく過程がきちんと描かれてるからこそ、ニヤニヤしてしまう。
機械化することでますます工場のようになってくる。
大量生産が始まり、そこから更に科学技術を発展させていく。
何度も何度も繰り返す失敗。
「真空管」というあまりにも現代的なものを求めるがゆえに失敗しかない。
成功に導くために「洞窟」という名のダンジョンへと足を運ぶ。
1度は敵対した相手も、一緒に冒険することで互いを理解し、友になる。
王道なストーリーの見せ方、キャラクターの描写が本当に心地が良い。
仲間だからこその思いやりに感動できてしまう。
50近く離れたおじいさんとも、同じ仲間であり友達だ。
友情と努力があるからこそ携帯という勝利を掴む。
主人公の知識だけではたどり着けない、多くの仲間と友がいるからこそだ。
だからこそ「父の声」を聞くことができる。
気持ちいいまでの俺たちの戦いはこれからだ。
科学で作り上げた武力で、力のみで作り上げた敵との戦争が始まる。
最終話のラストのお「2期決定」、これほど楽しみな2期はない。
総評:科学の面白さ
画像引用元:Dr.Stone 24話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
全体的に素晴らしい作品だ。
文明がリセットされた世界で主人公が文明を作り上げていく。
やっていることは凄くシンプルなのだが、まるで科学の発展をなぞるような
ストーリー展開とこんなにもある意味で絶望的な状況なのに
キャラクターたちが熱く、明るく、未来に向かって突き進んでおり
変に重くならず、だが、感動できるストーリーが描かれている。
1話では木を集め、植物を採取し、火をおこすくらいしかできていない。
だが、そんな原始的な状況から最終話では携帯電話すらできてしまっている(笑)
2クールでどんどんと進歩していく技術が本当に面白く、
テンポ良くサクサク進むからこそ変にだれずストレートな面白さになっている。
この世界に生きるキャラクターも魅力的だ。
科学というものを幼い頃から追求してきた主人公、彼の友達、
選民思想を持つライバル。生き残った人類たちの子孫。
一人一人がこの時代を生き抜こうとしており、
科学的で理詰めなストーリーの中でキャラクターが「生きている」からこその
感動できるストーリーがきちんと描かれている。
物語自体は淡々としている部分はある。
だが、そんな淡々しているはずのストーリーをコミカルに見せ、
緊張感のあるライバルの存在を際立たせ、
技術が発展していく「喜び」を素直に感じさせてくれるのがこの作品だ。
「科学」とは何なのか。
ある意味でこの作品はそれを紐解き、描いているような作品だ。
これからどんなふうに技術が発展していき文明が再興し、
どんなストーリーを見せてくれるのか。
これほど2期が楽しみな作品はない。
個人的な感想:ワクワクさん
画像引用元:Dr.Stone 8話より
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
見ているときの感覚は「ワクワクさん」を見ているような感覚だ。
子供のときにあの番組で出来上がる工作物の数々に心踊らせていた。
それをこの作品は大人になった私達に科学的考証をしっかりしたうえで
見せてくれるような作品だ。
鉄の作り方、電気の作り方、携帯の作り方。
普段私達の身近にある何気ないものの作り方をしっかりと見せてくれる。
それなのに変に説明臭くなったり難しくなりすぎたりしない。
これほど楽しい理科の時間はない(笑)
本当に2期が楽しみだ。
それこそ原子炉とか作り出すのかもしれないと思うと
色々な意味でワクワクだ。
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